ある夏のれいむ一家 37KB
自業自得 自滅 野良ゆ 赤子・子供 ゲス 現代 このssは、ほんの少しのうんしーと適当な設定で出来ています
・なんか設定におかしい部分があるって…?
そういう細けぇ事はいいんだよ!って事でお願いします。
勿論細かいことで済まされないなら喜んで叱られますが。
では、ゆっくりしていってね!!!
それはサンサンと太陽が照りつける、ある夏の暑い日の出来事。
××県は湯逆(ゆさか)市内の公園にて。
小さな噴水が片隅に鎮座しているこの公園は今日も人々の憩いの場として親しまれている。
が、ここは自然が豊かな公園。勿論集まるのは人間だけとは限らない。
身を隠す場所も大量にあるが故に、集まるのはほんの少しの野良犬や野良猫、そして―――
「おちびちゃん!きょうもいっしょにみんなでゆっくりしようね!」
「ゆっくち!ゆっくち!」
「れーみゅおにゃかしゅいちゃよ~…」
「きゃわいいれーみゅがだれきゃにあみゃあみゃもらえりゅようにいっちぇみりゅよ!!」
「じゃあまりしゃもてつだうんだじぇ!
だれでもいいかりゃあみゃあみゃうばいとっちぇやりゅんだじぇ!!」
「ゆゆ~ん♪みんにゃゆっくちしちぇりゅにぇ!!きゃわいくちぇごめんにぇ!!」
野良ゆっくりだ。
平日ならば人も少ないこの公園は野良ゆっくりにとって絶好の住処である。
普通ここまで整った環境であれば野良ゆっくりであふれ返ると思われるが、そんなことはない。
馬鹿な野良は、餌を採りに行く際に下手を打って皆死んでしまうので適度に数が減るのだ。
おまけに何も考えずに公園を荒らしまわる馬鹿も、
人間が手を下すまでもなく縄張りを荒らされて怒った野良犬なんかに殺されるので景観が損われることも無い。
よって、ここには上手く立ち回り静かに生きる(比較的)善良な野良しか住んでいなかった。
その筈なのだが・・・
「むーしゃむーしゃ、それなりー。
まったく!ぐずのまりさのせいでこんなものたべなきゃいけないよ!!
こうえんさんはもっとしんぐるまざーのれいむにやさしくしてね!ぷんぷん!!」
「げっぷ。おなきゃいっぱいになっちゃよ!
でもあみゃあみゃならもっちょたべれりゅかりゃだれきゃもっちぇきちぇにぇ!たくしゃんでいいよ!!」
「おちょーしゃん・・・じゃなくちぇあにょやくたたじゅがいけにゃいんだよ!!
でもしゃいごにあみゃあみゃたべしゃしぇちぇくれたのはほめちぇあげちぇもいいよ!!」
「あんにゃぐじゅまりしゃのことはもういいのじぇ!
おなきゃいっぱいになっちゃかりゃこれかりゃみんにゃでぴょんぴょんちてゆっくちしゅりゅのじぇ!!」
どこをどう見ても賢くも善良にも見えない、花壇の花を食い荒らす饅頭一家がひとつ。
成体れいむが一匹に赤れいむが三匹、そして赤まりさが一匹という構成だ。
飛び交う言葉の汚さとは裏腹にその体は野良にしては意外と綺麗である。
しかし一家全員。特に親らしき成体れいむが醜く膨れ上がっていた。
ロクに動きもせずに食っちゃ寝食っちゃ寝していればこうなるという見本のようだ。
それでも構わず、醜い体を揺らして赤ゆたちは跳ね回る。
「ゆっゆ~ん!おちびちゃんたちとってもゆっくりしてるよぉ~!!
さすがかわいいれいむのじまんのおちびちゃんだよぉ~!!!」
そして親れいむはそれを見てニヤニヤと笑っていた。
れいむ自身は微笑ましく笑っているつもりなのだろうが、傍から見れば気持ち悪い事この上ない。
心根の醜さが顔に表れているのだろうか。たったそれだけでせっかくの整った公園の光景が台無しだ。
「おっきなたてものしゃんにいちばんのりだじぇ!まりしゃのかちなんだじぇ!!」
「ゆふっ!ゆふっ!こんなにたくしゃんうんどーちたのはじめちぇだよ!!」
「もうしゅこしちたりゃまたごはんたべようにぇ!!
しょのまえにおにゃかしゅかしぇるためにうんうんしゅるよ!
きゃわいいきゃわいいれーみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅはじまりゅよ!!ちゅっきりー!!!」
「ごはんのまえのうんうんはゆっきゅちできりゅにぇ!
れーみゅもちーちーちたくなっちぇきちゃよ!ちゅっきりー!!!」
人が居ない公園を我が物顔で跳ね回る赤ゆっくり。
この公園の象徴とも言える噴水の前で排泄物を撒き散らしている。
人目が無いからといってやりたい放題だ。もっとも、あったらしないのかと言われても微妙な所だが。
「れーみゅちーちーちたかりゃまたぴょんぴょんできりゅよ!」
「まりしゃなんきゃもっちょいっぱいとべりゅんだじぇ!」
「れーみゅだっちぇもっちょぴょんぴょんできりゅよ!ゆっくちみちぇちぇにぇ!」
早速出すものを出して身軽になった赤ゆたちはそこら辺を跳ね回っている。
しかし、ただでさえ運動に慣れていない様子の赤ゆっくりが身軽さを持て余して跳ね回った場合どうなるのか?
答えは至極簡単。
「ゆっきゅち!ゆっきゅち!ゆ・・ゆっ!?ゆぶっ!!!」
「ゆっ?ちゅるっちぇ・・・ゆげっ!!」
「ゆ、ゆ、ゆ・・・おちりゅっ・・・ぎゅ!!!」
「ぴょーんぴょーん・・ゆっ?おしょらを―――ゆぴゃん!!」
踏み外して噴水へとダイビングだ。
慣れない体を目一杯使った結果、真っ直ぐ跳ねれずバランスを崩す。
噴水の淵で調子に乗って飛び跳ねていた赤ゆたちは、当然のようにあんよを滑らせて全員噴水の中に落ちてしまった。
「ゆっゆ~ん♪ゆ……お、お、お、おぢびぢゃぁぁぁ゛ぁ゛ん゛!!?ゆっぐりじでぇぇぇ゛ぇ゛!!!」
突然噴水に落ちて視界からなくなった我が子に、慌てふためき噴水に跳ね寄る親れいむ。
だがそんな事は関係が無いとばかりに、相も変わらず昼下がりの公園は静かで平和そのものだった。
ある夏のれいむ一家
「おちびちゃぁぁぁん!!ゆっくりじでぇぇぇぇ!!!」
急いで噴水の中を覗き込む親れいむ。赤ゆっくりたちは…
「ゆぴぃぃぃ!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!だれきゃたしゅけちぇぇ!!」
「・・・・・・」カリカリカリカリ
「ゆんやぁぁぁ!!かべしゃんどいちぇにぇ!れーみゅをだしちぇにぇ!!」
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・いぢゃいぃぃ・・・」
なんと生きていた。
壁に体当たりするもの。痛がって助けを呼ぶもの。黙って壁に対して歯を立てているものと様々だ。
ついでに打ち所が悪かったのだろうか、死にかけているものもいる。
幸運というべきか。水が溜まっていないおかげで何とか生き延びることができたようだ。
どうやらこの地域は最近日照りが続いていたので、断水の令が出されていたようだ。
噴水にまで水を回していられない、と言う事で真っ先に止められたのだそうな。
よって噴水の中に落ちても打ち所が悪くて怪我をすることはあれど、溶けて死ぬことは無いのである。
もっとも、ここに棲みつく野良ゆっくりであれば誰もが噴水が危険だということは知っている。
人気が全然無く、堂々と公園内を闊歩できるこの時間帯でも噴水周辺に誰もいないのはそのためだ。
この一家がこのような事態に陥ったのは、単に赤ゆっくりの危機意識の無さと親れいむの管理不足であろう。
そもそも何故この一家は噴水にのこのこ近づいたのだろうか?
実はこのれいむ一家。つい最近まではおうちである公園のダンボールハウスからほとんど出たことも無かった。
住処の確保から日々の食事までを、全てつがい兼父親のまりさに任せていたためである。
道端で転がっていたところをおちびちゃんが欲しいと言うまりさに誘われ、ひょいひょいついていったれいむ。
そこで待っていたのは、とことんまで堕落した日々であった。
まりさが苦労して作った雨風防げるシートをかぶせたおうちに居座り、ただ餌を貪るだけの毎日。
にんっしんっ中は
「れいむはかわいいあかちゃんをうむためにたくさんえいよーがいるんだよ!」と言って動かずに食べ続ける。
そしてしゅっさんっ後は
「かわいいおちびちゃんがおなかすかせてるでしょぉぉぉ!!?
れいむはこそだてしなきゃいけないんだからゆっくりしないでたくさんごはんもってきてね!!」
と言って、おうたという名の雑音を響かせる以外のことを何もせずに餌を貪り排泄物を撒き散らした。
しかも排泄物の処理までまりさに任せで、少しでも不満があるならまりさを罵倒して溜飲を下げるという徹底ぶり。
赤ゆたちもすっかり父親であるまりさを『何でもしてくれる奴隷』としか見なくなってしまった。
当然まりさは全くゆっくりできない。普通なら逃げ出しているところだ。
が、念願のおちびちゃんは放っておけないし、それを盾にしてれいむはあれこれ要求してくる。
それに対して何もできないまりさは馬車馬のように働くしかなかった。
まあ、元はと言えばまりさの自業自得である。
恨むならこんなれいむを選んでしまったアマギられたかの如く見る目が無い己を恨むべきだろう。
さて、そんな生活を始めてから一ヶ月。とうとうまりさは過労で動けなくなって死んでしまった。
自分の体を食べさせて我が子を生き延びさせてくれと言う遺言を残して『さあおたべなさい』を敢行したのだ。
が、当然そんな遺言を餡子脳丸出しのれいむが聞くわけが無い。
たったの二日で子供たちと共に全て平らげてしまった。しかも半分以上は自分が食べた。
こうして哀れ、ゆん生を懸けたまりさの努力の成果の大半はれいむの腹に収まったのであった。
そして残ったのはでっぷりと膨れたしんぐるまざーの一家だけだ。
「どぼじでごはんがないのぉ゛ぉ゛!?あのやぐだだずぅぅぅ!!」
「まっちゃきゅ!あにょくしょまりちゃはやくにたたないにぇ!れーみゅおこっちぇりゅよ!!!」
「れーみゅおなきゃしゅいちゃよ!はやきゅもっちぇきちぇね!!ぴゅきゅー!!!」
「もうがまんできにゃいよ!まりしゃおしょとにとりにいくよ!!!」
「ゆわーい!おしょとにでりゅにょはじめちぇだよ!!」
食べるものも早々に無くなり見当違いの方向に罵声を飛ばしながら、
赤ゆっくりにとっては初めて。そして親れいむにとっては久しぶりに外へ出るのだった。
初めての外出に興奮を抑えきれずにはしゃぎまわる赤ゆたち。
しかし、今まで運動の経験も無いのに思うように跳ね回れるわけがない。
一方の親れいむはこの一ヶ月間の自堕落な生活によって、外の脅威について完全に忘れてしまったらしい。
本来外の事を何も知らない赤ゆに代わり警戒しなければならないはずのれいむがこの様だ。
このような事態に陥ってしまったのは当然であると言える。ぼせい(笑)ではこの辺が限界という事なのだろう。
元々つがいのまりさを自分が喰らった事も二日で忘れる餡子脳だ。覚えていないのも仕方ない。
そもそも、こんな能無しれいむがどうやって今まで生きてこられたのか?それは誰にも分からない。
親が異常なまでの過保護だったのか。まりさの様なゆっくりに寄生してきたのか。あるいは、その両方か。
いずれにせよ、もはやそんなことはどうでもいいことだろう。
肝心なのは赤ゆたちが今、死刑台の上でカウントダウンを食らっている様な状態だと言うことだ。
まりさが作った頑丈なおうちに篭りきりだったこの一家が気づくはずも無いだろうが、
実は昨日一日中ずっと弱い雨が降り続けていたのだ。
もっとも夜明け前には上がり、地面も正午にはほとんど乾いていたのだが。
よって、今朝には一般家庭の断水が解除。今日の午後六時には噴水も復活だ。
余談ではあるが、噴水には加工所特製の対ゆっくりフィルターが取り付けられている。
不思議饅頭数個分の餡子程度ならば詰まることも無いだろう。
ともあれ現在の時刻は午後三時半。赤ゆたちが噴水に流されて死ぬまで、あと二時間半。
――――――――――
「おぢびぢゃぁぁん!!だれがだずげであげでねぇぇ!!!」
刻一刻と我が子に死が近づいていることなどちっとも知らない親れいむ。
しかしそれでも噴水から出ることができない赤ゆたちを見て、助けなければという気にはなったようだ。
しかし、噴水周辺には人っ子一人通らない。
それもそのはず。動かない噴水を見たがる人間など、そうそういないだろう。
いたとしても明らかに野良ゆっくりとわかる汚い大声がする方に行きたがる物好きはいなかった。
自分で人を寄り付かない様にしているとはちっとも思わない親れいむ。自分が入って助ける気は全く無いらしい。
噴水の壁の高さは親れいむの目線もない。赤ゆっくりが居る内側でもれいむの全長程度である。
成体ゆっくりなら、全力で跳躍すればいくら運動能力がブービーのれいむ種でも十分な筈なのだが…
おそらくは動きたくないのだろう。本当に子供を助けたいのだろうか?
「ゆぴぃぃぃ!まりしゃしゃまのまっちろなはがぁぁぁ!!!」
そうしている内に、無謀にも壁を掘ろうとしていた赤まりさの歯がボロボロになっていた。
「ゆひぃぃ!!もうむ~ちゃむ~ちゃできないんだじぇ!!だれきゃたしゅけりゅんだじぇ~!!!」
タイル張りされた噴水の壁に砂糖細工の歯が太刀打ちできるはずも無い。妥当な結果だろう。
「おぢびぃぢゃぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ん!!!いやぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!」
そして悲惨な我が子の姿を見て叫ぶ親れいむ。
が、それでもれいむは全く動こうとしない。筋金入りの面倒臭がりだ。
「ゆ、ゆっくりしていってね。…どうしたの?あんまりみないれいむだね」
「ゆっくりしていってね。あとあんまりうるさくしないでね。にんげんさんにめをつけられちゃうわ」
そんな時、草陰から二匹のゆっくりがガサッと出てきた。
成体のまりさとありすだ。一定の距離をとって、なにやら親れいむを警戒しているようにも見える。
「ゆ!!いいところにきたよ!れいむたちをたすけてね!」
「…やっぱりこんなれいむしらないよ。きっとよそのゆっくりだね」
「ありすとまりさはこのこうえんにすんでるゆっくりなのよ。
おちびちゃんをたすけてっていってたけど、なにかこまってるの?」
二匹はこの公園に住むゆっくりだった。
どうやら噴水近くで騒ぎ立てる見慣れないれいむを見かねて、恐る恐る接触を図ってきたようだ。
「そんなのどうでもいいからかわいいれいむのおちびちゃんをたすけてね!!」
「おちびちゃん…?どこにいるの?」
「このおっきなたてものさんのなかだよぉぉぉ!!」
れいむの言葉を聞いて二匹は考え込む。
れいむの目線は噴水に。そしてそこから聞こえるのは赤ゆっくりが泣き叫ぶ声。
「たてものさん・・・ふんすいさんのことかしら?…なんでふんすいさんなんかにちかづいたの!?」
「そうだよ!ふんすいさんはおちるとゆっくりできないからちかづいちゃだめっていわれなかったの!?」
いっせいにれいむに対して怒鳴る二匹。それもそのはず。
まりさの言うとおりこの公園に住む野良の中では、噴水に近づくなと言うのはもはや常識だったのだから。
そんなことも知らずにむざむざと我が子を危ない目に遭わせた親れいむに二匹は怒りを露わにした。
「そんなのしらないよ!!いいからさっさとおちびちゃんをたすけてね!
はやくしないとれいむがせいっさいっするよ!!!」
しかし、れいむは二匹の説教を全く聞かずに一方的な要求を突きつける。
残念ながら、そんなれいむに返ってくるのは冷たいだけ視線だった。
「…そんなにだいじなおちびちゃんなら、なんでれいむがたすけにいかないの?」
「れいむがちゃんとみてなかったからおちびちゃんはふんすいさんのなかにおちちゃったんでしょ?
じゃあれいむがまずたすけようとがんばってみるのがとかいはじゃないのかしら」
まりさとありすの言うことはもっともである。
だが、きっと今まで平和に暮らしていたのだろう。この二匹は少し解っていなかった。
ゲスの自分勝手な思考と、でいぶの餡子脳の恐ろしさを…
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉ!?でいぶはしんぐるまざーなんだよ!かわいぞうなんだよ!!
がわいぞうなでいぶにやさしくするのはとうぜんでじょぉ!?いいがらざっざどじろぉぉぉ!!!」
「「ゆ゛っ!!?」」
予想通り、まりさとありすの正論はあっさりと切って捨てられた。
ここまで言えば解ってくれるだろうと思っていた二匹にとっては思わぬ誤算だ。
「しんぐるまざーって…たしかにかわいそうだとおもうけどそれとこれとはかんけいないでしょ?」
「それにきいたことにちゃんとこたえないなんてとかいはじゃないわ!!」
「いいがらさっさどだずけろぉぉぉ!ぐずはでいぶがやっつけるよぉぉ!!」
「「・・・・・・」」
黙り込む二匹。ようやく『何を言っても無駄』ということに気がついたのだろうか。
少しれいむから視線を逸らして小声で話し始めた。
「ねぇ、どうしよう。たぶんあのれいむげすだよ。ゆっくりできないよ…」
「でもこまってるのはほんとみたいよ。れいむはともかくおちびちゃんをほっとくのはとかいはじゃないわ…」
「じゃあとりあえず…ごにょごにょ」
「…そうね。そうしましょう」
「なにこそこそしゃべってるの!?なんだかれいむがゆっくりできないからやめてね!!
それからはやくおちびちゃんたすけてね!!それがおわったられいむにもやさしくしてね!!」
イライラしながら二匹を見るれいむ。
一方赤ゆは「だ・・だれきゃ・・・たしゅけちぇよぉ・・・」順調にヤバくなっていた。
「うん、きめたよ!またせたねれいむ!!」
「ゆっ?やっとおわったの?じゃあゆっくりしないでさっさとおちびちゃんたすけてね!!!」
どうやら話し合いが終わったらしく、れいむの方に向き直る。そして…
「ご、ごめんね!ちょっとまりさたちだけじゃたすけるのはむずかしいからほかのゆっくりをよんでくるよ!」
「そうなの!まりさができるだけゆっくりしないでちかくにいるほかのゆっくりもつれてくるから!!」
そう言って、急いで振り返ってまりさが跳ねていった。ありすはそれを見送っている。
「な、なにいってるの・・・?」
親れいむは呆然としながらまりさの背中を見ている。
遠ざかるまりさの後ろ姿を呆然と見つめながら、でいぶの灰色の餡子脳は高速で動き出した。
どうしてしんぐるまざーのれいむをいますぐたすけてくれないの?
↓
まりさがなにかいってどこかにいったよ!・・・まさかにげたの!?
↓
こんなにかわいそうなれいむやおちびちゃんをたすけないなんて・・・ぜったいにゆるさないよ!!!
驚くべき思考展開である。並のゆっくりではこうはいかないだろう。
しんぐるまざーでいぶの餡子脳とゲスの身勝手さが生み出した奇跡の結論とも言える。
そして親れいむは少しうつむいた後、膨れた体を揺すって
「で…でいぶにやざじぐじないげずはじねぇ!!」
「ゆ゛っ!!!?」
思いっきりありすに向かって体当たりした。
「ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!!!・・・ゆ・・ゆっぐ・・・」
跳ね飛ばされたありすは少し転がって、地面に倒れこむ。
「あ、ありす!だいじょうぶ!!?どぼじでごんなひどいごどずるのぉぉぉ!!」
まりさが急いでありすの元に引き返して来た。いきなり仲間を攻撃されてご立腹だ。
「うるざいよ!!でいぶをみすてようとしたげすはでいぶがせいっさいっしてやるんだよ!!」
「なにいってるの!まりさたちは…」
「だまってね!こんなにかわいそうなおちびちゃんをほうっておくようなゆっくりのいうことなんてきかないよ!」
「ちゃんといってることきいてたの!?おちびちゃんたちはあとで…」
「もういいよ!げすはさっさとせいっさいっしてれいむはほかにたすけてくれるゆっくりをさがすよ!
うそつきありすもさっさとにげるげすまりさもゆっくりせずにしんでね!!」
「・・・・・・」
「なにだまってるの?…ゆふふん、もしかしてはんっせいっしたの?
もしれいむたちにいしゃりょうとしてあまあまたくさんくれるっていうならゆるしてあげてもいいよ!!」
「・・・ゆっ・・・ね・・・」
「ゆん?ぼさっとしないでね!ぐずはきらいだよ!
あっ!ついでにかわいいれいむたちのどれいにしてあげてもいいよ!いっしょうけんめいつくしてね!!」
「ゆっくりせずにしぬのはおまえだぁぁぁぁ!!!」
「ゆ゛げっ!!!!?」
調子に乗って笑っていたれいむが、突然まりさに体当たりを食らって吹っ飛んだ。
「ぎゅっ、げっ、ゆげぇ!!!な゛・・・なに゛ずるのぉ゛・・・?」
れいむが吹っ飛ばされた先は・・・
「おかーしゃん!たしゅけにきちぇくれたにょ?」
「まりしゃのはがゆっくちできなくなっちゃよ・・・なんとかちてぇ・・・」
「はやきゅかべしゃんなんとかしちぇれーみゅをたしゅけちぇね!!」
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っくちでき・・・にゃ・・い・・・」
我が子の傍。つまり噴水の中だった。赤ゆっくりたちと数十分ぶりの再会である。
赤ゆたちは自分を助けに来てくれたと思っているが、親れいむはそれどころではない。
慌ててどうなっているのか考えているところを、のっそりと野良まりさが上から覗き込んだ。
「ふん!げすでいぶはそこにいるのがおにあいだよ!」
「いきなりなにするの!?はやくたすけてね!!」
「たすけてあげるっていったのにころそうとしたのはそっちでしょ!
そんなげすゆっくりも、そのこどもも、もうたすけてあげないよ!そこでそのままのたれじんでね!」
「わけわかんないこといわないでね!!にげたのはそっちでしょ!?」
「だからきいてないっていってるんだよ!わけわかんないのはそっちだよ、ばか!!
まりさはほかのゆっくりをよぶっていったんだよ!!
それをにげたとかいってまりさたちをころそうとするなんてなんなの?ばかなの!?しぬの!!?」
「ゆっ・・・ゆぐぅ・・でいぶは・・・でいぶは・・・」
完全に言い負かされたれいむ。ぐうの音も出ない。
れいむが知る由もないが基本的に公園に住む野良ゆっくりは皆、助け合いの精神で生きている。
賢い者だけが残ったここのゆっくりは、できるだけ外の物に頼らず暮らしていく事に決めたそうな。
物乞いであれ何であれ人間に関わらずに、草や虫だけを食べて目立たないようにひっそりと生きる公園ゆっくり達。
そして狭い世界で生きてゆく代わりに、同じ場所に住む仲間であれば困った時には助け合うのが決まりであった。
町の中だというのに一つの理想的な群れができていた貴重な例である。
れいむ一家が食べていたごはんにも、あまりにもやつれたまりさを哀れに思った他のゆっくりの差入れが混じっている。
もっとも外に出なかったれいむ達がそれに気づくわけも無く、他のゆっくりにれいむ達の存在が気づかれる訳もない。
一ヶ月という長い期間を公園で過ごしていても、よそから見ればれいむも赤ゆっくりも余所者同然だ。
そして結びつきが強いが故に、和を乱すものや自分勝手なゲスは許さない。
ましてや仲間を傷つける余所者など、彼らにとってはその場で死刑判決を受けてもおかしくない悪党だ。
普通ならゲスゆっくりだと確認した時点で関わらないのだがおちびちゃんを不憫に思ったのか、
それでも積極的に助けようとしたありすとまりさは心優しいゆっくりだったのだろう。
「もうれいむもこどももどうなろうがしらないよ!
ほかのゆっくりにもぜったいにたすけないようにいっておくからわめかないでね!!」
が、愚かなれいむは勝手な思い込みで助けの糸を自ら断ち切った。
もしもしっかりと礼を言って助けを待っていたならばどうなっていただろうか。
今頃はおちびちゃんも助かり、もしかしたらこの公園に住むゆっくりとして仲間に入れてもらえたのかもしれない。
「ぞんなぁ!たずげでね!!でいぶはしんぐるまざーなんだよ!かわいぞうなんだよ!!
あまあまはもういらないからとりあえずたすけてね!!どっかいかないでよぉぉぉ゛ぉ゛!!!」
「さわぐなっていってるでしょ!あんまりうるさいとせいさいするよ!!!
もしありすがしんでたらみんなでいしでもなげてるところだよ!ころさないだけありがたくおもってね!!!」
「ゆぅぅぅ゛ぅ゛…」
「ゆんやぁぁぁぁ!どおちてたしゅけちぇくれないにょぉぉぉ!!?」
「いいきゃらげしゅまりしゃはしゃっしゃとれーみゅをここからだしちぇね!!」
「しょーだよ!!はやくしないとしぇーしゃいしゅりゅよ!!」
「…やっぱりげすのこどもはげすだね。たすけなくてよかったよ。
それじゃゆっくりしんでいってね!!!」
まあそれを考えるのも、もはや無駄なことである。
何をどう言おうと残った結果は一番にして確実な助けが無くなったという事だけ。
れいむ一家をゴミを見るような目で一瞥した後、まりさは去っていった。
「ありす!だいじょうぶ?やっぱりあんなげすに、はなしかけないようがよかったね…」
「い、いたいけどだいじょうぶよ。まさかげすゆっくりがあんないなかものだとはおもわなかったわ…
これからはきをつけましょう。うぅ…いたくてゆっくりできない…」
二匹はあれこれと話しながらこの場を離れてゆく。
その姿をれいむ達が見ることはできない。助けを呼べども戻ってくる気配もない。
まりさの言う通りもうここには誰も近づかないだろう。
純粋な善意に対して、振り払うどころか唾を吐きつけるような真似をしたのだから当たり前なのだが。
「もうやぢゃおうちきゃえりちゃいよぉぉぉ!!!」
「ゆんやぁぁぁぁ!!ゆっくちできにゃいぃぃぃぃ!!!」
「まりしゃしゃまをゆっくちしゃしぇないげしゅはちぬんだじぇ!!しょれとあみゃあみゃよこしぇ!!」
「・・・だ・・れ・・・きゃ・・・・・・」
「おぢびぢゃん!?ばでぃざもどってきてね!!おちびちゃんをはやくゆっくりさせてね!!
はやくしないと…ゆ゛ぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!はやぐゆっぐりさせろぉぉ!ぐぞばでぃざぁぁぁ!!」
どれだけ叫ぼうとも、周囲からは嘲笑の声すらも起こらない。
それどころか飛び出す罵声によって、遠くで様子を見ていた他の公園ゆっくりからの印象はますます悪くなる。
「・・・やっぱりだめだね。あんなのたすけたらここがむちゃくちゃになっちゃうよ」
「そうだね。まりさたちもあんなのにからまれるなんてゆっくりできなくてかわいそうだよ」
「あとでいたわってあげようねー。でもあいつらどうやってここまでこれたんだろうね?わからないよー…」
「むきゅ、いままでみたことなかったしうわさにはきいてたけど、げすってほんとにゆっくりできないのね。
またひとつおべんきょうになったわ・・・これからはなにがあってもかかわらないようにしましょうね」
「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」」」
そしてたった今、救助が来る可能性が完全にゼロになったようだ。
「「「ゆっくちしゃしぇちぇよぉぉぉぉ!!!」」」
それでも刻一刻と時間は過ぎていく。れいむ一家が溺死するまで、あと二時間。
――――――――――
そして家族仲良く噴水に閉じ込められてから約一時間が経った。
「ゆぜー・・ゆぜー・・・あぢゅいぃ・・・」
「どおぢで…?だれきゃきゃわいしょうなれーみゅをたしゅけちぇよぉ…」
「まりしゃしゃまはゆっくちしたいんだじぇ…だれでもいいかりゃここかりゃだしゅんだじぇ…」
れいむ一家は順調に衰弱している。
「おそとにだしてっ!ぶっ!!ゆべぇ!!」
一応保護者の親れいむはと言うと、壁に体当たりして跳ね返され、見事な顔面着地を決めていた。
「いだいぃぃ゛ぃ゛!!!…ぼうだべ。でいぶづがれだよ…」
親れいむの全身は傷だらけになっていて醜い体に拍車がかかっている。
「…かべざんはやぐどいてね!でいぶはしんぐるまざーなんだよ!かわいぞうなんだよ!!!」
挙句の果てに壁に向かって罵倒し始めた。傍から見れば頭が心配になる光景だ。
一家はあの野良まりさが居なくなってから、まあ、それなりに脱出の努力をしていた。
最初の方は、出せ、助けろ、と罵声交じりの懇願を大きな声で繰り返していた。
しかし大声に耐えかねた公園のゆっくり達からだろう。石が噴水の中に一斉投擲され、黙らざるを得なくなった。
次に親れいむが自分だけでもまずはここから出ようと、跳ねて脱出を試みた。
が、しかし。悲しいかな、醜く膨れ上がったれいむは自分の全長程度すら跳ね上がれなかった。
普通なら楽々とは言えないもののなんとか出ることはできるのに、堕落した生活を送った結果がこれである。
今思えば親れいむが何も考えずに、すぐに噴水に飛び込まなかったのは正解だと言えよう。
まあれいむ自身はそこまで深く考えてなかっただろうし、結局こうなってしまったので全く意味は無かったのだが。
とにかく、根気の欠片も無いでいぶである親れいむはたった数回の挑戦でもう満身創痍になっていた。
「どぼじでかわいいでいぶがごんなめにぃ・・・」
できる事といえば噴水の中にある小さな影をなんとか見つけて休むことだけである。
いくられいむ達が嘆こうが、夏の暑い日差しはどんどんれいむ達の体力を奪っていく。
高温高熱は、饅頭にとっては水に並ぶ天敵だ。ましてや弱った赤ゆにとっては尚更キツイ。
「おか・・しゃ・・・もっちょ・・・ゆっきゅち・・ちた・・か・・・っちゃ・・・よ・・・」
「おぢびぢゃあぁ゛ぁ゛ん!!ゆっぐりしぢゃだめぇぇぇ!!!ゆっぐりじでよぉぉぉ゛ぉ゛!!!」
そしてとうとう、打ち所が悪く最も弱っていた赤れいむが今まさに息を引き取ろうとしていた。
親れいむも錯乱してもう何を言ってるのか分からない状態だ。
「れ、れーみゅちなないでぇ!」
「おねーしゃん!もっちょがんばっちぇね!」
「れーみゅ!ちんじゃったられーみゅのはをまりしゃにちょーらいにぇ!!」
「「どぼぢでじょんなひどいこちょいうにょぉぉぉ!!?」」
「もう・・だ・・・みぇ・・・」
「おぉぢぃびぃぢゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
「誰だようっせーな。叫んでんじゃねーよ、暑苦しいんだよ・・・」
突然、叫ぶ一家に覆いかぶさるように影ができる。
見上げてみると、一人の少年が疎ましげにれいむたちを覗き込んでいた。
制服姿でカバンを背負っている所を見ると、どうやら学校帰りらしい。
「んー?ゆっくりか。っていうかデブッ!!」
「ゆっ!しつれいなこといわないでね!れいむおでぶじゃないよ!!」
出会い頭の辛辣な発言に、思わずムッとして言い返す親れいむ。
「いやいや、間違いなくデブいだろ。見るからにデブいだろ。でいぶなだけに。
あっ、でいぶってそういうことか?」
「う゛う゛う゛う゛う゛!!!でぶっでいうなぁぁぁぁ!!!」
ケラケラ笑う少年を見て、膨れた体を震わせて悔しがるれいむ。
何をしても醜いものだ。が、そんな様子を見て少年は少しスッキリしたらしい。
「で、こんなところで何してんの?噴水なんかで遊んでたら危ないぞ。
しかもなんかチビ死にかけてるけど、もしかしてそういう趣味か」
満足ついでに聞いてみる。この少年も相当暇なのだろうか。もしくは数少ない物好きか。
「そうだ、おちびちゃん!!おいくそじじい!れいむたちをたすけてね!!」
「れーみゅたちはきゃわいしょうにゃんだよ!」
「あとまりしゃしゃまのはをもとにもどしゅんだじぇ!!」
チャンスとばかりに命乞い(?)をする一家。事実、これを逃せばもう後は無いだろう。
「・・・?んー、まあよく分からんけど、とりあえず話してみな。聞くだけは聞いてやるよ」
~饅頭説明中~
「なるほど。つまり運悪くここに落ちた所を、ゲスが見捨てたせいでチビが死にそうだと」
「そうだよ!さっさとしてね!もうゆっくりしちゃいそうなんだよ!!」
要領を得ない説明をすること数分、ようやく現状を伝えきった親れいむ。
所々自分にとって都合がいいように脚色しているのはご愛嬌だ。
先ほどから死にかけの赤れいむはまだ痙攣している。死ぬ死ぬと言いながら存外にしぶとい。
「ふむ・・・なら、これをやろう」
そう言って少年がカバンから取り出したのは、指で摘める程度の小さなプラスチック容器。
いわゆるポーションタイプのそれを剥がし開けて、弱った赤れいむの上で傾けた。中から透明な液体が流れ落ちる。
「ゆ・・・ゆ・・・ゆっ!?」
「お、おちびちゃん?おちびちゃんになにしたの?」
「まあ見てろって」
流れ落ちた液体はそのまま赤れいむの口に入り、味わうように租借され、飲み込まれた。
「ゆっ・・ゆっ・・・ち、ち、ち、ちあわちぇー!!!」
「ゆっ!?おちびちゃんとってもげんきになったよぉぉぉ!!ゆっくりしていってね!!」
「れーむふっかちゅっしちゃよ!!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」
「おー、ガムシロでも元気になるもんだなあ。流石ゆっくりだ」
「どうなっちぇるにょ?もしかしちぇしょれあみゃあみゃしゃん?」
「まりしゃしゃまにもちょーらいにぇ!ちょーらいにぇ!!!」
少年が与えたのはファミレスなんかに置いてあるガムシロップだった。
量にすればほんの少しだが、赤れいむにはそれで十分だったようだ。
元気を取り戻した赤れいむは今まで数えるほどしか味わったことの無い幸せに浸っている。
ほかの一家も喜ぶやら、急に復活してしあわせーっ状態になっているれいむを羨ましがるやら、様々だ。
「なきゃなきゃやくにたちゅじじいだにぇ!!」
「しょうだにぇ!!!とくべちゅにきゃわいいれーみゅがかんしゃちてあげちぇもいいよ!!
「ハッハッハ、そりゃどうも」
「ちゅぎはまりしゃしゃまのはをなおしゅんだじぇ!!あとあまあまちょーらいにぇ!!」
「いやー、悪いな。今手持ちそれしか無いんだわ。別に死にそうでもないんだから我慢してな」
「ゆがーん!やぢゃやぢゃ!!やきゅにたたにゃいくしょじじいはゆっくちちないでちにぇ!!」
「ハッハッハッハッハッ」
聞いていれば相当な罵声を浴びせられているのに、少年の表情は穏やかなままだった。
何をするわけでもなく笑って返答している。そんな少年の様子に、段々図に乗り始める饅頭一家。
「まったきゅ!ちょっとほめりゅとしゅぐちょーしにのりゅからじじいはいやだにぇ!!」
「いやいや、お前達ほどじゃないぞー」
「でみょれーみゅをたしゅけちぇくれたのはじじちゅだきゃらおれいにどれいにしちぇあげちぇもいいよ!!」
「そりゃ光栄だなあ。後ろ向きに考えとくよ」
流れるような少年の受け答え。
「じゃあさっそくここかられいむたちをだしてね!!
そのあとはここにすんでるげすどもをせいっさいっしたあとじじいのおうちでかわれてあげるよ!!」
「あ、それはお断りします」
「かんげきちてちーちーもらしゅんじゃ・・・え?」
なので拒否の言葉もまた、即答だった。
呆然としたまま親れいむはもう一度繰り返す。
「よくきこえなかったよ?れいむたちはじじいにかわれてあげるっていってるんだよ?」
「ああ、ちゃんと聞こえてるよ。だからお断りっていっただろ?絶対に嫌だって言ったんだよ」
数秒、時が止まる。
「どぼじでぇぇぇ!?でいぶたちがどれいにしてあげるっていってるんだよぉぉぉ!!」
「れーみゅたちのめーれーをことわりゅなんちぇしちゅれいなどりぇいだにぇ!ぴゅんぴゅん!」
「ふじゃけたこちょいっちぇりゅとぴゅきゅーしゅりゅんだじぇ!!ぴゅきゅー!!」
「ゆわぁぁぁ、まりちゃかっきょいいよ!じじいはこわきゅちぇもちーちーもらちゃにゃいでにぇ!!」
そして一斉に騒ぎ立てる饅頭一家。この期に及んで己の立場が分かってないところが滑稽である。
「いやー。言っとくけど俺、お前らなんかに何言われても別に堪えないよ?
もうすぐ死んじゃう負け犬…もとい負け饅頭がいくら吼えたって気にしないし」
「どういうこと?れいむたちまだまだげんきだよ!」
「れーみゅももうふっかちゅっちたんだよ!ばーきゃばーきゃ!!げらげらげら!!!」
尚も赤ゆっくりたちは憎たらしい口調で挑発してくるが、少年は鼻で笑って受け流す。
「あぁ馬鹿だからわかんないのか・・・ま、ついでだし教えといてあげよう。
いいかー。今日、お日様が沈み始める頃に、ここは水が一杯になって、お前達は溶けて死にます」
「「「「「・・・・・・ゆ゛っ?」」」」」
「だから、俺が引き上げないとお前らは近いうち溶けて死ぬんだって。
そんでもって俺はお前らを絶対に助けないから、死ぬことは確定してるわけ。理解したか?」
いたって気楽に少年は告げる。どことなく楽しそうだ。
「しょ、しょんにゃわけにゃいよ!!もうちょっとましにゃうそついてにぇ!!」
「まあ信じる信じないは勝手だけどな。お前らがいるところ見回してみろよ。
そこら辺湿ったり水溜り出来てたりしないか?それこそ元々水が溜まってるって証拠だ」
「ゆっ…?あっちには…おみじゅしゃん。むきょうは…おみじゅしゃん!?」
「ゆあぁぁ、ほんちょだ!にゃんでぇぇぇ!?」
「水が出始めたらお前らなんてあっという間に溺死するぞー。溶けて死ぬのとどっちが早いかな?」
親れいむの目線辺りの壁をコツコツ叩きながら少年は笑った。
ちなみに湿っているのは昨日の雨が残っているからである。
たとえそうであってもそれが一家にわかる訳が無いので、このまま少年は押し通すつもりのようだが。
「ぞ、ぞんなのじらないよぉぉぉ!どぼじでぞんなひどいごどずるのぉぉぉ!!?」
「それは今朝、断水が解除されたからだよ。まあ噴水が何かも知らないお前らにわかるわけないけど」
「おみじゅしゃんはゆっきゅちできにゃいぃぃぃ!!はやきゅたしゅけりょくしょじじぃぃぃぃ!!!」
「だから嫌だって。聞いてなかったの?馬鹿なの?死ぬの?いや、問われるまでもなく死ぬのか」
「おねーしゃんはたしゅけたのににゃんでここからだちてくれにゃいにょぉぉぉぉ!!?」
「しょーだじぇ!れーみゅをたしゅけたんだかりゃせめてまりしゃしゃまだけでもたしゅけりゅのじぇ!!」
「「「どぼぢぢぇじょんなこちょいうにょぉぉぉぉ!!?」」」
「うるしゃいんだじぇ!まりしゃしゃまはもっちょゆっくちしゅるしめいがあるのじぇ!!」
思わぬ裏切りに決裂する姉妹仲。相も変わらず少年は楽しそうだ。
「こんな状況で喧嘩とは余裕だなぁ。
それはともかく、なんでかと言われると・・・まあ面倒臭いからかねぇ」
「めんどくしゃい?どういうことにゃにょ?」
「いいか?無い知恵絞って良く考えてみろよ。
別にお前らの話を聞いても暇が潰れるだけで俺は特に損しない。
余ったガムシロ一個あげても、俺のカバンが少し空くだけでどうってことはない。
でも、ここでお前らを助けたらどうなる?
断じて飼う気なんて無いのに付きまとわれて、最悪潰した後の片付けをしなきゃならない。
そういうの面倒臭いだろ?だから遊ぶだけ遊んで放っておこうって最初から思ってたわけ。
つまらない一日にほど良い刺激が欲しかったのさ。そういう年頃なんだよ。わかる?」
「・・・・・・じゃ、じゃあれいむたちは」
「ぬか喜びご苦労様。助かったと勘違いして喜ぶお前らの滑稽な姿はとってもゆっくりできたよ!ありがとな!!」
ここに来て少年の表情はこれまでで一番の笑顔になる。
が、その笑顔は饅頭一家にとって全くゆっくりできないものだった。
「じじ・・・にんげんざん!おねがいじまず!!でいぶをだずげでぐだざい!!」
「何が何でも嫌だ。だって助けたら絶対調子に乗ってまた『れいむをかえ!くそじじい!』とか言うじゃん」
「いいばぜんがらおね゛がいじばず!でいぶたちいいごでずがら!いぎでるだげでじゅうぶんでずぅぅ!!」
「だからお前らの餡子脳なんて信用できないんだって。第一飼うならこの辺の野良拾ったほうがなんぼかマシだし」
「ゆぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!まだじにだぐないぃぃぃ゛ぃ゛!!!」
親れいむはショックのあまり、その場を転がりだした。醜く膨れた身体が揺れる揺れる。
「ゆきぃぃぃ!!きょれならちんだほうがまだよかっちゃよぉぉぉ!!!」
「おいおい、そんなこと言うなよ。家族と過ごせる時間を延ばしてやったんだからありがたく思わないと」
「くしょどれいはまりしゃだけでも・・・」
「まだ言ってるのか?だからお断りだって。特に頭が悪くて歯がボロボロの汚いゲスまりさだけは絶対ヤダ」
「ゆうぅぅ゛ぅ゛!!ばでぃぢゃぢゃまははがなくちぇもかっこいいんだじぇ!!きちゃにゃくないんだじぇぇ゛!!」
「そりゃ気のせいだ。世の中で格好良さの格付けしたら確実にお前は下から数えた方が早いよ。だって気持ち悪いし」
「ゆぴぃぃぃぃ!!きゃわいいれーみゅがにゃんでこんにゃめにぃぃぃ!!!」
「はいはい、可愛い可愛い。ついでにその臭い口閉じて黙って死んでくれればも~っと可愛い」
「もうどりぇいなんちぇいいましぇんかりゃたしゅけちぇくだしゃい!しょれとしょのあとかっちぇくだしゃい!!
ひとりじゃゆっくちできないんでしゅ!このままじゃこじになっちゃうんでしゅ!れーみゅかわいしょうでしょ!?」
「心配するなって。ここで死ねば家族一緒に地獄に行けるから!独りじゃないぞ、良かったな!!」
「「「「ゆ・・ゆ・・・ゆんやぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
一通り男との会話が終わった饅頭一家は、一匹残らず歯を食いしばって涙を流していた。
未だに確実に来るであろう死を認められないのだろうか。
もみ上げをピコピコさせたりと一応抵抗のようなものはしているがどれも全く力が篭っておらず、そして意味も無い。
少年はそんな一家を見ながら声を上げて笑った後、もう飽きたとでも言わんばかりに陽が出ている方向を向いた。
「さってと。ちょっと暗くなってきたか。六時まで…あと五分ってところだな」
その言葉を聞いてビクッとする饅頭一家。言葉の意味は判らずとも少年の雰囲気で終わりが近いと感じたようだ。
「じゃあでいぶ一家の諸君。精々あと少しのゆん生を謳歌しろよ!娯楽の提供ご苦労様!!」
最期に一家を見下ろし、鼻で笑って少年は去っていった。
五
「もうやじゃ…おうちきゃえりちゃいよぉ…」
「どぼぢちぇこんにゃめにあうんだじぇ…まりしゃしゃまはとっちぇもゆっくちちてりゅにょに…」
「だれきゃにゃんとかちてにぇ…きゃわいいれーみゅをゆっくちしゃしぇちぇにぇ…」
「ゆぅぅぅ゛ぅ゛!れーみゅをゆっくちしゃしぇれないやくたたじゅはみんなちにぇ!!」
尚も諦めずに助けを呼ぶゆっくりもいたが、何の反応も無い。
四
「ゆあぁぁ゛ぁ゛!!しにちゃくにゃい!しにちゃくにゃい!しにちゃくにゃいぃぃぃ!!!」
「こんにゃことになったにょもじぇんぶおかーしゃんにょしぇいだよ!!」
「おぢびぢゃんなにいっでるのぉぉぉ!!?おがーざんはがんばっで…」
「だまっちぇにぇ!!れーみゅたちをゆっくちしゃしぇれにゃいくしょおやはちにぇ!!」
過度のストレスからか、とうとう内輪揉めを始めた。ゲスの思考の行く末としては別におかしくないが。
三
「くやちかっちゃらまりしゃしゃまをここかりゃだしちぇみりゅんだじぇ!!」
「どーしぇできないんでちょ?おぉむにょーむにょー!!」
「ゆぐっ…ぐぐぐ…あんなにやざじぐじでやっだのに…
ぼうゆるざないよ!!おばえらぜんいんごろじでやる!!」
「ゆっくちごろしのげしゅはゆっくちできにゃいんだよ!
しょんなこちょもわしゅれたにょ?ばかにゃにょ?ちにゅにょ?」
「うるざいよ!おばえらざえいなげればいまごろおうぢでゆっぐりでぎるはずだったんだよ!!
でいぶをばがにずるくそちびはじね!!ゆっぐりせずにじねぇぇ!!!」
そして親れいむが逆上した。どうやら自分の中で都合がいいように色々と記憶を改竄しているようだが。
二
「うろぢょろずるなぁぁぁ!!ぞごでじっどじでろ!づぶじでやる!!」
「のりょまなでいびゅにちゅぶしゃれるわけにゃいでちょ?にゃにいっちぇるにょ?」
「おみゃえみちゃいにゃでびゅなんかこわくにゃいんだじぇ!ゆっゆっゆっゆっ!!!」
「しょーだよ!!くやちかっちゃら『ボスッ!!』ゆ…?
ゆぴぃぃぃ!いちゃいぃぃぃ!!でいびゅのちゅぶりゃなおめめがぁぁぁ!!!」
「れ、れーみゅ!?にゃんでいししゃんがおしょらをとんでくりゅにょぉ!?ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!」
おそらく野良ゆっくりからであろう、何処からともなく投擲された石が赤れいむの目に見事に突き刺さった。
「にんげんさんにうそつくゆっくりはしね!!げすはおまえたちでしょぉぉ!?」
「おちついてまりさ!さっきかかわっちゃだめっていわれたばっかりじゃないの!!」
どうやら先ほどの会話もしっかり聞かれていたようだ。無論悪いのはれいむ達なので同情の余地は無い。
一
「ゆっゆっゆっゆ!ざまあみろくそでいぶ!ちびのくせになまいきなくちきくからこうなるんだよ!!」
「ゆぎぎぎぃ…!おやのくしぇにわらうにゃんてゆっくちできにゃいんだじぇ!こにょげしゅ!!」
「さきにいいだしたのはそっちでしょ!
それにおまえみたいにはがなくてぶさいくなちびなんかしらないよ!ちかよらないでね!!」
「ゆんぎぃぃぃぃ!!まりしゃしゃまはぶしゃいくじゃないんだじぇぇぇぇ!!!」
ますます家族を扱き下ろすことに熱中するれいむ一家。見ていて醜い事この上ない。
が、ほんの少しの間だけでも死の恐怖を忘れる事ができるのだ。それを思えばこれも悪くないのかもしれなかった。
まあだからと言って、誰が助かって何が変わるわけでもないのだが。
ザアァァァァァ!!!
「ゆ゛っ!?つべだい!やだ!でいぶまだじにだぐないぃぃ!!!」
「「「「ゆんやぁぁぁ!?おみじゅしゃんふっちぇこにゃいでにぇぇぇ!!!」
「「「「「やべで(ぢ)ぇぇぇぇ!!!」」」」」
一家が溶けて全滅するまで、あと・・・・・・
・あとがき
ネタが、思い、つかない。
のでしばらく一読者に戻って充電しようかと思います。
安西先生…短いのが…書きたいです……
では、またいつか!…早く帰ってこられればいいなぁ。
小五ロリあき
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- すっっっっっっっっごい楽しかったです -- 2023-08-19 21:58:59
- ゲスはしんでとうぜん
-- 2016-08-28 11:25:45
- このままがしするまえにかぞく
みんなでしねてよかったね! -- 2014-04-22 01:51:11
- いい暇つぶしだったわー割とおもろい作品だった -- 2012-07-26 17:38:54
- 「さーって、噴水に水溜まっているかなーtなんじゃこりゃーーー!!!!」
てなってたと思う。 -- 2012-03-25 20:44:47
- いいギャグありがとう、無様すぎて心の底から笑えたよww -- 2011-10-08 03:50:57
- 公園の掃除が必要だね -- 2010-12-18 21:16:39
- 罵倒を受け流せる辺り、中々心に余裕がある少年だね。ゆっくりできたよー -- 2010-12-02 17:28:57
- 男か少年か統一しようよ
-- 2010-10-16 23:36:31
- 普通~善良の野良ゆがゲスに騙されて酷い目にあわなかったからゆっくりできたよ -- 2010-09-13 00:21:51
- 楽しませてもらいました。 -- 2010-07-22 15:07:47
- 爽やかな少年だわね。ゆ虐SSに登場する人間はゲス人間率が高いから、うんざりしていたのよ…。
でも、今回は少年のおかげでゆかりんゆっかりできたわ!! -- 2010-07-11 00:55:42
最終更新:2010年03月17日 09:34