言の葉を紡ぐ理由◆aptFsfXzZw







 スノーフィールド中央教会。
 街が多種多様の人種を受け入れたことで、合衆国にある何割かの教会同様、宗派を問わずに信者を受け入れる市内最大のそこは、礼拝の日や日曜学校には多くの信徒が足を運ぶ場所だ。
 しかし平日の午前中となれば、そも信者の多くも社会活動に従事していることがほとんどであり、ステンドグラス越しに陽光の差す広大な礼拝堂内は閑散としていた。

 元はそこの清掃でもしていたのだろう尼僧が、今まさに奥へ引き上げようとしたところに、彼は声をかけた。

「お忙しいところ失礼します、シスター」

 意識の埒外から音もなく出現した人影に、一瞬以上の時間、呆気に取られていた修道服の女性――当聖杯戦争の監督役であるシエルは、昨夜の通達をなぞった少年の挨拶にしかし取り乱すことはなく、次のように返答した。

「――――とんでもない。ようこそ、マヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルト王子」
「へえ。マスターが誰かだけじゃなくて、元の世界での経歴も把握してるんですね」

 隙を衝いた一瞬に主を招いた、と同時にその身を再び霊体化させたアサシンを万が一のために控えさせたまま、そのマスターである少年――マヒロはシエルの呼びかけに応えた。

「はい。その点については先の通達に合わせて、ムーンセルから情報が提供されていますので。本来の聖杯戦争ならマスターは監督役に参戦を申告するものですから、把握しているのが自然な状態ですからね」

 対し、それも再現の一環、とばかりにシエルが説明する。

「厳密に言えば、教会の中立地帯に監視等でマスターが干渉するのも冬木の聖杯戦争では禁則事項なのですが……この街しかない、セラフという箱庭の中では地上とも事情が違いますし、特に通達も行っていませんでしたからね。聖杯戦争の公平な進行に影響が出ない限りは見逃しましょう。
 それで、ご用件は? 他の陣営に追い詰められて、中立地帯に逃げ込んだという様子ではありませんが、もしもそのような理由であればペナルティも覚悟してくださいね?」

 教会内にまで一瞬で転移してきたことに、今後そのような目的で行動に移さないよう釘を刺してくるシエルに、マヒロは苦笑する。

「いえ、余としては目の保養に美しいシスターのお顔をもっと間近で拝見できれば……と思う気持ちもいくらかあるのですが」
「……」

 相好を崩しての発言に、シエルが心なしジト目となり、背後のアサシンからも無言の圧力が発せられた。マヒロは小さな咳払いを一つ挟んで仕切り直す。

「聖杯戦争に臨むに際して確認したいことがありますので、ご案内通りにお伺いさせて貰ったわけです」

 教会に足を運ぶことが、マヒロが最初に選んだ方針だった。
 そしてそのタイミングは、アサシンの能力を顧みるに、同じように役割を演じ衆目を欺きながら、他陣営の監視が薄い日中こそが適時であるとマヒロは判断していた。
 今頃は面倒な授業を押し付けられた替え玉が講義に出席している頃だろう――と、こんなところでも押し付けられた学業の閉塞感から逃れられた喜びをこっそり堪能しながら、マヒロは口を開いていた。

「本選が開始されるまでは小聖杯についても情報は伏せられていましたし、他に余が気にかかっていた事柄も合わせて開示されるのだとすれば、監督役に何度も同じ説明をさせるのも申し訳ない。昨夜の通達でご教授頂きました事項を余なりに整理した上で質問させて頂こう、と考えていた次第なのです」
「そうでしたか。それはお心遣いありがとうございます」

 すべてがすべてを真に受けたわけではないのだろうが、一先ず納得した様子でシエルは礼を返してきた。

「いいえ、どういたしまして。ちなみに聖杯戦争における公平性を損なわない質問なら、参加者の誰に対しても同様にお答えされるのですよね?」
「はい。我々はあくまで聖杯戦争の円滑な運営のために用意されたNPCですので。王子にも身寄りのない子供にも、迷える子羊には等しくお答え致しましょう」

 ――まず一つ、言質を取った。

 己の言い分で相手の言い分を引き出せた手応えに、内心でマヒロは小さな笑みを浮かべる。

 ……マヒロの方針は、一切の暴力に頼ることなく、言葉だけで聖杯戦争に勝利すること。

 馬鹿げてはいるだろうが、何の力もないマヒロには、それだけしか運命と戦う術が存在しない。
 それは死した者への冒涜だと言われても、パリエルの国を滅ぼしたようなものに頼る気持ちには、どうしてもなれない。
 だからマヒロは、家族から授けられたその武器だけで、それでも何かができるはずだと二年以上、大陸中で戦ってきた。

 そうして一定の成果を上げてきた以上、付け焼き刃で戦おうとするよりも、今回の戦争でも、使い慣れた武器を選ぶ方が論理的であると結論した――実のところは単純に、今更生き方を変えられなかっただけかもしれないが。

 感傷はさておき。積んできた経験から語れば、話し合いという戦場に必要なのは、言葉だけではなく切るべきカードだ。『聖杯符(カリスカード)』に限らず、情報でも物品でも感情でもとにかく何でも、交渉の材料となるカード。
 しかし今のマヒロは、他者に対して切れるカードをほとんど持っていない――故に、それを作りに教会に来たのだ。

 現状で唯一、何の対価も払わずとも、すべてのマスターが言葉を交わすことのできる相手の元に。

「それで、肝心のあなたのご質問とは?」
「はい。神秘の秘匿に関することなのですが、具体的にはどういった状況を避けるべきなのかを、ご教授いただきたく」
「――ああ、なるほど。そういうことですか。確かに気にかかるでしょうね。神秘がありふれた世界に生きた、あなたのような方ならなおのこと」

 得心が行ったという様子で、シエルはうんうんと頷いた。
 ……安心させるような笑顔の中で目が笑っていないのは、こちらの経歴を知られているからだろうな、とマヒロは推測した。
 若干のやり難さを覚えるものの、しかし公正な監督役というのは事実であるようで、隠し立てする様子もなくシエルは続ける。

「これは問われれば誰にでも答えられる内容ですし、構いませんよ。どうぞ遠慮せずお聞きください」
「ありがとうございます。では、そもそもの前提から……神秘の秘匿は聖杯戦争の再現度を高めるためのロールプレイとのことですが、そもそもモデルの世界でも聖杯戦争に限られた要素ではないのですよね?」
「はい。神秘の秘匿は聖杯戦争に参加する魔術師にとっても、魔術の力を保つための大原則。そして私達のモデルとなった教会にとっても、全ての異端を消し去り、人の手に余る神秘を正しく管理することが目的であり、故に聖杯戦争の監督役を派遣するなどといった行いが為されているわけですね」

 夢の中でもそうだったが、授業でもしているかのような丁寧な語り口でシエルは述べていく。

「それで、ご心配の秘匿できる程度について、ですが……やはり状況によりけり、ですね」
「まぁ、そうですよね」
「ただ、傾向として言えば一つの大事件以上に、継続的に世間の注目を集めるような事態を招く者こそが討伐令の対象になり易いと言えるでしょう」
「というと?」
「例えば聖杯戦争の余波で高速道路が倒壊しても、事故として処理が叶います。突如数キロ規模のクレーターが生じても、何とか誤魔化しはできるでしょう。一度に数百人単位で死傷者を出すような災厄が起きたこともありましたが、関与したマスターもサーヴァントも討伐令どころか、警告を受けることすらありませんでした。やや特殊な例では堂々とテレビ出演したサーヴァントも居たそうですが、その場合も神秘の秘匿は保たれました」
「……思っていたよりも自由度が高いんですね、神秘の秘匿って」
「いえいえ。あくまで関係者の尽力と幸運のおかげで隠蔽できたというだけですので、可能な限りこんな前例には倣わないでください。監督するために用意されたNPCの私はどんなに仕事が膨れても逃げられませんから」

 些か泣き言じみたシエルの物言いに、マヒロは若干彼女に気の毒な思いを覚えた。
 ただそれも長くは続かず、シエルは元の調子に戻って解説の言葉を並べ始めた。

「本題に戻りますと、一方でムーンセルの記録に拠れば、一つの街で何十件もの誘拐殺人事件を繰り返した主従、神秘に生きる眷属を国家規模にまで増殖させ現世に君臨しようと画策した突然変異の怪物などは、実際に一般社会へ晒した被害こそ前者を下回ろうと、秘匿を脅かす存在として速やかに討伐令を受け、打倒されています。最初に気にされていたように、これらの傾向は聖杯戦争に限った話ではなく、例えばかの高名なヴァン・ホーエンハイム・パラケルススも一般社会に神秘の一端を開示し続けたため、最期は他の魔術師の手で粛清されたのです」

 具体的な解説になるほどとマヒロは頷き、そのまま割り込んだ。

「つまり、生きている限り神秘を世間に追求される危機を回避できない、と判断された者が主な抹殺対象だったわけですね。発展して、隠蔽を行う裏方の邪魔をしないということも、あなた方にとっての常識を弁えない異邦人には釘を差しておく必要があったから、昨夜はあのように述べられた、と」
「はい、そのとおりです。満点ですよ」

 まるで生徒を褒める教師のような笑顔で、シエルはマヒロの推測を肯定した。

 とはいえ、どの道ここまでは、この街で最初に確認した、与えられた常識の段階分け――世間一般と魔術社会の棲み分け具合から、充分予想できたことだ。
 加えて、これまた類例からの推測となるが、マヒロの世界においてもこの時代はまだ、同様の棲み分けが行われていた時期でもある。当時それらの境界を乱すことがタブー視されていたのも同様だから、最も容易に想像できた事情背景だといえる。

「では、それを踏まえて一つ。シスターのお考えを教えて欲しいのですけど……」
「はい、何でしょうか?」

 だから予定通りに、マヒロは話を進めることにした。

「――エレナ・ブラヴァツキーは、何故神秘の秘匿のために消されなかったのですか?」

「……エレナ・ブラヴァツキーですか? あの、神智学協会の」
「はい。そのブラヴァツキー夫人です。このスノーフィールドの基盤となっている世界、その歴史上に実在した、女性オカルティストの。一応、余の世界にも居たそうですが」

 自身も世間一般に有名な錬金術師であるパラケルススに言及しておきながら、マヒロがその名を出してきたのが意外であったのか。シエルは思わず、と言った様子で問い返してきていた。
 それに応じながら、マヒロは続けて質問の意図を解説する。

「彼女が活躍していた十九世紀後半はオカルトと科学の領域が曖昧で、科学によって霊や魔術を研究しようという動きがあった時代です。その中でも彼女はその神智学協会の創設を始め、世間一般に神秘を公開するという活動を行ったもっとも有名な人物の一人のはず。そんな彼女がパラケルススのように魔術師や教会から実力行使で排除されなかったのは、どうにも奇妙に受け取れます」
「……あなたは彼女を詐欺師ではなく、本当に神秘を解き明かし発信しようとした魔術師であったと考えるのですか?」

 話を逸らす、というよりは純粋な疑問として尋ねるシエルに、マヒロはそのままの表情で頷いた。

「はい。彼女が言っていることが、この時代の一般認識通りのインチキであるならともかく。アカシックレコードという根源の一側面たる概念や、英霊や神霊のような高次霊的存在への言及は、ムーンセルに与えられた聖杯戦争の魔術知識とも通じ合っている以上、そのように結論するのが妥当と考えられます。違いますか?」
「それは……そうですね。実のところ、彼女が本物の魔術師であったという事実は、確かにムーンセルが観測し記録しています」

 シエルの肯定に、マヒロはやはりと言葉を継ぐ。

「もちろん、当時の平均寿命を越えてから没しているとはいえ、彼女も最終的には暗殺されていたのかもしれませんが……それでも、何の理由もなくあれだけ大規模な、十年以上に及ぶ神智学の普及活動を当時の魔術師界隈が看過するとは、あなたの話を聞く限り考え難い。だからその理由を聞きたいのです」
「聖杯戦争に関連して、ですか?」
「はい。遵守すべき神秘の秘匿に関連する、具体的な事例として」

 シエルの放った確認に即答しながら、マヒロは詰め寄る。

「それは……流石に、私のモデルとなった人物(シエル)もまだ生まれていない時代の話ですので、私としても伝聞と推測での見解しかお答えできませんが」
「いや、僕としても監督役の見解こそを是非お聞かせ願いたい。お願いしてもよろしいですか?」

 いくらか困った様子のシエルに、マヒロは助け舟を出す形でさらに踏み込んだ。

「……では、あくまで私の推測ですが。当時の魔術協会や聖堂教会が早期の強攻策に出ることができなかった理由として考えられるのは、神智学協会創設当初のメンバーと創設の場所が挙げられます」
「人員と、場所ですか」
「はい。何せ、当時の神智学協会は発明王トーマス・アルバ・エジソンを筆頭に、フリーメイソンや心霊協会会長ら当時の華やかなりし科学、オカルト両方面の著名人、さらに弁護士や軍の高官までもが大量に名を連ねていました。ましてや、場所は協会や教会の本拠地から海を隔てたここ、アメリカ合衆国。充分な地盤固めのできていない十九世紀のこの国で、仮にこれほどの面々を抹殺しようものなら、謀殺の痕跡を断つことなどまず不可能でしょう」
「……つまり、魔術師達としても教会としても、当時のブラヴァツキー夫人については、むしろ彼女やその研究成果を共有するメンバーの抹殺こそが神秘の秘匿を脅かすことになりかねず、地道にSPRなどを通すことで彼女らを詐欺師と思い込ませ、世間の意識を風化させるしか打てる手段がなかった……ということでしょうか?」
「そうですね。そうでもなければ当時の代行者が見逃すはずもないでしょう――あくまで私の見解としては、ですが」
「なるほど」

 真相はどうあれ、それが監督役の見解であるなら何も問題はない。その問題における意思決定を持つキーパーソンは、このスノーフィールドにおいては極論彼女一人に収束し――



「では、この聖杯戦争が地上を模した形式で運行される以上――この街でも似たような事例が発生した場合、僕らも迂闊に手を出せば、逆に討伐令の対象となる可能性があるということですね」



 その口からマヒロの望む通りの見解を、充分に引き出すことができたのだから。

「……そうですね、場合によってはそういうことにもなり得ますが――あなたは何か、そういった情報を既に把握されているのですか?」
「残念ながら、それ以外もまだ全然。ただ、アメリカという土地と、オカルトの全盛期を過ぎた頃合いの時代だったので、その点が気になっただけです。情報化社会が発達した分、立ち回りの注意点も把握しておくべきですからね」

 笑みを浮かべながらマヒロは告げる。目的の大部分を果たした会心のそれではなく、冴えない少年の力ない苦笑を装って。
 それに、“今の時点で”そのような状況に身を置いている陣営を知らない、というのは本当だ。
 まあ表情はともかく、流石にこの話をした時点で取り繕いきれるものではないだろうが、それも含めて仕込みだとマヒロは裡で嗤っていた。
 少なくとも表面上の己はまだ、あくまで聖杯戦争を進める上での注意点を尋ねに来た異邦人でしかないのだから。

「――あ、待ってください。全然じゃなかったですね」

 そうして思い出したように、露骨になり過ぎない程度で話題の転換を試みる。

「一般人でも耳にする風の噂になっている上に、調査対策本部が警察に設けられているとか言われている口裂け女も先程シスターがおっしゃった要件を満たしている気もしますが、彼女は討伐令の対象じゃないんですか?」
「現時点では下されている討伐令はありません。そして見込みの有無をお答えすることは参加者間の公平性を損ねる恐れがありますので、私からお答えできることではありません」
「……なるほど。余はまだ、自分の手では他の陣営の動向を掴んでいない、と言ったばかりですからね。監督役からこの類の情報を得ようとするのは不当である、と」
「ご理解いただけて助かります」

 口裂け女が単なる猟奇事件であるのか、聖杯戦争の関係者が遺した痕跡であるのか。その情報を、監督役を通して確定させるのは平等性を欠く、ということか。
 まぁこのぐらい仕事熱心で居てくれないと、マスター側も安心して訪問できないだろうし、先程聞き出した情報も信用性が増すというもの……と、内心値踏みを続けるマヒロに対し、シエルは小首を傾げていた。

「ご質問は以上でしょうか?」
「……いえ、実はもう一つ。ちょっと心配症の過ぎる質問ですが」

 シエルの確認に対し、マヒロはそのように断ってから口を開いた。

「これは僕のあてずっぽうなんですけど、地上における聖杯戦争って、毎回成功したわけではないですよね?」












「(……いきなり踏み込み過ぎだったのではないか?)」

 数十分後。礼拝堂を出て、しかし外に至る前の玄関内で、マヒロは未だ霊体化したままのアサシンの声を聞いた。
 一般的な魔術師とマスターが行う念話の魔術ではなく、彼の習得した忍術――本来はある一族の秘伝の業らしいそれで、アサシンはマヒロ以外に届かぬ声を放っていたのだ。

「(地上の聖杯戦争が、儀式の完遂に至らなかった例が多いという推測が妥当だとしても、その対策の有無を直接監督役に訊いては警戒されるだろう)」
「(いやぁ、それを言うなら多分最初から手遅れじゃないですかね。向こうはサーヴァントの詳細は知らなくとも、参戦したマスターの経歴は把握しているみたいですし)」

 マヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルトの過去を大なり小なりシエルが知っているというのなら、聖杯戦争に対するスタンスを予想することは容易いだろう。
 そんなマヒロとの質疑応答にも、今のところは丁寧に答えていたのだから、言葉通りに公平な監督役を務める所存であるようだ。

 一方で、彼女自身が特に言及したわけではないが、監督役が参戦したサーヴァントの情報をどこまで把握しているか、についても推測はできた。

 今も、アサシンの本体はマヒロの背後に控えている。霊体化と気配遮断を重ねた彼は、シエルが一流の魔術使いであっても容易には発見できまい。
 そして事実として、アサシンだからこそ気づかれずに内部まで踏み入れたが、教会は既に幾つもの結界が重ねられた彼女の陣地たる魔術工房と化していたという。

 その内部に、事前の気配なくマヒロが現れたことをシエルは『驚いた』。

 マヒロの最初の呼びかけへ応答するまでに費やした時間は、そのようにして訪れるのが誰かまで想定した上で身構えていられた、と考えるには些か長過ぎた。
 つまり、マヒロと契約したサーヴァント、アサシンの正体である千手扉間にまでは、彼女の認識は及んでいないと考えられる。あるいはクラスまで今も伏せていられているのかもしれない。

 それらの情報がわかっただけでも収穫といえば収穫となる、が、しかし本命は。

「(どの道、既に当時のブラヴァツキー夫人のような存在に手を出せば逆に討伐令の対象になる、という言質を取りに行った時点でアウトです。今後はマークされると考えましょう)」

 その仕込みと裏取りに成功した時点で、目的の大部分は達成できていた。

「(まぁ、余自身はぶっちゃけマスターとしては無能ですが、幸い契約したサーヴァントがあなたなのでこんなアホ王子でもかなり自由に立ち回れますし、中立的な立場から監視されるとしても大した問題ではないでしょう……こんな風に)」

 心伝心の最中。マヒロの姿は、教会内から忽然と消えていた。
 否、飛んでいた。空間を。

 その網膜に映る景色は一瞬で切り替わる。未だ慣れない感覚に少しばかり脳が混乱するが、既に把握していた理性は何とかその被害を抑え込み、マヒロの体を直立させる。

 スノーフィールド市立高校の、トイレルーム内に。

 周囲を仕切りに覆われた個室の中。マヒロの前には、鏡に映った己のように瓜二つの容姿の少年が居た。
 急に切り替わった視界に、脳の認識が追いつく前に。その姿が幻であったかのように消え失せるもう一人の己(ドッペルゲンガー)が、しかし幻覚などではないことをマヒロは識っている。
 何故なら、アサシンの分身体の一つを、自身の影武者に仕立てるように指示したのがマヒロ自身だったから。

 ハイスクールの授業中、講義に出席しているというアリバイを保ったまま、教会にまで足を運ぶ――伝説の忍であるアサシンの能力は、マヒロという落第マスターを宛てがわれてなお、その難題を可能とした。

 自律行動を行う分身体を作成する影分身の術、その姿を変える变化の術、そして事前に施したマーキングまで瞬時に空間を跳躍する飛雷神の術……修練を積む、あるいは相応の道具を準備すれば最低限の才能さえあれば、誰にでも扱える技術であるが故に宝具の域には至っていない、しかし高等とされる忍術の数々。それらを駆使しての立ち回りが、他のマスターの目を掻い潜った教会への訪問だった。

 これだけの芸当が可能ならば、真っ当に優勝を狙う方が早く見えて来る……が、自身の能力と性格以前に、序盤はともかく後半は『夢幻召喚』の存在がそれを難しくすることを理解しているマヒロは、やはりその能力を全て諜報へと振らせることにしていた。

 己が暴力以外の手段で、聖杯戦争に勝利することに全てを費やすと決意しているように。

「(おかげで、ここでのゲームの仕掛け方はわかりました。今日中には動き出したいですね)」

 ゲームの仕掛け方とはつまるところ、かつて帝国三番姫らに行ったようなそれ――応じる意志のない相手にも、話し合いしかできない場を作るための手管のことだ。

 暴力に頼らず、言葉だけで聖杯戦争に勝利する、などと宣ったところで、相手にしてくれる者ばかりいるはずがない。十中八九居ないどころか、願いが切実であるほどその決意を侮られたと憤慨され、怒りを買うことだろう。
 かと言って話の通じそうな相手をのんびり見定めようにも、悠長にしている間に逆に捕捉されれば。いくらアサシンが戦線離脱に優れた能力を有していようと、弱小の自分達ではジリ貧となってしまう。ならばどうするか。

 簡単だ。

 向こうから、言葉以外を封じられた状態で来て貰えば良い、とマヒロは考えた。

 具体的に言えば、聖杯戦争におけるペナルティ、討伐令という脅しを利用したテーブル作り。
 つまり当時のブラヴァツキー夫人のように、迂闊に消せば逆に神秘の秘匿を脅かし、その下手人こそが討伐令の対象となってしまうような存在に、マヒロ自身がなれば良い。
 それでも情報という餌を匂わせれば、真っ当に勝つ意志のある陣営ほどマヒロを無視できず、しかし不利を招く攻撃はできない。結果、言葉による交渉以外の術を失くす。

 もちろん今から神智学協会のような組織を作るだとかは悠長に過ぎるので、彼女と比較すればすぐに風化する程度で構わない。
 幸いなことに高度情報化されたこの時代には、そのような一時の話題を作る手段は飽和している――と、マヒロはポケットに入れてあるスマートフォンの重量を意識する。
 不特定多数のマスターにこちらの存在や考えを表明するのは、そのような状況が整ってからで良い。さして時間は要さないだろう。そのための仕込みを今、教会で行ってきたばかりなのだから。

 まぁ、それだけで聖杯戦争が停滞することを是とするほど監督役が無能とも思えないので、脅しが有効なのは一時的な話に収まるだろう。そもそも本当にそこまで上手く事態を運べると考えるのは楽観的過ぎる。
 しかしその一時で次の手札を揃えられれば、また新しい攻め方を見つけられるのだ。沈黙したところで餓死するだけならば、賭ける価値は充分にある。
 舞台が社会と地続きの地上と違い、いくらそれを模倣していたところで、箱庭の中で行われる聖杯戦争後のことをマスターが気にする必要もないのだから、それらの勢力に目をつけられる心配も特にない。

「(ならば手筈通り、儂も準備を進めよう……だが、おまえは自分を性急だとは思わんか?)」
「(仕方ないでしょ。確かに好き好んで殺し合いなどしたがる馬鹿どものために走り回るのは馬鹿馬鹿しいですけど、現状一番被害に晒されているのは無関係なNPCにされた人ですからね)」

 アサシンの問いかけに、マヒロは大きな溜息とともに答えた。

 彼の言うように、可能ならばそれ以前にも保険となるような同盟先を見繕っておければなお良いが、どうもこの学舎に他の陣営は存在しないらしい。
 ならば外部のそれが見つかるまで決行は見合わせるのが賢明とは理解できるが、しかし、既に聖杯戦争は動き出している。

 例えばシエルは立場上、その言動から辿られることこそ避けたが、被害者が続出しているという口裂け女事件などはまず間違いなく黒だろう。

「(バンザイ降伏しても関係なく民を殺す、なんて畜生にこそさっさと討伐令を下してくれって感じですが、その判断を変えるよう監督役に談判するのは勝ちの目が低い。ので、そういう手合の注意を少しでもこっちに集めたり、一般社会への被害が抑制される方向に戦況を誘導するしかないです。そもそも決行を先延ばしにしたからと言って、いつまでも敵に発見されないというわけでもないですし。あなたの魔力に貯蓄があるうちに動きましょう)」
「(……まぁ、おまえがそう言うのならば、儂も従おう)」

 微かな間を置いて承諾を示した後、アサシンはこっそりという様子で呟いた。

「(そもそもおまえが余計な令呪を使っていなければ、それらは儂が直接退治に行って終わる話だったがな)」
「(どの道、余がマスターじゃサーヴァント戦は無理でしょ。単独行動スキルだけで生きてる余命を削る気ですか)」

 直接戦闘に優れるわけではないアサシンのクラス。一切の魔力供給のないマスター。これだけの悪条件が重なった状況で、よし懲らしめてきなさいなどとはマヒロも言えない。
 そもそも圧倒的な武力を背景に、顔馴染みの国へ無条件降伏の脅しをかけるまでならば平然と行うが、実際に暴力を行使することだけは決して認める気がないのだから。

「(確かに僕ら自身が抑止力になれるのであれば、介入だけならどんどんしていきたいとは思いますが、返り討ちに遭うのが関の山でしょう。なら理想を追った結果自分にできることまで放棄するような、無責任な真似はしたくありません)」
「(それをおまえが言うのか)」

 今度は驚いたというより呆れた様子でアサシンが呟いた。

「(……だがマヒロよ。こうして監督役との接触を終えたわけだが、実際のところ、最終的な着地点は見えたのか?)」

 そうしてトイレルームを後にするマヒロの背後に、霊体化した影分身が付き添いながら。教会近辺に潜伏するアサシン本体からの問いかけがなおも続く。

「(いえ……彼女は本当に、ただ聖杯戦争を進行する監督役として用意されただけの末端で、事態を動かすどころか上に訴える権限があるかも怪しい具合でしたので、特に糸口にはなってくれそうにないですね)」
「(だろうな。儂にもそう見えた。このままではおまえが理想とするような解決策が見つかるようには思えんが、どうするつもりだ)」

 マヒロが三問目として尋ねた、聖杯戦争完遂の見込み、その保証。

 地上においてはそれこそ神秘の秘匿と、それを維持するための外部勢力の介入といった妨害要素が考えられる。
 そもそも舞台となる戦場以外にも世界の広がる地上なら、降霊するかも怪しい聖杯などより、召喚されたサーヴァントの利用を目的として、一つの勢力に聖杯戦争が乗っ取られ、肝心の儀式を放棄される事態すらありえるはず……という疑問をマヒロはぶつけた。
 己の描いた、もっとも楽なビジョン――小聖杯そのものを獲得できずとも、それを内包するサーヴァントを一つの意思の下に統一するという形で聖杯戦争を終えることが可能なのか否か、確かめるためのカモフラージュに。

 地上の再現度を上げてばかりだが、果たしてそれらの対策は施されているのか、と。
 犠牲を払わせておきながら、失敗しましたでは納得できない――というのは、マヒロよりも真っ当に聖杯を狙う者の方が自然に抱く感情だろうが、表面上だけでもその不安を代弁してみたのだ。

 対してシエルは、そのために自分達運営用NPCがいるのだと答えた。

 無論地上と比すれば、事実上外部勢力が存在しない月の聖杯戦争の許容度は著しく高いことはマヒロも承知の上であり、シエルの回答の大半は予想通りであったが。
 その上で、その質問におけるマヒロの本命に対しても言及はあった。
 マヒロが用意した例にまんまと引っかかったのか、はたまた敢えて示すことで牽制しているのか、あるいは“この問いかけに答えなければ不公平になってしまう理由がある”のかは不明だが。一つの勢力がサーヴァントを独占し、聖杯戦争が停滞する、もしくは全く異なる思惑に利用される事態への対抗策は、モデルである冬木の大聖杯の時点で備わっているものであるとシエルが明言した。

 月のそれこそ、詳細は明かされずとも。
 地上においてはその場合、その勢力に対抗するための追加サーヴァントが召喚され、強制的に戦争状態を継続させる予備システムが存在するのだと。

「(……最終的な到達点への行き方は確かにまだ見えませんが、一先ず僕らがその直前まで辿り着くための方針は見えました。このままの予定通りに進めましょう)」

 そのシステムの存在、そういった意図をムーンセルが模倣している可能性を踏まえた上で、マヒロは返答した。

「(儀式というからには相応の準備が必要です。そこに当初居なかったサーヴァントを追加で呼び出すなんて、そんな真似が簡単にできるなら、地上の聖杯はもっと容易に降霊できていたでしょう)」

 やはりマヒロの睨んだ通り、地上の聖杯戦争は、その目的を達成できたケースの方が少数であることもシエルからは聞き出せた。

「(追加のサーヴァントを、それも複数騎召喚できる回数なんて限られているはず。無制限なカウンターではないと考えられます。それが地上に限った話でも、月は地上を模しているというのなら、対抗策を無効化されればその結末を受け入れての観測をするのが道理でしょう)」

 殺し合いの果てに残る一人だけを選ぶ。それが地上の聖杯を真似た性質なのだとしたら、同じように地上での破綻を再現すれば良い――とマヒロは考えた。
 とはいえ、アサシンが懸念しているのはそこで終わる話ではなく。

「(あるいは一人の勝利者しか認めないというのが、最初から月の性質であるのなら。この箱庭のモデルとなったスノーフィールドのように、人類に社会性という特徴があることを確かに観測しながら、ムーンセルは犬猫と同じ杓子でしかヒトを測っていないのだとすれば……その時も僕は可能な限り抗いますが、契約通りあなたは好きにしてくれて結構です)」

 先の展望は必要だが、世の中、最終的な解法が、最初から見えていることばかりではない。今はまだまだ表面的な部分だけを探り始めただけに過ぎないのだから、手応えがないのも当然だ。

「(ただどちらにしても、まず聖杯戦争を止められないことにはムーンセルとの交渉なんて夢のまた夢でしょう。並行して情報収集を続ける必要はありますけどね)」
「(……現時点で結論を急ぐことこそ性急、か。まぁ妥当なところだな)」

 マヒロの連ねた解答にアサシンが了承を示し、そこで話は終わるはずだった。

「(マヒロ、また学舎を抜け出した方が良いかもしれんぞ)」
「(えっ、いきなりですか?)」

 だが、講義中の席に戻った直後に、折を見て教会から離れ、影分身と交代でマヒロの傍らに戻るはずだったアサシンから、予定にない思念が飛んできたのだ。

「(教会にサーヴァントが接近している。それも、凄まじく強力な奴がな)」

 その声には、これまでにない緊張が含まれていることが、念話越しのマヒロにも伺えた。












 ――本当は、すぐにでもここへ来たかった。

 だが、クロの失踪を受けて、イリヤもまた容易に外出できない状況となってしまっていた。
 この世界、アメリカの街でも、両親は普段は理由があって海外出張中で、家を留守にしているという。どこに行っているのか、未だ連絡の着かない父母に代わってアインルベルン家の双子の面倒を見ていることになっている二人の家政婦――セラとリーゼリットの二人は、一瞬たりとも心休まる様子のないままにクロの捜索に従事していた。
 昨日は警察に頼り。失踪届を受理したとして、警察が引き上げてからもセラは両親を含む方々に連絡を送り、リズは普段の印象が嘘のように、その健脚でスノーフィールド中を駆け回り、古典的なチラシを配るなどしながら、直接クロを探している。
 義兄さえもいないこの世界では、より強くイリヤたちと結びついていたのだろう二人は、事態が発覚してから寝る間も惜しんで活動し続けていた。

 ……もう、クロが見つかるはずがないのに。

 繋がらない電話を前に、奥様になんとお伝えすればいいの、と漏らすセラの弱々しい姿は、目にしたイリヤもまた胸に痛みを覚えるものだった。

 だからこそ。元の世界の彼女達なのかはわからずとも、二人のためにも、イリヤは真実を突き止めなければならないと決心していた。

 クロの形見を目にする悪夢から醒めて、気持ちを落ち着けるまでに一晩。そして、ルビーの手助けを得てセラの目を欺くまでにさらに数時間を要してしまった。

 その末に、イリヤはやっと、中央教会に足を踏み入れていた。

「ようやくだな、マスター」

 扉を潜ると同時に実体化したアーチャーの声が、頭上より降って来る。

「貴様の憎悪の向かう先が、確定する時が来た」
「……」

 くつくつと笑うアーチャーの声を無視して、イリヤは礼拝堂へと小さな歩を進める。
 その声に、惑わされてはならない――真実を知るまでは。
 その目指す方向から、細い影が一つ降りてきた。

「――ようこそ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

 決意の少女を出迎えたのは、年若い一人の尼僧だった。
 夢の中で見たその人の姿を認めた瞬間、まるで隣に立つ紅い弓兵から何かが流れ込んで来たかのように――あるいはその奥から何かが溢れ出て来たように、激しくこの胸が疼くのを感じながらも。服の胸元を握り締め、イリヤは耐えた。

 そして。

「……こんにちは、シエルさん」

 声が震えていることを自覚しながらも、何とか理性を、自分を保ったまま、イリヤはその唇を動かした。

 何も知らない今は、暴力も魔力も方向性が定まらずまるで無意味な今は、新たな運命と対峙するための、ただ一つの術である――

「あなたに訊きたいことがあって、来ました」


 ――言葉を、紡ぐために。






【D-4 市立高校/一日目 午前】

【マヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルト@ミスマルカ興国物語】
[状態] 健康
[令呪] 残り二画
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] 裕福な高校生並
[所持カード] なし
[思考・状況]
基本行動方針:一切の暴力に頼らず、聖杯戦争を止める。
1.暴力以外はなんでも使う。
2.討伐令の仕組みを利用し、他の主従を牽制した上で交渉に持ち込みたい。
3.他の陣営の情報を集めると同時に、上記のための準備を進めたい。
4.アサシン(千手扉間)を通じて教会の様子を監視する。
[備考]
※スノーフィールドにおける役割は市長の息子である高校生です。
※教会を訪れ、神秘の秘匿とそれに関するペナルティの条件について知見を得ました。
※監督役の説明から、冬木の大聖杯同様残存する陣営が一勢力に統一され聖杯戦争が停滞した場合に、予備システムで追加サーヴァントが召喚されるのではと推測しています。
※監督役が参戦マスターの経歴を把握していることを知りました。また、参戦サーヴァントの詳細は知り得ていないと推測しています。
※『討伐令の仕組みを利用した話し合いの席』を設ける手段について、具体的には後続の書き手さんにお任せします。



【E-4 中央教会/一日目 午前】

【アサシン(千手扉間)@NARUTO】
[状態] 魔力消費(小)、令呪の縛り(暴力行使禁止)あり、霊体化中、気配遮断中、影分身二体生成済(現時点では市立高校に二体とも配置)
[装備] 各種忍具
[道具] 各種忍具
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マヒロが火の意志を継ぐ者か否かを見極める。
1.当面はマヒロに従い、協力する。
2.最大限警戒しながら、教会の様子を監視する。
[備考]
※令呪により、マヒロの同意なき暴力の行使ができません。
※現状、魔力供給がなされていません。
※スノーフィールド市内に飛雷神の術のマーキングを施してあります。また、契約で繋がっているためマヒロを『自身に触れている物』として飛雷神の対象とすることが可能です。




【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤドライ!!】
[状態] 健康、クロを喪った精神的ショック
[令呪] 残り三画
[装備] カレイドステッキ・マジカルルビー
[道具] クラスカード×1~5
[所持金] 小学生並
[所持カード] なし
[思考・状況]
基本行動方針:未定
1.シエルにクロのことを尋ねる。
2.アーチャー(アルケイデス)の言いなりに流れされるのはイヤだ。
3.巨人(ヘラクレス)の夢が気がかり。
[備考]
※クラスカード(サーヴァントカード)を持っていますが、バーサーカー以外の何のカードを、また合計で何枚所有しているのかは後続の書き手さんにお任せします。
※家人としてセラ、及びリーゼリットのNPCが同居しています。両親及び衛宮士郎は少なくとも現在、家に居ない様子です。


【アーチャー(アルケイデス)@Fate/strange Fake】
[状態] 健康
[装備] 『十二の栄光(キングス・オーダー)』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯狙い
1.復讐に関することだけはマスターに付き合う。
2.ただし、監督役と事を構えるつもりは「まだ」ない。
[備考]




【シエル@月姫】
[状態] 健康
[令呪] 残り?画
[装備] クラスカード・アーチャー(エミヤ)、第七聖典、黒鍵×沢山
[道具] 不明
[所持金] 不明
[所持カード] なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の円滑な進行
1.イリヤに対応する。
2.マヒロを警戒する。
[備考]
※彼女は厳密にはシエルを模してムーンセルが創造した上級AIで、本人ではありませんが、本人と同等の能力を有しています。






002:王と悪魔と始まりの朝 投下順 004:バトル・コミュニケーション
時系列順
OP2:オープニング イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 009:英雄と蛇、邂逅(前編)
アーチャー(アルケイデス)
マヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルト
アサシン(千手扉間)
シエル

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最終更新:2017年12月04日 21:55