オリオン
- 読み
- おりおん
- 綴り
- 登場
- Moira
- CV
- 井上麻里奈(子役)
- 意味
- 人名。『死と嘆きと風の都』に登場する奴隷の少年で、同じ奴隷仲間のエレフセウスとは友人同士。生き地獄のようなイリオンの作業場の中でも、軽口をとばして友を励まし、快活さを失っていなかった。
- 風神(アネモス)の神官を撲ちのめして、逃亡を余儀なくされたエレフセウス・アルテミシア兄妹を救う。その際、怪しげなの射撃術を披露して「これぞオリオン流弓術!」と少年らしく誇っているが、当時からその天才の鱗片を見せていたのだろう。
- しかし、神域で神官を傷つけた事が風神の逆鱗に触れたか、おそらく暴風のたぐいの神罰がくだされ、三人とも離ればなれになってしまった。
- :|双子とちがい、この後オリオンが描かれる物語は無いが、旅人に「アナトリアの武術大会の優勝者」「弓の名手オリオン」などと噂されており、無事立派な青年に育ったようである。
- なお、この噂では「“蝕まれし日の忌み児”として棄てられた王子様」だった、といわれている。
- 何処の国の王子様かは語られないが、①アルカディアの王子説、②アルカディア王の部下の子(入れ替え子)説、③アナトリアの王子説あたりが挙げられている。
- :|さらにこの後、名前こそ挙げられていないが、「アルカディア国王を射た」と解釈できる記述がある。『奴隷達の英雄』にある「傀儡と化した王・かつての勇者を射た星屑の矢」の部分がそれで、実際、通常版ジャケットに描かれている一人の射手が、王と思しき人物に矢を向けている。また、その背後に、蠍を思わせる男がおり、「其(星屑の矢)の射手を制したのは蠍の毒」と続く詩に連動しているようだ。
- ちなみに彼に「星屑の矢」を与えたのは、神域で自らの巫女(アルテミシア)を殺された星女神(アストラ)とある。おまけに「寵愛する勇者」とも記されており、オリオンはこのあたりで、神話になるような冒険をしでかしていたかもしれない。
- また考察の一つとして、同じ星女神の寵愛を受ける者同士、オリオンとアルテミシアは既に出逢っていたのでは、とする説もある。この場合、オリオンが王を狙う動機は、彼女の復讐になるだろう。
- :|その後、オリオンの足取りは途絶える。先述のように『奴隷達の英雄』で「蠍に制された」のであれば、おそらくスコルピオスによって斃されたのであろう。どういう経緯で彼がアルカディア王を射殺し、その後釜を狙う野心家の蠍によって殺されるかは定かでない。
- :|これから数年の後であろうが、東夷(バルバロイ)の威を借りてイリオンへ攻め寄せたエレフセウスは、「オリオン亡き今、奴らは雑魚に過ぎぬ」と敵方の弓兵を嘲笑している。この表現を素直に解釈すると、オリオンはアルカディア王国ないしアナトリア王国の弓兵隊を率い、敵軍を寄せ付けないほどの猛威を振るっていた、ということになる。
- (※もっとも、この嘲笑は敵方の将軍であるとする説もある。そうすると、逆にオリオンはエレフセウスと行動を共にしていたことになる)
- :|元ネタになっているのは、おそらくギリシャ神話の勇者オリオンであろう。豪放な若者で、弓の名手であり、幾多の女神と恋に落ち、最後は毒蠍に刺し殺されたとも、愛し合っていた女神アルテミスの銀の矢に誤射(諸説あり)されたとも言われている。