「やーれやれ、やんなっちゃうね。年寄りってのぁ前置きが長いんだよ」
ヤレヤレ座りで首をコキリと鳴らしながら佐助がボヤく。と、そこに
「うぁっと!」
不意に黒い影が佐助の視界をさえぎった。
佐助の望遠鏡がトスンと落ちる
「うぁっと!」
不意に黒い影が佐助の視界をさえぎった。
佐助の望遠鏡がトスンと落ちる
「やっぱり…ろくな事を考えない奴だな」
上杉の忍び、かすが。一旦は軍を率いて上杉本陣まで戻ったが、愛する主を気にしてか、
戻ってきたようだ。
佐助を一瞥すると、自分の胸元から佐助の物よりも一回り小さい望遠鏡を取り出す。
そして佐助の見ていた方角にレンズを向けるのであった。
上杉の忍び、かすが。一旦は軍を率いて上杉本陣まで戻ったが、愛する主を気にしてか、
戻ってきたようだ。
佐助を一瞥すると、自分の胸元から佐助の物よりも一回り小さい望遠鏡を取り出す。
そして佐助の見ていた方角にレンズを向けるのであった。
「…あぁっ…謙信様ったら…あああぁ…」
目の前の光景に感情がこみ上がるが、自分を制するように
「こらえろ…こらえろ…」
と小さな声で繰り返す、その様子がなんとも滑稽である。
目の前の光景に感情がこみ上がるが、自分を制するように
「こらえろ…こらえろ…」
と小さな声で繰り返す、その様子がなんとも滑稽である。
「あれれぇ、かすがも気になんの?忍び同士、気が合うねぇ」
佐助がはたき落とされた望遠鏡をよっこらしょと拾い上げながら、にやにやと
かすがの方を横目で見やる
「お、おまえのくだらない趣味と一緒にするんじゃない!」
あくまで変態行為でないと言い張るかすが。
佐助がはたき落とされた望遠鏡をよっこらしょと拾い上げながら、にやにやと
かすがの方を横目で見やる
「お、おまえのくだらない趣味と一緒にするんじゃない!」
あくまで変態行為でないと言い張るかすが。
「へぇ、一緒じゃなくて何だってのさ」
「謙信様はあれでいて未通だからな、あの男…ケダモノのように乱暴を働いたら殺す!」
そりゃあ無理な注文ってやつじゃ、と言いかけたがのみ込んだ。
「へー、そりゃあ穏やかじゃないね…って、ちょっと!なんでかすががそんなこと
知ってんの」
「謙信様はあれでいて未通だからな、あの男…ケダモノのように乱暴を働いたら殺す!」
そりゃあ無理な注文ってやつじゃ、と言いかけたがのみ込んだ。
「へー、そりゃあ穏やかじゃないね…って、ちょっと!なんでかすががそんなこと
知ってんの」
「何度か謙信様の御身を清める役目を仰せつかったときにな、バレぬようにこっそり中を
確認したから確かだ」
「忍びの技をそんなことに使ってんのか。…それより上杉ってそんなことまで
部下にさせる訳?なんだか…」
「謙信様だって洗ってくださるのだぞ」
「そーなの?あっいや、そーいうことじゃなくてさ(すんげぇ仲だな…)」
確認したから確かだ」
「忍びの技をそんなことに使ってんのか。…それより上杉ってそんなことまで
部下にさせる訳?なんだか…」
「謙信様だって洗ってくださるのだぞ」
「そーなの?あっいや、そーいうことじゃなくてさ(すんげぇ仲だな…)」
なんとか話題をそらさなくてはどんな危険な話がでてくるかわからない(性的な意味で)。
「あー…それで?心配してんのね」
「そうだ、分かったら邪魔するんじゃない」
「そーいう訳にゃいかないね、大将が殺されるんなら俺が止めなきゃいけないでしょ」
「あー…それで?心配してんのね」
「そうだ、分かったら邪魔するんじゃない」
「そーいう訳にゃいかないね、大将が殺されるんなら俺が止めなきゃいけないでしょ」
こういう掛け合いを続けるのも佐助は好きだが。
「まっ、今は仲良く見物といこうぜ」
「違うといってるだろう!」
「そうカッカすんなって…ほらほらっ、見なよ」
自分の小筒を覗きこみ、
「謙信様のやーらしい顔、そそるねぇ」
と言ってかすがを促す
「まっ、今は仲良く見物といこうぜ」
「違うといってるだろう!」
「そうカッカすんなって…ほらほらっ、見なよ」
自分の小筒を覗きこみ、
「謙信様のやーらしい顔、そそるねぇ」
と言ってかすがを促す
「そんな目で謙信様を……ほ、ほんとか!」
見逃すまいとして慌てて同じ方角を向くかすが。
「…ああぁ…本当…いやらしくて、美しい…謙信様ぁ…」
(やーれやれ、都合のいいこって。まっ、俺様も人のこと言えないんだけどね)
見逃すまいとして慌てて同じ方角を向くかすが。
「…ああぁ…本当…いやらしくて、美しい…謙信様ぁ…」
(やーれやれ、都合のいいこって。まっ、俺様も人のこと言えないんだけどね)
結局覗きの人数が一人増えてしまったが、忍びの者ならバレはしないだろう。
それに、こんな状況でもかすがとふたりきりになるのは悪くない気分だ。
それに、こんな状況でもかすがとふたりきりになるのは悪くない気分だ。