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(4)
壇上、玉座の前では、姉アリスが茫然と立ったまま、あたしが近づいてくるのを見ていた。
アルも、プラールも、ヨークも、驚きのあまり立ちすくんだまま、あたしから目を離せないでいるようだった。
他の貴族や、兵士達も同様だった。
あたしの姿があまりにも異様なので、その後に続いているエル様、アベル大王様達に気付いてはいても注意が行かないのだった。
もちろん、本当ならそれは一瞬の事で、すぐに大騒ぎになるのが普通だ。
だが、この大広間にいるものは、全員が既にアベル大王様の魔法に囚われてしまっていた。
あたしの姿に注意を引き付け、驚いている心の隙に魔法が入り込み、魂まで虜にしてしまっているのだった。こうすれば普通の人はもちろん、ある程度魔法に抵抗力のある人でも容易に魔法の餌食になってしまうのだと、後に聞いた。
アベル大王様の呪文はとぎれなく続き、人々の注意はようやくアベル大王様達にも向けられた。だが既に、彼らの心は魔法によって拡大されたアベル大王様の支配のオーラに捉えられている。だから、その心にわく疑問も、(あの御方は誰だろう?凄い威厳をそなえていらっしゃるが)
といったもののはずだった。
大広間の中央近くまで進んだところでエル様に鎖を引かれ、あたしは立ち止まった。
左右に別れて整列した貴族達の、最後尾に並んだ位置だった。
エル様が、あたしの肩に手をかけ、下へ押した。
あたしは、その手の導くままにその場に跪き、さらに手を床について四つんばいになった。
エル様は、あたしのスカートをまくって、お尻を丸出しにしてくれた。あたしは口を開けて舌を出し、にっこりと笑った。さらにお尻を振って、喜びを現わした。
大広間のあちこちから、ため息がもれた。
生意気だったアニス公女が、突然現れたこの男女に完全に支配されているのが、
誰の目にも明らかになった。 いまやアニス姫は、この二人のペットだった。牝犬として扱われて、姫は嬉しそうに尻を振っている。ならばこの二人は、公女よりも、はるかに高貴な存在に違いない。そう、今壇上にいるアリス公女よりも。
最前列の重臣の一人は、そんなことを考えているのか、しきりに肯いている。
大広間の空気は、確実に変わっていた。
(5)
最後尾の老貴族が、よろよろと膝をついて平伏したのが、最初だった。
一人、また一人と、アベル大王様のオーラに圧倒されたもの達が、その場に平伏していった。
それはまるで波紋のように大広間全体に広がっていった。
整列した貴族達が、壁際の衛士や楽隊までが、広間の中央に立ったアベル大王様の威厳に圧倒されて額づいた。
壇上の妹ヨークが、その場に尻餅をつくようにへたりこんで、酔ったような動きで土下座をした。
あたしは、姉アリスと視線を合わせた。
アリスの瞳に、ゆっくりと理解の色が現れた。
あたしは、アリスに肯いて見せた。アリスもかすかに肯いた。
アリスは、玉座の正面を退くと、ゆっくりと膝をついて、土下座をした。
これからウインガルト公として即位するはずだったアリスは、突然現れた殿方を玉座に迎えるために平伏した。
アルもプラールも、エル様以外の全員がアベル大王様のために膝を屈していた。
そしてあたしは、牝犬のように、平伏した貴族達の間を這い進んだ。
丸出しのお尻を振りながら、玉座へとアベル大王様を先導していた。
アベル大王様の唱える呪文が、更に力を増し、いまや朗々と響く声となって大広間を満たした。更には城全体へと広がっていくようだった。
ごうっ
アベル大王様の支配のオーラが、肌に感じられた。まるで風のように、本当に身体を圧しているかのような、そして同時に、魂まで届き握り潰されそうな力として感じられた。それは言葉に出来ない恍惚感を伴っていた。
すごい。アベル大王様は、すごい。
あたしだけではなく、この場の全員がそう感じているはずだった。
あたしは、快感に身をゆだねながら、四つんばいで這った。
あたしが、玉壇の下に着いたとき、アベル大王様の呪文が完成された。
「力ある言葉」が解き放たれた瞬間、アベル大王様の足元から金色の光が塔の様に立ち上った。
神にも等しい魔法の力が、大広間だけでなく、ウインガルト城全体に広がった。
城にいたものは、全員が一瞬のうちに生まれ変わった。
アベル大王様に魂まで支配され、心の中の一番大事な部分まで、アベル大王様が望む価値観と秩序に合わせて形を変えられていた。
その形は、あたしの心の形とほとんど同じだった。アベル大王様の魔法の力はあたしにも効果を及ぼしたのだが、それはあたしの心の形にぴったりとはまり込むようにして染み込んでいっただけだった。
それは、この城のすべての女が、あたしと同じ牝犬になったことを意味していた。
だがあたしは、このときそんなことを考えてはいなかった。
魔法は、既に変わってしまったあたしの心をいまさら変えはしなかったが、心を変えられるときの、あの快美感はもう一度与えてくれた。
あたしは、その凄まじいまでの快感に絶頂していた。
そしてそれも、あたしだけのことではなかった。
大広間のそこここで、絶頂を告げる声が響いていた。
ぼんやりと見上げるあたしの視界に、やはり快感に絶頂し、遠吠えをする犬のように、四つんばいになって天井に歓喜の声をあげるアリスの姿が映った。
(6)
このとき、アベル大王様がふるった魔法の力は、あえて名前をつければ「マスマインドコンクエスト・パーマネンス」大量精神永久支配、とでも呼ぶべきもので、魔法理論上有り得ない力だと、後にマリア様から聞いた。
理論がどうであろうとも、今、現実にウインガルト城のすべての人間が、魂までアベル大王様に支配されてしまっていた。
それは、起こってしまえば、あっけないものだった。
辺境の小国とはいえ、300年以上続いたウインガルト公国の歴史は、一滴の血も流されることなく、たった一人の魔法使いによって終わった。
あたしは、痺れるような絶頂の余韻の中で、これから始まる新時代に快哉を送っていた。
アベル大王様が、軽快ささえ感じさせるほど無造作に玉座の前に上がった。
傍らに土下座している姉アリスが、すぐに這いよって、アベル大王様の足の指をしゃぶり始めた。
ちゅうっ
はむっ くちゆっ ぴちゃっ
アリスは、うっとりとした表情で、アベル大王様の足の指を赤ん坊のようにしゃぶり、足の指の間に舌を差し入れ、丹念に舐め清めていった。
あの時のあたしと、全く同じだった。アベル大王様に、最初に魂を支配された時のあたしと。アリスは、真剣にアベル大王様への恭順と忠誠を現わしていた。
そして、支配され人間の尊厳を放棄することの快感を味わっていた。
あたしは、そんなアリスを見ているうちに、この美しい姉をもっともっと徹底的に辱め、堕としめ、屈辱にまみれる姿を見てやりたいという欲望を感じていた。
今まで一度も感じたことの無い、全く新しい感情だった。
あたしは、自分が殿方に辱められることだけでなく、他の女を辱めることも大好きになってしまったらしかった。そんな自分に、あたしは戸惑いを覚えた。やはり2度までもアベル大王様の魔法を受けたことによって生じた、新しい心の動きなのかも知れないと、ぼんやりと思った。
そんな疑問を感じたのは一瞬のことで、すぐにどうでもよくなった。
堕ちたアリスは、過去に見たどんな姿よりも美しかった。
美しい女は、堕ちれば堕ちるほどその美しさを増すのだと、あたしは確信していた。
アベル大王様は、一心に足の指を舐めるアリスを一瞥しただけで無視し、今や自分の支配下に置いた、元ウインガルト公国の臣下達に向かって話し始めた。
その声は、普通に話しているはずなのに、張り上げた声よりも良く通った。
「私の名はアベル。アベル大王様と呼ぶがよい。
この国、ウインガルト公国は、たった今から私のものとなった。
お前達は全員、魂まで私の支配下にある。今後は、私の言葉を絶対のものとして従い、これから私が与える新しい秩序の下で、私に奉仕する存在として生涯を全うせよ」
アベル大王様は、絶対の支配を宣言した。
大広間にいた全員が、この支配を喜んで受け入れ、見事に唱和した。
「はい、アベル大王様!」
姉アリスも、アベル大王様の足下から、嬉々として唱和していた。
「アベル大王様、万歳!新しい、真の支配者アベル大王様万歳!」
大広間の末席から、テイラーと小隊長が声を合わせて叫んだ。
すぐに、それは大広間全体に広がり、熱狂的なシュプレヒコールになった。
妹ヨークも、姉アリスも、声を限りに叫んだ。
「アベル大王様、万歳!ウインガルトの真の支配者、アベル大王様万歳!」
もちろん、あたしも叫んでいた。
公家姉妹が揃って、自分達から国を奪った殿方を称えて叫んでいた。
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堕落姫乃眸.
最終更新:2008年02月06日 19:05