そのやりとりを聞いていた秀吉は眉間の皺をさらに寄せる。
竹中の常套手段だ。弱みを言葉で突き、戦意を失わせる。
しかしそれはしばしば度が過ぎて、廃人になるときもある。
秀吉は少々陰湿に感じ、その戦略が有効なのは分かっていたがあまり好かなかった。
今回はどうやら廃人の場合のようだ。あまり見ていて楽しいものではない。
「半兵衛!!ここは任せてもいいな。陣に戻る」
くるりと背を見せて帰りだす背中に
「ああ、いいよ。任せておいて。もう退却したっていいよ。僕が殿(しんがり)をつとめる」
明るい声が返ってきた。
竹中の常套手段だ。弱みを言葉で突き、戦意を失わせる。
しかしそれはしばしば度が過ぎて、廃人になるときもある。
秀吉は少々陰湿に感じ、その戦略が有効なのは分かっていたがあまり好かなかった。
今回はどうやら廃人の場合のようだ。あまり見ていて楽しいものではない。
「半兵衛!!ここは任せてもいいな。陣に戻る」
くるりと背を見せて帰りだす背中に
「ああ、いいよ。任せておいて。もう退却したっていいよ。僕が殿(しんがり)をつとめる」
明るい声が返ってきた。
秀吉を見送り、向きなおった竹中は冷めた顔で
関節剣を構えるとおもむろに政宗の顔へ向けた。
そして突如眼帯の紐をふつりと切る。露になる政宗の右目。
「っ!やめっ・・・ううっ」
とっさに手で覆おうとするも激痛で手は動かず、竹中の目にははっきりと
右半分の爛れたような痘痕が映った。
「・・・醜い」
ぼそりと吐き出された感想が政宗の心を大きく抉る。
ーー嗚呼、この目さえ綺麗ならば幸村の心も留められたのだろうか・・・
・・・そうだ。もう、女としても生きられないのだった。
思った途端、酷い悲しみが襲いかかり、その悲しみは政宗の生気を奪った。
その様子を見て竹中はほくそ笑む。
「君、もう死にたくなった?僕は君に新しい生きる意味を用意しているんだけど」
「・・・」
全てに絶望してしまったのか、猛々しかった独眼竜はもう何も応えない。
竹中は笑みを強めた。
「君も女だしね。うちの足軽たちを慰めるくらい出来るだろ。
醜いっていったってあいつらは下世話な事に、穴さえあればいいって
言うんだから大丈夫だよ・・・ねえ?」
いつの間にか二人を取り囲む、足軽たちが一斉に頷く。
「右半分は化け物だが女なら何でもいいですよ」
「右さえ隠せばいい女ですぜ。姫をヤれるなんて願ったり叶ったりだ」
「まあー、胸がねえくれえは我慢しやす」
「ばぁか、揉めば大きくならあな。ヒヒヒッさあ~姫さん俺が育ててやろうなぁー」
「白いな、雪国の女は抜けるように白いな。
俺の白いのをかけてもっと白くしてやりてえ~」
豊臣の足軽はみんな敗将から寝返った者達で、
武士道も何もない連中だらけであるから
口々に言うことも耳を塞ぎたくなるような下卑た内容だ。
竹中もうんざりしたのか関節剣を鞭のように鳴らして黙らせる。
「分かった分かった。もう抵抗もしないだろう。じゃ、あとは好きにしたまえ」
と、竹中が輪から離れた途端、ウワァッと群がる足軽。
己の衣に汚い手が掛かるのをただ政宗は木偶のように呆と見ていた。
関節剣を構えるとおもむろに政宗の顔へ向けた。
そして突如眼帯の紐をふつりと切る。露になる政宗の右目。
「っ!やめっ・・・ううっ」
とっさに手で覆おうとするも激痛で手は動かず、竹中の目にははっきりと
右半分の爛れたような痘痕が映った。
「・・・醜い」
ぼそりと吐き出された感想が政宗の心を大きく抉る。
ーー嗚呼、この目さえ綺麗ならば幸村の心も留められたのだろうか・・・
・・・そうだ。もう、女としても生きられないのだった。
思った途端、酷い悲しみが襲いかかり、その悲しみは政宗の生気を奪った。
その様子を見て竹中はほくそ笑む。
「君、もう死にたくなった?僕は君に新しい生きる意味を用意しているんだけど」
「・・・」
全てに絶望してしまったのか、猛々しかった独眼竜はもう何も応えない。
竹中は笑みを強めた。
「君も女だしね。うちの足軽たちを慰めるくらい出来るだろ。
醜いっていったってあいつらは下世話な事に、穴さえあればいいって
言うんだから大丈夫だよ・・・ねえ?」
いつの間にか二人を取り囲む、足軽たちが一斉に頷く。
「右半分は化け物だが女なら何でもいいですよ」
「右さえ隠せばいい女ですぜ。姫をヤれるなんて願ったり叶ったりだ」
「まあー、胸がねえくれえは我慢しやす」
「ばぁか、揉めば大きくならあな。ヒヒヒッさあ~姫さん俺が育ててやろうなぁー」
「白いな、雪国の女は抜けるように白いな。
俺の白いのをかけてもっと白くしてやりてえ~」
豊臣の足軽はみんな敗将から寝返った者達で、
武士道も何もない連中だらけであるから
口々に言うことも耳を塞ぎたくなるような下卑た内容だ。
竹中もうんざりしたのか関節剣を鞭のように鳴らして黙らせる。
「分かった分かった。もう抵抗もしないだろう。じゃ、あとは好きにしたまえ」
と、竹中が輪から離れた途端、ウワァッと群がる足軽。
己の衣に汚い手が掛かるのをただ政宗は木偶のように呆と見ていた。




