飄々とした足取りで暗闇を歩く。派手な装飾が音を立てているが、本人は気にしていないようだ。
夜の森は少々寒い。目に見える、いや見えない暗闇と冷たい空気は人を緊張させていく。それを考えるとこの男は非凡だ。
「…♪」
鼻歌などを楽しみながらゆったりとした足取りは確実に出口に向かっていた。
訳ではない。
夜の森は少々寒い。目に見える、いや見えない暗闇と冷たい空気は人を緊張させていく。それを考えるとこの男は非凡だ。
「…♪」
鼻歌などを楽しみながらゆったりとした足取りは確実に出口に向かっていた。
訳ではない。
「やぁれ…やれ…」
暗闇は人を呑む。ただ呑むのであって存在まで消し去る事はできない。
虫の鳴き声が虫のしらせか。男は気配に気付いている。
「影もいいが…奴はアンタを呼んでるような気がするぜ…」
ポツリと呟く。「影への問い」は正しい表現でもあった。
「…」
「忠実だ。ああ忠実だ。しょいこむのはアンタもか?」
端から見れば独り言。相手を実際に捉えているのは彼一人。
木ズレの音もしない。静寂で返してみせるのは良い忍の証拠である。
「月下為君…いやぁ似合うね…」
この暗闇にも光は降り注いでいる。
月光の元は陽光。
平等に光を与える所は同じだ。
暗闇は人を呑む。ただ呑むのであって存在まで消し去る事はできない。
虫の鳴き声が虫のしらせか。男は気配に気付いている。
「影もいいが…奴はアンタを呼んでるような気がするぜ…」
ポツリと呟く。「影への問い」は正しい表現でもあった。
「…」
「忠実だ。ああ忠実だ。しょいこむのはアンタもか?」
端から見れば独り言。相手を実際に捉えているのは彼一人。
木ズレの音もしない。静寂で返してみせるのは良い忍の証拠である。
「月下為君…いやぁ似合うね…」
この暗闇にも光は降り注いでいる。
月光の元は陽光。
平等に光を与える所は同じだ。