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公共事業:絵付きコラム(夜の楽しみ)

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だれでも歓迎! 編集
〜夜の楽しみ@越前藩国〜


ある初夏の日。
藩主邸近くで遊んでいる子供たちの元気な声が、あたりが暗くなり始めるとぱったりと消えた。
様子を見に行くと、子供達が息をひそめて、とある草むらの一角に集まっていた。
子供たちの頭の上から覗き込むと、淡い光が草の中で明滅している。
藩国の賓客となっている少女が好奇心に負けて、それに指を触れようとしたので、藩王が優しい言葉でたしなめていた。

ホタルの飛来によって、不意に催される光の宴。
ほんの一時、せわしない日常を忘れさせてくれる風景に出会った。


ー夏は夜
月のころはさらなり
やみもなほ
蛍の多く飛びちがひたる
また ただ一つ二つなど
ほのかにうち光て行くも をかし
雨など降るも をかしー


古の人々も、移ろいゆく自然の変化を繊細に感じ、それを愛でていた。

春夏秋冬ー季節によって自然はその姿を変える。
また、人々もその季節の気候にあった衣服や家のしつらえを変えて生活をする。
気温や湿度の変化が激しい土地に住むのは少々大変な面もあるが、その不便さと引き換えに美しい風景を見ることができる。
我々の先祖は、そういった四季の作り出す風景を愛でるために、あえてこの土地に居着いたのではないか…時折そんなことを思ってしまうほど、この越前藩国の国土は美しい。

技術が高度に発展したこの国において、このように自然を感じることはおかしなことかもしれない。
しかし、それは多分、ささやかな楽しみを子供達に伝える為、先祖が努力した結果なのだろう。
そのおかげをもって、人工ではない光が作り出す風景も楽しむことができている。

他国の人にも、是非越前の夏の夜を体験していただきたい。



イラスト:鴻屋 心太@越前藩国
文章:鴻屋 心太@越前藩国
文章協力:椚木 閑羽@越前藩国

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