経凛々


【種族】 呪具、経典の付喪神
【性別】 女性
【属性】 ,
【所属】 フリーランス


概要


今より50年前。東方のある国、ある地方、ある古寺に非常に霊力に優れた法師がおったそうな。
自身の実力に絶対の自信があった彼は、常に周囲からの注目を集め、高慢にもとれるよう振舞っていたという。
だが、そんな彼の元に現れるのはそれよりも徳の高い「奇跡の巫」と呼ばれた放浪の高僧。
瞬く間に民草の話題は自分から彼に離れ、その結果、法師は高僧に酷く嫉妬を抱いてしまった。

嫉妬は、やがて狂気へと変わった。
法師は高僧を呪殺すべく、七日七晩呪詛を練り、己の霊力を注ぎ込んだそれを高僧へ差し向けた。
しかし、彼を呪殺することは叶わず、霊力を果たした法師は、強い怨念を抱えたまま狂乱のまま事故死。
後には噂話の種と、主を失い朽ち果てた古寺と、呪殺にも使用しようとした法師の愛用の呪具が残された。

強い怨念を、霊力にあてられ供養も受けぬ器物は、時に意思を持ち化生となり人を化かすことがあるという。
化生の名は付喪神。この主を失った古寺に残された呪具が化け、経典の付喪神「経凛々」(きょうりんりん)となったのである。

世は常に無常。戦で滅びた国、誰も寄り付かなかった古寺だった廃墟で、付喪神は目を覚ます。
道具は使われることが本懐。その為にヒトの手により作られ、消費される。
付喪神は自分を使ってくれる人間を探して寺を出た。
そうして早50年、自分を使ってくれるヒトの手を渡り歩き、ある賊の少年の元へと渡ったのであった。

付喪神の力は、呪いと破魔の力。他にも術が幾つか使用できる。
多くの人間は手っ取り早く、それでいて確実に一人を呪殺できる能力に目を向けた。
自分では手を下せない憎たらしい人間を死に至らしめる為に、付喪神を使用し、その報いを受けて魂を食われた。
付喪神は、ヒトに使われることを渇望していたが、自分の力を誰に使われるか、どのように使われるかは問わなかった。
その為心悪しき者の下で死を招く呪いを行使することも稀ではなかった。

そんな中、ある討伐任務でハイカラな重鎧に身を包む奇妙な青年たちに出会う。
他にも面妖な絡繰人形に、呪歌を操る吟遊詩人不死者の剣士、そして西洋かぶれの同族と思い返せば妙な連中であったことを記憶している。
彼らとの交戦の末、命惜しさに降伏するも賊の所有物として呪いの力を振るったため、付喪神自身も破壊されそうになる。

しかし、色々あった結果付喪神は情けを貰い、奇妙な青年の元に身を寄せることに。
縁というものは広がるもので、彼ら傭兵に付き従う半人半樹の親とも出会い、彼らの為に力を振るうこととなった。
現在は青年、ラジオと共に生活中。親子の住まうコロナリアガーデンにもよく顔を出し、お祓いをすることもある。
ラジオとのやり取りにて「凛(リン)」という愛称が定着。以後はそう名乗っている。

容姿はただの古い霊力を秘めた巻物(巻物自体がマジックアイテムである)であるが、多くの付喪神同様化ける。
人間態として腰までの藤紫の髪、瞳は梅紫のタレ眼。東洋諸国の生まれなので黄色の肌に小柄で華奢な体型。それでいて出るところはしっかり出ている。
頭部や全身に包帯のように経典を巻きつけた忍のようなミニスカ和服のハルピュイアの10代後半くらいの少女の姿を取る。
他にも全身に経典を巻きつけた漆黒の巨鴉の姿になることが可能。

性格は飄々としており、陽気かつ社交的で寛容で献身的。差別意識とかない。すごくうるさい、やかましい、黙らない。
明るい見てくれとは別にその思考は独自の哲学を築いており、薄情かつ無情とも取れる反応を見せることも。
道具は道具としてヒトの元で使われることが幸せと考え、ヒトに使われることを強く渇望する。
流石に自分の死をすんなり受け入れるほどではなく、生には貪欲。

50年生きているものの現代文化、西洋文明に疎いアナログ思考。
付喪神ではない自律思考ロボットもパワードアーマーも便利な工学兵器も高層ビルも飛行機も知らない。
魔道に密接な関係を持つゴーレムは解るので、ゴーレムのことは面妖であるとは思っていないらしい。
また、妖刀など付喪神は東洋由来の魔物と認識している。付喪神の元々の希少さからか同族にもなかなか遭遇できず、西洋諸国に同一の存在がいることを認知していない。
主人であるラジオの特殊アーマーを「ハイカラな重鎧」、自分たちのように魂を持たず、尚且つ高度な知能を持つ自律思考ロボットである彩を「面妖な絡繰人形」、
同族でありながらステルディア近海生まれ楽園育ちのサイプレスやこれまた西洋生まれで西洋盾のアイギスを「西洋かぶれ」と称しているのはこのため。

しかし、誰に使われるか、どのように使われるかは問わず、人を呪い、不幸に堕とすことも邪気を払い、魔を滅することも厭わない。
というよりなにかしてって言われたら割と素直になんでも引き受けてしまう性格。家事から戦闘から何でもこなす。
使い魔としてはらしい性格なのかもしれない。

ちなみに人間とは身体構造も精神構造もいろいろ違う付喪神ではあるものの、恋愛観はまとも。
愛や恋に種族は関係ないものと思っており、肉体的な愛情よりも精神的なものに比重を置く。
ただし性別は別で同性愛は苦手(トラウマ?)であり、女性らしく男性の裸を見ると照れたり泣いたりする。


台詞例


明るい口調であるものの、声のトーンは割と平坦。声は高く、少女らしいもの。
時折尊大な口調になることがあるものの、雰囲気を出すためにやっているらしい。

主人であるラジオのことは「ご主人」もしくは「ラジオ」と呼ぶ。
また同族の事をその素性(妖刀なら刀、鏡なら鏡)で呼ぶことも多い。
ちなみにリンは「巻物」やら「紙製品」と呼ばれていることが多い。

その他の相手には大体呼び捨て。

「あたいは経典の付喪神、名は経凛々。長ったらしいしリンでいーよ」
「ご主人!言われた通りにお掃除しといたよー。窓も床もピカピカだよー!」
「ご主人!このヒトが映るハコってどーやって使えばいいの!?」
「おてんとさんって気持ちいいねー、ん?あんたもそう思うか。そうかそうか」
「小屋の改造かぁ、それじゃあ大釜とかおこうよ!趣味悪い?そっかー」
「そういや西洋かぶれって何の付喪神なの?ふーん、十字架か。あんた、神聖のシンボルじゃあなくて死の象徴(けいぐ)なんだね」
「廃油を撒き散らす同族(おなかま)?知らないなぁ……。というか、あたいらって一応レア魔物だからあんま知り合いいないんだよねー」
「巻物じゃなくて経典と呼べちくしょー!!私はただの巻物じゃないんだぞ、霊験あらたかな特注品なんだぞー!!?」
「うわああああまた西洋かぶれだあああああああ西洋かぶれの同族(おなかま)だあああ!!?」
「やっぱ妖刀って人を斬るのが好きなの?……返り血で汚れるからちょっと?乾くとベタつくし大変だもんねぇ」
「委ねよ。その怨嗟、呪詛の紡ぎ手の化身たる私が引き受けよう」
「言ったでしょ?人を呪わば穴二つ、命を奪う呪いには相応の対価が必要だと」
「あなた、相当の恨みを買っているね……。そういう相手はやりやすいんだ。あたいの力の源は恨みだからね」
「うわあああああああ見ちゃったああああああもうおよめいけなああああい」


主な技・魔法


豊富な呪詛の知識と技術を活かし戦う戦闘スタイル。
本体が貧弱であるが故か後衛とサポートに徹し持ち主を援護しながら戦うことを得意とする。
彼女の扱う術は特殊効果を持つものが多く厄介であるが、素早い術展開は苦手としている。

経凛々の扱う特技のようなものも記載。
なお、経凛々を所有する者も、彼女に命ずることでこの技や能力を間接的に使用できる。
その力は呪詛と退魔に特化しており、東方出身の癖に古今東西の様々な呪詛と退魔術を使用できるようになる。


「呪詛魔弾」
西洋の呪術の一つ。寺を飛び出した後に習得したと思われる。
幽体離脱をして自由に飛翔する魔術弾の形を取る。ガンド撃ちと呼ばれる。
経凛々の操るそれは非常に強力で殺傷力を得るまでに昇華されている。
触れた相手に呪いをかけ、様々な悪現象を引き起こす。


「幻想殺しの黒羽」
「魔力破壊」の呪詛を巡らせた自分の羽を弾丸に見立てガトリング掃射をお見舞いする。
強烈な怨念を込めており、触れた魔力を食い破る。
その性質上、実体を持たない思念体に絶大な威力を与えることが可能。
また結界や障壁、魔法罠なども安々破壊する。


「メルゼブルクの生還の秘術」
古来、戦闘にて捕らえられた兵士が無事に帰還するように唱えられた呪文。
束縛・結界系の術、攻撃、能力に対し呪詛のチカラで干渉。無理やり中断させる。


「九つの薬草の呪文」
古代の白魔女が生み出した治癒呪文のひとつ。
その名の通り9つの薬効植物を用いた治療法を謳うものである。
しかしながら、この呪文自体にも治癒の力が秘められており特に精神的なものに効果があるとされる。
主な効果は状態異常やバッドステータスの治癒。


「アブラカダブラ」
古来より唱えられてきたおまじないの一つ。
「私が言うとおりになる」、「この言葉のようにいなくなれ」の意味を有する。
自身及び持ち主の魔力、気などの不可思議な力を増幅する。
増幅した力により衝撃波を起こすことも可能。


「丑の刻参り」
術者もしくは持ち主の体力が少なければ少ないほど威力を増す呪いの炎を放つ呪詛。
効力を引き上げようとして術者や持ち主が死んでは意味はない。


「不動王生霊返し」
自身や持ち主に向けて作用するあらゆる特殊攻撃を効果を倍にして反射する。
反射させる対象は攻撃してきた者だけでなく経凛々が自由に選ぶことが出来る。


「追儺」
鬼祓いの退魔術。浄化魔弾を雨あられと降らせる。
アンデッドや悪魔、妖怪の類には効果覿面。


「イクソシズム」
聖なる呪文と共に相手を呪言の力で束縛、そのまま浄化する退魔の魔術。
無理やり霊や怪物を浄化する荒業。
死霊や悪魔など浄化が通用する相手にしか通用しない。


「連環の呪印」
指定した2つの対象に呪いをかけ、傷の状態、状態異常をリンクさせる。
例えばリンク状態にある相手の片方が傷を負うともう片方の相手も同じ部位に傷を負い、片方が四肢を欠損すればもう片方の相手の四肢も欠損する。
なお、無機物と生命体など対象にできる組み合わせはいろいろある。


「呪詛破壊」
呪詛への干渉を行い、対象を蝕む術式を打ち砕く強力なディスペルの技。
手段が強引である為対象への影響も大きく、適応できない場合もある。
呪詛干渉の際は呪詛を行使している相手との力比べとなる。


「邪気祓い」
自身や持ち主の周囲に聖属性のオーラを展開する護法。
魍魎を退け、邪気や瘴気による影響を軽減する。


「魔術障壁」
強力な呪詛の力で魔力障壁を展開する。
かなりの防御力を持ち、触れた攻撃を無効化及び軽減する。
しかし、一度に展開していられる時間は短い。


「七夜の怨嗟」
経凛々の知りうる呪術の中で一番効力の高い凶悪な呪詛。
彼女を所有する者の命を対価とすることで、対象を死に至らしめる呪詛を振りかける。
しかしその対象となるのは生命力を持つ生物のみ。

ロボットやゴーレムなどの無生物、既に死んでいるアンデッド、神仏や霊のように実体を持たない存在などには通用しない。
ついでにお仲間である付喪神全般にも効き目はないらしい。


「断罪の魔弾」
混迷する世界環境の中で経凛々が新たに生み出した呪詛の一つ。
対象の殺害したものの数に応じて威力が増強される呪詛の怨念を蓄えた防御貫通、かつ強力な追尾効果を持つ巨大球を放つ。
数多の生物を殺害し数多の存在を不幸にした大量虐殺者を相手にすれば魂すら分子レベルで消し飛ばすことができるだろう。


その他デバフや補助魔法を多く使用できるようだ。


特殊能力・技能


「魔物」
魔物に特別な効果のある技・魔法・能力の影響を受ける。
魔物特効のほか、物質系特効の対象にも入っている。
かなりしぶとい魔物であり、霊魂が完全に浄化されるか本体が木っ端微塵になるかしないとくたばらない。


「無機物」
その肉体構造は生物と大きく異なり、ゴーレムやアンデッドに近い存在。
視覚、聴覚、触覚を持ち痛覚も存在するが、嗅覚や味覚は存在しない。
痛覚が存在する以上負傷すれば痛みを伴い、修復が終わるまでそれに苛まれ続ける。

人間と同じ食事は必要としない代わりに、主食として知的生命体の「怨嗟」を求める。興が乗れば怨霊食いもするらしい。
生命における睡眠行動は霊力回復及び霊魂の波長を整える働きを持つため彼女にとっても必要な行為である。


「怨魂耐性」
死属性の攻撃、怨念を用いた霊障を無効化、吸収する。


「聖属性耐性」
聖属性にそれなりの耐性を有する。
付喪神の中でも怨霊に近い存在だが浄化が効きにくい。
とはいえ無効化ではないので、根気よく浄化すれば昇天する。


「紙製品」
体は紙でできている。湿気や虫による被害、炎に弱い。
弱点は炎属性、水属性、虫による被害。


「回復無効」
通常の回復を受け付けない。
治療には物体を修復する術や能力を使用しなくてはならない。


「呪詛耐性」
自身を対象とする状態異常系の魔法に非常に強い。


「肉体系状態異常無効化」
能力値低下、凍結、石化以外の肉体系状態異常を無効化する。


「飛翔」
持ち主を抱えて飛ぶこともできる。
紙なのであんまりスピードは出ない。強い風には飛ばされる。


「呪詛生成」
呪いの経典としての能力。周囲の怨念、瘴気を吸収してそれに基づいて新たな呪詛を生成する。
生成時に使用する怨念が多ければ多いほど、そして怨念の矛先が一つに向けば向くほど効力を増す。
具体的には怨念の矛先への特効を持ち、弱点となる霊障(魔法)という形で具現することが多い。


「霊子防護」
自身の周囲に霊素のオーラを発生させ、物魔両方の防御力を上昇させる。
その関係で普通の紙よりもかなり頑丈。とはいえ紙は紙である。


「呪術知識及び技能」
呪術に関しての知識が豊富。古今東西様々な地の呪術が使える。
習得している呪術は本体である巻物に記される。


「浄霊術【中】」
霊魂を鎮め、元の輪廻へ導く浄霊の技術。
アンデッドに対し、攻撃力上昇。


「気配隠蔽」
すごく頑張ってただの巻物のフリをする。
実際に気配を殺せるか、というより喋らずにいられるかは別。


装備品


「音拾いの霊石」
ラジオに買ってもらった魔石。奇妙な波紋のような文様に紫と緑の不気味な配色をしている。
発動する事で周囲の音を拾い、持ち主に伝える魔力が秘められている。
話し声から小さな物音までいろいろ拾えるし、念じることで対象を絞ることも可能。
探知のパワーは相当なものなのかうまく音を消している相手の音でも拾えてしまう。
アクセサリーに加工してもらい、巻物の紐の部分にくくりつけている。おしゃれらしい。


「呪詛の羽衣」
市販のロングスカーフを自身の呪詛で魔改造しマジックアイテムにしたもの。人間態や怪鳥態では首に巻いている。
自身に向かって放たれた魔法を吸収し持ち主の魔力に分け与える。
強力な魔法は吸収できないが苦手な炎、水属性魔術に対抗できる手段でもある。


能力値


体力:概念なし
魔力:A++
 魔法攻撃力:A+
 魔法防御力:A+ (魔法には強い)
 精神力:C+
 精神防御:C+
腕力:D(巻物状態ではE)
 物理攻撃力:D (巻物状態ではE)
 物理防御力:D+(強化しているとはいえ紙である)
知力:B
素早さ:C+(巻物状態ではE)
命中:B

ちなみに


1: ちょいと前から考えてた付喪神キャラ。元ネタはその名の通り経典の付喪神「経凛々」。しかし見た目の元ネタはぬらりひょんの孫の「夜雀」。

2: コンセプトはよく喋るトイフェルアームズ。あと使い手次第で善悪どちらにも転ぶ便利(厄介)な使い魔。元ネタ通りに呪詛と退魔に特化している。

3: ちなみに初戦の時は持ち主もそうだけどラジオのことも絡繰人形と勘違いしていたり。なので、特別な呪いの対象になりうるのは一人しかいないじゃないか?!とか思っていた。

4: 私信になりますが、データに関しては追加しちゃっても大丈夫です><寧ろありがたやと土下座したいほどです。

最終更新:2015年09月07日 13:36