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浮世英寿「―――― …コツ…コツ…コツ……(スターは大胆不敵に、しかして油断も隙も無い毅然とした佇まいで小走りで静寂な迷宮を突き進んでいた) 」
『Glory Glory… Man United…』(声が聞こえる。歌声だ。英寿も聴いたことがある声。)
浮世英寿「―――――― コ ツ リ … (何処からともなく聞こえてくる歌声に歩みを止める)……これは…(『Glory glory Man United』―――いつか聞いたことのある音楽だと、脳裏に曲名を思い浮かべつつ振り返る) 」
『Glory Glory… Man United…』(聞こえるのは進む先。まるで誘うように、歌声が聞こえる)
浮世英寿「………(誘いに乗ってやる。そう頷いて静止した足を再び前進させ、歌声のする方へ進みだす) 」
『Glory Glory… Man United…』(見えてくるのは、何か巨大なミキサーのようなものに腰掛ける何者か。足をぶらぶらさせて、彼を待っている。彼の足音を聞くと、そこから飛び上がり)
???「as the reds go marching on!!(勢いよく着地して、自らの身体を跳ね上げるように英寿を見て) 」
???「怨!(指を。1カメ。) 」
雪??「怨!!(挿して。2カメ。) 」
雪常💥「怨!!!(狐面を、投げ捨てる。3カメ。) 」
雪常「ヴヘヘヘ。ドーモ、エース=サン。拓海雪常です。来てくれると思ってたぜ?(ニタニタと気持ち悪く笑いながら、被っていた面を踏みつぶす。英寿に手を合わせて、挨拶するように) 」
浮世英寿「………(対峙するは黒狐。これは偶然か、必然か。化け狐の如く様々な因果を欺いてきた自分にとって、これ以上ない相手だと理解したかのように鼻を鳴らしながら目を伏せた)………お前が俺の相手をしてくれるのか。
オムニバスか、
プランダラか…どちらにしたって阻むのなら突破させてもらうだけだが。 」
雪常「いいねえ。その目。センパイがアンタの事睨んでた理由が分かるぜ。オムニバスかプランダラか……どっちでもあるしどっちでもないよ。どう見るかだ(はぐらかすように嗤いながら、自らが腰掛けていた巨大なミキサーのような機械を突く)白狐と黒狐……ああ、お誂え向きだ。アンタは目的のためにウソを使う。対して俺は……ウソそのものだ。ウソつき同士、仲良く共食いをしようぜ 」
浮世英寿「だろうな。だがここで待ち構えていたのが「俺」だとするなら、あまりにも出来過ぎている。意図的にそうなるように仕組んだのならあまり気味の良い話じゃねえ。わざわざ「そんなもの」まで用意していたんなら尚更な。(徐々にその目つきが狐目のように鋭さを帯び始めていく) 」
雪常「クク。大好きなんだよ、アンタみたいなのが。ここまで大掛かりなものは用意しなくても良かったんだが。まああった方がいいし……アンタには最高の舞台で踊って欲しくなったんだ 」
雪常「……ああ。それとも。アンタの言う「そんなもの」ってのは…… 」
雪常「 こ っ ち か な ? (取り出したるは、ヴィジョンドライバー。かつてギロリと月村が使った、ゲームマスター専用の変身ベルトにして、権限キー) 」
浮世英寿「――――― ! (常に余裕の表情を保つスターでさえ、黒狐が取り出したデバイスには流石に目を見張った)……『それ』は…っ……!(この幻影の巨塔において、ゲームマスターのみが持つことを許されるGM権限。それが、あの2人から奪ったであろう
セレディの手元すら離れて、目の前に佇む得体の知れない存在が手にしていることに驚愕を隠せなかった) 」
雪常「青ざめたな。 」
雪常「セレディの旦那も人が悪い。俺にこんなもの渡すなんて。いやでも、俺あんまこういうの使いたくねえんだよ。俺の
ハンサム顔が隠れちまうし。これで戦ったって自分の力で勝ったって気がしねえだろ? 」
浮世英寿「……確かに良い趣味はしてねえな、あんたの所のトップは。そいつはただの玩具じゃない。そう簡単に回されていい代物じゃないはずだ。そんなものを易々と手放したということは…やはり奴にとっては権限よりも『
エリノラ』本人だということか。 」
雪常「まーね。旦那はああ見えて無欲なんじゃないかね。目的さえ達成できれば後は、みたいな。んまあ、でも…… 」
雪常「俺のツラも力も別に『自分の』じゃあねえしィ、使っても変わんねえよなぁ!!!(そこまで言って、ヴィジョンドライバーを巻きつける)玩具じゃない。ああそうだな。玩具じゃあない……でも、『玩具』にしたらこんなに面白いもんもねーだろ!!! 」
浮世英寿「……!(やはりそう来たか、とここではじめてズサリと戦闘態勢にシフトする) 」
雪常「玩具にしちゃいけねえものほど玩具にしたら面白い!!携帯電話!!USBメモリ!!硬貨!!スイッチ!!指輪!!錠前!!子供は気軽に触っちゃいけないものにこそ惹かれるんだぜ旦那ァ!! 」
浮世英寿「……悪戯が過ぎるぞ―――― カ シ ャ ン ッ (そう言うと自身もデザイアドライバーを腰に装着する) 」
雪常「……IDコアとカードキーだってそうだろ?(\ GAZER, LOG IN /)えーーと、なんだったか……ああ、そうだ 」
雪常「 変身。 」
雪常 → 仮面ライダーゲイザー「\ INSTALL / \ INNOVATION AND CONTROL / \ GAZER /(わざとらしく腕をクロスさせる……『変身ポーズ』を取りながら、姿が、変わる。かつて月村が使ったゲイザーの姿……それでいて、彼の姿とは違う。内側から血走っているような赤いラインが、威圧的に英寿を睨みつけていた) 」
浮世英寿「(月村がかつて変身したゲイザーと瓜二つの姿に変身した黒狐に目を細める) \ SET / (そんな最中、傍らより取り出したマグナムバックルをドライバー右側へ装填) \ SET / (更にブーストバックルを左側へ装填する) 」
浮世英寿「 パ チ ィ ――――― 変 身 ―――― ン ッ 」
浮世英寿 → 仮面ライダーギーツ「 カチリ…バキュンッ ! ブォンッ、ブォォンッ ! ! (指を鳴らし、マグナムバックルのリボルバーを回転。トリガーを引き、ブーストバックルのハンドルを2回捻る) \ DUAL ON / \ GET READY FOR 「BOOST」 & 「MAGNUM」 / \ READY FIGHT / (狐仮面に黒スーツの素体へ変身した直後、白と赤の装甲がそれぞれ上・下半身に装着されることで、狐面の戦士・仮面ライダー「ギーツ」・マグナムブーストフォームへと変身を遂げた) 」
仮面ライダーゲイザー「カァモンカモンカモンカモン!!遊ぼうぜ!!但しィ……(何かを左腕にセットする。何かを差し込む複数のスロットがある装置。言うなれば、変身アイテムのような。)俺のルールでなァ!!ハハハハハ!!!!(取り出した二本のUSBメモリらしき何か。それを叩きつけるように一本ずつ、腕の装置に差し込んでいく) 」
仮面ライダーギーツ「……!(なんだ、あれは―――――) 」
仮面ライダーゲイザー「さあさあ皆さん!!感動のお時間です!!スロットワン!!『M125-CD25-15805-BLUE』!!(青いメモリを叩き込む。鳴り響く音声。悲鳴のようなコーラスが上がる)スロットツー!!『F425-CD25-19450-SEVEN』!!(白いメモリを叩き込む。鳴り響く音声。悲鳴のようなコーラスが上がる) 」
仮面ライダーゲイザー「レッツ、コンバイン(その二つのメモリの間を開くように展開。光が周囲を乱反射するようにきらめいて、彼が用意していた巨大ミキサーに吸い込まれると……) 」
ズ ズ ・ ・ ・(ミキサーの駆動音がして、少し。何かが這いずるように中から現れる。ああ、それは、なんということだろう) 」
無残なる異形「 ァ ァ…… ッあああ あ あ ッ!!!!(人だった。人ならざる化け物と呼ぶには、あまりにも、人の面影を残し過ぎた何か。異形。抱かれるような形の、細い腕を雑な縫合で背中から接がれ、玉座のような残骸を這いずりながら動く。髪質の違う白髪が混じって、歪な頭髪を形成し、縫い合わされた本来の両の目の代わりに、その近くに移植されたような赤と青のオッドアイで世界を見据える。素体が男なのか女なのかも推察できない、あまりにも雑に縫い合わされた何か。) 」
仮面ライダーゲイザー「余計なものも混ざっちゃったかな?ここに来るまで色々あったもんなあ。作ったばっかのメモリだし。まあ、いいや。『ドレッドミキサー』の調子はいい感じ 」
仮面ライダーギーツ「……っ…… お前も大概だな。やはり連中の考えることは理解できない。業の深いもんを生み出してくれたな…!(生み出された異形と、それを生み出した本体である『ミキサー』を見比べるようにマスク越しに鋭く睨みつける) 」
仮面ライダーゲイザー「ハッピーバースデイッ!!眼前の敵を薙ぎ払え、『眼天縫合・オリジンシン』!!!(心底嬉しそうに命じ、同時に名付ける。その全てを冒涜したような異形に向けて) 」
無残なる異形→眼天縫合・オリジンシン「 ッ ! (名付けられた異形は、自らを生み出したそれの命令を忠実に果たさんとする。両の目は、全てを見透かすようだ) 」
仮面ライダーギーツ「………こんなもんは、忘れるに限る…!全部終わらせてやるよ、盛大にな!(バキュン、バキュゥンッ――――!!)(手にしたマグナムシューター40Xを手繰り寄せ、射撃しながら異形との戦いに繰り出すのだった――――) 」
最終更新:2025年05月19日 00:34