聖槍院 九鈴幕間その1

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dangerousss3

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【幕間SS・贖罪の天使#1】

「ドーモ、ロブスターです」
弟の九郎が両手のトングをカチカチと鳴らしている。
これは、小説『ニンジャスレイヤー』に登場する忍者の物真似である。
このロブスターというのは主人公ではなく悪役忍者だが、かなり人気が高いそうだ。
生体改造によって両腕が巨大な鋏になっており、暗黒神の手下として時空を超えて暗躍するらしい。
忍者の枠を超えすぎてると思うが、バルタン星人みたいなものだろうか。

だが、今は朝練前の大事な清掃活動中だ。
どうも弟は精神修養がなっていない。
あとで母さんに怒ってもらおう。
「まじめにやって」
練習用の竹トングで九郎の鼻をふにっと優しく挟む。
「アバーッ!サヨナラ!」
九郎は爆発四散した。


【幕間SS・贖罪の天使#2】

九鈴は夢から目覚めた。
(フユコ……と……チノキ……)
九鈴は布団の中で、虚空に向けてチョップを繰り出した。
父と母が死んだのち、九郎が眠れぬ夜によくやっていた動作の真似だ。
小説『ニンジャスレイヤー』の主人公・フジキドは家族を失った孤独な男だ。
弟をも失った九鈴も、天涯孤独の身である。
だが、自分はフジキドとは違う……九鈴は自らの額にチョップした。

(わたしのせいだ。ごめんね……本当にごめんね)
九鈴は静かに泣いた。
核を落としたのは。
ウィルスを解き放ったのは。
自分なのだから。
彼女は狂っていた。

(幕間SS「贖罪の天使」おわり。第一回戦「雪山」に続く)