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ハルカが自分の気持ちに気づいてから2週間近くが経った。
あれからは何も問題はなく、ハルカも藤岡もいつも通りに日常を過ごしている。
そのはずではあるが、ハルカには変化があった。藤岡が遊びに来ると藤岡に視線を送ることが多くなり、チアキやトウマが藤岡に懐いているのを見ると2人を羨ましく思ってしまう。
また、藤岡がカナと一緒にいるのを見ると切なくなる。元々藤岡はカナにラブレターを送った人物なのだ。
当時はチアキのせいで何事も起こらなかったし、今でもカナのことが好きなのかは確信できないが、その可能性は十分あり、ましてや自分の方を向いているなどとは思えなかった。
あれからは何も問題はなく、ハルカも藤岡もいつも通りに日常を過ごしている。
そのはずではあるが、ハルカには変化があった。藤岡が遊びに来ると藤岡に視線を送ることが多くなり、チアキやトウマが藤岡に懐いているのを見ると2人を羨ましく思ってしまう。
また、藤岡がカナと一緒にいるのを見ると切なくなる。元々藤岡はカナにラブレターを送った人物なのだ。
当時はチアキのせいで何事も起こらなかったし、今でもカナのことが好きなのかは確信できないが、その可能性は十分あり、ましてや自分の方を向いているなどとは思えなかった。
「ふぅ…。」
買い物の帰り道、ハルカはため息をつく。自分の想いをはっきり伝えたいとは思っているが、やはり断られることに対する恐怖が大きい。
それを抜きにしても、藤岡は大抵誰かと一緒にいるので、2人きりになる機会がない。
「あ、ハルカさん、こんにちは。」
自分を悩ます張本人と出会った。内心では驚きつつも、平静を保つことに専念する。
「あら、藤岡君。こんにちは。」
ほんの少し間があったが、藤岡には不自然に思われずに済んだ。
だが、これは思ってもいないチャンスかもしれない。
「買い物の帰りですか?」
「うん、そうなの。藤岡君は学校の帰りってわけじゃないわよね? 制服じゃないし。」
「はい、ちょっと散歩を。それにしても、凄い量ですね。良ければ持ちますよ?」
藤岡の方からチャンスを大きくしてくれた。ハルカにとっては願ってもないことだ。
「あはは、食材切らしちゃって、その分いっぱい買い込んだの。せっかくだし、お願いしちゃおうかしら?」
「はい。じゃあこっちの重そうなの2つ持ちますね。」
「ありがとう。 そうだ! お礼もしたいから、今日晩御飯食べていかない?」
「え? いいんですか? ありがとうございます!」
「いいのよ、藤岡君が来てくれるとチアキも喜んでくれるし。」
上手く家に招くことはできたが、ここで自分も嬉しいことを口には出せなかったことが口惜しい。
また、帰り道藤岡に打ち明ける勇気も出なかった。藤岡とこうして出会ったのは偶然なのだ。
腹を決める時間もなしに、いきなり告白できるほどハルカは強い心を持っていなかった。
しかし、恐いからと言って、このチャンスを逃すわけにもいかない。
「…ねぇ、藤岡君。」
今ここで告白できる勇気はない。話を切りがいい所で切り上げ、時間を稼ぐ作戦に出た。
「何ですか?」
「今日、泊まっていってくれない? 2人で話したいことがあるの…。」
幸いなことに他に客が来る予定はない。
「え? ならここで…。」
「お願い…。」
ただならぬハルカの様子に、藤岡は断ることができなくなった。
「…えぇと、わかりました。」
「……ありがとう。」
今はまだ怖い。覚悟を決める時間が欲しい。そんな必死な思いでいっぱいだった。
藤岡はハルカの妙な雰囲気に飲まれてしまい、2人はその後無言で南家へと向かった。
買い物の帰り道、ハルカはため息をつく。自分の想いをはっきり伝えたいとは思っているが、やはり断られることに対する恐怖が大きい。
それを抜きにしても、藤岡は大抵誰かと一緒にいるので、2人きりになる機会がない。
「あ、ハルカさん、こんにちは。」
自分を悩ます張本人と出会った。内心では驚きつつも、平静を保つことに専念する。
「あら、藤岡君。こんにちは。」
ほんの少し間があったが、藤岡には不自然に思われずに済んだ。
だが、これは思ってもいないチャンスかもしれない。
「買い物の帰りですか?」
「うん、そうなの。藤岡君は学校の帰りってわけじゃないわよね? 制服じゃないし。」
「はい、ちょっと散歩を。それにしても、凄い量ですね。良ければ持ちますよ?」
藤岡の方からチャンスを大きくしてくれた。ハルカにとっては願ってもないことだ。
「あはは、食材切らしちゃって、その分いっぱい買い込んだの。せっかくだし、お願いしちゃおうかしら?」
「はい。じゃあこっちの重そうなの2つ持ちますね。」
「ありがとう。 そうだ! お礼もしたいから、今日晩御飯食べていかない?」
「え? いいんですか? ありがとうございます!」
「いいのよ、藤岡君が来てくれるとチアキも喜んでくれるし。」
上手く家に招くことはできたが、ここで自分も嬉しいことを口には出せなかったことが口惜しい。
また、帰り道藤岡に打ち明ける勇気も出なかった。藤岡とこうして出会ったのは偶然なのだ。
腹を決める時間もなしに、いきなり告白できるほどハルカは強い心を持っていなかった。
しかし、恐いからと言って、このチャンスを逃すわけにもいかない。
「…ねぇ、藤岡君。」
今ここで告白できる勇気はない。話を切りがいい所で切り上げ、時間を稼ぐ作戦に出た。
「何ですか?」
「今日、泊まっていってくれない? 2人で話したいことがあるの…。」
幸いなことに他に客が来る予定はない。
「え? ならここで…。」
「お願い…。」
ただならぬハルカの様子に、藤岡は断ることができなくなった。
「…えぇと、わかりました。」
「……ありがとう。」
今はまだ怖い。覚悟を決める時間が欲しい。そんな必死な思いでいっぱいだった。
藤岡はハルカの妙な雰囲気に飲まれてしまい、2人はその後無言で南家へと向かった。
「お邪魔します。」
「あれ? 藤岡じゃないか。どうしたんだ、お前?」
「あのね…。」
カナとチアキには、藤岡は今日家族がいなくて家で1人だったらしいので、ならば藤岡に自分達の家で泊まっていったらどうだと勧め、連れて来たと誤魔化しておいた。
2人は断る理由がなかったし、チアキに至ってはむしろ歓迎し、藤岡が泊まることを拒まなかった。
後に藤岡は2人の目を盗み、電話を借りて、両親に「友達の家に泊まることになった」と伝えておいた。
「あれ? 藤岡じゃないか。どうしたんだ、お前?」
「あのね…。」
カナとチアキには、藤岡は今日家族がいなくて家で1人だったらしいので、ならば藤岡に自分達の家で泊まっていったらどうだと勧め、連れて来たと誤魔化しておいた。
2人は断る理由がなかったし、チアキに至ってはむしろ歓迎し、藤岡が泊まることを拒まなかった。
後に藤岡は2人の目を盗み、電話を借りて、両親に「友達の家に泊まることになった」と伝えておいた。
「それじゃあ、晩御飯作るから待っててね。」
ハルカがそう言って台所へ姿を消したのを確認すると、カナは藤岡に声をかけてきた。
「おい、藤岡。来る途中、何かハルカに変わったことはなかったか?」
「え!? な、何で?」
ハルカは「『2人で』話したいことがある」と言っていた。
おそらく来る途中のことは喋って欲しくないのだろうと気を利かせ、伏せておいた。
「実はさ、風邪が治ってからもハルカの様子がおかしいんだよ。最初は風邪のせいだと思ってたんだけど。」
「そうなの?」
「ああ、何か考え事をするようになったのか、よくボーッとすることが多いんだ。」
(考え事? まさか…。)
泊めてもらった時のことを思い出し、青ざめてしまう。今まで忘れかけていた自分の愚かさを呪う。
「どうしたんだ? 藤岡。」
「え? いや、何でもないよ!」
先程から藤岡の膝に座っているチアキが少し心配そうに聞いてきた。
だが、カナは藤岡の様子を逃そうとしなかった。
「お前! 何か知ってるな?」
「い、嫌だなぁ、そんなことないよ!」
「そうだぞ、カナ。何で藤岡が知っていると言うんだ?」
「うっ! それもそうだな…。」
チアキの横槍のおかげで、何とか事が表向きにならずに済んだ。
それからは他愛のない話になり、ハルカが晩御飯を持って来るまで待った。
ハルカがそう言って台所へ姿を消したのを確認すると、カナは藤岡に声をかけてきた。
「おい、藤岡。来る途中、何かハルカに変わったことはなかったか?」
「え!? な、何で?」
ハルカは「『2人で』話したいことがある」と言っていた。
おそらく来る途中のことは喋って欲しくないのだろうと気を利かせ、伏せておいた。
「実はさ、風邪が治ってからもハルカの様子がおかしいんだよ。最初は風邪のせいだと思ってたんだけど。」
「そうなの?」
「ああ、何か考え事をするようになったのか、よくボーッとすることが多いんだ。」
(考え事? まさか…。)
泊めてもらった時のことを思い出し、青ざめてしまう。今まで忘れかけていた自分の愚かさを呪う。
「どうしたんだ? 藤岡。」
「え? いや、何でもないよ!」
先程から藤岡の膝に座っているチアキが少し心配そうに聞いてきた。
だが、カナは藤岡の様子を逃そうとしなかった。
「お前! 何か知ってるな?」
「い、嫌だなぁ、そんなことないよ!」
「そうだぞ、カナ。何で藤岡が知っていると言うんだ?」
「うっ! それもそうだな…。」
チアキの横槍のおかげで、何とか事が表向きにならずに済んだ。
それからは他愛のない話になり、ハルカが晩御飯を持って来るまで待った。
「で、コイツをどこで寝かすんだ? 前と同じか?」
そろそろ寝る頃かという時にカナが質問してきた。
「そうね、そうしてもらいましょう。藤岡君もチアキもそれでいい?」
「は、はい。」
「わかりました、ハルカ姉さま。」
ハルカを慕っているチアキは一緒に寝ることができるのを素直に喜び、2人になる機会を窺っていたハルカにとっても都合の良い提案だ。
来る途中に2人で話すと約束をした手前、藤岡は断るわけにもいかない。
これはハルカが自分と2人になるように仕向けたこととわかったからだ。
以前のように藤岡はハルカの部屋を使い、ハルカはチアキの部屋で寝かせてもらうことが決まった。
そろそろ寝る頃かという時にカナが質問してきた。
「そうね、そうしてもらいましょう。藤岡君もチアキもそれでいい?」
「は、はい。」
「わかりました、ハルカ姉さま。」
ハルカを慕っているチアキは一緒に寝ることができるのを素直に喜び、2人になる機会を窺っていたハルカにとっても都合の良い提案だ。
来る途中に2人で話すと約束をした手前、藤岡は断るわけにもいかない。
これはハルカが自分と2人になるように仕向けたこととわかったからだ。
以前のように藤岡はハルカの部屋を使い、ハルカはチアキの部屋で寝かせてもらうことが決まった。
それから、しばらく時間をおき、チアキが寝るのを待つ。しかし、ただ待つだけではない。
自分に勇気を与える時間でもある。自分がこれから行うことに思いを巡らす。
あの時は偶然が重なった結果だったが、今度は違う。偶然は全くない。ちゃんとした自分の意志で行うのだ。
腹を括った後、チアキの様子を見る。眠っているようだ。それは決行の合図でもある。
チアキが眠っていることを確認すると、藤岡がいる自分の部屋へと向かった。
自分に勇気を与える時間でもある。自分がこれから行うことに思いを巡らす。
あの時は偶然が重なった結果だったが、今度は違う。偶然は全くない。ちゃんとした自分の意志で行うのだ。
腹を括った後、チアキの様子を見る。眠っているようだ。それは決行の合図でもある。
チアキが眠っていることを確認すると、藤岡がいる自分の部屋へと向かった。
コンッコンッ
「はい、どうぞ。」
藤岡もちゃんと起きていてくれていた。これでもう後には引けない。
「ごめんなさいね、こんな遅くに。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
自分の部屋に入ると、藤岡がベッドに腰掛けているのを確認できた。
藤岡を見るだけでドキドキしてしまう。覚悟を決めたはずなのに、どうしても恐れを拭えなかった。
しかし、それでも何とか足を動かし、藤岡の隣に座った。
「それで、話って何ですか?」
ハルカが座るのを確認すると、藤岡は本題に入ってきた。
「……えっと、…そのぉ。」
やはり実際に本人を前に話そうとすると緊張する。中々切り出せない。
「…その、もしかして、…この前オレが泊まった時のと関係ありますか?」
「この前、………あっ!」
ハルカが中々切り出せないでいると、藤岡から話を出してきた。
確かに関係ないわけではないが、その話を持ってこられて、ますます萎縮してしまう。
「あの時は本当にすみませんでした!」
ハルカの方を向き、藤岡が土下座をしてきた。
「い、いいのよ! あの時は私が悪かったんだし! それにそれとはまた話は別なの!」
顔を赤くしながらも、何とか藤岡をなだめようとする。
「え!? 違うんですか?」
「う、うん。まぁ、その…、全く関係ないわけではないけど…。」
藤岡は少し意外に思った。自分が思い当たるのはそのぐらいしかなかったからだ。
(…じゃあ、南達は何を心配しているんだ?)
考えても他に見当がつかない。
「何か困ったことでもあるんですか? それだったらオレ、相談に乗りますよ?
南やチアキちゃんも最近様子がおかしいって心配してましたし。」
「…カナやチアキ、か…。」
藤岡が妹達を話に出してきたことで、ハルカは急に暗い顔をした。
「藤岡君はさ、いつもカナやチアキの相手をしてくれるよね。
私も妹達のことは大好きだし、そうしてくれるのは嬉しいの。私に対しても優しいし、
この前お見舞いに来てくれた時なんか本当に嬉しかった。だけど…。」
ハルカはゆっくりと藤岡の胸に寄りかかってきた。
反射的に受け止めるが、突然のことで藤岡はうろたえてしまった。
藤岡もちゃんと起きていてくれていた。これでもう後には引けない。
「ごめんなさいね、こんな遅くに。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
自分の部屋に入ると、藤岡がベッドに腰掛けているのを確認できた。
藤岡を見るだけでドキドキしてしまう。覚悟を決めたはずなのに、どうしても恐れを拭えなかった。
しかし、それでも何とか足を動かし、藤岡の隣に座った。
「それで、話って何ですか?」
ハルカが座るのを確認すると、藤岡は本題に入ってきた。
「……えっと、…そのぉ。」
やはり実際に本人を前に話そうとすると緊張する。中々切り出せない。
「…その、もしかして、…この前オレが泊まった時のと関係ありますか?」
「この前、………あっ!」
ハルカが中々切り出せないでいると、藤岡から話を出してきた。
確かに関係ないわけではないが、その話を持ってこられて、ますます萎縮してしまう。
「あの時は本当にすみませんでした!」
ハルカの方を向き、藤岡が土下座をしてきた。
「い、いいのよ! あの時は私が悪かったんだし! それにそれとはまた話は別なの!」
顔を赤くしながらも、何とか藤岡をなだめようとする。
「え!? 違うんですか?」
「う、うん。まぁ、その…、全く関係ないわけではないけど…。」
藤岡は少し意外に思った。自分が思い当たるのはそのぐらいしかなかったからだ。
(…じゃあ、南達は何を心配しているんだ?)
考えても他に見当がつかない。
「何か困ったことでもあるんですか? それだったらオレ、相談に乗りますよ?
南やチアキちゃんも最近様子がおかしいって心配してましたし。」
「…カナやチアキ、か…。」
藤岡が妹達を話に出してきたことで、ハルカは急に暗い顔をした。
「藤岡君はさ、いつもカナやチアキの相手をしてくれるよね。
私も妹達のことは大好きだし、そうしてくれるのは嬉しいの。私に対しても優しいし、
この前お見舞いに来てくれた時なんか本当に嬉しかった。だけど…。」
ハルカはゆっくりと藤岡の胸に寄りかかってきた。
反射的に受け止めるが、突然のことで藤岡はうろたえてしまった。
「ハ、ハルカさん!?」
「だけど、それはあの子達に対してとは違うって思っちゃうの。
私、藤岡君よりも年上だけど、それでも風邪を引いちゃった時みたいに
甘えさせて欲しいって思うときがあるというか…。」
それで藤岡にも少しわかった。ハルカはずっと妹達の面倒をみてきた。
家庭の事情はよくわからないが、長い間自分を省みず、妹達の世話をし続けてきたのだろう。
こういった弱音を普段抑えていたとしても、おかしくはないと思った。
「…続けてください。」
ハルカの頭を優しく撫でる。それが今藤岡にできる精一杯である。
「…ありがとう。」
ハルカも満更でもない様子で、一旦顔を見上げ、微笑んできた。
不覚にも、そのハルカの笑顔に思わず見とれてしまった。
「でも、どう言えばいいのかな? あの子達と同じようにして欲しいといえば、ちょっと違うし…。
……うぅん、ちゃんと言うべきことはわかってるの…。」
ようやく決心がついたのか、ハルカは藤岡から離れ、真剣な顔で藤岡を見た。
「散々勿体つけてごめんなさい。用件を言うね。」
少し間をおく。しかし、今度は踏みとどまらない。しっかりと、その言葉を口にした。
「私は、藤岡君のことが好きなの。」
「だけど、それはあの子達に対してとは違うって思っちゃうの。
私、藤岡君よりも年上だけど、それでも風邪を引いちゃった時みたいに
甘えさせて欲しいって思うときがあるというか…。」
それで藤岡にも少しわかった。ハルカはずっと妹達の面倒をみてきた。
家庭の事情はよくわからないが、長い間自分を省みず、妹達の世話をし続けてきたのだろう。
こういった弱音を普段抑えていたとしても、おかしくはないと思った。
「…続けてください。」
ハルカの頭を優しく撫でる。それが今藤岡にできる精一杯である。
「…ありがとう。」
ハルカも満更でもない様子で、一旦顔を見上げ、微笑んできた。
不覚にも、そのハルカの笑顔に思わず見とれてしまった。
「でも、どう言えばいいのかな? あの子達と同じようにして欲しいといえば、ちょっと違うし…。
……うぅん、ちゃんと言うべきことはわかってるの…。」
ようやく決心がついたのか、ハルカは藤岡から離れ、真剣な顔で藤岡を見た。
「散々勿体つけてごめんなさい。用件を言うね。」
少し間をおく。しかし、今度は踏みとどまらない。しっかりと、その言葉を口にした。
「私は、藤岡君のことが好きなの。」
藤岡は驚きのあまり固まってしまった。自分の耳がおかしくなったのではと疑ったぐらいだ。
お互いベッドの上で正座したまま、ほとんど動かない。
「…えっと、藤岡君?」
固まったままの藤岡を不安そうに見る。藤岡も声をかけられたことで我に帰る。
「…すみません、ちょっと戸惑っちゃって。告白されるなんて思ってもいなかったから…。」
「そうなの? 藤岡君なら、そういうことあるんじゃないかと思ってたんだけど…。」
良くも悪くも、カナ一筋な藤岡は自分がどれだけモテているかなど考えたことすらない。
そう、藤岡にはカナへの想いがある。だから、ハルカの想いには応えられない。
(そうだ、ここでハッキリと断るべきだ! 変に期待をさせちゃハルカさんにも悪い。)
しかし、何故かそれを言葉に出すことができなかった。
バレンタインの時だって、カナ以外からのチョコは受け取らなかったというのに。
藤岡が考え込んでいると、ハルカが口を挟んできた。
「…藤岡君は私のこと、どう思ってるの? 教えて?」
「…オレが、ハルカさんをどう思っているか…。」
ハルカが返事を催促してきたことで、藤岡は自分の思いを振り返ってみた。
考えてみれば、今まではカナに夢中で周りをよく見ていなかった。
ハルカの見舞いに行った日、少しだけ考えたことは考えたものの、あの時は明確な答えが出なかった。
お互いベッドの上で正座したまま、ほとんど動かない。
「…えっと、藤岡君?」
固まったままの藤岡を不安そうに見る。藤岡も声をかけられたことで我に帰る。
「…すみません、ちょっと戸惑っちゃって。告白されるなんて思ってもいなかったから…。」
「そうなの? 藤岡君なら、そういうことあるんじゃないかと思ってたんだけど…。」
良くも悪くも、カナ一筋な藤岡は自分がどれだけモテているかなど考えたことすらない。
そう、藤岡にはカナへの想いがある。だから、ハルカの想いには応えられない。
(そうだ、ここでハッキリと断るべきだ! 変に期待をさせちゃハルカさんにも悪い。)
しかし、何故かそれを言葉に出すことができなかった。
バレンタインの時だって、カナ以外からのチョコは受け取らなかったというのに。
藤岡が考え込んでいると、ハルカが口を挟んできた。
「…藤岡君は私のこと、どう思ってるの? 教えて?」
「…オレが、ハルカさんをどう思っているか…。」
ハルカが返事を催促してきたことで、藤岡は自分の思いを振り返ってみた。
考えてみれば、今まではカナに夢中で周りをよく見ていなかった。
ハルカの見舞いに行った日、少しだけ考えたことは考えたものの、あの時は明確な答えが出なかった。
自分がハルカをどう思っているか。
ハルカは妹思いの優しいお姉さん、そして家庭的で妹達の母親代わりも務めるしっかり者。
ハルカに対する印象はその程度のことだったはずだ。しかし…
ハルカは妹思いの優しいお姉さん、そして家庭的で妹達の母親代わりも務めるしっかり者。
ハルカに対する印象はその程度のことだったはずだ。しかし…
『…お父さん。』
以前泊まった時の甘えたようなハルカの寝言、その時の寝顔が頭に浮かんだ。
自分よりは年上だが、ハルカだって人の子であり、まだ未成年だ。あんなふうに誰かに甘えても良いはずである。
思えば、あの時から自分の中でハルカの存在が大きくなったのかもしれない。
自分よりは年上だが、ハルカだって人の子であり、まだ未成年だ。あんなふうに誰かに甘えても良いはずである。
思えば、あの時から自分の中でハルカの存在が大きくなったのかもしれない。
ハルカの見舞いに行った日の帰りにトウマに指摘されたことを思い出す。
ハルカが笑った時自分も笑っていた、ハルカだけに見せた笑顔だったと言っていた。
あの時点で既にハルカはカナよりも大きな存在になっていたのだ。
(そうか、オレはハルカさんのあの笑顔が見たかったんだ…。違う、これからも見続けていきたいんだ!)
ハルカが笑った時自分も笑っていた、ハルカだけに見せた笑顔だったと言っていた。
あの時点で既にハルカはカナよりも大きな存在になっていたのだ。
(そうか、オレはハルカさんのあの笑顔が見たかったんだ…。違う、これからも見続けていきたいんだ!)
自分の中で結論を見出すと、ジッとハルカの方を見つめ直し、ハルカの両肩に手を乗せた。
今まで見たことがない藤岡の表情にハルカの胸は高まった。
「ハルカさん、オレ、あなたのことが好きです!」
カナへの告白よりもずっと力強く、はっきりと口にした。
「…え?」
まさか、自分の告白が受け入れられるとは思わなかった。
藤岡の返事を聞いた途端、思わず口に両手を当て、涙が出てきた。
「それじゃあ…。」
「オレと、…付き合ってもらえますか?」
再び藤岡の胸へと飛び込む。藤岡も今度はそれをしっかりと受け止めた。
「うん…。」
ハルカもちゃんと答えようとしたが、嬉しさのあまり口が上手く動かなく、小さな涙声しか出なかった。
しかし、それとは反対に藤岡の背に回した腕の力はとても強いものだった。
しばらく時間が経つと、2人はお互いの顔を見つめ合うと、互いの唇を静かに重ね合った。
今まで見たことがない藤岡の表情にハルカの胸は高まった。
「ハルカさん、オレ、あなたのことが好きです!」
カナへの告白よりもずっと力強く、はっきりと口にした。
「…え?」
まさか、自分の告白が受け入れられるとは思わなかった。
藤岡の返事を聞いた途端、思わず口に両手を当て、涙が出てきた。
「それじゃあ…。」
「オレと、…付き合ってもらえますか?」
再び藤岡の胸へと飛び込む。藤岡も今度はそれをしっかりと受け止めた。
「うん…。」
ハルカもちゃんと答えようとしたが、嬉しさのあまり口が上手く動かなく、小さな涙声しか出なかった。
しかし、それとは反対に藤岡の背に回した腕の力はとても強いものだった。
しばらく時間が経つと、2人はお互いの顔を見つめ合うと、互いの唇を静かに重ね合った。
部屋が静寂に包まれて間もなく、ハルカは積極的に藤岡の口に舌を入れ始めた。
藤岡が奥手なハルカの思いがけない行動に戸惑っているのをよそに、ハルカの舌は藤岡の口の中を隅々まで動き回る。
藤岡の舌を感知すると、お互いの舌と舌を積極的に絡め合わせようとする。
「…んっ。」
口を離しても、お互いの口はまだ粘液の糸で繋がっていた。
「藤岡君…。」
恍惚とした顔を浮かべ、ハルカは藤岡をじっと見る。
「ハルカさん…、いいんですね?」
鈍い藤岡でもハルカが今何を要求しているかはわかる。
ハルカが無言で頷くのを確認すると、優しくハルカを押し倒した。
藤岡が奥手なハルカの思いがけない行動に戸惑っているのをよそに、ハルカの舌は藤岡の口の中を隅々まで動き回る。
藤岡の舌を感知すると、お互いの舌と舌を積極的に絡め合わせようとする。
「…んっ。」
口を離しても、お互いの口はまだ粘液の糸で繋がっていた。
「藤岡君…。」
恍惚とした顔を浮かべ、ハルカは藤岡をじっと見る。
「ハルカさん…、いいんですね?」
鈍い藤岡でもハルカが今何を要求しているかはわかる。
ハルカが無言で頷くのを確認すると、優しくハルカを押し倒した。
上着をたくし上げ、胸を露出させる。ブラジャー越しにハルカの胸に手を添え、揉み始めた。
「ん…!」
その程度のことでも、この手の刺激には慣れていないのか、わずかばかりの反応を見せる。
藤岡も少しずつ力を入れ、刺激を強くする。
「ん…!」
その程度のことでも、この手の刺激には慣れていないのか、わずかばかりの反応を見せる。
藤岡も少しずつ力を入れ、刺激を強くする。
「藤岡君…、もっと……、直に触ってぇ…。」
背中を若干浮かせながら反らし、ブラジャーを取るように催促する。
藤岡は催促に従い、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外し、ハルカの乳房を露にした。
自分からそうするように促したものの、やはり直に見られるのは恥ずかしいのか、ハルカは顔を両手で隠す。
「綺麗ですよ、ハルカさん。」
ハルカの両手をどかし、ハルカの表情を窺う。
顔を見られたからか、藤岡の言葉に反応したのかは定かではないが、ハルカの顔がより赤くなる。
その仕草を可愛く思い、藤岡は再びハルカの唇に口を付けた。
ハルカも藤岡の首に腕を回し、口付けに懸命に応える。
唇を貪りながらも、胸への愛撫を少しずつ激しいものにする。
胸と唇を同時に責められ、ハルカの快感は高まっていく。
「!! んん!」
今度は下半身の方へと藤岡の手が伸びる。しかも、今度は一気に下着の中に滑り込ませ、大胆に責めてくる。
責められる所が3ヶ所に増え、ハルカは絶頂に近づく。
「ん、……ぷはぁっ! ま、待って!」
唇を離し、下半身を責めている方の手を止め、一度中断させる。
背中を若干浮かせながら反らし、ブラジャーを取るように催促する。
藤岡は催促に従い、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外し、ハルカの乳房を露にした。
自分からそうするように促したものの、やはり直に見られるのは恥ずかしいのか、ハルカは顔を両手で隠す。
「綺麗ですよ、ハルカさん。」
ハルカの両手をどかし、ハルカの表情を窺う。
顔を見られたからか、藤岡の言葉に反応したのかは定かではないが、ハルカの顔がより赤くなる。
その仕草を可愛く思い、藤岡は再びハルカの唇に口を付けた。
ハルカも藤岡の首に腕を回し、口付けに懸命に応える。
唇を貪りながらも、胸への愛撫を少しずつ激しいものにする。
胸と唇を同時に責められ、ハルカの快感は高まっていく。
「!! んん!」
今度は下半身の方へと藤岡の手が伸びる。しかも、今度は一気に下着の中に滑り込ませ、大胆に責めてくる。
責められる所が3ヶ所に増え、ハルカは絶頂に近づく。
「ん、……ぷはぁっ! ま、待って!」
唇を離し、下半身を責めている方の手を止め、一度中断させる。
「どうしたんですか?」
「ごめんなさい…、けど藤岡君が凄いから、その、驚いちゃって…。」
実際自分が一方的に責められていることに恥ずかしさを覚えていた。
「あ、あの、この前は自分だけ気持ちよくなってたから、
ハルカさんにも気持ちよくなってもらいたいなぁと思いまして、つい…。」
自分の行動の激しさを指摘されて、藤岡も顔を赤くしてしまった。
そんな藤岡の様子に思わず笑ってしまったが、藤岡なりの気遣いを嬉しく思った。
「ありがとう。でも、どうせならこれで気持ちよくなりたいな…。」
藤岡の股間にそっと触れる。そこにあるものは既に硬くなっている。
「…その、大丈夫ですか? 無理しなくてもいいんですよ?」
「大丈夫、私、したい…。だから、お願い…。」
そこまで言われてしまえば、引くわけにもいかない。
ハルカの寝巻きと下着を丁寧に脱がし、自分も下半身を曝け出した。
「きて…。」
ハルカは風呂場の時とは凄い違いだと、自分をおかしく思った。
ただ今考えると、あの時思い止まったのは恐怖ではなく、藤岡にちゃんと処女を捧げたかったからかもしれない。
「それじゃ、いきます…。」
少しずつ肉棒がハルカの中へと入っていく。藤岡は慎重に奥へ入れていったつもりなのだが、処女膜はあっけなく破れ、ハルカに痛みをもたらす。
「痛!!」
「! ハルカさん! 大丈夫ですか!?」
見ると股間から血が出ていて痛々しい。藤岡が慌てて引き抜こうとすると、ハルカの脚が藤岡の腰に回り、それを妨害してきた。
「ごめんなさい…、けど藤岡君が凄いから、その、驚いちゃって…。」
実際自分が一方的に責められていることに恥ずかしさを覚えていた。
「あ、あの、この前は自分だけ気持ちよくなってたから、
ハルカさんにも気持ちよくなってもらいたいなぁと思いまして、つい…。」
自分の行動の激しさを指摘されて、藤岡も顔を赤くしてしまった。
そんな藤岡の様子に思わず笑ってしまったが、藤岡なりの気遣いを嬉しく思った。
「ありがとう。でも、どうせならこれで気持ちよくなりたいな…。」
藤岡の股間にそっと触れる。そこにあるものは既に硬くなっている。
「…その、大丈夫ですか? 無理しなくてもいいんですよ?」
「大丈夫、私、したい…。だから、お願い…。」
そこまで言われてしまえば、引くわけにもいかない。
ハルカの寝巻きと下着を丁寧に脱がし、自分も下半身を曝け出した。
「きて…。」
ハルカは風呂場の時とは凄い違いだと、自分をおかしく思った。
ただ今考えると、あの時思い止まったのは恐怖ではなく、藤岡にちゃんと処女を捧げたかったからかもしれない。
「それじゃ、いきます…。」
少しずつ肉棒がハルカの中へと入っていく。藤岡は慎重に奥へ入れていったつもりなのだが、処女膜はあっけなく破れ、ハルカに痛みをもたらす。
「痛!!」
「! ハルカさん! 大丈夫ですか!?」
見ると股間から血が出ていて痛々しい。藤岡が慌てて引き抜こうとすると、ハルカの脚が藤岡の腰に回り、それを妨害してきた。
「…大丈夫、すぐに痛みはなくなると思うから。」
「けど…!」
「ありがとう、気にしてくれて。でも、続けて?」
痛いはずなのに笑顔を絶やそうとしないハルカに心打たれた。
ハルカにできるだけ負担をかけないようにと、ゆっくりと腰を動かした。
「…!!」
藤岡は気持ちいいが、ハルカの方はまだ痛みが残っているらしく、時々快感ではなく、痛みに耐えるような声を上げる。
痛みを紛らわせようと、ハルカの唇を自分の唇で愛撫する。
「んふっ!」
痛みよりも快感が上回ったのか、痛みに耐える仕草はなくなってきた。
藤岡も安心して、少しずつ腰の動きを早くしていく。
「あっ ……やぁ、アァッ…!」
ハルカも少しずつ気持ちよさを感じるようになり、快感に喘ぐ声を出し始めた。
このままいけば、やがてハルカも絶頂に達するだろう。
しかし、それまで藤岡の方が持ちそうになかった。
「ハ、ハルカさん! オレ、もう!」
「お願い! このまま出して!」
ハルカの了承を合図に、藤岡はハルカの中に思いっきり射精した。
手でされた時も気持ちよかったが、今回はそれ以上だ。以前よりも長く射精が続く。
まだ抜いていないが、射精した時の快感から、相当出しただろうと確信が持てた。
余韻に浸り、抜こうとすると、再びハルカが藤岡の腰に脚を回してきた。
「………え?」
「ごめんなさい。でも私、まだ満足してなくて…。」
藤岡の返事を待たずに、腰を動かし始めた。
「けど…!」
「ありがとう、気にしてくれて。でも、続けて?」
痛いはずなのに笑顔を絶やそうとしないハルカに心打たれた。
ハルカにできるだけ負担をかけないようにと、ゆっくりと腰を動かした。
「…!!」
藤岡は気持ちいいが、ハルカの方はまだ痛みが残っているらしく、時々快感ではなく、痛みに耐えるような声を上げる。
痛みを紛らわせようと、ハルカの唇を自分の唇で愛撫する。
「んふっ!」
痛みよりも快感が上回ったのか、痛みに耐える仕草はなくなってきた。
藤岡も安心して、少しずつ腰の動きを早くしていく。
「あっ ……やぁ、アァッ…!」
ハルカも少しずつ気持ちよさを感じるようになり、快感に喘ぐ声を出し始めた。
このままいけば、やがてハルカも絶頂に達するだろう。
しかし、それまで藤岡の方が持ちそうになかった。
「ハ、ハルカさん! オレ、もう!」
「お願い! このまま出して!」
ハルカの了承を合図に、藤岡はハルカの中に思いっきり射精した。
手でされた時も気持ちよかったが、今回はそれ以上だ。以前よりも長く射精が続く。
まだ抜いていないが、射精した時の快感から、相当出しただろうと確信が持てた。
余韻に浸り、抜こうとすると、再びハルカが藤岡の腰に脚を回してきた。
「………え?」
「ごめんなさい。でも私、まだ満足してなくて…。」
藤岡の返事を待たずに、腰を動かし始めた。
「ごめんね、藤岡君。何度も何度も…。」
「…いえ、気にしないでください……。」
申し訳なさそうに謝るハルカの横で藤岡は力なく、横たわっていた。
あれからどのくらい時間は経ったかわからないが、ハルカが満足するまで付き合わされた。
それは1回の絶頂では済まされず、何度も行われたのだった。
(今まで誰かに甘えられなかった反動なのかな?)
いくら妹達のことが好きとはいえ、それでも辛く思うことはあるのだろう。
そんな思いを少しでも和らげることができたのなら、良かったと思う。
「…ねぇ、藤岡君。」
思いに耽っているとハルカに声をかけられた。
声がした方へ振り向くと、心底幸せそうに微笑んでいるハルカを確認できた。
「これからも、ずっと私と一緒にいてね。」
愛する人の微笑みを絶やすまい、守り抜こうという決意を込め、藤岡はハッキリと返事をした。
「はい!」
「…いえ、気にしないでください……。」
申し訳なさそうに謝るハルカの横で藤岡は力なく、横たわっていた。
あれからどのくらい時間は経ったかわからないが、ハルカが満足するまで付き合わされた。
それは1回の絶頂では済まされず、何度も行われたのだった。
(今まで誰かに甘えられなかった反動なのかな?)
いくら妹達のことが好きとはいえ、それでも辛く思うことはあるのだろう。
そんな思いを少しでも和らげることができたのなら、良かったと思う。
「…ねぇ、藤岡君。」
思いに耽っているとハルカに声をかけられた。
声がした方へ振り向くと、心底幸せそうに微笑んでいるハルカを確認できた。
「これからも、ずっと私と一緒にいてね。」
愛する人の微笑みを絶やすまい、守り抜こうという決意を込め、藤岡はハッキリと返事をした。
「はい!」
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- 藤岡は逝ってよし -- ギコ (2009-05-21 14:53:36)
- 藤岡はマジでカンベンして -- 名無しさん (2009-05-31 22:50:58)