神殿に向かう者たち

放送直前

「う~ん、そろそろ夜じゃのう」
ゼニスは軽く背伸びをすると、山頂から下界を見渡す。
「あの神殿で夜明かしさせてもらうとするかのう、腹も減ったことじゃし」
そうしてデニスは赤い傘を振りまわしながら、下山していった。

そしてその頃、神殿北部湖のほとりでは。

「そうですか…ファリスは最後にそんなことを」
命からからクレバス多発地帯から脱出した、バッツたちだが、ここで思わぬ人物と出会う事が出来た。
そう、水の巫女エリアである。
彼女はバッツたちを追う途中でやはり足を滑らせ、身動きが取れなくなっていたところに、
引き返してきたバッツたちが通りがかったのだ。

最初はバッツはエリアの言葉になかなか耳を貸そうとはしなかった。
相次ぐ仲間たちの死に、多少猜疑心が強くなっていたのだ、
だが、必死で訴える彼女の言葉には嘘はないように思えたし、
それに、あのファリスがシルドラを託したのだ、信じるに足りるだろう。
「土の戦士の反応もすぐ近くです、おそらくあの城の中でしょう」

本来はこのまま祠まで戻るつもりだった、しかしすぐ近くに自分と同じ宿命の戦士が
いるとなれば話は別だ、それに夜中の行軍は正直避けたい。

「そうか、だがあの城まで行くのもまた骨だな」
直線距離としては目と鼻の距離だが、実際は森の中を大きく迂回していかねばならない。
先ほどのクレバスの例もある、と、ここでクーパーの声がする。

「ここから渡れそうだよ、ほら、氷が張ってる」
クーパーの言葉通り、湖には氷が張っていた、バッツは氷を叩いてその強度を確認する。
「これなら歩いて向こう側まで渡れそうだな、行くか」
バッツは自分たちの身体をロープで結びつけて命綱にすると、自分が先頭に立ち
クーパーとエリアを導くように、先へと進んでいった。

「あの城についたら、お食事にしましょう、あれだけ大きければ台所もあると思いますから」
最後尾のエリアの言葉に笑顔で応じる先頭の2人。

しかしエリアは気がついていなかった、つい先ほど崖から転落したときに、
バックの中で毒薬のフタがわずかに緩み、そこから漏れ出した液体が、彼女の所持している
食料を全て汚染しているということを。
不運なことにこの毒薬は速乾性で、染み出したそばから次々と乾いていき、
その結果、彼女はその事実に気がつくことはなかった、
もっとも、仮にここで荷物を改め、
知識のあるものが入念に調べれば、あるいは気がついたのかもしれないが。

クーパーが先頭でバッツ、エリアと続く一行は湖を無事渡り終えた後、わずかばかりの森林地帯
を抜け、砂漠に到達した。
そこからはバッツとクーパーは身を寄せ合いながら歩いていた。
「私も交ぜてもらいたいんだけど?」
エリアが夜の中で大きく伸びを繰り広げると、クーパーがあくびをした。
途端に風が吹きだしたのでエリアは縮こまって身震いする。
「この寒いのによく欠伸がでるわねえ」
「エリアさんこそ、まるで春が来たみたいにさ」
「はは、実は俺も」
バッツもつられてかクーパーの肩の上で大あくび、と同時にくしゃみ。
散々クレパスに悩まされ続けた三人の目には、砂漠地帯は危険度の格段に低い地形に写ったのだった。

「でも不思議ですね、こんな地方に砂漠だなんて」
「このゲーム自体あり得ないような事だしな、こういう場所があっても何とも思わなくなってきた」
バッツが辛そうにまたも口を開けると、
「もが!?」
「しっ、何か聞こえなかった?」

「別に何も」
クーパーの言葉に、そう、とエリアがバッツの口から手を離す。
「いきなりでごめんなさい」
ようやく息を吐き出して前屈みでエリアを見つめるバッツ。
「今のはあくびだったんだぜ」
「うん、だからごめん」
エリアは何事もなかったかのように言うもので、バッツは頭を掻きむしった。
それから勝手にうなずいて、遠くを見つめているクーパーとエリアの後ろにそっと回りこむと、
二人の背中をとん、と押した。
二人は驚いて前につんのめりそうになる。共にバッツと顔を見合わせる。
「びっくりしたぁ~」
「驚かさないでよ」
「いや、いきなりで御免」
バッツは膨れっ面をする巫女と勇者に不敵な笑みで答えてやったものだ。


そしてそれからしばらく時間が経過して神殿南部の山地。

ソロが剣を構えて、周囲の気配をうかがっている。
ただしその構えだが、いつもの剣を中段に抜いて構えるのではなく、
納剣したままでの、腰溜めの構えだ。
そしてそのままピクリとも彼は動かない、吹きすさぶ風の音がただ鳴り響くのみ。
その肩に1枚の枯葉が触れたその時だった。
彼の前後左右から、次々と礫が投げられる、目が見えない、いまのソロでは避けきれないと思われた。
しかし、その瞬間、その右腕が閃いたかと思うと、礫は全てソロの剣によって斬り払われていた。

そして、ソロの背後から拍手の音が聞こえる、拍手の主はテリーだった。
先ほどの礫はテリーが投げたものだったのだ。
「凄い!凄いよ!目が見えないのにどうして?」
「見えないから、かな?何だかこの方が気配とか良く分かるんだ」

そう、見えないものを嘆いても仕方が無い、
最初から無いものと割りきって戦えば、少なくとも接近戦では遅れをとる事はないだろう。
もちろん、そうやって即座に戦闘モードを切り換えることができたのは
ソロの戦士としての素質と鍛錬の賜物なのだが。

ただし魔法攻撃に関しては気配だけで目標を確認するには無理がある上。
それに直接攻撃にしても、視覚による修正が利かないということは、残りの感覚を研ぎ澄まし、
すなわち出来るだけ一撃で相手を仕留めなくてはならない。
納剣したままの特異な構えも、それを意識したものだ。
それは俗に居合と呼ばれる、実践剣術の構えそのものだった。

2人の身体を寒風が吹きつける、このまま野外にとどまるべきではないだろう。
早く寒さを凌げる場所を見つけなければ。
「そろそろ寒くなってきたけど、どこか休める場所を探さないといけないなあ」
「大丈夫、近くにお城があるよ」
「だったらとりあえず、その城へ入ろうか」
「じゃあ、ついてきて」
テリーはソロの手を引きながら草原の中を歩いていった。

【ゼニス 所持品:アンブレラ 羽帽子?
 第一行動方針:神殿へ行く
 基本行動方針:物見遊山】
【現在位置:神殿南の山地を下山中】

【バッツ@魔法剣士(アビリティ:時魔法)
 所持品:ブレイブブレイド
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 基本行動方針:非好戦的だが自衛はする
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【クーパー 所持品:天空の盾
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【エリア 所持品:ミスリルナイフ 加速装置 食料2ヶ月20日強分&毒薬
         水1,5リットル×2 小型のミスリルシールド フィアーの書×7
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
【現在位置:神殿北の砂漠】
※エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能

【テリー 所持品:なし
 第一行動方針:神殿に入る
 基本行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る】
【ソロ(暗闇もしくは失明)
 所持品:エンハンスソード イリーナの会員証 スーツケース核爆弾
 第一行動方針:悪い奴を倒すor勇者になる
 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
【現在位置:神殿南の山地南端】


←PREV INDEX NEXT→
←PREV エリア NEXT→
←PREV バッツ NEXT→
←PREV ゼニス NEXT→
←PREV ソロ NEXT→
←PREV クーパー NEXT→
←PREV テリー NEXT→

最終更新:2011年07月18日 07:56
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。