まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

05話 - ゲンガーを呼ぶ声

最終更新:

f29m1

- view
管理者のみ編集可
 >ボックス奥:ゲンガーの部屋

 暗い部屋のなかで、ゲンガーは、ベッドの上で仰向けになり、考えごとをしながら、天井を見つめていた。



『長期間放っておいて、終いには預けたことすら忘れてしまう』トレーナーもいるらしいのよ……。存在を忘れられた私たちはどうなると思う? 自由という権利を奪われるのよ……。



 さっき、ガーディのいった言葉がどうしても、彼の頭に焼きついて、離れなかった。
 ゲンガーは、ジュンにゲットされてから、ずっと、彼と幾多の旅を共にしてきたポケモンの1匹である。しかし、今まで、ジュンがゲンガーを置き去りにするような行為をしたことは一度もなかった。

ゲンガー
(やっぱり考え過ぎだ……。あいつがそんなことをするわけがない……。
 それに、俺はあいつのポケモンになったとき、誓ったじゃないか。
 あいつを『信じる』って)

 ゲンガーは思考を停止して、目を閉じた。
 暗い空間のなかに、星のようなものが、キラキラとあちこちを動いているのが分かった。また、体がふわりと浮いたかと思えば、何かに吸い込まれるような感覚もした。

???
「ゲンガー……」

 突然、ドアの外から、ゲンガーの名を呼ぶ声がきこえた。

ゲンガー
「誰だ?」

 ゲンガーは起き上がり、ドアに向かってそういうが、声の主は返事をしなかった。

ゲンガー
「気のせい……、かな……?」

 確認のため、彼はドアを開いてリビングを覗いてみた。
 もうみんな寝ているのであろう、リビングの電気は消してあり、『第2の視覚』を使って見渡してみても、誰もいない。

ゲンガー
(やっぱり気のせいだったか……)

 ドアを閉めながら、彼は心の中でそう呟き、するりとベッドの布団へ潜り込んだ。

ゲンガー
(しかし……)

 ゲンガーの頭の中では、何かが引っ掛かっていた。
 というのは、彼にとって、先程の『気のせいだった』声は、きき覚えのある声であったからだ。

ゲンガー
(でも……、あいつが生きてるわけないか)

 考えてもらちが明かないので、ゲンガーは思考を停止して、目を閉じた。そして、深い眠りへと落ちていった。
ウィキ募集バナー