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【藤岡編】
千秋ちゃんと遊園地に行ってから一か月がたち、あれから変わったことが二つあった。
一つは南の事。最近、あの一年の男が南と仲良く話しているのを見ても、気にならなくなった。
二つ目は千秋ちゃん。あれから何回か南の家に行っているのだが、あの日以来オレのひざに座らなくなった。
一つは南の事。最近、あの一年の男が南と仲良く話しているのを見ても、気にならなくなった。
二つ目は千秋ちゃん。あれから何回か南の家に行っているのだが、あの日以来オレのひざに座らなくなった。
(ハァ…オレなんか嫌われることしたかなぁ……)
気がつくとオレは一日中千秋ちゃんの事を考えていた。
すると、ボーっとしているオレに南が話しかけてきた。
すると、ボーっとしているオレに南が話しかけてきた。
「おい、藤岡。お前最近なんか元気ないな?」
「ぇ? そうかな…」
「? まぁ別にどうでもいいけど、今日うちに夕飯食べにこないか?」
「それは嬉しいけど…先週も御馳走になったばかりなのにいいの?」
「いゃ、それが最近千秋の奴が『藤岡は来ないのか?』って毎日うるさいんだよ。」
「ぇ、そうなの?! も、もちろん行くよ!」
「???」
「ぇ? そうかな…」
「? まぁ別にどうでもいいけど、今日うちに夕飯食べにこないか?」
「それは嬉しいけど…先週も御馳走になったばかりなのにいいの?」
「いゃ、それが最近千秋の奴が『藤岡は来ないのか?』って毎日うるさいんだよ。」
「ぇ、そうなの?! も、もちろん行くよ!」
「???」
良かった…どうやら嫌われていなかったらしい。そして放課後オレは南の家に向かった。
すると帰り道に南からある話を持ちかけられた。
すると帰り道に南からある話を持ちかけられた。
「実はさぁ、千秋のやつサンタがいないって分かってから性格が捻くれたんだ。」
「へぇー…でも何で急にそんな話?」
「ばっかだなぁ、今日は何日だよ?」
「確か…12月24……あっ! クリスマスイブ!」
「そう! そして千秋の夢を取り戻すべく、藤岡! お前にはサンタになってもらう!!」
「へぇー…でも何で急にそんな話?」
「ばっかだなぁ、今日は何日だよ?」
「確か…12月24……あっ! クリスマスイブ!」
「そう! そして千秋の夢を取り戻すべく、藤岡! お前にはサンタになってもらう!!」
何も持っていなかったオレは、慌てて財布を取り出した。『350円…』
そう言えば昨日、新聞の集金が来て立て替えたんだった…。
そう言えば昨日、新聞の集金が来て立て替えたんだった…。
(ハァ……すっかり忘れていた……プレゼント…無しじゃまずいよなぁ…)
落ち込みながら財布をポケットにしまおうとした時、何かがヒラヒラと落ちた。
「? ……こ…これだ!!」
「??? きゅ…急にどうした藤岡?」
「え? あぁ、いや何でもない! さぁ急ごう!」
「?」
「??? きゅ…急にどうした藤岡?」
「え? あぁ、いや何でもない! さぁ急ごう!」
「?」
家に到着すると、千秋ちゃんやハルカさん達の友人も集まり、クリスマスパーティーの準備が整っていた。
後で南の友達も集まるらしく、部屋は大盛り上がりだ。
気がつくと、オレは真っ先に千秋ちゃんを探していた。
部屋の真ん中、テレビの正面の特等席に彼女は座っていた。
後で南の友達も集まるらしく、部屋は大盛り上がりだ。
気がつくと、オレは真っ先に千秋ちゃんを探していた。
部屋の真ん中、テレビの正面の特等席に彼女は座っていた。
「メ…メリークリスマス、千秋ちゃん。」
「…あぁ、いらっしゃい。…ここにでも座って待ってるといいよ。」
「…あぁ、いらっしゃい。…ここにでも座って待ってるといいよ。」
そう言うと彼女はハルカさんの手伝いがあると言って台所に消えてしまった。
…相変わらずご機嫌斜めな様子に、オレはまたため息をついてしまった。
…相変わらずご機嫌斜めな様子に、オレはまたため息をついてしまった。
【千秋編】
藤岡と遊園地に行って一か月がたった。
あの日以来、どうも恥ずかしくて藤岡が来るとギクシャクしてしまう。原因は二つ。
一つは、前までは当たり前に座っていた、私の特等席…そこに座るのも恥ずかしくなってしまった。
そしてもう一つはトウマだ。あいつは私の特等席をいとも簡単に奪い取り、藤岡と楽しそうにサッカーの話をしている。
あの日以来、どうも恥ずかしくて藤岡が来るとギクシャクしてしまう。原因は二つ。
一つは、前までは当たり前に座っていた、私の特等席…そこに座るのも恥ずかしくなってしまった。
そしてもう一つはトウマだ。あいつは私の特等席をいとも簡単に奪い取り、藤岡と楽しそうにサッカーの話をしている。
(藤岡も藤岡だ! いくらトウマを男と思ってるからって…私と言うものがありながら……)
別に付き合っている訳でもないのに千秋はそんな事を考え、一人で顔を赤くしていた。
そうこうする内にパーティーの時間は近づき、内田や吉野やトウマ、ハルカも友達を連れ家に帰ってきた。
そうこうする内にパーティーの時間は近づき、内田や吉野やトウマ、ハルカも友達を連れ家に帰ってきた。
「千秋ー、こっち来て準備手伝ってくれるー?」
「あ、はぃ。少し待っててください。ハルカ姉様」
(あら? 珍しいわねぇ、千秋があんなこと言うなんて。)
「あ、はぃ。少し待っててください。ハルカ姉様」
(あら? 珍しいわねぇ、千秋があんなこと言うなんて。)
いつもはすぐに手伝う千秋だが、今日はテレビの一番見える席に座ったままハルカを待たせていた。
千秋には心配事が一つあった。
千秋には心配事が一つあった。
(あのバカ野郎、ちゃんと藤岡を連れてくるだろうか……心配だ…。)
そわそわしながら藤岡を待つ千秋は、皆に何を話しかけられても適当にうなずいて藤岡を待っていた。
すると玄関からカナの声が聞こえた。
すると玄関からカナの声が聞こえた。
「たっだいまー!! おー、みんな揃ってるねぇ!」
「お…じゃまします。」
「お…じゃまします。」
千秋は藤岡がいるのを確認すると目を藤岡からそらした。
(ダメだ…どうも最近、藤岡を見ているだけで顔が赤くなってドキドキする……)
しかしそんな気持ちに気づかないのか、藤岡は私にまっすぐ近づいていた。
(ダメだ…どうも最近、藤岡を見ているだけで顔が赤くなってドキドキする……)
しかしそんな気持ちに気づかないのか、藤岡は私にまっすぐ近づいていた。
「メ…メリークリスマス、千秋ちゃん。」
「…あぁ、いらっしゃい。…ここにでも座って待ってるといいよ。」
「…あぁ、いらっしゃい。…ここにでも座って待ってるといいよ。」
(あぁ…最悪なくらい無愛想に返事してしまった……)
千秋はいたたまれなくなり、台所のハルカの元に逃げるように走った。
(はぁ…せっかく一番良い席を藤岡の為にとってたのに…なんであんな言い方しちゃったんだろ…)
そう思いながら千秋はパーティーの準備を手伝っていた。
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