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(4)
後になって知ったことによると、このときアベル大王様はあたしの記憶の全てを走査検索した後であたしの人格を完全に破壊し、新しい人格を植え付けたのだそうだ。
主観的には、生まれ変わったとしか言い様の無い感覚だった。
世界が、一瞬前とはまったく違ったものになっていた。
あたしの中の、何かとても大事なものが無くなっていた。その代わりに、まったく新しいものがあった。
このとき無くなったのは、自尊心と、貞操観念と、自立心とか、意志の力と呼ぶものとか、部分的な常識、特に身分と男女の関係についての今までの考え方だった。
かわりに芽生えたのは、淫蕩な心、被虐を求める心、身分や男女の関係についての新しい認識だった。
あまりにも急激な変化が、あたしに目眩に似た感覚を与えていた。それは、素晴らしい快感をあたしにもたらした。
めくるめくような心地好さの中で、あたしは失禁していた。
じょぉぉぉぉ・・・
跪いたまま、大きな音を立てて、あたしは放尿した。
おしっこを漏らしながら、あたしは、痴呆のような微笑みを浮かべていた。
式典用のドレスが、今度はあたしの小便で汚れた。
公女アニス・ウインガルトは死んだ。新しく生まれたのは、性奴隷アニスだった。
あたしは生まれてはじめて、自分が女であることを強く意識していた。
自分が漏らした、匂いたつ小便だまりの中にぺったりと尻餅をつき、ドレスを泥と小便でどろどろにしながら、あたしは自分を見つめる殿方の視線を感じていた。
恥ずかしかった。だが、とても心地好い恥ずかしさだった。
もっともっと、恥ずかしくなりたいと思った。
それが、女の持って生まれた役割だった。支配を欲する殿方の欲望に応えて征服され、殿方にご奉仕し、慰み物として辱められること。
女の至福はその恥ずかしさと惨めさの中にあることを、あたしは理解していた。
男と女は、平等な存在ではない。少なくとも、アベル大王様の支配する、このウインガルト公国ではそうだ。女は殿方の欲望を満たすために存在する玩具だ。
あたしは、そうしたことをこの場で言葉として認識した訳ではなかったが、漠然とした感覚の中で、自分の新しい存在価値を理解していた。同時にこの変化が、アベル大王様によってもたらされたこともあたしは理解していた。もとより、疑問の余地が無いことであった。
嬉しかった。とても幸せな気分だった。アベル大王様に対する感謝の気持ちでいっぱいだった。
「・・・うれしい」
あたしは、そう呟いた。
あたしは、本当の自分に目覚めたのだ。
「・・・ありがとうございます、アベル大王様」
あたしは、改めてその場に土下座すると、アベル大王様を見上げてそれだけを言った。
余計な言葉は必要ないと思った。あたしのすべてを、アベル大王様は支配している。あたしの考えることはすべて、アベル大王様がそう考えるように作ったことなのだから。
生まれ変わったあたしは、まず改めて恭順と忠誠をアベル大王様に示さなければならなかった。
あたしは、さっき口づけしたのとは逆の足に顔をよせた。アベル大王様はあたしの期待どおりに、足をあげてサンダルの裏を突き出した。
あたしは口を開け、舌をいっぱいに伸ばしてアベル大王様のサンダルの裏にしゃぶりついた。
はむっ
くちゅくちゅっ、ぴちゃっ。
裏庭の土は苦く、心地好い惨めさが口の中いっぱいに広がった。
あたしは、ウインガルト公国の第二公女アニスは、使用人や兵士の見つめる前で殿方の足元に土下座し、真剣な表情でサンダルの裏を舐めていた。
(5)
アベル大王様のサンダルの裏を清めるあたしに、大王様の傍らに立った赤毛の妖艶な女性が声をかけた。
「アニス姫、だったわね。アベル大王様のサンダルの裏はどんな味?美味しい?」
それは、質問ではなく、確認だった。あたしは即座に答えた。
「はい、とても美味しいです」
それからあたしは舌をいっぱいに伸ばして、土踏まずのところについた泥を舐めとった。踵の溝に挟まった小石を歯で噛んで外し、溝に舌を差し入れて、泥をかき出した。
口の中だけでなく、あたしの唇も頬も鼻の頭も、泥だらけになっていった。
楽しかった。
「ああ・・・素敵」
あたしは、思わす、そう呟いた。
赤毛の女性が、ふふっ、と笑った。
「楽しそうね、アニス姫?
もっと大きな声で、今の気持ちを言いなさい。
アベル大王様のサンダルの裏を舐めて、どんな気持ち?」
「はい、あたしは、アニスは、アベル大王様のサンダルの裏を舐めさせていただいて、とっても嬉しいです。とっても、素敵な気持ちです」
あたしは、大王様達を見上げながら、大きな声で、はっきりとそう言った。
後ろで、幾つかの笑い声が上がった。
あたしの、この惨めな行為を見ていた兵士や使用人のものだった。
彼らもまたアベル大王様の力によって新しい秩序に目覚めていることを、あたしは悟った。彼らにとって、あたしはもはや主君でも支配者でもなく、ただの娘・・・女にすぎないのだと思った。
そう思うと、また嬉しくなった。
赤毛の女性が、またあたしに問いかけた。
「アニス姫、あなたは何?」
あたしはこの問いに、一番先に思い付いたことを口に出した。
「はい、アニスは女です」
それから、あまりにも当然なので言う必要も無いとは思ったが、こう付け足した。
「そしてもちろん、アニスはアベル大王様の所有物です。アニスはアベル大王様に絶対服従と永遠の忠誠を誓います」
あたしが見上げると赤い髪の女性はよくできました、というように微笑んだ。アベル大王様はかすかに肯いた。そして、傍らに立つ赤毛の女性に声をかけた。
「エル、教えてやれ」
「はい、アベル大王様」
エルと呼ばれた赤毛の女性は、あたしの横にしゃがんで、膝を一文字になるほど左右に割り開いた。裾が極端に短い、体にぴったりとした衣装を身に着けているため、彼女の股間は完全にさらけ出された。彼女は、下着を着けてはいなかった。
彼女は髪よりも濃い色の赤い陰毛とその下の性器を丸出しにしたまま、今度は大きく開いた襟元に手をかけ、捲りおろした。羨ましいほどに豊満な乳房がこぼれでた。
そのままの姿勢で身体を後ろに倒し、後ろにまわした両手で支えた。
お尻が踵の上に乗ったままなので、性器だけでなくその下の排泄器官までが丸見えになった。
兵士や使用人達が、どよめきながら彼女の正面へと回った。
彼女は、そんな殿方達をまるで気にする風もなく、それどころか彼らに妖艶な微笑みを投げさえしながら、あたしに声をかけた。
「アニス姫、私はエル。奴隷頭よ。
あなたはこの国での奴隷第1号ということになるわね」
「光栄です、エル様」
アベル大王様のサンダルを舐め終えたあたしはそう答えた。
お傍に使えるエル様も含めて、アベル大王様にとって女は全て奴隷であることが改めて解った。
「アニス姫、あなたが女なら、その証しをお見せしなくてはね。
女の証しを全て見ていただきながら、先刻の誓いをもう一度繰り返しなさい」
「はい、エル様」
エル様の言う通りだった。あたしは身体を起こした。
(6)
あたしは、泥と自分の小便で汚れきった、姉の戴冠式用のドレスの襟に手をかけた。
幾つかの隠しボタンを外し、襟と肩の部分を外したが、肝心の胸の部分の内着は後ろ止になっていてそのままでは脱げない。
あたしは、全くためらわずに絹の内着を両手で引き裂いた。
びりりっ、びりびりっ
既に台無しだったドレスだが、これでもう服としての用もなさなくなった。
更に自分で礼服を引き裂いて、乳房を完全に剥き出しにすると、あたしはその場にしゃがんだ。
泥と小便でじっとりと重いスカートの裾を手繰り寄せてまくり上げた。
片手で裾をお腹のところで押さえ、片手を後ろにまわして身体を倒した。
そうして、両膝を思い切り広げた。
この国では、男女ともよほど寒くならない限り下着は着けない。
あたしの股間を覆うものは、何も無かった。
あたしの性器は、丸出しになった。
このときのあたしは、もちろん、まだ処女だった。
生まれてから16年、異性はおろか姉妹にさえ滅多には見られたことの無い部分を、あたしは自分の意志でさらけ出した。
大きくはないけれども、つんと乳首が上を向いた乳房。
髪と同じ金色の陰毛。まだあまり発達していない性器。
その全てが、支配者であるアベル大王様だけでなく、その場にいる殿方達全員に、あのいやらしいセノにも見られていた。
素晴らしい気分だった。
殿方達が浴びせてくる、欲望に満ちた視線がたまらなく嬉しかった。
女に生まれたことの喜びを噛みしめていた。
ウインガルトの美人公女姉妹などと呼ばれていたが、あたしは自分の容姿にはそれまであまり関心が無かった。人間の価値は、そんなものでは決らないと思っていた。
でも生まれ変わった今は、自分の容姿がそれなりに美しいことが、素直に嬉しかった。殿方に欲望を抱いてもらえる自分が誇らしかった。
思えば、セノはあたしの価値をもっとも正しく理解していた一人だったのだ。
視線を走らせると、そのセノは欲望に目を血走らせて、あたしの股間を凝視していた。肩が興奮に震えていた。
あたしの視線に気付くと、セノは歯をむき出して笑った。あたしも微笑み返した。(いいのよ、セノ・・・セノ様。好きなだけ見て・・・見てくださいね)
あたしは、心の中でそう呟くと、顔を上げてアベル大王様を見上げた。
泥のついたままの顔で、取って置きの微笑みを浮かべた。
そして言った。
「アベル大王様。あたしを、アニスをご覧ください。
アニスは女です。
アニスはアベル大王様の所有物です。アニスはアベル大王様に絶対服従と永遠の忠誠を誓います」
アベル大王様はかすかに微笑み、肯いた。
「よろしい」
その一言で、あたしは最高に幸せになった。
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堕落姫乃眸.
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