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『ラッキータイプ』な女の子

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『ラッキータイプ』な女の子 ◆uOve0/ks1k


彼、ジロンは普通の学生だ。
だった、ではなく現在進行形で普通の学生だ。
とは言え、普通とはあくまで彼の世界での普通。
剣と魔法が溢れ返るファンタジーな世界での普通だ。
彼はその世界で冒険者を育てる学園の学生として日々鍛錬を積んでいた。
世界の地下に広がる迷宮を攻略する立派な冒険者を目指したがゆえだ。
モンスターを斬ることに躊躇いを覚えることはなくとも、人を殺すことと考えると腕が鈍る。
ヒューマンと言う特徴性能の薄い、器用貧乏なスペックを底上げしたのはそんなことだったのだろうかと考えしまうのだ。

「って言うかアイツ復活させる気ねえよなあ……それじゃロストしちゃうじゃん」

ポリポリと頭を掻きながら空を見上げる。
こんな状況でも空は綺麗だ。
あのノアとかいうのは環境がどうとか言っていたため、そこに気を使っているのかも知れない。

「あっ……!」

そんなことを考えながらただ歩いていると、ふと一人の少女の姿を見つけた。
青い制服を来た、短めのスカートの少女。
髪は短く、手には見たこともない武器を持っている。
ノコギリ、だろうか?
それにしては柄の部分がひどく物々しい。
両の刃に反りが入っていることも、ジロンの知るノコギリとの相違点の一つだった。

さて、どうするか。
向こうはこちらに気付いていない。
奇襲をかけるなら今だが、それはつまり殺し合いに乗ると言うこと。
それはどうだろう、とジロンは思う。
簡単に人を殺してしまっていいのだろうか、と。

一先ず声をかけよう、そう思った瞬間だった。

突然、風が吹く。いわゆる突風と言う奴だ。

「見えっ……た……?」

人間は普段本来の力を30%しか使うことが出来ていないと言われている。
100%を使った場合、視覚と聴覚で得た多大な情報は脳の許容量を超え脳が壊れる。
筋肉を100%活かした場合はまず先に反動で身体が壊れる。
人間はスペックをいかせるハードを持っていないのだ。
だが、男の本能がその限界を突破させる。
それは、女性のスカートが捲れた瞬間に普段は利用されていなかった残りの70%を使うことが出来る。
たとえ僅かな間でも、視覚は見逃すことのないようにと全力で写し、伝えられた脳は全力で保存しようとする。

しかし、一つのイレギュラーが100%を発揮した脳が一瞬で停止する。
脳が停止したまま風が止み、スカートは元の場所へと戻る。
彼はもう一度脳内に保存された画像を呼び起こす。
一瞬何かが間違ったのかと思ってた。
彼女のスカートの中身、その中身にあるべきものがなかったのだ。
スカートの中身というと一つしかない。
思春期青年の夢と希望、ただの布切れに過ぎない、しかしそれだけでパライソへと飛び立てる代物。
それが、なかった。

  彼女は、

     パンツはいてなかった。


それを理解しようとも出来ない。
って言うかぶっちゃけ困る。
なんていうか履いてるのをこっそり見るからいいんであって、何の動揺もなくこっちを振り向かれても。
もうちょっと顔を赤らめたり、ダッシュして逃げて行ったり、こっちを全力で殴ってくれないと。


「……」

何も言わずにはいていない女の子は、スカートを軽く押さえる。
鬱陶しい風だと、眉を潜めただけ。
そして、そこでようやくヒューマンの姿に気づいたのかノコギリらしきものを持つ。
重そうな柄をしているというのに軽々と片手で持ち上げる。
やがて、その柄についた何かボタンのように押す。
その瞬間に、ダダダダダダダッ!、とすさまじい音共に刃が回りだす。
なんだ、あれは?とジロンは思うよりも早くに少女の殺気に気付く。
ジロンは素早くピッケルを構える。
だが、目の前に少女はいなかった。
消えたと思うよりも早く、後方からダダダダダダダッ!という激しい音が響く。
まさか一足飛びでジロンの後方にジャンプして回り込んだのか?
素早くジロンは振り向く。
その瞬間に顔に熱いものが走る。
振動が伝わって始めて斬られたことに気付いた。
震えと共に顔が切り開かれている新境地。
顔の右半分が切り取られる。
だが、そこでパンツはいてない少女は止まらない。
右腕に震えが走る。
振動する刃で斬られる時には、痛みよりも熱さよりも振動に気を取られるのだなと初めて知った。
少女の力とは思えないほど簡単に右腕はジロンの身体とバイバイとなった。
もうこれで死ぬ、それはジロンにも分かった。
何度かモンスターに殺された、その経験から分かることだ。
だが、少女は止まらない。
抵抗のなくしたジロンの左腕を切り取る。
次に股の間に刃を突っ込み、左上へと刈り上げることで右足を切り取る。
体が大きく崩れる、支えとなっていた足の一本が無くなったのだから当然だ。
少女はその隙を狙ったのか、次は左足を刈り取った。
五体不満足となり、そこでようやく強い痛みを覚える。
だが、ショックで死んでしまうよりも早く、少女は首を切り取る。
即死、ジロンの脳はもう何もない。
ただ、節穴となったその目の方向に。


熱の篭った潤んだ瞳で。

青い制服を真っ赤に染めて。

頬にかかった血を舐めとりながら。

バラバラとなったジロンの身体を見下ろしている彼女がいた。


【ジロン(ヒューマン♂・戦士)@剣と魔法と学園モノ。シリーズ】


   ◆   ◆   ◆


彼女は、変わっていた。

テレビゲームは見たこともない。
部活動は何に入ってる?と聞かれると分からないと答えたことがある。
宿題はきちんとやるか?と聞かれた時も分からないと答えた。
忘れ物をしたかどうか分からないことも度々。
好きな教科も分からないし、好きなスポーツも分からないと答える。
ポケベルのことも知らない。
休日の過ごし方も分からない。
何人でいるのが好きだと聞くと人数が数えられないと答える。
一万円の入った財布を見つければ一万円を捨てて財布を取る。
『君のパンティー何色?』という問いには『はいてない』と答える。

とにかく、彼女は変わった人物であることは、周知の事実だった。

何時でもそうだった。


「血って……気持ちイイ……」


うっとりとした姿で、頬にかかった血を震える指で拭う。


彼女は斬りつづけた。
悪魔を仲魔にもせずに、とにかく斬りつづけた。
悪魔を仲魔にすれば剣を作れるらしい、だけども悪魔を仲魔にせずにただただ斬りつづけた。
怠惰界で斬った悪魔の数など本当に数えきれやしない。
途中、嫉妬界にいる魔界人から貰った無想正宗とヒノカグツチを手に入れてからはもっと楽になった。
斬って、斬って、斬って、斬って……気づけば魔神皇とか名乗る気の触れたらしい狭間偉出夫の前に立っていた。
やがて、その現況である偉出夫も斬った。
『これで終わりか』、と僅かな安堵と大きな寂寥感を覚えていた頃。
『まだ続きがある』と、後輩の赤根沢玲子が言った。
『狭間偉出夫の精神世界に行き、彼を救う必要がある』と。
そこで彼女は興奮した。
まだ殺せる、と。
血に濡れることが出来る、と。
その瞬間に変人である彼女はようやく気づいた。
自分は殺すことに『ハマってしまった』のだと。
戦うことではない、殺すことにだ。

血が美しい、温かい血が心地良い、化け物の泣きそうな顔は絶頂を覚えそうだ。

そこからは余計に悪魔を殺した。
狭間偉出夫の精神世界にはDARK悪魔、仲魔になりようのない悪魔が大勢居たのも彼女の殺しを加速させた。

その精神世界で始まったのはメロドラだ。
そこらに溢れる狭間偉出夫の思い出、興味もないが玲子が除くために見てしまう。
彼女は悲惨な人生だとも思ったが、同時に頭の良い人物とは面倒くさいものだとも思った。
諦めて穏やかに過ごすなりなんなり方法もあったはずだ。
例えば彼女のように変わり者は変わり者らしく、空気のように過ごすとか。


そして、もう一度狭間偉出夫を殺した。
正確に言うならば『倒した』と言うべきなのだろうが彼女の気持ちとしては『殺した』と言いたい気分なのだ。
結局、狭間偉出夫と赤根沢玲子とはここでお別れとなった。
彼女だけが偉出夫の心象世界から立ち去り、二人は何処かに行く。
これで日常への終わりか、と思うと悲しくてしょうがなかった。
隙を見て魔界へと残ろうと思った、その時だった。
彼女は気づけば、殺し合いに参加していた。

天命か、それとも玲子が気を利かしたのか。
いずれにせよ彼女はまた殺すことが出来るようになった。
あの生きてる機械、化学教師の大月とは違う完全なオイルだけの機械だ、が殺せと言うなら殺しても良い。
生き延びたにも関わらず、まだ人を殺せと言われても別に良い。

ただ、彼女は少し迷っていた。
殺すことは問題ない、そこには何の問題もない。
ただ頭に過ぎった一つの疑問。
これだけがどうにも気になって仕方がなかった。


――――生きた機械の血(オイル)を浴びると言うのは、どんな気分なのだろう?



【A-2/森/1日目/日中】
【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[状態]:快感
[装備]:チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga、血染めの制服
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2個
[思考]
1:とりあえず殺してみる。
2:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味。
[備考]
※パンツはいてません。

【参加可能者 残り36人+α】

002:本気の女 投下順 004:撲殺天使ナインちゃん
002:本気の女 時系列順 004:撲殺天使ナインちゃん
初登場! 内田珠樹 033:戦いたい 殺したい 絶望させたい



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