「ぬぅん!」
勢いよく振り回され放り投げられる。そのまま政宗は岩に体を嫌と言うほど叩きつけた。
竹中はそれを見つめ、ため息をついた。
「秀吉・・・僕に任せて陣に居てって言っただろ」
それに眉をしかめ、そびえ立つ巨躯は豊臣の総大将、豊臣秀吉である。
「この戦は最上と伊達をぶつけ合い、最上を豊臣に刃向かわないようにさせるか
共倒れにって言う目的もあるんだから。こっちは指示だけ出せばいいんだ。
見てよ。この完全な勝ち戦。秀吉が出るまでもないったら」
衝撃にしびれ、身動きできない政宗はそのやりとりを聞いて腸が煮える気がした。
全てを盤上の遊技のように弄び、上から覗いて笑うような竹中の態度が許せない。
そして己にも腹が立つ。
ーー俺が、女の夢なんか見るから。みんなを殺してしまった。仇だけでもとらなければ。
この修羅の道を失えば・・・・・・俺は生きる意味を失う。
わき起こる衝動だけが政宗を立ち上がらせた。
「God damned!」
「おや、凄いね」
純粋に驚いて竹中は秀吉を見上げた。
「ふん、だがただの意地だ。意地だけでは勝てぬ、力が伴わねばな!」
ぶうんっと風切音。
丸太のような腕が三刀を抜き突進する鬼神のような政宗をあっさりとはじき飛ばす。
「哀れだね。そんなにもがいて。そんなに生きる意味を守りたい?」
受け身もとれず地面に激突した政宗はもうどれだけ己を叱咤しても動くことは叶わなかった。
そのうつぶせに倒れた竜に竹中はつかつかと歩み寄り、つま先で転がして仰向けにした。
途端にぐうっと睨み付けられ、竹中は肩をすくめた。
「まだそんな目をして。視線だけで人が殺せれば死んでるね。怖い怖い」
しかし竹中に浮かぶのは勝利を確信した余裕の笑み。
「知ったような口利きやがって。fuck!てめえにはわかんねえだろうよ」
「分かるさ。君のことはご母堂から聞いているよ。藤姫様」
「なっ・・・その名を・・・」
それは、五歳の時に棄てた名前だ。
「ご母堂はね、君にお嫁に行って欲しかったのに。
そうやって当主として頑張るからご機嫌斜めだ」
当主として立派になればいつかは母に認められると思っていた政宗に
その言葉は何よりも鋭い針だった。
「そ、んな」
がらり、と心の柱が崩れる気がした。
ーー伊達が滅び、母が望まぬ修羅の道は絶たれた。
勢いよく振り回され放り投げられる。そのまま政宗は岩に体を嫌と言うほど叩きつけた。
竹中はそれを見つめ、ため息をついた。
「秀吉・・・僕に任せて陣に居てって言っただろ」
それに眉をしかめ、そびえ立つ巨躯は豊臣の総大将、豊臣秀吉である。
「この戦は最上と伊達をぶつけ合い、最上を豊臣に刃向かわないようにさせるか
共倒れにって言う目的もあるんだから。こっちは指示だけ出せばいいんだ。
見てよ。この完全な勝ち戦。秀吉が出るまでもないったら」
衝撃にしびれ、身動きできない政宗はそのやりとりを聞いて腸が煮える気がした。
全てを盤上の遊技のように弄び、上から覗いて笑うような竹中の態度が許せない。
そして己にも腹が立つ。
ーー俺が、女の夢なんか見るから。みんなを殺してしまった。仇だけでもとらなければ。
この修羅の道を失えば・・・・・・俺は生きる意味を失う。
わき起こる衝動だけが政宗を立ち上がらせた。
「God damned!」
「おや、凄いね」
純粋に驚いて竹中は秀吉を見上げた。
「ふん、だがただの意地だ。意地だけでは勝てぬ、力が伴わねばな!」
ぶうんっと風切音。
丸太のような腕が三刀を抜き突進する鬼神のような政宗をあっさりとはじき飛ばす。
「哀れだね。そんなにもがいて。そんなに生きる意味を守りたい?」
受け身もとれず地面に激突した政宗はもうどれだけ己を叱咤しても動くことは叶わなかった。
そのうつぶせに倒れた竜に竹中はつかつかと歩み寄り、つま先で転がして仰向けにした。
途端にぐうっと睨み付けられ、竹中は肩をすくめた。
「まだそんな目をして。視線だけで人が殺せれば死んでるね。怖い怖い」
しかし竹中に浮かぶのは勝利を確信した余裕の笑み。
「知ったような口利きやがって。fuck!てめえにはわかんねえだろうよ」
「分かるさ。君のことはご母堂から聞いているよ。藤姫様」
「なっ・・・その名を・・・」
それは、五歳の時に棄てた名前だ。
「ご母堂はね、君にお嫁に行って欲しかったのに。
そうやって当主として頑張るからご機嫌斜めだ」
当主として立派になればいつかは母に認められると思っていた政宗に
その言葉は何よりも鋭い針だった。
「そ、んな」
がらり、と心の柱が崩れる気がした。
ーー伊達が滅び、母が望まぬ修羅の道は絶たれた。




