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どめいん顛末記 - (2007/05/24 (木) 20:17:12) の1つ前との変更点

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●どめいん顛末記 ●プロローグ  2007年2月3日。この日、わんわん帝国に動員令が下された(いや、にゃんにゃんもだが)。  それは同時に、越前藩国お取り潰しの危機も意味していた。  金がない。人も少ない。I=Dもない。  えーと食料も結構やばいから、なるべく犬士を出して節約して、それでも合計32名分だから不足18名分で追徴金がうわあぁぁあ! ってなもんである。  やばい。本気でうちの藩が潰れる。  なんかないか。金になるネタはないか。  ふと、手元の自宅サーバの設定に目を向ける。そこには、仮設のIRCサーバを立てていた。  IRCとチャットCGIの間にゲートウェイを作ってみようと実験していて、このサーバ名をてけとーに"irc.wanwan-empire.net" などとでっち上げていたのである。  ドメイン名。  "http://echizen.wanwan-empire.net/" ってURLや、"echizen@wanwan-empire.net"なんてメルアドが使えたら、面白くないか?  そして、URL転送サービスを各藩国に提供して、尚書省から報酬をもらえるなら……。  "wanwan-empire.net" と "nyannyan-republic.net"をドメイン検索。幸い、どちらも未登録だ。  やるか。  やれるのか? ●根回し 「越前さーん、こんなアイディアどーでしょう?」 「やってもいいが、ドメイン名を取るまえに芝村氏の内諾を取っといたほうが」  そりゃそーだ。アイドレスの商業展開で使う可能性だってある。  『セントラルチャットで芝村氏捕まえて』とも思ったが、ドメイン名の登録確定前にアイディアが漏れるのはまずい。というわけで、mixiのメッセージで聞いてみた。 1)私がこれらドメインを取得して、何か問題はないか?」 2)各藩国へのサブドメインを提供(というか、むしろURL転送サービス)した場合、ゲーム上で何か利益は認められるか?  「この二つのドメイン名を占有・転売する意図はない」「ドメインの所有権自体は芝村氏に渡してもいい」と、こちらの意図も申し添える。  回答は早かった。 1)「なにもないですよ。」うわ、あっさり。 2)「あるかもしれませんが、短期ではないので急ぐ必要はないです。 」  あるかも、か……、うーん微妙。というか、サービスの実績見てから決めるのかな?  私にどこまでできるか、試される。  うーんうーん……えーいとってしまえーー! 話はそれからだーーー!  ドメイン1つ、年間維持費で700円。プラス、管理用CGIの年間利用料、100円。  年間1500円で二つもらえるなら悪くないや。と思う事にする。  覚悟完了。契約。 ●無知は罪  ところで黒埼、この時点でドメイン名管理の経験はゼロである。  以前はIT業界に身を置いてたりもしたので、ドメイン名やDNSサーバの役割なんかは、だいだいわかる。 だいたいわかるので、「"wanwan-empire.net" を取りさえすれば、"echizen.wanwan-empire.net"なんかも自由に使える」と考えていた。甘かった。  「ドメイン名の登録」と「その運用」はまったく別物だったのである。  この辺で、「ドメイン名」と「DNS」、それと「IPアドレス」の関係について、一通りの説明をしておこう。  まずは「IPアドレス」から。  インターネットにつなげられたコンピュータは、全て「IPアドレス」と呼ばれる番号をつけられている。"219.94.***.***"とかなんとか、よくわからんけどそういう数字を見た事ある人は多いと思われる、あれだ。ぶっちゃけ、電話番号みたいなもの。インターネット上の通信は、全てこの「電話番号(みたいなもの)」で相手を決めて、行う。 なので、ホームページにアクセスしたりする場合、実はこういう番号を見えないところで使っている。  でも、これじゃ不便だ。Yahoo!にアクセスしたいのに、いちいち"203.216.なんたら"と数字を暗記できるほど、少なくとも私の頭はよろしくない。Yahooだけならまだしも、ネットの海は広大なのよ?  なので、「ドメイン名」という、人間にわかりやすい名前を使う。  "tendice.jp"というドメイン名のIPアドレスは何番、と決めて、アクセス時にドメイン名からIPアドレスを引っ張って使う。言わば電話帳だ  この電話帳がDNS、Domain Name Service サーバと呼ばれるコンピュータ。  ブラウザからホームページを開く度に、その裏側では「blog.tendice.jpって何番?」「あーそれはこの番号」という問い合わせをやってるんである。  だが、さっきの「ドメイン名の登録」っていうのは、この例えで言うなら「"wanwan-empire.net"って名前は私のもんだー!」っていう宣言をしただけだったんである。  住民票に名前を登録して、電話の契約を済ませてなかった。そんな感じ。  浅はかなり黒埼。 ●DNSサーバはどーこだー  普通、ドメイン登録代行を行う業者が取得したドメインを即使えるように、この辺のDNSサーバやWebサーバ、ついでにメールサーバなんかも自前で運営し、顧客にサービスとして提供する。これは大概別料金。そもそも登録代行を無料にする代わりにサーバ提供で金を取る業者もある。その逆もある。  で、私が選んだ業者は、このサーバ運営に1ヶ月3700円。サーバ1GB&メールアカウント200個。  ……この額はちょっと……アイドレスのゲーム期間限定なら……いやそれもあんまり……メルアカ200個も使わな……いやむしろ足りない可能性も……?  ちょっと、いやかなり悩む。手弁当の域を超えてる気がする。  そして更に問題。この会社のサービス、サブドメインが使えなかった。  つまり、"wanwan-empire.net" でホームページへアクセスするのはいいんだけれど、"echizen.wanwan-empire.net"などと、コブの付いた名前はダメだったんである。  マジデスカー??  ここでまた説明。  サブドメインというのは、階層構造を為すドメイン名の枝葉である。わかりにくいな。  今まで、ドメイン名とIPアドレスを「電話番号とその名前」という対比で例えてきたが、今度は「住所」で例えよう。  東京都千代田区千代田なんたら、という住所がある。この場合、「千代田区」は「東京都」に属し、「千代田なんたら」は「東京都千代田区」に属する。「千代田区」は「品川区」だったり「渋谷区」だったりもして、それらはやっぱり「東京都」に属する。これが名前の階層構造。  ドメイン名も同じだ。"yahoo.co.jp"だったら、この"co"は"jp"に、"yahoo"は"co.jp"に属する。  "yahoo"という名前は"co.jp"さんに頼んで付けてもらったサブドメインだし、 "co"は"jp"さんに頼んで登録したサブドメインなんである。  だから、"echizen.wanwan-empire.net"と、さらに上につける名前は私が勝手に決められる、とばかり思っていた。  うん、それ自体は間違っていない。  でも、つけた名前を電話帳に載せて運用するのは、サーバを持ってる会社である。そこが「そういう事はしません」つったらダメでした。  ヤバイ。「サブドメインを各藩に提供」というそもそもの前提が崩れる。  つーか、登録する前にそれくらい調べなさいよバカ! 自分のバカ! ●忙しいのに放浪の旅  とはいえ。「ドメイン名」自体は私のもの。ドメイン名の取得だけここで済ませて(てか契約しちゃったし)、「運用」は他の会社を探せばいい。  動員令の準備をしつつも、しばらくネット上をさまよう事になった。これが結構大変だった。  「サブドメインを安価に沢山使える」というDNS運用サービスは、非常に少なかったんである。  サブドメイン登録1回1000円也ぃなんてのもあって、ちょっと引いた。  おまけに、黒埼の知識不足も足を引っ張った。AレコードとかMXレコードってなあに?  あわてて勉強し、やっと「サブドメインの登録」と「(ホームページの)URL転送」「(ホームページの)フレーム転送」の違いについても理解した。ああ、URLにアクセスしたら、なぜか即別のURLに飛ぶ奴。あれDNSの仕事じゃなくて、Webサーバでやってたのかあ。  自宅でDNSサーバを運用する、というのも考えた。空いてるパソコンにLinuxにインストールしてBIND(DNSサーバのソフトウェア名。インターネット上のDNSサーバは大概これ、らしい)起動して、ついでにメールサーバも立ち上げてしまえば、数の制限はどーとでもなる。が、これも結構費用はかさむ。  まず電気代。試しで計算してみたら月1000円とか2000円とか。  これだけじゃない。自前でDNSサーバ運用となったら、「固定IPアドレス」が必要だ。  IPアドレス=電話番号と例えたが、ちょっとこれは語弊がある。  一般の人がインターネットにアクセスする場合、実はこの番号は毎回変わる可能性がある。IPアドレスって奴は桁数が固定で有限なので、これを有効活用するために結構使いまわしているのだ。  Yahooとかtendiceとか、サービスを提供する側がしょっちゅう番号変わるとまずいんで、これらのIPアドレスは固定されている(都合により変更することはあるが、頻度は年に数回とか)。でも、ただインターネットにアクセスしたいだけで、他の誰かにサービスを提供する事のない一般の人たちは、多少番号が変わったって問題がないので、こういう仕組みで番号を使いまわす。  でも、DNSサーバを提供するとなったら固定IPじゃないとまずい。  電話番号を聞こうと104番にかけたら、「実は今日から104じゃなくて307でした。その番号は別に誰にも教えてません」なんてなったら、「舐めんなよてめー?」ってなもんだ。  DNSは、DNSサーバ同士がバケツリレーみたいにその登録情報を教え合っていく、という仕組みがある。DNSサーバが世界に1台だったらアクセスが集中してえらいことになるが、だからといって世界中のDNSサーバを人の手で設定するのも大変なんで、こういう仕組みになっている。場合によっては、1回の変更が世界中へ伝播するのに2・3日かかったりする。 (実は以前、アルファシステムのHPがこのトラブルに巻き込まれた事があった。復旧に時間がかかったのはこのせい)  そういうわけで、DNSサーバを名乗る以上、固定IPじゃないと都合が悪いのだ。  でもって、うちで契約しているプロバイダの「固定IPサービス」は月1000円。  月2・3000円のコストを払い、かつ運用に全責任を持つ。おちおち停電もできない。  空いてるパソコンぐらいはあるが、無停電電源装置までは持ってないぞ、私。  サブドメインの数の制限が無くなるとはいえ、DNSサーバ運用は黒埼にとって未知の領域(いや、大概はそーだろうが)。前述の理由で、その運用の実際は厄介な問題も待ち構えてそう。素人が手を出していいものか。  うーん、迷ったけど、自前DNS案はボツ。  多少金がかかっても、ちゃんとしたホスティング会社を選ぼう。  さんざん Google検索使い倒して、いつのまにか海外の無料サービスに突き当たったり(でも「無料だけどそれなり貢献しろよ」とか書いてる。英語でー? めんどくさー)。  そろそろ、「なんでアイドレスのためにここまで苦労せにゃならんの?」と微妙に挫けたりもし始めた。  てゆーか動員令がー作戦案がががー。  怒涛のゲーム展開で数日作業を中断したり、さんざんGoogleで探し回ったり。この「ホスティングサービス選び」で実に5日くらいかかった。  結局、「半年1800円、サブドメインによるURL転送は最大20個、メールアドレス100個」というサービスを見つけて契約。なんか当初の年間1500円より随分増えて来た気もするけど、まあこれくらいならなんとか。  「URL転送は最大20個」というのがちょっと不安だけど、サブドメインからの転送はDNSでなくWebサーバで実現するものなので、足りない分はいざとなればここは自宅サーバ(かつ動的IP)でもなんとかなるし、それでだめならもう1契約増やすのも已む無し。  ひょっとしたらもっといい会社があるかもしれないけどー、もーいい。疲れた。動員令が作戦案が(略)。  藩国は全部で40カ国くらいあるけど、こんなマニアックなサービスをうちに申し込むところはそういないだろーはははー、と希望的観測でタカをくくる。腹もくくる。 ●メール管理者の権限と責任  とりあえず、サブドメインからのURL転送はメドがついた。メールアドレスもこれらドメインで発行できる。  と、そこではたと気付く。ここの会社のメールサービスだと、メール管理者がその内容を全部読めてしまうのである。つまり私が。  うわちょっと。それはやばい。  他のメールアカウントへの転送なら、サーバにメールは残さないこともできる。残すこともできる。その選択に必要な個々人のパスワードを、メール管理者はわかる。ダメじゃん。  転送先のメールアカウントも私は知ってしまう。ダメダメじゃん。  メールは必ず暗号化してもらう。転送先のメルアカを知るのは仕方ないから、Hotmailやgooあたりの無料サービスで捨てアカウントを用意してもらう……とか。  いや、少なくともHotmailは暗号メールの復号に対応していないし、外部からの(復号できる)POPクライアント接続も無料サービスでは許していない。何より、いちいち暗号化とか面倒くさい。使い勝手が悪い。  あー、メールアカウント発行はボツかなー。  諦めつつ、他の手段を探してみた。 ●灯台下暗し  あった。  自分でドメインを持っている事が条件だが、メールアカウント50個までOKで(申請が通れば更に増やしてくれるらしい)、メール管理者はユーザのパスワードを知ることはなく、メールサーバの中身も覗けない。うん、これなら使える。  ついでに独自ドメインでサイト1個公開できて、みんなで共有できるスケジュール管理機能、ブラウザ上使えるメッセンジャー機能まである。しかも無料。  ネット界の巨人 Google社のサービス、"Google Apps for Your Domain"である。  ここまで散々検索に使ってきたGoogleの、その会社自体が、こんなサービスを提供していたのだ。  ずっこけた。もんどりうって倒れた。 (ここまでの各社のサービスについては、なんか無駄に宣伝協力するのも癪なんであえて名前を伏せていたが、これはびっくりしたし、みんな知ってる会社だし、というわけでヨイショしとく)  でもベータ版。ベータ版サービスなので、完全なサービス品質は保証しないらしい。いやでも、この内容なら!  あー、IT業界から離れてると、こういう情報に疎くなるもんだなあ、と感慨にふける。
●どめいん顛末記 ●プロローグ  2007年2月3日。この日、わんわん帝国に動員令が下された(いや、にゃんにゃんもだが)。  それは同時に、越前藩国お取り潰しの危機も意味していた。  金がない。人も少ない。I=Dもない。  えーと食料も結構やばいから、なるべく犬士を出して節約して、それでも合計32名分だから不足18名分で追徴金がうわあぁぁあ! ってなもんである。  やばい。本気でうちの藩が潰れる。  なんかないか。金になるネタはないか。  ふと、手元の自宅サーバの設定に目を向ける。そこには、仮設のIRCサーバを立てていた。  IRCとチャットCGIの間にゲートウェイを作ってみようと実験していて、このサーバ名をてけとーに"irc.wanwan-empire.net" などとでっち上げていたのである。  ドメイン名。  "http://echizen.wanwan-empire.net/" ってURLや、"echizen@wanwan-empire.net"なんてメルアドが使えたら、面白くないか?  そして、URL転送サービスを各藩国に提供して、尚書省から報酬をもらえるなら……。  "wanwan-empire.net" と "nyannyan-republic.net"をドメイン検索。幸い、どちらも未登録だ。  やるか。  やれるのか? ●根回し 「越前さーん、こんなアイディアどーでしょう?」 「やってもいいが、ドメイン名を取るまえに芝村氏の内諾を取っといたほうが」  そりゃそーだ。アイドレスの商業展開で使う可能性だってある。  『セントラルチャットで芝村氏捕まえて』とも思ったが、ドメイン名の登録確定前にアイディアが漏れるのはまずい。というわけで、mixiのメッセージで聞いてみた。 1)私がこれらドメインを取得して、何か問題はないか?」 2)各藩国へのサブドメインを提供(というか、むしろURL転送サービス)した場合、ゲーム上で何か利益は認められるか?  「この二つのドメイン名を占有・転売する意図はない」「ドメインの所有権自体は芝村氏に渡してもいい」と、こちらの意図も申し添える。  回答は早かった。 1)「なにもないですよ。」うわ、あっさり。 2)「あるかもしれませんが、短期ではないので急ぐ必要はないです。 」  あるかも、か……、うーん微妙。というか、サービスの実績見てから決めるのかな?  私にどこまでできるか、試される。  うーんうーん……えーいとってしまえーー! 話はそれからだーーー!  ドメイン1つ、年間維持費で700円。プラス、管理用CGIの年間利用料、100円。  年間1500円で二つもらえるなら悪くないや。と思う事にする。  覚悟完了。契約。 ●無知は罪  ところで黒埼、この時点でドメイン名管理の経験はゼロである。  以前はIT業界に身を置いてたりもしたので、ドメイン名やDNSサーバの役割なんかは、だいだいわかる。 だいたいわかるので、「"wanwan-empire.net" を取りさえすれば、"echizen.wanwan-empire.net"なんかも自由に使える」と考えていた。甘かった。  「ドメイン名の登録」と「その運用」はまったく別物だったのである。  この辺で、「ドメイン名」と「DNS」、それと「IPアドレス」の関係について、一通りの説明をしておこう。  まずは「IPアドレス」から。  インターネットにつなげられたコンピュータは、全て「IPアドレス」と呼ばれる番号をつけられている。"219.94.***.***"とかなんとか、よくわからんけどそういう数字を見た事ある人は多いと思われる、あれだ。ぶっちゃけ、電話番号みたいなもの。インターネット上の通信は、全てこの「電話番号(みたいなもの)」で相手を決めて、行う。 なので、ホームページにアクセスしたりする場合、実はこういう番号を見えないところで使っている。  でも、これじゃ不便だ。Yahoo!にアクセスしたいのに、いちいち"203.216.なんたら"と数字を暗記できるほど、少なくとも私の頭はよろしくない。Yahooだけならまだしも、ネットの海は広大なのよ?  なので、「ドメイン名」という、人間にわかりやすい名前を使う。  "tendice.jp"というドメイン名のIPアドレスは何番、と決めて、アクセス時にドメイン名からIPアドレスを引っ張って使う。言わば電話帳だ  この電話帳がDNS、Domain Name Service サーバと呼ばれるコンピュータ。  ブラウザからホームページを開く度に、その裏側では「blog.tendice.jpって何番?」「あーそれはこの番号」という問い合わせをやってるんである。  だが、さっきの「ドメイン名の登録」っていうのは、この例えで言うなら「"wanwan-empire.net"って名前は私のもんだー!」っていう宣言をしただけだったんである。  住民票に名前を登録して、電話の契約を済ませてなかった。そんな感じ。  浅はかなり黒埼。 ●DNSサーバはどーこだー  普通、ドメイン登録代行を行う業者が取得したドメインを即使えるように、この辺のDNSサーバやWebサーバ、ついでにメールサーバなんかも自前で運営し、顧客にサービスとして提供する。これは大概別料金。そもそも登録代行を無料にする代わりにサーバ提供で金を取る業者もある。その逆もある。  で、私が選んだ業者は、このサーバ運営に1ヶ月3700円。サーバ1GB&メールアカウント200個。  ……この額はちょっと……アイドレスのゲーム期間限定なら……いやそれもあんまり……メルアカ200個も使わな……いやむしろ足りない可能性も……?  ちょっと、いやかなり悩む。手弁当の域を超えてる気がする。  そして更に問題。この会社のサービス、サブドメインが使えなかった。  つまり、"wanwan-empire.net" でホームページへアクセスするのはいいんだけれど、"echizen.wanwan-empire.net"などと、コブの付いた名前はダメだったんである。  マジデスカー??  ここでまた説明。  サブドメインというのは、階層構造を為すドメイン名の枝葉である。わかりにくいな。  今まで、ドメイン名とIPアドレスを「電話番号とその名前」という対比で例えてきたが、今度は「住所」で例えよう。  東京都千代田区千代田なんたら、という住所がある。この場合、「千代田区」は「東京都」に属し、「千代田なんたら」は「東京都千代田区」に属する。「千代田区」は「品川区」だったり「渋谷区」だったりもして、それらはやっぱり「東京都」に属する。これが名前の階層構造。  ドメイン名も同じだ。"yahoo.co.jp"だったら、この"co"は"jp"に、"yahoo"は"co.jp"に属する。  "yahoo"という名前は"co.jp"さんに頼んで付けてもらったサブドメインだし、 "co"は"jp"さんに頼んで登録したサブドメインなんである。  だから、"echizen.wanwan-empire.net"と、さらに上につける名前は私が勝手に決められる、とばかり思っていた。  うん、それ自体は間違っていない。  でも、つけた名前を電話帳に載せて運用するのは、サーバを持ってる会社である。そこが「そういう事はしません」つったらダメでした。  ヤバイ。「サブドメインを各藩に提供」というそもそもの前提が崩れる。  つーか、登録する前にそれくらい調べなさいよバカ! 自分のバカ! ●忙しいのに放浪の旅  とはいえ。「ドメイン名」自体は私のもの。ドメイン名の取得だけここで済ませて(てか契約しちゃったし)、「運用」は他の会社を探せばいい。  動員令の準備をしつつも、しばらくネット上をさまよう事になった。これが結構大変だった。  「サブドメインを安価に沢山使える」というDNS運用サービスは、非常に少なかったんである。  サブドメイン登録1回1000円也ぃなんてのもあって、ちょっと引いた。  おまけに、黒埼の知識不足も足を引っ張った。AレコードとかMXレコードってなあに?  あわてて勉強し、やっと「サブドメインの登録」と「(ホームページの)URL転送」「(ホームページの)フレーム転送」の違いについても理解した。ああ、URLにアクセスしたら、なぜか即別のURLに飛ぶ奴。あれDNSの仕事じゃなくて、Webサーバでやってたのかあ。  自宅でDNSサーバを運用する、というのも考えた。空いてるパソコンにLinuxにインストールしてBIND(DNSサーバのソフトウェア名。インターネット上のDNSサーバは大概これ、らしい)起動して、ついでにメールサーバも立ち上げてしまえば、数の制限はどーとでもなる。が、これも結構費用はかさむ。  まず電気代。試しで計算してみたら月1000円とか2000円とか。  これだけじゃない。自前でDNSサーバ運用となったら、「固定IPアドレス」が必要だ。  IPアドレス=電話番号と例えたが、ちょっとこれは語弊がある。  一般の人がインターネットにアクセスする場合、実はこの番号は毎回変わる可能性がある。IPアドレスって奴は桁数が固定で有限なので、これを有効活用するために結構使いまわしているのだ。  Yahooとかtendiceとか、サービスを提供する側がしょっちゅう番号変わるとまずいんで、これらのIPアドレスは固定されている(都合により変更することはあるが、頻度は年に数回とか)。でも、ただインターネットにアクセスしたいだけで、他の誰かにサービスを提供する事のない一般の人たちは、多少番号が変わったって問題がないので、こういう仕組みで番号を使いまわす。  でも、DNSサーバを提供するとなったら固定IPじゃないとまずい。  電話番号を聞こうと104番にかけたら、「実は今日から104じゃなくて307でした。その番号は別に誰にも教えてません」なんてなったら、「舐めんなよてめー?」ってなもんだ。  DNSは、DNSサーバ同士がバケツリレーみたいにその登録情報を教え合っていく、という仕組みがある。DNSサーバが世界に1台だったらアクセスが集中してえらいことになるが、だからといって世界中のDNSサーバを人の手で設定するのも大変なんで、こういう仕組みになっている。場合によっては、1回の変更が世界中へ伝播するのに2・3日かかったりする。 (実は以前、アルファシステムのHPがこのトラブルに巻き込まれた事があった。復旧に時間がかかったのはこのせい)  そういうわけで、DNSサーバを名乗る以上、固定IPじゃないと都合が悪いのだ。  でもって、うちで契約しているプロバイダの「固定IPサービス」は月1000円。  月2・3000円のコストを払い、かつ運用に全責任を持つ。おちおち停電もできない。  空いてるパソコンぐらいはあるが、無停電電源装置までは持ってないぞ、私。  サブドメインの数の制限が無くなるとはいえ、DNSサーバ運用は黒埼にとって未知の領域(いや、大概はそーだろうが)。前述の理由で、その運用の実際は厄介な問題も待ち構えてそう。素人が手を出していいものか。  うーん、迷ったけど、自前DNS案はボツ。  多少金がかかっても、ちゃんとしたホスティング会社を選ぼう。  さんざん Google検索使い倒して、いつのまにか海外の無料サービスに突き当たったり(でも「無料だけどそれなり貢献しろよ」とか書いてる。英語でー? めんどくさー)。  そろそろ、「なんでアイドレスのためにここまで苦労せにゃならんの?」と微妙に挫けたりもし始めた。  てゆーか動員令がー作戦案がががー。  怒涛のゲーム展開で数日作業を中断したり、さんざんGoogleで探し回ったり。この「ホスティングサービス選び」で実に5日くらいかかった。  結局、「半年1800円、サブドメインによるURL転送は最大20個、メールアドレス100個」というサービスを見つけて契約。なんか当初の年間1500円より随分増えて来た気もするけど、まあこれくらいならなんとか。  「URL転送は最大20個」というのがちょっと不安だけど、サブドメインからの転送はDNSでなくWebサーバで実現するものなので、足りない分はいざとなればここは自宅サーバ(かつ動的IP)でもなんとかなるし、それでだめならもう1契約増やすのも已む無し。  ひょっとしたらもっといい会社があるかもしれないけどー、もーいい。疲れた。動員令が作戦案が(略)。  藩国は全部で40カ国くらいあるけど、こんなマニアックなサービスをうちに申し込むところはそういないだろーはははー、と希望的観測でタカをくくる。腹もくくる。 ●メール管理者の権限と責任  とりあえず、サブドメインからのURL転送はメドがついた。メールアドレスもこれらドメインで発行できる。  と、そこではたと気付く。ここの会社のメールサービスだと、メール管理者がその内容を全部読めてしまうのである。つまり私が。  うわちょっと。それはやばい。  他のメールアカウントへの転送なら、サーバにメールは残さないこともできる。残すこともできる。その選択に必要な個々人のパスワードを、メール管理者はわかる。ダメじゃん。  転送先のメールアカウントも私は知ってしまう。ダメダメじゃん。  メールは必ず暗号化してもらう。転送先のメルアカを知るのは仕方ないから、Hotmailやgooあたりの無料サービスで捨てアカウントを用意してもらう……とか。  いや、少なくともHotmailは暗号メールの復号に対応していないし、外部からの(復号できる)POPクライアント接続も無料サービスでは許していない。何より、いちいち暗号化とか面倒くさい。使い勝手が悪い。  あー、メールアカウント発行はボツかなー。  諦めつつ、他の手段を探してみた。 ●灯台下暗し  あった。  自分でドメインを持っている事が条件だが、メールアカウント50個までOKで(申請が通れば更に増やしてくれるらしい)、メール管理者はユーザのパスワードを知ることはなく、メールサーバの中身も覗けない。うん、これなら使える。  ついでに独自ドメインでサイト1個公開できて、みんなで共有できるスケジュール管理機能、ブラウザ上使えるメッセンジャー機能まである。しかも無料。  ネット界の巨人 Google社のサービス、"Google Apps for Your Domain"である。  ここまで散々検索に使ってきたGoogleの、その会社自体が、こんなサービスを提供していたのだ。  ずっこけた。もんどりうって倒れた。 (ここまでの各社のサービスについては、なんか無駄に宣伝協力するのも癪なんであえて名前を伏せていたが、これはびっくりしたし、みんな知ってる会社だし、というわけでヨイショしとく)  でもベータ版。ベータ版サービスなので、完全なサービス品質は保証しないらしい。いやでも、この内容なら!  あー、IT業界から離れてると、こういう情報に疎くなるもんだなあ、と感慨にふける。 ●というわけで、運用開始!  どこまで需要があるかわからんし、既に動いている「アイドレス」にこれがどこまで貢献できるのか、せいぜい雰囲気だけだろうとは思うんだけど、 "nyannyan-republic.net"と"wanwan-empire.net"、これから運用始めます。  ご希望の方は黒埼@越前藩国まで。 ●余談  時間は遡り、ドメイン登録をおこなった日の事である。  テンダイスBlogにて『市場決済遅延のお知らせ』。  曰く「 アイドレスでいささか笑えないゲーム外問題が起きてまして、現在対処中です。」 「一体なんだろーねー?」ざわめく#越前藩国。(うちの藩国のIRCチャンネル) 「またどっかで喧嘩でもやってんのかねー?」 「そういえばさ。i-dress.net ってドメインは見なかったの?」 「一応見た。i-dress.net 、 i-dress.com あたりはイギリスの業者が占有してるみたい。」 「ひょっとしてさ。それがこの『ゲーム外問題』だったりして・・・?」 「え? 後の展開を考えて、彼らがi-dressなドメイン取得を忘れてたとでも? まさか・・・」 「まさか・・・ね。」 そしてうちの藩王曰く。 「そのネタ、セントラルチャットで話してもいい?ww」 「勘弁してくださいっ!!!」  結局、その問題とは「(HDD飛んだ)」。  越前藩国の空騒ぎでした、とさ。

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