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第2話 前編
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ストーリー
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なんだあいつ 知り合いか? |
| アハト | |
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知り合い……のはずだが |
| デ・スザーク | |
| 白い髪 聞き覚えのある声 カノンと呼ばれていた少女……のはずだ | |
| カノンは崩れた石材を避け 二人へゆっくり近づく | |
| 見慣れない二人を 値踏みするような目で見ていた | |
| 背筋を伸ばし 視線を逸らさぬ姿も デ・スザークの知るものと同じ | |
| だが、その目には 誰かを失う恐れも 守るための焦りもない | |
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私の質問が聞こえなかったの? 貴方達は、誰なの? |
| カノン | |
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……私を知らぬのか |
| デ・スザーク | |
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知らないわ |
| カノン | |
| 背後で爆発が起きる ホウエイルの建物が崩れ 避難する人々の悲鳴が響く | |
| カノンは振り返らない | |
| 崩れた建物から 助けを求める声が聞こえても その冷たい目は二人だけを捉えている | |
| 爆風が白い髪を揺らしても 眉一つ動かさない | |
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見てみぬふりか? 私の知るお前は、この状況で ここまで冷静にいられる者ではないはず |
| デ・スザーク | |
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貴様は、この場所で 多くの者と共に闘ったはずだ |
| デ・スザーク | |
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私が? |
| カノン | |
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――記憶にないのだわ |
| カノン | |
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……【プレイヤー】のことも 覚えていないのか |
| デ・スザーク | |
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誰のこと? |
| カノン | |
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(どういうことだ ……これもガ・リュミーズの 力の影響か?) |
| デ・スザーク | |
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あの街、壊れてるぞ ここはお前達が過ごす場所じゃないのか? |
| アハト | |
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それが、何? 神々が降りるのなら 古い器が壊れることくらいあるでしょう |
| カノン | |
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私の目的は、感情を無くし 争いを無くす ――全てをゼロにすることだから |
| カノン | |
| カノンが片手を上げると―― |
| 空を引き裂くように 巨大なクリーチャーが姿を現した |
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こいつ、何だ!? カードも使わずにクリーチャーを 呼び出したぞ!? |
| アハト | |
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今の我らが相手をするには分が悪い ここは退くぞ |
| デ・スザーク | |
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魔凰が逃げるのか? 戦士なら闘うべきだろ! |
| アハト | |
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私に力が戻っていれば話は別だが お前には奴を倒すだけの力はない 目的を忘れるな |
| デ・スザーク | |
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……くそっ |
| アハト | |
| 二人が道を変えようとした時 白い光が退路へ突き刺さる |
| これは異なことを | |
| ウェディング | |
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我らゼニスの領域へ踏み込みながら 生きて帰れると? |
| ウェディング | |
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(このクラスの存在を 呼び出せるのか、あの小娘は!) |
| デ・スザーク | |
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ウェディング あの小さな鳥さんは 私のことを知っているみたい |
| カノン | |
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カノンの名を軽々しく口にする者には 礼を教える必要がありそうですね |
| ウェディング | |
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(奴の光が触れただけで 黒い翼の縁が白く崩れた 今の私では一撃すら受け止められん) |
| デ・スザーク | |
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走れ! |
| デ・スザーク | |
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言われなくても! |
| アハト | |
| 二人は崩れた建物の隙間へ飛び込み 光の追撃をかわして姿を消す | |
| ゼニスの腕が振り下ろされ 通り一つが瓦礫へ変わる | |
| デ・スザークは崩落の直前に 細い路地を選んで飛び込んだ | |
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逃げてしまったのだわ |
| カノン | |
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……いずれ見つかるでしょう どうせ、この場所に 逃げ場はありませんから |
| ウェディング |
| ――しばらく後 | |
| 二人は倒れた塔の陰で ようやく足を止めた | |
| 先ほどまで通れた街路は ゼニスの一撃で途切れている | |
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追ってこないな ……俺の力は、取るに足らないって 判断されたってことか、クソ |
| アハト | |
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くっ……私に全ての力が 戻ってさえいれば…… |
| デ・スザーク | |
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ははっ そうだったら俺も こんなに逃げる必要はなかったな |
| アハト | |
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貴様、私のことを本当に 鳥だと思っているな…… |
| デ・スザーク | |
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いや、だってさ こんな丸っこい魔凰なんて 信じられないだろ |
| アハト | |
| アハトの笑いは長く続かない | |
| 遠くで崩れた建物を見て すぐに声を落とす | |
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……それより ここで起きていることに覚えはあるか |
| アハト | |
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マスター候補生といい さっきの女といい 見覚えがあるのはお前だけだ |
| アハト | |
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未来のどこかの時間の 出来事なんじゃないのか? |
| アハト | |
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こんなものに見覚えはない ……だが、似た状況は知っている |
| デ・スザーク | |
| デ・スザークは これまで通ってきた場所を思い返す | |
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実験施設でノインと出会い 地上でマスター候補生に囲まれ ホウエイルが戦火に見舞われる |
| デ・スザーク | |
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……恐らく、場所と出来事は ノインが辿った順に進んでいる |
| デ・スザーク | |
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だが、人間どもの状態だけが 大きく異なるようだ 誰も、私のことを覚えていない |
| デ・スザーク | |
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奴は、ノインの過去を使っている これは間違いないだろう |
| デ・スザーク | |
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……はっ 俺もその過去の遺物ってわけか |
| アハト |
| その言葉に応えるように 街の各所から青い炎が立ち上がる | |
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これは……強力な魔導具の反応だ! |
| デ・スザーク | |
| 各地からあがる炎は 繋がり、一つの巨大な円を描き―― | |
| ホウエイルの上空に 巨大な魔法陣が浮かび上がる | |
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この術式…… |
| デ・スザーク | |
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ノインが、認識阻害を ホウエイル全体へ広げた時の 術式に似ている |
| デ・スザーク | |
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じゃあ、あの女も 同じことをするつもりか? |
| アハト | |
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逆だ 恐らく…… |
| デ・スザーク | |
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奴は、あの術式を逆に使い 書き換えた過去を ホウエイル全体へ広げている |
| デ・スザーク | |
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そして、その過去を 今の現実にしようとしている |
| デ・スザーク | |
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もっと分かりやすく言ってくれ 要は、過去を変えようと しているってことか? |
| アハト |
| 魔法陣が脈打つ | |
| そのたびに翼が透け 向こうの建物が見えるほど デ・スザークの身体は薄くなる | |
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ぐっ……! |
| デ・スザーク | |
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完成したら……俺達はどうなる |
| アハト | |
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この時間が現実に固定されるだろう |
| デ・スザーク | |
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私は消え 私を知らぬノインだけが残る |
| デ・スザーク | |
| 轟音が言葉を遮る | |
| 凶鬼の群れが街路へ溢れ 逃げる者達を追い立てる | |
| 次の瞬間 夜空が白昼のように輝いた |

| 何だ、あれは…… | |
| アハト | |
| 巨大な光の龍 サッヴァーク | |
| 翼が動くだけで街が軋み 光の剣が、凶鬼に着弾していく |
| ――更に、 光の龍と対をなすように 反対側から膨大な水流が噴き上がる | |
| 水流の中心で 一人の少女が両腕を広げている | |
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この力、ホウエイルそのものか 奴はホウエイルの化身か!? |
| デ・スザーク | |
| ホウエイルに蓄積した魔力が 戦線を呑み込み サッヴァークの光と正面からぶつかる | |
| 強大な力同士の激突は 眼下の街を揺るがし、 余波で砕いていく | |
| そこへ、更にゼニスまでもが 攻撃を重ね ホウエイル自体が崩れていく | |
| 三つの力がぶつかるたび 街が崩壊していく | |
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これが、現実になる だって……? |
| アハト | |
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時間を操るなどというものではない これは……時の理の破壊だ |
| デ・スザーク | |
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物事の因果まで 崩壊させているというのか…… |
| デ・スザーク | |
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こんなものを現実に固定させたら 何が起こるか分からないぞ! |
| アハト |
| 魔法陣がまた脈打つ | |
| そのたびに新たな破壊が現れ デ・スザークの輪郭が薄くなる | |
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なぁ、ノインはどこに居る! ずっと一緒にいたんだろ 行先くらいはわかるんじゃないのか? |
| アハト | |
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私とノインがホウエイルへ来た目的は 魔導具を奪うためだ しかし……今の奴は目的を果たしている |
| デ・スザーク | |
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……時間だけを追うなら 次は光文明の拠点だ |
| デ・スザーク | |
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奴はそこでこの術式の 完成を狙っているはずだ |
| デ・スザーク | |
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あの結晶でできた場所か ……この戦場を越えていく必要があるな |
| アハト | |
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行くぞ 我らに残された道は進むことだけだ |
| デ・スザーク | |
| デ・スザークは 激しい力の衝突が起こる場所へ向かって飛ぶ | |
| 消えかけた翼を 必死に羽ばたかせて ノインを目掛けて、進む |











