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かすが×謙信(女)12

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己のこれを不幸と呼ぶのならば、それは己が一人きりで居れない事が全ての始まりだろう。謙信は顔を打掛に押し付けた。きつく目を閉ざすほんの前に、己の黒い髪の向こうに薄っすらと、かすがが顔を上げる様が見えた。すぐに瞳は閉ざされ、謙信は雫が打掛に音も無く染込むのを感じる。これは卑怯だと、謙信は思った。こんなときに泣くのは、女々しいと思うより先にただ卑怯だと思った。
御傍を離れます。それだけでかすがは謙信を黙らせた。驚きよりも理由よりも早く謙信を襲ったのは、喪失の恐ろしさ。
「謙信様、何故」
躊躇う様に、細い声でかすがが問いかけてくる。何故、何故、随分今日は多く聞いた言葉、謙信は答えない。何故、と尋ねるのも、怖かった。理由を聞いてしまえば、もう取り返しは付かなくなる気がして謙信は黙る。
謙信はかすがが去るのがひたすら恐ろしかった。あの潤んだ熱っぽい瞳で、ただ己を求めた時ですら触れる指が、声が、髪の毛の一筋までもが優しい、良く笑う、良く泣く、女の子。彼女が居なくなるのが怖い。このたなごころからかすがが去るのが怖い。
けれどその喪失の恐怖を知られることを、謙信はより恐れた。
それはいつも深く根付いた恐ろしさだった。一人きりではおれぬ、幼子の様な心は、露が葉ごと凍り付かせる様に謙信を弱くする。そこがただ置いていかれたように止まり、何時までも弱いまま。
いつか、いつかこれに気付いて、謙信のうちに有るのがただ神聖のみではなく、人としても未熟な心が沢山の矛盾を抱え込んでいることを知って、かすがが幻滅していくのが怖かった。気付いて、去ってしまうのが怖い。強く有りたい。
―ただあの子を黙って愛おしむには、私はあまりに弱い。
きつく瞳を閉ざしても、止まらない雫がかすがを責め立てているようで、謙信は歯を噛み締めた。
刹那、かすがが僅かに動いた。永い沈黙の後、それは他愛も無いただの身じろぎだったが、謙信は渇く様にかすがの、その細い手首を掴んだ。
ぱちぱちと瞳を瞬かせ、合わせて雫が零れ落ちる。現れたかすがは、先刻の様にそこにいた。困ったように、色の薄い目で、やはり変らず謙信を見ていた。
「ごめん、な、さい…」
かすがを掴んだ己の手は、指先を白く染めて握り締める。
でも。そう呟いた声が情けない程小さかった。
「いかないで」
かすが×謙信(女)13

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