あなたは今、一人の少女に迫られていた。
「さあ、眷属よ! 私と儀を交わし、正式に私の眷属になるのだ!」
既に眷属と呼んでいるのに更に眷属になれ、とは。
あるいは、逃すつもりはないということか――
「ククク……フハハハハッ!」
――少女の名はドラクル。
赤い髪と黒いマントを靡かせ、笑いながらあなたの前に現れた。
開いた口からは、鋭い牙が覗いている。
これ以上ない程に、いかにも“私は吸血鬼です”という主張が強く現れたスタイルだった。
「とうっ!」
そして少女は、やや高い場所から飛び降りる。
だが現実はアニメや映画のようにカッコ良くは決まらず、
まずマントが思いっきり反り返り、次にスカートが捲れて白い子供用の下着が丸見えになる。
それを抑える為に手を下げればバランスを崩し、彼女は膝を擦り剥いた――
「おい、眷属ー? 聞いているのか!?」
――その手当てをした結果、今こうして懐かれている(?)というわけだ。
そしてどうやら、あなたを“眷属”にしようとしているらしい。
さて、どうしたものか。
最終更新:2016年06月04日 16:13