ウェルダンディ王国スタノスカ地方を治める貴族。 約400年の伝統を持つ。
元々は領地を持たない騎士の家系だったが400年ほど前、当時の当主だったスタノスカが戦場での度重なる武勲から国王より子爵位と領地を与えられた。 スタノスカは敵国領の目と鼻の先である領地の南部にある森に自らの居城、ドラクリヤ城を構え、森を「スタノスカ樹林」と名づけた。 領主となったスタノスカは内政は信頼のおける忠臣に任せ、自らは軍を率いて南方の制圧に奔走しウェルダンディ王国の領土拡大に大きく貢献した。
スタノスカが没して100年ほどは大きな戦争に巻き込まれることもなく、ドラクリヤ家はヴラディスラウスの代になった。 ヴラディスラウスは非情に残忍で些細な罪の者、また冤罪でも容赦なく残忍な刑に処し領民からは非常に恐れられた。
ある満月の晩、より残虐な処刑を行いたくなったウラディスラウスは「悪魔なら人間では考え付かない処刑法を知っているのではないか」と思いつき、魔界から強大な魔神の1人であるデスの召喚を試みた。 召喚は見事成功したものの、デスが述べた処刑法はウラディスラウスの満足の行くものではなかった。 失望するウラディスラウスだったがデスは「おまえに不死を授けてやろう。不死になれば無限に処刑を楽しめるぞ」と持ちかけた。 ウラディスラウスはこれを快諾、デスは契約通りヴラディスラウスに不死を授け、彼を吸血鬼に変えた。
吸血鬼となったヴラドは次々に城内の者を襲い吸血。 吸血されたものは新たな吸血鬼となって新たな犠牲者に群がり血を啜った。 こうしてドラクリヤ城は一夜にして吸血鬼達が巣食う城になった。
吸血鬼たちは夜になると近隣の町村を襲って住人から吸血して犠牲者と吸血鬼を増やしていった。 吸血鬼の噂は運良く逃げ延びた領民の口から伝わり、数々の町村で吸血鬼に関するデマが広まり無関係の人間が次々に殺される事件も起きた。 夜毎に吸血鬼は犠牲者を増やしていき、中には吸血鬼の噂を聞いて聞いて吸血鬼に憧れ、自ら吸血鬼の犠牲者となる者まで現れた。
一方でヴラディスラウスは手に入れた絶大な力で吸血鬼達の頂点に君臨。 領民をさらって晩餐の贄にし、また逆らう者は曾祖母スタノスカがそうしたように容赦なく串刺しにし晒し者にした。
こうしてドラクリヤ伯爵領内には恐怖と混乱が満ちた。
この事態にヴラディスラウスの弟アルカードが立ち上がった。 アルカードは王国に事態を知らせて自らも挙兵。 集めた情報から吸血鬼が日中に動けないことや聖なる力に弱いことを知ると彼らの動けない日中を狙って軍を進め、領内を荒らす雑多な吸血鬼を掃討していった。
後に「ウラディスラウスの乱」と呼ばれる戦いの始まりである。
アルカードは苦戦しつつ吸血鬼の勢力を駆逐し、ついにドラクリヤ城を攻め落としヴラディスラウスを討ち取ることに成功した。 捕らえられた吸血鬼たちは粛清されたものの平民貴族問わず取り逃がした吸血鬼も多数存在した。
アルカードは8代目当主の座に就き領内とドラクリヤ伯爵家の復興、吸血鬼の残党の掃討に尽力するようになった。 また、ドラクリヤ家の名誉のために吸血鬼の件については可能な限り文献などに残さないように徹底し、王国側も混乱を避けるために情報を厳しく規制した。
こうして吸血鬼の一件は人々の記憶から風化していくことになった。
アルカードの粛清から逃れた吸血鬼たちの中にスタノスカ樹林の深部、未開のエリアに逃げ込んだ者たちがいた。 彼らはドラクリヤ伯の娘であるエリザベート=ドラクリヤを筆頭に貴族、平民の混成集団だった。 あてもなく森の中を彷徨っていた彼らだったがついに国の管理が行き届いていないであろう村落を発見した。 エリザベートたちは原住民を1人残らず捕獲して牢に繋ぎ、自分たちは家々に居座り集落を乗っ取った。 更にエリザベートたちはドラクリヤ城から持ち出した魔道アイテムを用いて村周辺を覆う結界を張り、吸血鬼以外は中からの許可がない限り出入りできないようにした。
こうして安息の地を手に入れ、村の長となったエリザベートは村の名を「ノイドラクリヤ(新しいドラクリア)村」と名付け、落ち延びた吸血鬼達の避難所となった。
以後、ノイドラクリヤ村の吸血鬼達は食糧確保など特別な事情以外では村から出ることなく村に篭もって暮らした。 時折村を出て付近の街道を通る旅人を村へと攫い、食料にした。 人間牧場が作られ生まれた人間はある程度育てられたあとは同じく食料になった。
こうした生活は以後、現代まで続くことになる。
「ヴラディスラウスの乱」から現在に至るまでの約300年間はノルン連合とモイラ連合の戦争を以外では特に事件に巨大な事件などに巻き込まれることなく現在に至っている。 また、ノルン連合とモイラ連合の戦争についても領内からの出兵があっただけで領内が戦場になったことはない。
ドラクリヤ家3代当主。 ウェルダンディ王国の領土拡大に大きく貢献した英雄でもある。 その武勲から国王より南方の領地と子爵位、後に更に伯爵位を授かった。
長い水色の髪をもち、黒色の甲冑を纏った勇ましい女騎士の姿で描かれることが多い。 勇猛さと残虐さを併せ持っていたことでも知られ、敵に対する残酷な仕打ちから周囲には恐れられていた。 特に捕らえた敵兵を生きたまま串刺しにて晒し者にし、彼らの返り血を浴びて狂喜していたエピソードは有名。
領主となってからも内政は忠臣に任せ、自らは南方の敵領への侵攻に没頭していた。 戦士としても戦術家としても評価が高いが反面、戦略、政略、内政は苦手としていた。
ウェルダンディ王国が周辺諸国と停戦した後は余生を領内で静かに過ごした。
ドラクリヤ家第7代当主。 通称「ヴラド」。 曾祖母スタノスカ譲りの残忍さを持ち、罪人を惨殺するのを愉しみとしていた。 新たな処刑法を求めてデスを召喚、彼の力を受けて最初の吸血鬼になった。 吸血鬼となった後は配下の吸血鬼達を指揮して自領内を混乱に陥れ、最後には弟アルカードに討たれた。
その後、霊魂だけが魔界に逃れ、新たにブーネと契約。 彼女の配下として更なる力を得て甦った。
ドラクリヤ家第8代当主。 ヴラディスラウスの弟。 兄ウラディスラウスが吸血鬼事件を起こした際に反乱軍を率いてヴラディスラウスと戦いこれを討ち滅ぼした。 「ウラディスラウスの乱」後はそのままウラディスラウス伯と領地を継承、領内の復興に尽力した。
今日でも英雄と称えられてられている人物。
ヴラディスラウスの第3子、長女。 カリスマ性で落ち延びた吸血鬼達を率いて小さな村を襲い、「ノイドラクリヤ村」を作り上げ初代村長となる。 柔軟な思考の持ち主で政治力に優れており、現在でも健在で村長の座についている。 身内(ノイドラクリヤの者)には非常に寛大だが身内に仇をなす相手には容赦しない。
公式的には内乱時に処刑されたことになっており、彼女の墓も存在する。
ドラクリヤ家の分家の中でも特に有力なものの一つ。 「ヴラディスラウスの乱」の際に半数以上が粛清されたが何人かはエリザベートに追従しノイドラクリヤ村に落ち延びている。
現ドラクリア家当主の第4子、次女。 現在は社会勉強のため、外界での生活を送っている。
ドラクリヤ家の分家の一つ。 「ヴラディスラウスの乱」においてヴラディスラウスに加担したため、失墜。 現在では下級貴族となっている。
「ヴラディスラウスの乱」当時の当主。 ヴラディスラウスの幹部として動いていたが、ヴラディスラウスが敗北すると素早く部下を率いて逃亡し行方を眩ませた。 その後は消息不明となっており、現在でも詳しい足取りは掴めていない。
公式的には内乱時に処刑されたことになっており、彼の墓も存在する。