木々の生い茂る人気のない林道を抜けて大きな渓流にたどり着く。
ごつごつとした大きな岩が積み重なって不規則に敷き詰められたような景観だ。
付近を流れる川は、底の岩肌が見えるほど浅く、水が流れる音に混じって
岩を打ちつける音が心地よく聴こえてくる。
ごつごつとした大きな岩が積み重なって不規則に敷き詰められたような景観だ。
付近を流れる川は、底の岩肌が見えるほど浅く、水が流れる音に混じって
岩を打ちつける音が心地よく聴こえてくる。
「ここからは歩いていきましょう」
川沿いに馬を停め、忍び達が主ふたりを先導して上流まで歩いていく、
といってもわずかな距離だ。
目的地に近づくにつれ、岩や石が発する生ぬるい地熱が足を心地よく暖めてくれる。
所々に見える小さなくぼみからはお湯が湧き出ていて湯気が立ち上る。
川沿いに馬を停め、忍び達が主ふたりを先導して上流まで歩いていく、
といってもわずかな距離だ。
目的地に近づくにつれ、岩や石が発する生ぬるい地熱が足を心地よく暖めてくれる。
所々に見える小さなくぼみからはお湯が湧き出ていて湯気が立ち上る。
「着きましたよ、ここです」
案内された所にあるのは、ひときわ大きくえぐれた湯溜まり、あとは雨除け位にしか
役を為さないようなほったて小屋がひっそりと建っていた。
案内された所にあるのは、ひときわ大きくえぐれた湯溜まり、あとは雨除け位にしか
役を為さないようなほったて小屋がひっそりと建っていた。
剣や荷物を一旦小屋に置く。
「後ろを向いてますから、どうぞ」
先に謙信が衣服を脱ぎ湯壺に身を沈める。腰掛けると肩の線が全部湯に隠れる程の深さだ。
信玄が後に続くと体が大きいので胸元から上が湯から出る。
岩の隙間から湧き出ているお湯が
人肌よりやや温かいくらいなので、のんびり長湯と洒落込めそうだ。
「後ろを向いてますから、どうぞ」
先に謙信が衣服を脱ぎ湯壺に身を沈める。腰掛けると肩の線が全部湯に隠れる程の深さだ。
信玄が後に続くと体が大きいので胸元から上が湯から出る。
岩の隙間から湧き出ているお湯が
人肌よりやや温かいくらいなので、のんびり長湯と洒落込めそうだ。
謙信は目を閉じながら水の音に聴き入る。
信玄は川の流れをゆっくりと目で追いつつ景色に見入り、穏やかに笑む。
ふたりのくつろいだ様子を見て、忍び達は胸をなで下ろす。
信玄は川の流れをゆっくりと目で追いつつ景色に見入り、穏やかに笑む。
ふたりのくつろいだ様子を見て、忍び達は胸をなで下ろす。
「しばらくご無沙汰だったでしょ」
佐助が用意してきた酒の入った徳利とふたつの小さな杯を盆にのせて、近くの
湯の掛からない場所に置き、かすがが酒をついでふたりに与えた。
謙信はそれを噛みしめるように味わって胸に手をあて、
「ふぅっ、ひさびさに、いきかえったきぶんですよ」
と息をつく。
「ああ、良かった、謙信様のお口に合って…」
「ありがとう、おまえたちにかんしゃを」
佐助が用意してきた酒の入った徳利とふたつの小さな杯を盆にのせて、近くの
湯の掛からない場所に置き、かすがが酒をついでふたりに与えた。
謙信はそれを噛みしめるように味わって胸に手をあて、
「ふぅっ、ひさびさに、いきかえったきぶんですよ」
と息をつく。
「ああ、良かった、謙信様のお口に合って…」
「ありがとう、おまえたちにかんしゃを」
ふたつの杯を空にしたところで
「では、ごゆっくり」
二人の忍びはその場を離れようとする。
「では、ごゆっくり」
二人の忍びはその場を離れようとする。