戦国BASARA/エロパロ保管庫

潮の花14

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bsr_e

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(こういう事が言いたいのではないのだが)
元就は改めて己の不器用さ加減に苛立つ。
この男は、何故こんなにも余裕のある振る舞いが出来るのだろうか。
やはり、恵まれた体格の持ち主だから?元就の視界に入るのは、今は采配を握る自分の指だけ。
(枯れ腐るのを待つススキのようだ。)
長曾我部元親は、自分に無いものを全て持っている。
こうとなりたかった大きい頼れる男の体と、失くしてしまった仲間たちと笑いあう光景と、
…笑顔。

(日輪に似ている)
最初に見たとき、そう感じた。


銀色の髪は彼が動くたびに様々な色を見せる。晴れ渡る海原に踊る波の煌めきを乗せて。
元就は知っていた。どんなに焦がれても、太陽や月や星は手に入らない。
ただ一度触れることさえ叶わない。届かないからそれらは汚れないままでいるのだけども、
それはそのまま、永遠を約束しているのだから安堵出来るのだけれども……
どうしてか、家族達に重なる。もう会えない、愛しい思い出。

おいていかれる。

(では我は、この男に何を言いたいのだ?)
ああ違う。本来の目的を忘れかけている。ここには、そうだ、毛利家存続の為に来たのだ。
そしてどうだ?この男は、毛利を継ぐ者の父には到底相応しいとは思えない。
体格だけが似ればいい。中身の教育はこちらでするから構わないとも言えるが、
気性が似たらその時はどうすればいい?その子の成長を母とも告げずに見続けなければならぬのか。
…この、焦がれてやまぬ日輪に似た男の子供を。
何故か心の臓がぎり、としめつけられる。
いやいや、我が考えるのはただ家の為になるか否かだけを判断すれば良い。
守りたいのは愛しい家族の残した場所だけで、今更何も新たに考えるべき事柄などありはしない。

だから、だから…気のせいなのだ。もしかしたら匂いだけで酒に酔ってしまったのかもしれぬ。
この男に、触れてみたいなどと。
兵達にそうしているように肩を寄せられて…あちらから触れられた箇所が、熱を持っている気がする。
もっと、と元就は思った。それは兄にそうされた時と同じような心地良さだった。
(違う違うそれこそ間違いだ!こんな男がにいさまと同じなどと!)
それに、太陽がかげってしまう。触れれば、それも自分のような惨めったらしい者ならば特に。
美しいままで、永遠のままで保つ為には手に入れなければいい。
元就が愛した総ての人はもう遠くに行ってしまった。
それでも思い出だけは今もきらきらと目映くある。届かないから。
触れなければ、失ったときも悲しくはない。温もりさえ知らなければ寒くもならない。
(平気だ。何でもない)そしてまた、

――おいていかれる。
まだ触れてさえいないのに。


今この場に彼女の養母がいたのならきっと微笑んでこう言った。
――松寿さまは、すぐそうやって意固地になられるから。
そして兄がいたのならば、こう言うのだ。こちらはもっと笑って、元就の頭を撫でて、
――松寿、その気持ちは恋、というのだ。

お前は今、恋におちたんだよ――


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