何も変わるわけがないと信じていた。
何が起ころうと、例え挫折しようと、それでも挑戦を繰り返すのみ。
自分自身は変わらないと、無邪気に信じていた。
何が起ころうと、例え挫折しようと、それでも挑戦を繰り返すのみ。
自分自身は変わらないと、無邪気に信じていた。
頬に何かが当たっている。それが触れているのだと解るまでにどのくらいかかったのか。
つつかれていると気づくまでにどのくらいかかったのか。
夢うつつの幸村には、よく解らなかった。
よく解らないまま、ぼんやりと目を開ける。
深く眠っていたと思うのだが、やけに疲れている。体がだるい。
もう一度目を閉じる。
………心地が良い。誰かが、唇に触れる。
誰か、とやっと認識し、もう一度目を開ける。
硬い、ぱさついた黒髪、色の白い肌、まっすぐな眉、首筋についた赤い、虫さされめいた痕。
つつかれていると気づくまでにどのくらいかかったのか。
夢うつつの幸村には、よく解らなかった。
よく解らないまま、ぼんやりと目を開ける。
深く眠っていたと思うのだが、やけに疲れている。体がだるい。
もう一度目を閉じる。
………心地が良い。誰かが、唇に触れる。
誰か、とやっと認識し、もう一度目を開ける。
硬い、ぱさついた黒髪、色の白い肌、まっすぐな眉、首筋についた赤い、虫さされめいた痕。
「っ!」
一気に覚醒した。そして思い切り寝返りを打ち、勢いよく敷き布団に顔を埋めた。
枕は、いつの間にか、どこかに行ってしまっているようだった。
「お目覚めだな、My Sweet?」
良い朝でござるな、と毎朝繰り返したはずの言葉が出ない。
それどころか何も頭に浮かばない。
ただ、脳裏に、政宗の肌に浮かんだ赤い痕だけが浮かび続けていた。
切れ切れの記憶が蘇る。
「っ、は、」
破廉恥な。
たった一言さえ、舌が痺れ喉が渇いて形にならない。
起きあがって、顔を見られない。
今、見たはずの顔も、どんな表情だったか解らない。
ただあの、赤い痕だけが……
「朝飯の用意は出来てるぜ。今日は特別だ、好きな時に起きてきな」
うつぶせのまま強ばる幸村をどう思ったのか、政宗は後ろ頭にとん、と手を乗せると部屋から出て行った。
なんの淀みもなく、足音と気配が遠ざかる。
それでもしばし息を止めてから、幸村はゆるゆると顔を上げた。
身を起こすと、下腹が痛む。
枕は、いつの間にか、どこかに行ってしまっているようだった。
「お目覚めだな、My Sweet?」
良い朝でござるな、と毎朝繰り返したはずの言葉が出ない。
それどころか何も頭に浮かばない。
ただ、脳裏に、政宗の肌に浮かんだ赤い痕だけが浮かび続けていた。
切れ切れの記憶が蘇る。
「っ、は、」
破廉恥な。
たった一言さえ、舌が痺れ喉が渇いて形にならない。
起きあがって、顔を見られない。
今、見たはずの顔も、どんな表情だったか解らない。
ただあの、赤い痕だけが……
「朝飯の用意は出来てるぜ。今日は特別だ、好きな時に起きてきな」
うつぶせのまま強ばる幸村をどう思ったのか、政宗は後ろ頭にとん、と手を乗せると部屋から出て行った。
なんの淀みもなく、足音と気配が遠ざかる。
それでもしばし息を止めてから、幸村はゆるゆると顔を上げた。
身を起こすと、下腹が痛む。