話は続く。
戻ってきた
デスピサロ、アルス、
クーパーも輪に加わり、
お互いの世界のそれぞれの冒険を語り合う。
終わった物語があって、まだ続いていく物語があった。
手に入れたものがあって、手に入れなきゃいけないものがあった。
だから、誰もが思う。帰ろう、と。
失ったものはもう元に戻らない。消えた空白を一生抱えなきゃいけない。
それでも、続きを生きたいという願いだけは、ここにいる誰もが共有しているはずだった。
いや……その少女だけは、違っていたのかもしれない。
何故なら記憶を失っていたから。度重なる苦難に、彼女は中身を損失していた。
けれど、最初に立ち上がったのは他でもない、その少女だった。
「行こうよ。思い出話は……もう……おしまいっ」
皆が、それぞれの表情で頷き、立ちあがる。
その表情に、もう迷いはない。
「さて、では
ゾーマを倒しに行くでござるよ」
ライアンは力強く立ち上がる。
「うん。ちゃちゃっとすませましょ」
エーコはさらっと言ってのける。
「そろそろスピラに帰るか。まだやる事が残っているからな」
アーロンは
バスターソードを背負う。
「ああ。いい加減みんなも心配してるだろーし」
ティーダは背伸びをしながら気楽に言う。
「そうだねぇ。でも大丈夫、
リュックにお任せっ!」
リュックもそれに倣う。
「うん、頼りにしてる。やることがあるからガンバれるよね」
エアリスも笑顔を浮かべる。
「お気楽なもんだなぁ。けどまあ沁みったれるよりはいいか」
バッツは頭を掻きながら笑い、
「貴方も相当だってレナお姉ちゃんは言ってたよ」
バーバラがそれに突っ込む。
「でも、絶望に負けないことは大切だと思う」
ティナの誓うような言葉に、
「ああ。こんな状況でも何とかなると思えるからな」
エドガーは同意する。
「死にに行くわけじゃない。そう思えば戦うことは恐くない」
そうやって生きてきたとんぬらに、
「一人で出来ることは少ない。しかし共に歩く者がいれば別だ」
パパスは諭し、
「みんな一人じゃないから。私もみんなの力になる」
アニーは父の手を握りしめる。
「………」
そんな家族を守るように、
アイラは無言で立ち上がる。
「勝算が測れない戦いは好みではありませんが」
サマンサは肩を竦め、
「それでも、避けられぬ戦いというものはある」
デスピサロは冷たく言い放つ。
「倒すべきはゾーマ。奴を討たない限り、先はない……!」
アルスの闘気が篭った宣言に、皆が頷いた。
クーパーは立ち上がると、
リディアに向き直った。
絢爛豪華な武具を纏う少年に、少女は思わず息を飲む。
「リディアはここで待っていて。この先は、僕たちだけで行く」
「……でも!」
「大丈夫、ゾーマを倒して迎えに来るから」
「……でも」
「絶対だよ。約束だ」
そう言って、小指を差し出すクーパー。
何を言いたいのか気付いて、おずおずとリディアは小指を絡める。
――――ゆびきりげんまん うそついたらハリセンボンのます ゆびきった
「青春だな。ま、仕方ない……足手まといはここで祈るか」
デッシュは苦笑した。苦笑するしかなかった。
自分はエンジニアだ。壊す側ではなく、作る側の人間だ。
だから、戦うのは自分の役目ではないし、戦えないことを卑下するつもりもない。
けれどこの時ばかりは、武器を持てない自分が嫌になる……
そうして、戦えるものは先に進み、
戦えないもの……リディア、デッシュは部屋に残った。
ゼニスはその一部始終をただ眺めていた。
語るべきこともなく、為すべきこともない故に。
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし】
【デッシュ 所持品:アサシンダガー
加速装置 裁きの杖 首輪×5】
行動方針:待機】
※チョコボがいます
【ゼニス 所持品:
アンブレラ 羽帽子? 行動方針:最後まで物見遊山?】
【現在位置:ゾーマの城】
最終更新:2011年07月16日 22:35