ばうんてぃはんたー 27KB
虐待-普通 理不尽 駆除 都会 現代 独自設定 独自設定解説多め
建物の影から、一体のゆっくりが姿を見せる。
そいつは威嚇しながら要求を口にした。
「ゆっへっへ! あまあまさんをよこすんだぜ!!」
鋭い眼差しにゲス口調。
肌色の体を泥で汚し清潔感の欠片も無い。
飼いゆが野良化したまりさだと特定。
判別要素は黒い帽子に付けている銅バッチ。
「ゆあ~ん!? まりさのありがたいおことばがきこえないの?
おみみがとおいの? まりさがなおしてあげようか? げらげらげらっ!!」
何を間違えてこの様な性格になってしまったのか。
俺は呆れ顔をしながら懐に手を入れた。
「お~? まりさのいだいさがわかったんだね!?
さっさとあまあまをよこせ! くそじじいっ!! ……もがっ゛!? 」
まりさの口の中に黒光りする先端を無理矢理押し込む。
目の前にいるまりさは、不満を爆発させて目が更に釣りあがっていく。
しかし、俺が "カチリ" と撃鉄を引いた瞬間、まりさは顔を青くさせた。
そう……まりさの口の中には銃口が入っている。
怯えたまりさは、憐れみと不安を混じりあわせたような表情を俺に向けた。
「ゆ…ゆっくりゆるしてね!?」
この急激な表情の変化。
「まりさは、いいやつがおおいんだよ!?」
いきなり命乞いに走る必死な姿。
「ゆっゆ~ん! ゆっくりゆるすんだぜ!!」
その全てがたまらない。
「うごっ!? うがっ!! うぼぉおおおおおおっ゛!?」
俺は無慈悲に引き金を絞った。
装填している五発の弾丸をまりさの咽奥へと連続発砲。
「やべっ!? あがああああああっ゛!! がらだがあづいいいいいいっ゛!?
あづっあづっ゛!? ……ゆ!? いだいっ゛!! いだああああああっ゛!?」
まりさの体に入った五発の弾頭。
この弾頭部分は金属では無い。
強烈な辛味成分等がたっぷりと濃縮された大粒の球体だ。
例えるならば、いわゆるペイント弾に属する代物だろう。
多少、扱いやすいように加工してある。
「ゆあああああああああっ゛!? あああぁあああぁあああぁあああっ゛!!」
弾頭がゆっくりの内部に入ると、
辛味成分がじっとりと嫌らしく溶け出しながら体を蝕んでいく。
これは、極々初期の段階に開発された、今では使う者が少数になってしまった装備。
でも、俺は好んでこの装備を使っている。
目の前で体を狂ったように振りながら地獄へと旅立つまりさ。
もがき苦しむ素晴らしい姿を写メで撮って待ち受けにしたい位だ。
「だずげでええええええっ゛! ゆっぐりざぜえっ!?……ごぼおおおおおおっ゛!!」
道路上に黒い餡子を吐き散らかす。
まりさはもう長くは無い。
「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……」
俺は盛大に吐いているまりさの目を覗く。
瞳が白く濁り、絶望を映したまま虚空を見つめていた。
「終了」
俺はまりさの帽子と体をチェックする。
何処かに、"ユーコード" と言われる特殊な模様があるはずだ。
「ない……それならここか?」
帽子を取って裏地を確認。
そこにはシール状のユーコードが貼り付けてあった。
「良し、ブロンズ・コード発見」
これが無いとタダ働きになってしまう。
ユーコードが有るか無いかでは、天と地の差がある。
「送信っと。さて……こいつの賞金は?」
携帯でユーコードを取り込み、情報サイトへと転送する。
「……思ったほどではない…か」
情報は即座に携帯画面から俺の目に入り金額を確認。
金額はかなり微妙な感じだ。
依頼人がケチってるとしか思えない。
「まあいいさ。貰えるだけありがたい」
確認のボタンをクリックしてから暗証番号を入力。
これで即日に入金が行われる手筈になっている。
中々便利なシステムだ。
「ま? まままっ、まじざぁああああああっ゛!?」
「……"でいぶ" か」
建物の影から現われたのは大きなれいむ。
こちらもまりさと同じく野良ゆっくりだ。
汚れた体を見ただけですぐ解る。
そんな野良でいぶの色褪せたリボンに付いている、
色がくすんで傷だらけのバッチに俺は興味を引かれた。
「"元銀バッチ" みたいだな?」
「ゆゆゆ!? そうだよ!! でいぶはぎんばっちさんなんだよ!!」
俺は空になった薬莢に赤い弾を詰め込んでいく。
でいぶにはそれが甘いお菓子に見えたらしい。
「ちょうだいねっ!! かわいいでいぶ……ゆ?」
焦らなくても……、
「たっぷりご馳走してやる」
弾装に三発の弾丸を詰め込んだ後、
俺はでいぶの眉間に銃口を突きつけて発砲した。
「ぶっぶぅふううううううううっ゛!? おぼおおおおおおおおおおおっ゛!!」
「美味いか?」
硬い外皮の弾頭はそれなりに貫通力はある。
カプセルに包まれている状態の弾頭部分は、
ゆっくり達の体を突き抜ける威力はないので体内に留まる。
それがまた好都合。
ゆっくりの体内で溶けて最悪な苦痛と激痛を脳天に与える。
瞬殺させない為に特殊な配合で糖度と辛味の濃度を調整。
希望を持たせた後、絶望を与える事を繰り返す振り子運動。
そのような感覚をゆっくり達に味あわせて長期延命を計る調合で作られている。
ただし、延命処置は撃ちすぎない事が大前提だ。
一体に対して大量摂取させた場合は殆ど意味をなさない。
それなりに高度な技術だ。
狂人とは恐ろしい発明をするものだと感心する。
「それがお前のゆん生の終着駅だ。じっくり味わえ」
「ゆおごがぶぐがっ゛!? ……げぼおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
まりさと同じく壮絶な最後を迎えたでいぶ。
多くの餡子を吐きまくり、地面へと崩れ落ちた。
俺はでいぶに付いていた銀バッチを毟り取り、
バッチ側面の小さな隙間に爪を引っかけてスライドさせる。
真ん中からスライドしたバッチの断面には、ユーコードがプリントされていた。
銅バッチまりさのようにシールではない。
これは手のかかった特殊品の証だ。
「大当たりだな。さすが、銀でいぶ 」
転送したコードの賞金は予想以上にかなりの高額配当。
最初に狩ったまりさの数倍近くの金額が携帯の液晶に映っていた。
俺はまりさとでいぶに感謝しながら入金手続きの処理をする。
増え続ける野良のゆっくり達。
それは社会の害悪となり、有益に結びつかない災いの種。
そこで政府は重い腰をあげる。
ゆっくり達に個別のコード認証を持たせ、無作為に捨てた飼い主を特定。
そして、悪い事をしたゆっくりの飼い主には重い罰を与えるという、狭い視野でまとめられた法案。
とりあえずの精神が垣間見える、社会に不安を与えて牽制する姑息な手法をとった。
それと同時に野良駆除に対する褒賞も発案された。
だが、それは極々微々たる額。
子供の小遣い稼ぎにさえも、全く見向きもされない金額だった。
それなりに駆除されていく野良。
何も変わらない国のゆっくり対策。
「……それが、まさか、こんな事になるとはね」
俺は銃に入った薬莢を取り出しながら呟く。
「賞金首……か……」
劇的な変化は数ヵ月後に訪れた。
ある金持ちがネット上で飼いゆっくりの情報を流したのがきっかけとなる。
そこに乗った情報は、
『ワシのゆっくりを始末してくれ! 賞金を出す!!』
そのような必死な訴えと、飼っていたゆっくりの詳細だった。
そして、その賞金額に世間は驚いた。
イチの後に信じられない位のゼロが並んでいたのだ。
直後、老若男女が一斉に狩りへと向かう。
街の隅から隅へと走り回る大勢の狩人。
その際に多数の野良ゆっくりと遭遇したのだろうが、
『目的以外に構うのは時間の無駄!』とばかりに、スルーを実行。
小物より、膨大な巨額のお金がその身の付けられた賞金首を捜して疾走する。
数刻後、賞金首捕獲の通達がネットで流れる。
賞金首を射止めたのは小さな女の子だった。
庭に入ってきた野良を捕まえて親に見せに行ったら大当たりだったらしい。
その小さな掌で、文字通り巨万の富を手にした女の子。
世間は一瞬にして力が抜けた。
『これで祭りは終わりだ』
誰もがそう思った。
……しかし、その考えは杞憂となる。
その後も新しい賞金首が次から次へと情報サイトにアップされた。
それは、"自分で探せなくなって追い詰められた人が世の中に溢れている" からに他ならない。
元飼いゆが捕まって告発されれば元飼い主の自分が罪に問われる。
それは何としても避けたいと誰もが思う。
回避の手段としては、捕獲か始末する方法を実行するしかない。
しかし、元飼いゆが悪い事をしてしまってからでは遅いのだ。
だからと言って長期に学校や仕事を休むわけにはいかない。
飼い主は不安で枕を高くして眠れない日々が続くのは明白。
そこで依頼をする。
賞金首情報を配信する専門サイトへと。
その登録された情報は各地に散らばるハンターへと伝えられる。
今では巨大なサイトとなり、昼夜を問わず大なり小なりの依頼が殺到している。
俺もそのハンターの一員。
かなり早い段階からこの仕事を続けている。
これは仕事と言っても趣味の一環だ。
食っていける一生の職業には程遠い。
誰が最初に提案したのかはは知らないが、
この遊びを "仕事" として伝えるのが通例になっていた。
ハンターの資格はゆっくりを潰せるか潰せないか。
殆どが抹殺依頼なので必須条件だろう。
ごくまれに捕獲依頼があるが、
依頼者の大半は元飼いゆを早々と見捨て始末を依頼してくる。
「まあ、飲み代と煙草代位は稼げる」
それ以上の稼ぎを得る場合もあるこの"仕事"に嵌る輩は多い。
趣味と実益を兼ね備えたゲームに等しい行為だからだ。
「今日はこれで終わり。十分稼いだしな」
俺は伸びをしながら家路へと急ぐ。
「その前に……コンビニでも寄るか」
材料が切れた事を思い出した俺は、
その足で近くのコンビニへと足を運んだ。
設置されているATMで金を引き出した後、商品を大量に買い込んだ。
コンビニの籠がミシミシと音を立てる。
そして、レジで清算しようとしていた時、横から声を掛けられた。
「……まだ"仕事"をしているの?」
「?」
俺は声を掛けられた横に視線だけを向ける。
そこには知り合いの女性が佇んでいた。
「そうだよ。まだそんな物で"仕事"をしているのかい?」
「お前もか……、ああ、そうだよ」
それと女性の横に並んで立っていた長身の男性。
この二人は、かつて一緒に狩りに興じていた俺の仲間達だ。
双方とも悲痛な表情を浮かべ、悲しそうな瞳で俺を見つめている。
「もう辞めてっ!? 見ていられないの!!」
「我慢できない! 僕からも友として言わせてもらう!!」
「またか……勘弁してくれ」
会う度に口煩い、かつての友人。
俺は苦い顔で不満を表す。
しかし、それで発言が抑えられる事はなかった。
「そうよっ!! あなたにオススメするのは……」
「そうだっ!! 君に一番あっている物は……」
それぞれがポケットに手を突っ込む。
「この、皮ごしらえの鞭なのよ!!」
「この、煌めくスタンガンさっ!!」
「……」
そして、それぞれがオススメの装備を取り出した。
俺は当然どちらの装備にも無反応。
と言うか、堂々とコンビニで出すな。
「……この黒光りする艶の素晴らしさがあなたには解らないの?」
「……君は、程よい電気ショックで痙攣するゆっくり達の姿に、心がときめかないのかい?」
かつての友人。
今では親友の二人が、お互いに開いた距離を詰め寄り怒りを露にする。
火花を散らしながら自分がオススメした装備の長所を語り出す。
その熱気にあてられて、店に居た他の客達も自身の装備自慢を始めた。
マジで警察に捕まるのでそろそろ辞めていただきたい。
「はいはいはいはい。とりあえず外に出るぞ」
「がるるるるるるっ!!」
「ぐるるるるるるっ!!」
俺は買い物を済ませ、唸る二人を無理矢理店の外へと引っ張っていった。
缶コーヒーを飲みながら歩道を進む三人組。
「……と言う訳で、俺はこの装備から変える気は無い」
「そう……残念だわ」
「君がそこまで言うなら仕方が無いね」
親友達は納得した表情で頷く。
だが、この光景は先日にもあった。
絶対にどちらも再交渉があると断言できる。
さすが俺の親友達だ。
凄くシツコイ。
「……あっ! ゆっくり達がいるわ!!」
「本当だ! あれは賞金首かもしれないよ!!」
路地裏の奥、
そこにはゴミ箱を漁るゆっくり達が居た。
「俺はいいや。このまま帰る」
「そう……残念だわ。この新しい鞭の魅力を伝えたかったのに」
鞭を引っ張り、乾いた音を響かせる女王様。
「残念だよ……。この新開発した電気ショックを見せたかったのに」
虚空に稲光を撒き散らす雷神様。
そして、別れの挨拶はそこそこに二人は獲物に向かって飛んでいく。
「ほ~っほっほっほ!!」
「ヒャッハァアアアッ!!」
『『 ゆっ!? ゆびびゅががががががっ゛!? おばあああああああああっ゛!! 』』
ビシビシ、バリバリ、ゆぎゃぁゆぎゃぁ。
快音と野良ゆっくり達の声がハーモニーを奏でる。
「あいつら……中々、いい音させやがる」
その爽快なメロディーを背中に受けながら、俺は自宅へと歩き出す。
家へと帰宅。
そして、コンビニ袋を持ちながら向かったのは一番奥にある部屋。
扉を開けると、そこにはケースに入ったゆっくり達。
「……ゆぐっ」
「……ゆううううううっ」
安く購入した虐待用だ。
脱走防止の為、厳重に封鎖された部屋で処置をする。
こんな安物でさえ厄介なユーコードは付いている。
それも体の部分に。
安くなれば安くなる程、容姿を無視したぞんざいな部分にプリントされている。
ユーコード処理の費用軽減と、一部のゆっくり団体が進めていた虐待抑制の効果を狙ってだろう。
『あなたはこんな危険な爆弾を虐待するんですか?』の意味を込めた皮肉にも捉えられる。
実際、部屋の戸締りの管理が甘く、隙を付かれて脱走された事がある間抜けな虐待お兄さんがいた。
数日程焦って探したが、運悪く既に問題をおこした後で、重い処罰を受ける羽目になったのだ。
それは誇大報道されて話題となったが、監禁グッツの売上が伸びただけで、抑制効果は殆ど無かったようだ。
恐るべし、ゆ虐お兄さん(お姉さん)。
「今日は何にしようか?」
「いやだぁああああああっ゛!?」
「いだいのはいやぁああああああっ゛!?」
ケースの中で、まりさとれいむが騒ぐ。
この二体は姉と妹の間柄。
少し前に親子セットで購入してきた虐待用だ。
「ずっどゆっぐぢじだぐないよぉおおおおおおっ゛!?」
「れいぶ、なじもわるいごどじでないのにぃいいいいいいっ゛!?」
ちなみに、こいつらがママと呼んでいた物は、別のケースに入っている。
"ゴミ入れ"と、名の付くケースに。
「ゆわぁああああああんっ゛!?」
「うわぁああああああんっ゛!?」
盛大に泣き喚くゆっくり姉妹。
「定番からいってみるか」
「ゆゆゆっ!? んぐっくん!!」
「ゆばっ!? おねえじゃん!!」
大きな口を開けていた姉まりさに白い錠剤を放り込む。
「……にゃんだか……にぇむくにゃってきたよ……」
「ゆゆゆ!! おねえじゃん!! がわじいぃびぼうどを、おいでいがないでね!!」
一生懸命に頬をすり寄せる妹れいむ。
だが、姉まりさの瞼は閉じていく。
「…ぐ~っ」
「おねえちゃああああああああんっ゛!?」
「予測通りの効果」
姉にラムネを飲ませた。
これは眠り薬というよりは麻酔薬の効果があるらしい。
ある程度は切ったり叩いたりしても起きる事は無いとの事だ。
「さて、お前にはこれを食べてもらう」
「ゆ。ゆゆゆ!! おねえちゃん!! おきてっ!! おきてよおおおおおおっ゛!?」
「すーやすーや。ゆぴゅぴゅぴゅぴゅ……」
泣き喚く妹れいむ。
幸せそうに眠る姉まりさ。
対照的な姉妹の姿。
「んぐっくん!? ゆ……ゆゆゆ。ゆゆゆゆゆ!?」
妹れいむにある物を飲ませた。
「ほふ!? ほふおふ! からだがあついよ!?」
キシリトール配合の甘い飴だ。
これは興奮剤の作用がある。
「そして、これを飲ませる」
「ゆ? ゆむ!? ゆむゆむむむんっ゛!?
……んっほぉおおおおおおおおおおおおっ゛!!」
ヨーグルトは精力剤。
これで、"簡易れいぱーれいむ" の誕生だ。
「んっほぉおおおおおっ゛!? かわいいまりさだよおおおおおおっ゛!!」
安らかに眠る姉まりさに興奮した変態妹れいむ。
目に映るゆっくりは家族だろうが頭の中はすっきりをする事しかないだろう。
それが、この方法で人工的に作られたれいぱーの特徴だった。
俺は直ぐに透明な仕切り板を間に取り付け双方を隔離する。
妹れいむは絶え間なく透明な板に体当たりをしていた。
そんな騒音を気にせず、姉まりさは安らかに眠っている。
「さて、これからが本番だな」
れいぱー状態のれいむを静める配合の新薬調査。
それが今の目的の一つだ。
「これはどうかな?」
「ゆっ゛!? ゆぶっ゛! ぶふふうふふふふふっ゛!?」
れいむが更に赤く膨れ上がった。
失敗のようだ。
「じゃあ、これは?」
「おふううううううっ゛ゆっふあああああああああっ゛!?」
れいむの目玉が盛り上がり、片方が飛び出した。
そこからゴボゴボと濃い何かが床に流れ落ちる。
「駄目っぽいな……これも」
たった二度の実験で使い物にならなくなった。
本当に弱い固体だ。
安物だからしかたないのか?
「まあいい。いっぱい増やしてくれ」
「ゆっほおおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!」
俺は仕切りを外してから蓋をする。
煩い声を抑えるために。
直ぐに飛び掛っていく妹れいむ。
その姿は、片目が無く、鬼の様に体は赤く染まり、奇声を上げながら姉まりさへと飛び掛った。
「むっほおおおおおおっ゛!! ずっぎぃいい……いいいっ゛!?(ボチュン!!)」
「うわっ!? なんだ、何がおこった!?」
急に響いた爆発音に驚いて振り返るとケースは真っ黒に染まっていた。
妹れいむの鬼と化した姿は無い。
あるのはケース側面に張り付いて下へと流れる残骸だけだ。
「すーやすーや」
麻酔が効いた姉まりさの頭には数本の茎が生えていた。
緑色の茎の束が黒い帽子を押し上げている。
姉まりさはゲッソリと衰弱していた為、慌ててジュースをかけた。
しかし、次から次へと茎が生えてくる。
栄養補給が追いつかない。
このケース状に広がる妹れいむの残骸は、全部精子餡に変化した可能性あると俺は推測。
多数の茎を生やした姉まりさは、別のケースで水栽培の要領で育てる方法を取った。
「大失敗……。また再挑戦するか」
もう、この姉まりさ以外に在庫は無い。
「一攫千金の夢は果てしなく遠い」
れいぱー化を抑える薬。
俺は強力な鎮静効果のある食品探しをしていた。
賞金は、何も狩られるゆっくりにあるとは限らない。
ゆっくりに関する、ありとあらゆる事例に存在する。
今の所、一番高額な依頼がこの薬開発だった。
「……変な所で意外と繊細だから困る」
最初は、れいぱーありすを激安で購入して実験していたのだが、
ある日安売りがあって買いすぎてしまい、同じケースに入れていたら壊滅していた。
凄惨なケース内部状況だったと記憶している。
なので、別に買っていた親子を人工れいぱー化をさせていたのだが、とうとうストックが切れた。
暫くは固体を増やす作業に時間を費やさなければならない。
実験はまた今度だ。
「でも、実験の副産物は意外と多い」
俺はそう呟きながら食品を手に取り調合していく。
その夜は机の片隅で作業に没頭した。
それから数日後。
太陽が沈み、周囲が漆黒に包まれた道路上。
街灯の灯りさえも存在しない薄寂れた廃墟前に俺は居た。
地元では有名な病院の廃墟。
幽霊目撃が多数存在し、誰も近づかない物件の一つ。
その信憑性を高めるかのような事例と事故が運営中の病院内で頻繁に起きていた。
病院で不幸な末路を辿った人の数は、俺が知っている事柄だけでも両手の指の数を上回る。
「……いきますか」
俺はその心霊スポットに足を踏み入れた。
現時刻から少し遅めの肝試しが始まる。
廃墟に響く足音。
遠くまで反響して嫌な雰囲気を漂わせる。
「本当にいるのか?」
俺は携帯を開きながら呟いた。
そこには、一体のゆっくりの姿が大きく映っている。
久しぶりの大物。
金持ちが甘やかして肥えさせた金バッチ。
別に脱走したゆっくりが心配なのではない。
脱走したゆっくりが悪さをして自分が罪に問われる事を何よりも恐れている人物。
それが大金と地位を持った者達。
だが、高額な賞金をかけるメリットがなければ、金を出し渋る連中もいるかもしれない。
そこは、狩人、依頼者、それぞれの利益に直接に結びつく特典が設けられていた。
その特典とは……、
「!?……お化け、では無さそうだ」
暗がりの奥から物音がした。
俺は物音のした方向へと、懐中電灯と視線を向ける。
今、確かに肌色の物体が通った。
「帽子?」
一瞬、視界に入ったのは黒いとんがり帽子。
あれはまりさの特徴であるお飾りだ。
「お仲間さんか」
誰も近づかない廃墟は野良にとっては好都合なのだろう。
多数のゆっくりがいても不思議ではない。
俺が全滅をさせてもいいのだが……。
「耳の奥が痛いな……」
曰くつきの病院内。
それも深夜に差し掛かる時刻。
噂は伊達ではない。
何かゆっくり出来ない感覚がある。
得体の知れない何かが。
それは、俺の胸の中でしこりとして残った。
「長居は無用か」
俺は暗闇の廊下を進んでいく。
ターゲットは意外と早く見つかった。
入院施設に設置しているボロボロのベットの上で丸くなっているゆっくり達。
肌を密着させて暖を取りながら眠る集団の中心部。
そこに金バッチを頭に付けているでいぶが居た。
「よし」
早急に終わらせようとしたその時、
俺の足元でガラスの割れる音が煩く周囲に響いた。
「ゆ!? てきしゅうだよ!!」
「ゆっくりできないひとがきたよ!!」
「ゆっくりにげるよ!!」
「何だと!?」
ブービートラップ。
ガラスを床に敷いて危険を察知する陳腐な罠。
それに引っ掛かった俺はゆっくり以下なのか?
少々へこむ。
「まあ、……しょうがないな」
自分の不甲斐なさに落ち込みながら、銃の照準をゆっくり達に向ける。
最初の照準は当然金バッチでいぶ。
「ゆぶっぽっ゛!?」
「で……でいぶうううううううううっ゛!?」
銃弾が二発、でいぶの体に吸い込まれた。
体が燃えるような感覚に苦しむかのように、
歯を食いしばり、苦痛の表情と浮かべながら床を転がる。
「うぎいいいいいいいいいいっ゛!?」
「じっがりじでええええええっ゛!! ゆっぐりじでよぉおおおおおおっ゛!?」
ツガイ?のまりさがでいぶに駆け寄っていく。
周囲のゆっくり達は構わず逃げようとしているが、
俺は煙草代の足しに成るだろうと思いながら、他のゆっくり達にも発砲した。
「ぺーろぺーろ!! でいぶ、ゆっくりなおってね!! ゆっくりしてね!?」
「……ゆ、ぐぐぐ。ゆ、ま、まじ……ざ?」
「でいぶ!? まじざだよ!! ゆっくりしていってね!?」
苦しむ自分のツガイを必死で舐めて治療するまりさ。
すると、でいぶがまりさの名前を言った後、顔を下に向けたまま停止した。
急に訪れた静寂。
まりさは繭を寄せながらでいぶの顔を下から覗き込む。
「……」
「…でいぶ?」
「んほ」
「……んほ?」
「んっほぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
「うわぁあああああああああああああああああっ゛!?」
発情したでいぶがまりさに襲い掛かった。
大きな体で圧し掛かるでいぶ。
無理矢理にすっきりを強要し、まりさは次から次へと赤ゆっくりを宿していく。
「いやばぁああああああっ゛!? もうずっぎりーじだぐないよおおおおおおっ゛!!」
まりさは大声で叫ぶが、でいぶは全く止まらない。
茎に宿した赤ゆか黒く変色して床に落ち、まりさ自身の体も黒く染まっていく。
「…も、ゆ……ぐぢ……じだが……」
「ずっぎりぃいいいっ゛!! ずっぎりぃいいいっ゛!! ずっぎ……!?」
急にでいぶの動きが止まった。
目を見開き一点を見つめている。
「……ボン」
俺は掌を広げて爆発を表現する。
直後、でいぶの体は内部から弾けた。
ボタボタと空から落ちるでいぶの残骸。
「成功だな」
完成した新弾丸。
強制的にれいぱー状態にした後、内部からはじける異質な調合。
狂ったターゲットが周囲のゆっくり達に襲い掛かかる事により、
弾数が少なくても多数の処理が期待できる。
実験も終わったし、これからは群れ用に常に携帯しておこうか。
このでいぶ達の他にも四体の野良ゆっくり達が同じ様に息絶えている。
先程撃った新弾丸で同じ様な末路を辿った奴らだ。
「さて、送信準備」
他の野良は後回し。
まずはメインの金でいぶだ。
俺は確認を急ぐ。
「なんだ? これは……」
それは、金バッチに見せかけた玩具のバッチだった。
これでは通常野良規定に定められた二束三文の額しか貰えない。
「ガセ…か? まいったな」
手の中で偽造金バッチを握りつぶす。
ゆっくりの自作だったのだろうか?
いとも簡単に偽造バッチは歪んでゴミと化す。
『こんな日もある』
俺はそう思いながら、病院の廃墟を後にしようとした。
その時、ふとした違和感に気付く。
「……?」
暗がりの奥。
先程、残り弾で撃ったバッチ無しの安そうな野良。
そのまりさの頭の上に、普通、被っているはずの黒い帽子が無い。
俺は記憶を辿る。
先程見たベットに乗るゆっくり達の塊を。
確かに塊の中には帽子なしのまりさがいた。
『帽子を誰かに取られたのか?』
俺はそう推測した。
野良生活ならばよくある事だ。
だが、帽子が無くなった状態で野良の集団生活が出来るのか?
それは滅多に無い事例のはず……。
「何かがおかしい」
そう呟きながら、さらにその前の記憶を辿った時、
冷静になった俺の頭は、異常な場所で鈍った判断力が及ぼしたと思われる、
胸の奥に残った違和感を伴うしこりの原因にやっと気づいた。
一番最初に見た帽子を被っていた肌色の物体。
あのゆっくりは…、" 黒い帽子を被った黒い髪のゆっくり " だった。
「やられた!」
身代わり。
配下のでいぶに偽のバッチを与え、
まりさの黒帽子を奪い取って自分の頭に乗せた賞金首のでいぶ。
俺はいとも簡単に安っぽい頭脳戦に嵌められたのだ。
「最悪だっ!」
俺は廊下を走り出す。
黒髪ゆっくりが消えていった暗がりに向かって。
病院内は広かった。
とても見つかるとは思えない。
俺は焦りを伴いながら周囲を探索した。
「ゆ~っしょ!!」
「ゆっしょ! ゆ~っしょっ!!」
「ゆっ、しょっしょーっ!!! 」
「おそいよ!? くずにんげんがきちゃうでしょおおおおおおっ゛!!」
「……」
廊下を移動しているのは黒い帽子を被ったでいぶ。
その周りには胴上げをしているかのように寄り添うゆっくり達。
俺は口端を引きつらせながら、
策を要する才気はあっても、詰めが甘すぎるこの将を見つめていた。
「ゆ!? くずにんげんがきたよおおおっ゛!! かわいいでいぶをまもってね!!」
『『 ゆっゆおおおっ!! 』』
六体のゆっくりが俺の前に立ち塞がる。
「ふっふっふ!! でいぶのしんえいたいだよ!!
ゆっくりこうかいしながらしんでねっ!?」
でいぶは、敵が一人だと確認した後、明らかに笑った。
勝てる戦だと思ったのだろう。
俺は境地に立たされて……いなかった。のだが、
でいぶ親衛隊との戦いが始まる前に、病院廊下の奥の方から声が響く。
「……大勢で囲むのは感心しないわね」
「……そうだね。見ていられない。助太刀するよ」
俺は声がした方に目を向けた。
……当然、半目になりながら。
「ゆゆゆ!? これは、あのくずにんげんとのけっとうなんだよ!!
かんけいないにんげんは、ゆっくりきえてねっ!?」
「ふっ、関係あるわよ」
「ふっ、関係あるさ」
鞭をしならせる女性と、
空に閃光を撒き散らす青年は同時に叫んだ。
『『 その人は、大切な仲間なのだから!! 』』
『『 ゆわぁあああああああああああああああああああああっ゛!?』』
熱い叫びと共に、でいぶ親衛隊に戦いを挑む親友達。
まあ、これも長い付き合いだから予測済み。
相変わらず、計ったかのようなタイミングで現れる。
俺は溜息を一つ吐いた後、弾装に銃弾を込めながらでいぶの元へと歩いていく。
「……ちかずくなあああっ!? ぐるなああああああっ゛!!」
泣き叫ぶでいぶ。
俺は恐怖に怯えるでいぶの前で片膝を折る。
その片足を付いた姿勢に優越感を感じたでいぶは、嫌らしい笑みをさせながら口を開いた。
「ゆ? でいぶはさすがだね!! くずにんげんは、やっとわかったんだね!?
きんばっちでいぶはえらいんだよ!! すごいんだよっ!?
りかいしたならあまあまもってきてね! こうきゅうひんでいいよっ!?」
げへげへと笑うでいぶ。
その瞳に携帯の画面を見せる。
「……ゆん? こんなのじゃ、しあわせ~! になれないよ!!」
「見ろ」
更にぐいっと押し付ける。
でいぶは仕方なく嫌そうに覗いていたが、段々と顔色が変わっていく。
「なんなの? なんなのぉおおおおおおおおおおっ゛!?」
そこに乗っていたのは金でいぶ自身のプロフィール。
飼いゆ時代の綺麗な体をした金バッチでいぶが笑う写真。
特殊なオーラを付加された金持ち使用の特注品。
その写真を切り裂くように走る、賞金首の平仮名文字。
「どぼじで!? どぼじで、でいぶはじょうぎんぐびになっでるのおおおっ゛!?」
でいぶはやっと自分が置かれている立場を理解した。
「でいぶは、かいぬじざんにあいざれでいるんだよっ゛!?
いまはまだあえないげれど、さいっかいっ! したら、なーでなーでしてもらえるんだよっ゛!?」
でいぶは左右に体を振りながら泣き喚く。
まるで、これは悪い夢だといわんばかりに叫びだす。
「おめでとう。お前は歴代三位の賞金首だ」
目の前の金バッチでいぶに対し、ある種の敬意を示すように、
俺は携帯の画面を指で突付きながら祝辞の言葉を述べる。
このサイトでの賞金首リスト申請には、いくつかの特典が設けられている。
まず、元飼い主に対する簡易的な保護。
脱走した元飼いゆが悪事を働いたとしても、申請さえ完了していれば、
その固体に付けられた賞金額とサイトによる追加褒賞で、示談に持ち込みやすい。
そして、広く伝わる宣伝効果。
賞金額が高ければ高いほど、歴代ランキングに半永久的に乗る。
その際、自社等の宣伝広告などは自由に更新可能。
テレビでコマーシャルよりもよっぽど割が良い。
これを利用する為に、ゆっくりを故意に逃がす企業もある位だ。
結果、賞金額は高額の傾向になりやすく、狩りへの意欲も薄れることは無い。
野良ゆっくり達を駆除する為の法案が、新たな遊び場を作った。
政府は予想外の事態となり頭を痛めていたが、
この刺激的なゲームプレイ人口数は、急激に減少する事なく右肩上がりに伸び続けている。
「だずげでぐだざいっ!? でいぶをだずげでぐだざいっ゛!!」
低い気温で冷たくなった銃口をでいぶの眉間に当てる。
体と心が一瞬にして凍えたでいぶは、全身をぶるりと振動させた。
「どぼじでっ゛!? でいぶ、なにもわるいごどじでないのにぃいいいいいいっ゛!!」
親指で撃鉄を起す。
銃の中には、手製の激辛濃縮弾が込められている。
「そうだな」
俺はそう呟いた。
確かに、でいぶは悪い事をしていない。
これからするかもしれないが、それは未来にならなければ解らない。
「……ゆっ!? そうだよ!! でいぶはこんなにかわいいんだからね!?
おうたもうたえるよ!! でいぶはとってもゆっくりできるよ!! かいゆにしてくれてもいいよっ!?」
俺は引き金に指をかける。
「お前自身は悪くない」
「ゆ~ゆ~ゆ~♪ ……ゆ?」
お歌を披露していたでいぶ。
既に助かった気でいるらしい。
哀れなゆっくり。
不幸なでいぶ。
「……運が悪かった」
不快な音を立てながらリボルバーが右回転を始める。
撃鉄が、ゆっくりと、動き出す。
「ゆ、ゆゆゆ、……ゆっぐぢざぜでよおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!!?? 」
乾いた音が病院の廊下に響いた。
廃墟を後にする三人組。
「やっぱり親衛隊は囮だったみたいね。名も無い野良しかいなかったわ」
「意外と脆かったね。上位スタンレベルにまで行かずにゆっくりしちゃったよ」
「ま、上出来だ」
親友達が軽い不満を漏らしながら歩道を進む。
やはり、金バッチでいぶの他は雑魚ばっかりだったらしい。
俺は携帯を操作して入金手続きを行う。
直ぐに叱咤と激励のメールが大量に届いた。
「今日はあなたの奢りね。さて、行きましょうか」
「僕、いいお店知ってるんだよ。安くて美味しいオススメのお店なんだ」
「…はいはい」
まあ、危ない所を助けてもらった大恩があるからな。
逆らう気は全く無い。
「……ん?」
俺は何かの視線に気付いて廃墟を見上げた。
「何しているの? 早くいきましょう」
「どうかしたのかい? 他にオススメのお店があるとか?」
「いや、何でもない。そこにしよう。案内してくれ」
俺は見た。
病院の窓に蠢く影を。
あれが幽霊の類でなければ、また訪れる日もくるだろう。
そこに賞金首の獲物がある限り、どんな危険な地域でも足を運ぶ。
俺達は慈悲無き狩人。
" バウンティハンター "
・ゆっくり達が狩られるお話
使用している銃は五発薬莢装填タイプのハンドリボルバーガスガン
・バーコード(QRコード?)を
親ゆっくりが子ゆっくりに刻む絵を見たのがきっかけです
それに独自設定と既出設定を色々と交ぜてみました
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 飼い主が特定されると分かっててゆっくりを捨てるバカはいないだろ。
潰して処分するかバーコードを皮ごと破って読取不可能にする。
そして野良の子供や法律施行前に捨てられたゆっくりには当然バーコードがない。
設定に穴がありすぎ。 -- 2013-08-07 09:26:45
- 面白かったです! -- 2011-05-22 20:43:43
- バーコード管理性か。作った子供にはないから繁殖したら困るな
面白い設定です~ -- 2010-10-20 21:19:53
- なかなか面白い設定だった -- 2010-03-19 10:46:06
最終更新:2010年03月14日 09:33