媒体の消去
使い終わった記録媒体(ディスク、SSD、USB メモリ、紙など)から、データを復元できないようにすることです(英語では media sanitization)。ファイルを削除しても、媒体に中身が残っていることがあるため(データの残留)、手順を決めて消します。
3つの方法
米国国立標準技術研究所の NIST SP 800-88 Rev. 2「Guidelines for Media Sanitization」(2025年9月、Rev. 1 を置き換え)は、消去を3つの方法に分けています。
| 方法 |
定義(要約) |
媒体の再利用 |
| Clear |
利用者が使えるのと同じ方法(標準の読み書きの命令など)で、利用者が読み書きの命令で指定できるすべての領域を消す。上書きできない機器では、工場出荷時の状態に戻す操作も含む。媒体を分解しない程度の簡単な復元の手法から守る |
できる |
| Purge |
物理的または論理的な手法で、最先端の研究所の技術でも復元できないようにする |
できる場合がある(手法による) |
| Destroy |
最先端の研究所の技術でも復元できないようにし、媒体は以後データの保存に使えなくなる |
できない |
- 同じ文書は、''可能な場合は Clear ではなく Purge を使うべき''だとし、媒体の種類ごとの適切な手法は IEEE 2883 を参照するよう求めている
- 紙の書類には、Clear と Purge は当てはまらず、Destroy を使う
- 論理的・仮想的な記憶領域(クラウドなど)には、Destroy は当てはまらない
媒体による違い(SP 800-88 Rev. 2 より)
- SSD・フラッシュメモリ:予備のセルを持ち、書き込む場所を分散させるため、利用者が上書きで過去のデータをすべて消すことはできない。予備の領域を持つ SSD に何回も上書きしても、機密性の保護はほとんど得られない
- 消磁:磁気の媒体(HDD、テープ)の Purge の手法。SSD のような磁気でない媒体には使うべきでない。媒体の保磁力に見合った強さの装置でなければ消えず、保磁力の高い最近の媒体には力の足りない装置が多い。媒体が壊れて使えなくなっても、データが消えていないことがある。Destroy の手法としては認められていない
- ''Purge の手法'':上書き、ブロック消去、暗号消去など、媒体に組み込まれた標準の消去の命令を使う
暗号消去
Purge の手法の一つです。データを暗号化して保存しておき、その暗号鍵を消すことで、データを復元できなくします。SP 800-88 Rev. 2 は、媒体に機微なデータを平文で保存したことが無いことを前提とし、鍵の
バックアップや第三者への預託がある場合は、その保管に高い確信が無ければ信頼すべきでないとしています(
鍵管理)。
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出典
確認日:2026年10月15日
最終更新:2026年10月15日 09:55