“ビッグママ”オルガが運営する孤児院。 破綻寸前だった孤児院を富豪の慈善家ピエトロ・ブランツォーリが買い上げて、オルガに託したものです。 職員はけして多くないものの、年長の子供が年少の子供たちの面倒を見るのが原則の独特な雰囲気を持った施設です。 運用資金に余裕ができたためか、子供たちには読み書きと最低限の礼儀作法をきっちり教え込むことで将来の展望を開けるように努力がなされています。 巣立つころには仕事に必要な教育が施されているために、商館もちの大きな商家や上流階級の使用人など様々な分野と場所へと引き取られていきます。 これにより孤児院の評判は上がり、さらに受け入れ先の信用を増していくことに繋がっています。
個人はひとつの建物ではなく小さな建物の集合体です。花の色に準えた小さな「黄」「白」「赤」「紫」の4つの館で成り立っています。 各館で特別な違いはありません。 入所者が増え手狭になるたびに増設していったもので、生活単位としての区分けでしかありません。 館ごとに格差を感じたり序列ができないように、すべての館は色を除いてほぼ同じ形と大きさです。 現在は新たに「淡紫」館を建設中のため寄付金を募っています。
この順調な孤児院ですが、それは純然たる慈善事業というわけでもありません。 各方面の有力な勢力へ送り込んだ孤児たちは例え使用人としても、10年20年と年を経るころには相応の地位や待遇を得ているものも少なくありません。 彼らは孤児院を経営するオルガ、そしてピエトロつまりは盗賊ギルドにとっての大事な情報源になりコネクションになるのです。 荒事よりも情報に特化した盗賊ギルド「黄昏」にとってこれは大きな財産です。 孤児院を経営し同時に娼館街を支配しているオルガの元には黙っていても情報が集まってくるという算段です。 単純に盗賊ギルドのメンバーを養成するよりもずっと盗賊ギルドの武器として役に立つのでしょう。
オルガが孤児院を取り仕切っているのもそのためです。 幼いころから懐いた孤児たちにとっての唯一の母親であるオルガには誰もが気を許してしまうのです。 オルガが盗賊ギルドの幹部であることを知らなくても、知らず知らずに便宜を図ったり自然と協力してしまうでしょう。 孤児院を出身者の多くは盗賊ギルドを知ることもなく、特別に関わることもめったに無いでしょう。