XAGNO(カイアギノ)-ザ・エクソダス・オブ・ヤデト- > プロローグ・第2幕

閲覧に関する注意事項


本プロローグではXAGNO(カイアギノ)-ザ・エクソダス・オブ・ヤデト-に関するネタバレや確信的なキーワードなどが含まれております。
また、本プロローグはXAGNO(カイアギノ)-ザ・エクソダス・オブ・ヤデト-の登場人物と敵対している某柑橘軍の侵略異星人のプロローグとあわせて閲覧していただくと何となくですが想像力が鍛えられるかもしれません。




それと、本プロローグはヤデト脱出船団に残されていたアーカイブデータなどが基となっているため、某柑橘軍の侵略異星人のプロローグとの矛盾点が多いと思われます。ご了承ください
また、追記修正という形で時折、手が入ることがあります。改めてご了承ください





















準備は良いですか?





















ではどうぞ

あ、時々出てくる「※」は備考ですよ!


さて、ここで一度時計の針を憲兵団の鎮圧作戦の前まで戻すことにする。

ソレは憲兵団への密告前のトライデントの会合でのことだ。

「9年前のバイオイド・ハーフの胎児強奪作戦の失敗以降、この作戦の参加者含め、我々の監視網の中で「バイオイド系を一人の人間として尊重するべき」という考えを持つ者が現れつつあります。何をトチ狂ったのかは知る由もありませんが、コレは由々しき事態だと考えております。
無論、バイオイドと人間の番からすれば、そんな考えを持つ人々はむしろバイオイド系の勢力拡大に正当性を与えてくれるいいカモでしかなく、また、そうした考えが広まれば、ストロンティアの文明化作業への多大なる被害が予測されることになります。
さらに先の作戦が失敗に終わったことであの番は、我々の監視下に置かれている生体兵器技術民生転用研究室にとっては救世主的な扱いを受けていると考えております。そしてさらに現時点のバイオイドが抱えている『個体数の少なさ(※1)』や『生息範囲の狭さ(※2)』、そして我々の監視網という難点を急速な人口増大と爆発的な対外進出(※3)で克服してくるでしょう。
その難点の克服策の一つがバイオイドの番のコロニーの形成であり、その過程で非タグ取り付け個体のバイオイドを多数用意出来るようにし、我々の監視網の外にそのコロニーを用意したのです。つまり、生体兵器技術民生転用研究室が異様に高額の「機密指定予算」を獲得したことにより、監視網外に人口増大の確保と受け入れ先の確保という我々にとって盲点を作り出されてしまったのです。
そして残るは「その盲点を爆発的に広める」ことです。現状、ストロンティア以外にも配備要求があるために輸出されているバイオイドは現状においては補充可能な労働力でしかなく、当然ながら勿論労働力として社会に貢献してくれるバイオイドの個体数は増えてくれればその分労働力が増えるわけではありますが、幾分監視網もその分強化する必要があります。
当然ながら現状、タグを付けることによって監視と管理が行われておりますが、試験的にバイオイドに対する待遇調整を行うべきとは考えております。当然ではありますが、この待遇調整はあくまでも「社会に上手く適応出来る個体の選別を行う為の物」で、ある程度の待遇を用意するとなれば、元締めである生体兵器技術民生転用研究室も理解を示す可能性はあります。ソレが狙いです。
現状、番のコロニーに投入されてる個体はともかく、そうではない非タグ個体を監視網に組み込まさせ、盲点拡大を減らし、その中で社会に適応できない個体を何らかの手段で排除する形で選別することでバイオイドの個体調整を行うのです。」

「ですがコレでも懸念材料は残ります。そう、バイオイド・ハーフとソレを生み出す番のコロニーです。胎児強奪作戦の失敗により、バイオイド・ハーフに対する研究や理解が少ない今、手段を選ぶ余裕があるか分からないという状況にあります。
ましてやコロニー自体、タグ付けされていないバイオイド個体の巣穴でもあるため、今なおもバイオイド・ハーフが生まれているかもわからない上、生体兵器技術民生転用研究室が異様に高額の「機密指定予算」を獲得して居る以上、その予算を用いてのバイオイドの輸出網を使い、浮浪者などを集めて同様のコロニーがストロンティア外にも建造され、
今この瞬間にもバイオイド・ハーフがヤデト文明を構成する惑星全土に解き放たれる可能性もありえる。
ゆえにすでに手遅れかつ最早遅すぎたといわざるを得ない状況になっている可能性はありえます。…そう、コレは最早ストロンティアのみの問題では無くなりつつある。多数の「破滅の可能性」を内包しているあのコロニーをどうにかするには最早憲兵団を呼ぶ必要があると考えている。
無論、警察組織や最悪、軍にも取り合ってもらう。そうでなければ待っているのは解き放たれたバイオイド・ハーフという「人類種の天敵足りえる危険種族」によるヤデト文明圏の崩壊という末路かもしれない。」

「無論ではありますが、黙って破滅を迎える気はありません。どういった存在かは不明ではありますが対バイオイド・ハーフ用の兵器の開発や配備は必要となりえるでしょう。ですが、ヤデト中央技術研究所の職員から研究所内での不審な人事や予算配分等が行われていると言う報告があるように
生体兵器技術民生転用研究室はその立場を利用し、破滅への備えに対する妨害をしてくるでしょう。そういったことを防ぐため、ヤデト中央技術研究所のみならず、軍事企業にもそういった兵器の開発を要請しましょう。我々にはそういった備えをする権利があるのに生体兵器技術民生転用研究室はソレを妨害している。
私の考えではありますが、彼らはバイオイド・ハーフという存在をまるでヤデト文明を滅ぼすために現れた救世主のような存在と思っているでしょう。私いや、この場に居る皆さんはそうは思いません。奴らが考えているのはこの文明を滅ぼし、自分たちの理想郷を作ろうとすることのみであります。」

そう語った男の名はウールブルチ・ラーヴクラフタ。後に全球大惨事直前にヤデト中央政府首相となり、全球大惨事を一人の軍人出身の政治家として戦い、そして心を痛め病に倒れ、親愛なる友にヤデト脱出船団の船長になることを依頼し、親愛なる娘にヤデト脱出船団とその中に移設されたヤデト中央政府首相の座、そして脱出船団を新たな故郷として生きるヤデト文明の生き残りを導く使命を託し、そしてその生涯を終えた男。
このとき彼は軍士官学校を卒業し、行政の世界へ身を投じていた。今はしがない一公務員であった。
そして、彼の言葉は後に現実となることを発言した本人すら今はまだ信じていなかった…


「バイオイド?ああ、いくらでも潰しが利く、ゴミみたいな値段で買える労働力だったろ?」

時は流れ、とある反GNO殖民・移民派の議員が視察に出向いたとあるストロンティアにある鉱山の、ある少年労働者いった言葉である。

植民地となっている惑星の文明化作業に導入されていたはずのバイオイドはその頑丈さと対策さえすればいくらでも潰しが利く労働力として鉱山などで重宝されていたのである。
ストロンティアの開拓事業においてバイオイドの投入が行われる事に反対していたグループがバイオイドに施した対策と労働力として使うことを周知させたことにより、バイオイドは事実上、ストロンティアの文明化作業に不可欠な、重要でありながらも潰しが利く労働力としてその地位を確保していた。

「俺らだってそれぞれ異なる理由があるとはいえココに入ったけど、俺らはバイオイドよりはるかにいい待遇だぜ?質素とはいえいい飯は食えるし、寝床もあるし服も洗濯済みのを着れる。むしろ俺らの仕事はバイオイドより安全だと思うぜ
なにせ、基本的にはバイオイドの監視か重機でバイオイドが掘る予定の穴の初動掘削、あとは鉱石の運び出しとかだな。きつい仕事があるとすれば鉱山の警備ぐらいか?」

「弱肉強食」、GNOがヤデト文明の欠点を語る際によく使う言葉であるが、ソレは彼らの祖先であるバイオイドが潰しの利く労働力であった事だ。
孤児上がりの労働者ですら、バイオイドよりも待遇はいい。スラムよりも充実した衣食住に加えて退職後の再就職に必要な最低限の技能などの学習などの権利を与えられ、ガス抜きには人型重機同士のバトリング(※3.5)といった娯楽を楽しむのである。

「バイオイドの監視つったて、タグを通じてバイオイドの状態の確認や作業状況のタスクコードの確認ぐらいだけどよ、バイオイドが時々暴れるんでなぁ…」
「あいつら、元々軍事技術の転用品だったから兵器張りのスペックで暴れるんだわ。そんなときには端末を通じてタグに信号を送って無理やり押さえ込むんだけどよ、それでも暴れるときは人型重機の装備でこう、プチっとやるんだわ。」
「それと、噂じゃあバイオイドにはタグでは遮断できないデータリンク的な何かがあるとか…多分暴れだすのはソレを通じて暴れるようにする指令がどこから出てくるんだろうな」

そして何より、バイオイドの待遇の悪さは時としてバイオイド自身が「万が一の時に生体兵器並みの戦闘力を絞り出すように」という仕様を用いて暴れる事もあった。
だが、外付けの安全装置である「タグ」により、強引にその仕様を発揮できないようにし、押さえ込まれ、そしてそれでも暴れるのであれば人型重機によって鎮圧を図る。
とはいえ、「トライデント」を通じて試験的(※3.55)にバイオイドに対する待遇調整(※4)が行われ、ある程度はバイオイドが暴れだすのを防いでいた。(※5)(※5.5)

「それで、最近うるさい団体が出てきたのさ、バイオイドを解放しろとか…ほら、最近じゃあGNOって呼べとかうるせぇけど、バイオイド・ハーフって言うのがコロニー…バイオシティなんて呼べとか言われてるけど…が無いヤデト文明圏の惑星に移住したり、開拓惑星に率先して殖民しようとかしようとしてるって話があるだろ?
ウチはそれに反対してるのさ。ただでさえ先のストロンティアで憲兵団がバイオイド・ハーフのコロニーに強制捜査として突入して壊滅した事件、アレでバイオイド・ハーフの危険性が周知されてるのに殖民やろうとかおかしい話だろ?…で、ソレにかこつけてウチみたいなところの労働力として使われてるバイオイドを解放しようって動きを見せてるわけよ」

その少年労働者は一口、茶を飲み、口の渇きを癒す

「しかも、バイオイド・ハーフが社会進出するのを反対してるところを無理やり買収してバイオイド・ハーフの就労先にしようとしてたりとか、あくどい事ばかりさ。噂じゃあその団体、バイオイドとヒトの番のコロニー作ってバイオイド・ハーフ作ったとこの子団体らしいんだぜ?」

先の憲兵団突入後、ソレを退けた生体兵器技術民生転用研究室は増長(※5.55)し、子団体としてバイオイド・ハーフの出生・生活支援や社会進出支援、不当な待遇にあるバイオイドの解放を行う組織(※6)を立ち上げ、次第にバイオイドと人間の番、そしてバイオイド・ハーフが住む居住区などの建設なども行うなど、憲兵団を退けたことを契機に「人間とバイオイドの番及びその子孫であるバイオイド・ハーフによるヤデト人社会という一種の既得権益への戦い」の土台を構築し始めたのである。

「…………しかもバイオイド・ハーフの就労先にされた所は良い話が無いって聞く。たぶん地獄だろうよ。聞く話じゃあバイオイド・ハーフは人を食らうらしい。気に入らない労働者を見せしめに他の労働者の目の前で食うとかって言われてる。
けどそれで黙って居られる奴は少なかった。武器を持って抵抗する奴らも多かった。無論ウチみたいにバイオイド・ハーフの殖民に反対してる所とかも一緒になって抵抗し始めた。簡潔に言うなら、ゲリラかな。反GNOゲリラってやつ?」

その少年労働者との話の後、反GNO殖民・移民派の議員はヤデト中央政府議会でこの話を津々浦々と語った。GNO殖民派の議員からのパッシングが相次ぐ中、軍関係出身の議員や憲兵団関係の議員らの理解を得られたのが幸いであった。

「なぜGNOの入植等に反対するゲリラをこうも厚く信じきれる?」

「GNOは気に入らない他の労働者を処刑と称して食い殺し、その労働環境を管理者や経営者の意向を無視して勝手に支配している。それに反抗するのは当たり前だし、そういったところを作らないようにするために活動するのは当たり前ではないか!
もしこのままGNOが入植を続ければ、早かれ遅かれ、ヤデト文明の政治的中枢であるこの議会は無論、経済、産業どれもGNOが食い荒らすことでしょう。そう、虫が農作物を食い荒らすように!」

何より、軍や憲兵団の支援の下、反GNOゲリラを「民兵宇宙軍」と呼称する法案もGNO殖民派の議員の反対を押し切って成立したのもこの議員のおかげである。

しかし、その議員は帰らぬ人となった。

GNOの一体による頭上からの襲撃により、頭部を食いちぎられて死んだのである。(※7)

突然の不幸な出来事の裏にはやはりGNOが絡んでいた。GNO殖民派の議員と繋がっていた生体兵器技術民生転用研究室子団体が主導でGNOによる襲撃が行われたのである。

彼の意思を継ぐように何人もの反GNO殖民・移民派…後にGNO排除派と呼ばれる議員が現れ始めるのである。(※8)

さらにその議員の弔い合戦と称し、民兵宇宙軍によるGNOのコロニー(※9)襲撃が勃発したのである。

生体兵器技術民生転用研究室は当初、憲兵団を退けた実績から「労働者上がりの民兵宇宙軍を名乗る武装組織にGNOが負けるはずが無い」とタカをくくっていたが、その慢心が命取りとなった。

民兵宇宙軍は密かに開発した人型機動兵器によりGNOコロニーへの強襲を行ったのである。

基本フレームこそ作業用フレームを転用し、設計は二度目の世界大戦当時に引かれた図面とはいえ、投入された人型機動兵器「ジルグ・ゴブルス」は5m級という機体サイズと、その装備により歩兵に対して有利であったGNOを圧倒したのである。

生体兵器技術民生転用研究室はコレに対し「民兵宇宙軍なるテロ組織の壊滅」としてヤデト正規軍や警察組織、憲兵団に出動を要請するもヤデト正規軍や警察組織、憲兵団は「民間の自警組織による治安維持活動」として要請を無視し、あまつさえ要請に応じたふりをして民兵宇宙軍の援護に回ると言う行動に出る。

それに憤慨したGNO殖民派の議員は民兵宇宙軍関係の法案の撤廃及びGNOの保全の法案を提出するも全会一致で否決され、逆に生体兵器技術民生転用研究室が主要メンバー全員に対し国家転覆主導等の反逆罪の判決が下され、子団体もろとも解体されたのである。すでに世論も再度のGNO廃絶ムードに傾きつつあったのである。

さらにヤデト正規軍内部ではハト派がある程度の舵取りが出来る範囲の主導権を残しつつもタカ派に主導権を握らせるという改革が起きたのである。コレによりハト派将校の一部が大手を振って反GNO活動の支援に乗り出したのである。

しかし、GNOは黙っていなかったのである。この間にも民兵宇宙軍は武装した商船や新規建造された駆逐艦や巡洋艦などを用いてGNOを乗せた移民船に対する攻撃を慣行、それもまた「民間の自警組織による治安維持活動」と言う形でもみ消されたのである。

「おかしい、なぜ我々がこうも社会的に悪にされるのだ!コレはおかしすぎる!!」

「おかしい、なぜ我々がこうも簡単に駆逐されるのだ!」

「おかしい、なぜヤデト文明が我々を消し去ろうとするのだ!」

GNOたちはこの蹂躙の経験と植えつけられた使命と生来の能力で自己進化(※9.5)を始めつつあった。

繁殖能力の強化や「地球において世界的に有名なゲームであるポケモンシリーズの技」に類似した、特異的な攻撃能力、さらには亜空間関係の能力…自己進化により人型機動兵器に対抗できるだけの戦力を有しつつあった。

さて、ここで再び時計の針を憲兵団の鎮圧作戦の前まで戻すことにする。(※10)

生体兵器技術民生転用研究室は異様に高額の「機密指定予算」を獲得したことである計画を始めていた。

番のコロニーに集めた人間にバイオイド系と同程度の肉体改造を施すというものである。

そう、バイオイドがタグによって無力化するなら人間にバイオイドの能力を付与する改造を施せばタグを無効化できるという考えである。

その考えは間違っておらず、後に生まれたバイオイド・ハーフことGNOはタグを無効化できる体質であった。

しかし、こうした人体改造は元に戻せないことや対象者への適正(※11)などの制約から志願者のみに施されており、結局の話が、生体兵器技術民生転用研究室も今際の間際まで忘れ去っていたことである

閑話休題

ソレはさておき、GNOの自己進化が行われているその裏では、正規軍や憲兵隊、民兵宇宙軍は軍備を強化していた。

新型の戦闘艦艇の建造やゲルノーヴェンと呼ばれる人造生命体の創造、さらには人型機動兵器の強化拡充…そして対GNO兵器の研究と開発が進んでいた。

特にGNOの解析は民兵宇宙軍の協力もあって、十数年というブランクを埋めるかのように進んでいった。

GNOの遺伝子コードを使い、戦闘用のGNO「BGNO」の開発も行われつつあった。コレは「GNOをもってGNOを制する」ということではあったが、逆にGNO側に制御権が移る危険性があった。

しかもGNOは制御システムであるタグの無力化という制御不能になる可能性を内包した存在であり、しかも、十数年というブランクは制御システムの開発に向かい風を吹かせていた。

幾多の制御実験の失敗、制御システムのバグ取り、制御機材の損傷対策等…もし胎児強奪作戦が成功していればこうした制御システムの開発や対GNO兵器の開発はスムーズに進んでいたに違いない。

ただでさえ、GNOは解析が進んでいるとはいえ、それと戦える兵器こそ作られては居るが、ヤデト中央技術研究所はGNOの進化について考え込んでいた。

現状の戦力だけでどうにかできるか…である。GNOの進化データを解析して明らかになったのは第二次大戦当時の兵器に似た進化と対人型機動兵器用の進化の両方が起きていることである。

第二次大戦当時、軍首脳部が人型を毛嫌いしたのは人型の運用面だけでなかった。当時の首脳部の幕僚の中には列強勢力圏への交流留学経験者も居た。その中で彼らは見たのだ。

列強勢力、ことにゼ・バルマリィ帝国、ゾヴォークの二大強国の兵器と渡り合う「地球」の人型機動兵器の脅威を、さらにギルガメス・バララント両国の戦争の最中現れた「異能生存体」………

ヤデト文明が力を注ぎ開発した生体兵器が彼らと戦ったら一瞬で蹴散らされるだろう。もしかしたら自分たちもそうした物を作り出すかもしれない、その芽を摘み取るべきだと…

その中で後に生体兵器技術民生転用研究室の一人であったある将校は密かに対人型用の進化を模索する因子を作り上げていた。ソレを組み込んだバイオイドがGNOを産み落とし、さらにソレが人型と交戦したことで進化を促したのである(※12)

それに対抗できる兵器があるとすれば「天下無敵のスーパーロボット」ぐらいだろう。地球ですら地底世界由来の技術やEOTといった異星由来の技術を持ち入り、さらに高い精度の工業技術で作られた部材を組み合わせて完成したそれに匹敵する兵器…

後に地球の技術を取り入れて完成する「カイアギノ・ホウプレクシス」を1号機とする「カイアギノ」と呼ばれる兵器の設計が始まったのはこのときであった。

しかし、時計の針は着実に、「今」へと進み続ける。

それは既に織られた反物の流れがごとく、模様は進み続ける。




ヤデト文明の終焉



「全球大惨事」



そして


地球へのエクソダス………



GNOの地球侵攻……


運命は着実に、進み続ける。


その時を生きる人々の思いを道筋として









備考


※1:元々バイオイドの個体数はある程度制限されており、タグ付けされた個体はすべて鉱山などの重労働作業に投入された。一方で密造に等しい形で非タグ個体が作られていたために……

※2:無論な話、その生息域は重労働作業が行われている場所に制限されていた他、非タグ個体も密かに生体兵器技術民生転用研究室の息が掛かった地域にしか居なかった。

※3:急速な人口増加により機材的なキャパシティを、爆発的な対外進出で人員的なキャパシティを強引に超過させることで監視網のキャパシティを超える量の非タグ個体バイオイドを増やし、ソレにより監視網を停止させると言う、ソ連のミサイル戦術的なこと。

※3.5:労働者たちの息抜きで、元々は第二次大戦の折、アストラギウス銀河からやってきた傭兵らから広まったとされる。ちなみに広まるに連れてローカルルールが出来、いつしかそれらが統廃合された統一ルールが出来、「ヤデト式バトリング」という名称が生まれた

※3.55:ちなみに実施時期は憲兵団の鎮圧作戦の前。要するに密告前に考案された「『表向きには社会貢献の度合いに応じてバイオイドに待遇の差を与えるように仕向けて、わざとバイオイド内部での勢力争いを起こさせて団結と反抗を予防させる。もし団結と反抗を起こした場合は容赦なく憲兵団らに鎮圧させる』というプラン」に基づいて行われた。

※4:あくまでも試験的な物かつバイオイドの投入環境や該当バイオイドの投入環境下での社会貢献の度合いごとに待遇レベルの設定が異なるが、鉱山関係でのケースだが、高いレベルの優遇認定を受けたバイオイドであっても、家庭の都合で出稼ぎに来た少年労働者の待遇を上回ることは無かった。

※5:無論ではあるが、待遇レベルの差を与えたことによる投入環境下におけるバイオイド内部での勢力争いを起こさせると言うもくろみがあるとはいえ、一応の抑止力にはなっている…が、やはり暴れるのはいたようだ。

※5.5:一応憲兵団もソレに合わせてしぶしぶバイオイドを主軸とした部隊「GCO(グレート・チョーズン・ワンズ/Great Chosen Ones)」を設立していた。が、突入作戦失敗後、同部隊は人型機動兵器と武装バイオイドが半々という編成に再編された。GNO側資料ではバイオイド組織扱いされているが、コレは嘘であくまでもバイオイドは戦力であり備品でしかない。

※5.55:GNO側資料の公開レベルがこの資料を下回っているので解説すると、政治的な圧力やGNOが関与するテロを使ってGNO対策を潰そうとしたり、子団体を使ってのGNO生息域増加等、やってること全部テロ屋とかタチの悪い組織の仕事や!余談だが、GNO側資料にはGCO設立の裏で「反国際機関勢力」なる存在があるがこれらは所謂生体兵器技術民生転用研究室がわざとトライデントなどの監視網を破壊すべく用意した武装集団であることが判明している。

※6:結論から言えばこの組織の存在も民兵宇宙軍の出現や全球大惨事の発生の原因。バイオイド・ハーフとこの組織さえ居なければ平和だった。

※7:警察組織のデータベースに襲撃を行った個体のDNAデータが残っており、万物弥栄の会メンバーの祖先であることが判明。やはりGNOは自分たちの目的のためなら手段を問わない奴らだな!

※8:GNOの危険性に感づき、その排除を掲げて活動する議員派閥。感づいて行動を起こしてはいたが、彼らの予想を超えて事態は悪化しつつあった。

※9:バイオイド・ハーフを生み出すコロニーがそのままGNOのコロニーと言う形で呼ばれるようになった。「バイオシティ」などと呼ぶ場合もある。

※9.5:すでに憲兵団突入の頃にも自己進化していたようで、「新生児の離巣性を維持しつつも妊娠期間は従来の約半分にまで短縮」、「性成熟に至るまでの成長速度を従来の約2倍に引き上げることに成功」、「非バイオイド系との交配によって起こる不具合をほぼ全て解消」、「驚異的なレベルで肉体改造が施されたにも関わらず致命的な副作用は存在しないも同然」(※GNO側資料から一部修正して抜粋)という、この時点で解き放たれればやばいことになるのは明らかであった。

※10:胎児強奪作戦(本資料表記)から鎮圧作戦が行われた時期までにGNO側資料タイムスケールで十数年の年月が経っている。一応本資料のタイムスケールもそれにあわせている…ということになる。ちなみに密告段階では具体的な数字として9年前に胎児強奪作戦が行われていた。

※11:GNO側資料の供述によれば実際に肉体改造手術の許可が下りたのは若年層に限られていたとあるが、少なくとも30代までなら施術に対する適正があると考えてよいだろう。

※12:……まぁ、勘のいい奴ならわかるだろう。ニュールーマニア帝国の幹部であるGNOが地球製の機動兵器に倒されてる時点で懸念は現実のものとなった。まぁ、当然である。
最終更新:2020年06月04日 06:05