人間冷凍保存の小説

時を超えて

2008年8月2日。私のお父さんが死んじゃった。末期の癌だった。

お父さんは、死んだら冷凍保存してくれと言っていた。自分の死体を冷凍して、2200年頃の未来の技術で生き返るって言ってた。お父さんは死ぬ2か月前、ロシアにある冷凍保存の会社、クリオルスと契約をした。36000ドルをロシアに前払いし、お父さんは冷凍保存されることが決まった。。『100年後にまた会えるから寂しくないよ』と、よく言っていた。お父さんは死ぬとすぐにロシアの冷凍保存庫に運ばれた。白いタンクの中に入る。

2050年、私は50歳になる。お父さんを冷凍保存して42年の歳月が過ぎた。ロシアから一通の手紙が届く。何?何? 『ついに解凍技術が完成しました』 ロシアでは既に250人が解凍されているらしい。 

私ははやる気持ちを抑え、飛行機になりロシアへ行く。ロシアのクリオルスの人たちに会う。これから、冷凍保存されているタンクからお父さんを取り出し、脳を取り出す。取り出した脳を、iPS細胞で作った体が、機械の体どちらか選べるという。私はiPS細胞で作った体を希望した。

お父さんのを冷凍保存のタンクから取り出し、iPS細胞で作った体に移植する手術が始まった。待つこと4時間。『手術が終わりました』 私はおそるおそるドアを開ける。…お父さん? 大変驚いた様子でこちらを見ている。奇跡は…起きたのだ。

お父さんが死に、冷凍保存された当初、2008年には、解凍は150年くらいになると言われていた。しかし、人工知能などが登場し、それらが医療の開発に携わり、技術が大幅に伸びた。150年と言われていた解凍が、100年、80年とどんどん短くなり、わずか42年の年月で解凍することができるようになったのだ。



続く

※この物語はフィクションです
最終更新:2018年03月23日 02:52