――いい年して、生娘でもねぇだろうに。
元親は、男としての自負心が多少傷つけられるのを感じた。
こうまで女に拒絶されたのは初めてだ。元親は、生まれてこの方女に困った事が無かった。
とは言っても初陣を迎えるまでは姉の影響もあって『姫』だったのだから、
童貞を捨てた時期は多少は遅かったかもしれない。
しかし、『男』になってからは――もてた。困るくらいに。
こうまで女に拒絶されたのは初めてだ。元親は、生まれてこの方女に困った事が無かった。
とは言っても初陣を迎えるまでは姉の影響もあって『姫』だったのだから、
童貞を捨てた時期は多少は遅かったかもしれない。
しかし、『男』になってからは――もてた。困るくらいに。
世間の男性がそうと願うより存外、女性というものは背の高い男ばかりを良しとはしない。
同じく、大きい男根というものあまり良いものではないそうだ。
理由はどちらも同じ、受ける女性の身にとっては実用的ではないから。
大は小を兼ねると言うものの、過ぎたるは及ばざるの如し。
背が高すぎれば口付けがし難い。大きすぎる男根はきつくて痛むだけでちっとも好くならない。
そんな世の女性の思惟からしてみれば、元親は正しく規格外の男なのだが、
しかし彼は、もてた。殿様の身分というのもあまり関係が無く、
ひょいと城下に町民のふりをして降りていっては道行く女性に手を出したり出されたり。
鍛え上げられた長身は、先も述べたように女性にとっては恐怖の対象とも成り得るが彼の場合、
その顔立ちはどこか異人を思わせるように彫りが深く精悍で、
それが人懐こい笑顔を浮かべるものだから大抵の女性はそれで落ちた。
加えて姫の時期に身に着けた女性を労わる細やかな情緒を持ち、
恋物語や歌にも詳しく、衣装の着こなしは傾きながらも洗練されていて、
――そのくせ、夜は優しい鬼と化すのだから。
元親は、寄ってくる女にも自分から目をつけた女を喰うことにも不便を感じたことがなかった。
今の今までは。
同じく、大きい男根というものあまり良いものではないそうだ。
理由はどちらも同じ、受ける女性の身にとっては実用的ではないから。
大は小を兼ねると言うものの、過ぎたるは及ばざるの如し。
背が高すぎれば口付けがし難い。大きすぎる男根はきつくて痛むだけでちっとも好くならない。
そんな世の女性の思惟からしてみれば、元親は正しく規格外の男なのだが、
しかし彼は、もてた。殿様の身分というのもあまり関係が無く、
ひょいと城下に町民のふりをして降りていっては道行く女性に手を出したり出されたり。
鍛え上げられた長身は、先も述べたように女性にとっては恐怖の対象とも成り得るが彼の場合、
その顔立ちはどこか異人を思わせるように彫りが深く精悍で、
それが人懐こい笑顔を浮かべるものだから大抵の女性はそれで落ちた。
加えて姫の時期に身に着けた女性を労わる細やかな情緒を持ち、
恋物語や歌にも詳しく、衣装の着こなしは傾きながらも洗練されていて、
――そのくせ、夜は優しい鬼と化すのだから。
元親は、寄ってくる女にも自分から目をつけた女を喰うことにも不便を感じたことがなかった。
今の今までは。
目の前の女が黙りこくったまま、この上も無いほど不機嫌な様相を呈してしばらく経った。
口元は彼女が手にした采配で隠されよくは見えないが、視線はたまにちらりとこちらに向く事もあった。
もの凄い勢いで睨みつけてきたが。
思えば、最初にまみえた時からしてすでに拒絶の空気を纏っていた。
確かにお堅い女には長曾我部軍の軽いノリは嫌悪すべきものだろうし、
潔癖症っぽいから遠慮なく触られるのが不愉快なんだろう。
それでも仮面のように動かぬ表情よりは、怒っていても人間らしい顔を見せるのが嬉しくて、
――可愛くて、つい、過度にちょっかい出しすぎたらしい。
口元は彼女が手にした采配で隠されよくは見えないが、視線はたまにちらりとこちらに向く事もあった。
もの凄い勢いで睨みつけてきたが。
思えば、最初にまみえた時からしてすでに拒絶の空気を纏っていた。
確かにお堅い女には長曾我部軍の軽いノリは嫌悪すべきものだろうし、
潔癖症っぽいから遠慮なく触られるのが不愉快なんだろう。
それでも仮面のように動かぬ表情よりは、怒っていても人間らしい顔を見せるのが嬉しくて、
――可愛くて、つい、過度にちょっかい出しすぎたらしい。
こんな難しい女、今までどんな男と付き合ってきたんだか。




