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初めて、銃を撃った。
痛かった。
捻挫していた利き腕で引き金を引いたのだから、当然の報いだ。
当然の、報い……。
果たしてそうなのだろうか?
捻挫、擦り傷、酷使、反動。
右手首は、確かに痛む。
でも、それだけだ。
きちんと対処すればまだ間に合うだろう。
現に今、ドクターウェストと名乗った男が患部を固定してくれている。
どこかで医学を学んでいたのか、普段から怪我が絶えないのか、慣れた手つきだ。
これならきっと少しの間不自由に苦しむだけで済むだろう。
だけど、朋也の肩はもう治らない。
あたしが、止めを刺してしまったから。
朋也がどれだけそのことに苦しんでいたのか知っていたはずなのに。
大好きだったバスケができなくなってすごくつらかったってわかっていたはずなのに。
痛かった。
捻挫していた利き腕で引き金を引いたのだから、当然の報いだ。
当然の、報い……。
果たしてそうなのだろうか?
捻挫、擦り傷、酷使、反動。
右手首は、確かに痛む。
でも、それだけだ。
きちんと対処すればまだ間に合うだろう。
現に今、ドクターウェストと名乗った男が患部を固定してくれている。
どこかで医学を学んでいたのか、普段から怪我が絶えないのか、慣れた手つきだ。
これならきっと少しの間不自由に苦しむだけで済むだろう。
だけど、朋也の肩はもう治らない。
あたしが、止めを刺してしまったから。
朋也がどれだけそのことに苦しんでいたのか知っていたはずなのに。
大好きだったバスケができなくなってすごくつらかったってわかっていたはずなのに。
人を殴ったら同じくらい自分の拳も痛い。
ねえ、それなら人を撃った痛みは、撃たれた人の痛みに釣り合ってるの?
教えてよ、誰か。あたしは、これからどうすればいいの?
教えてよ、誰か。あたしは、これからどうすればいいの?
* * *
「ふむ、こんなもんであるか」
大地に座り込んだままの少女の右手首、を破ったTシャツできつめに縛る。
圧迫することによって捻挫箇所が内出血などで腫れてしまうのを抑止する為だ。
更に捻挫個所をシャツの残りの部分で作った三角巾で保護・固定することも忘れない。
ドクターウェスト製にしてはあまりにもつまらない物だが、
ハズレ支給品を有効利用できたので、それはそれで天才らしいかと思い直す。
どちらにせよ機械でも楽器でもなく趣味にも合わない服に、ウェストは未練を感じはしなかった。
圧迫することによって捻挫箇所が内出血などで腫れてしまうのを抑止する為だ。
更に捻挫個所をシャツの残りの部分で作った三角巾で保護・固定することも忘れない。
ドクターウェスト製にしてはあまりにもつまらない物だが、
ハズレ支給品を有効利用できたので、それはそれで天才らしいかと思い直す。
どちらにせよ機械でも楽器でもなく趣味にも合わない服に、ウェストは未練を感じはしなかった。
「藤林杏で良かったであるか?情報交換の続きを始めたいのであるが」
あいにくと見返りも無しに出会ったばかりの人間を治療するほどドクターウェストは善人ではない。
先程まで錯乱していた少女をさらに落ち着かせる為、
加えてウェストが害意を持っていないことをアピールする為に、
互いに名前を告げ合った後、彼なりに考えて行ったことである。
せっかく会えた最初の人間に突然撃たれたのが堪えたのか、
ウェストにしては珍しく慎重なコミュニケーションの入り方であった。
先程まで錯乱していた少女をさらに落ち着かせる為、
加えてウェストが害意を持っていないことをアピールする為に、
互いに名前を告げ合った後、彼なりに考えて行ったことである。
せっかく会えた最初の人間に突然撃たれたのが堪えたのか、
ウェストにしては珍しく慎重なコミュニケーションの入り方であった。
その甲斐もあったのか、ウェストに問われるまま、杏は取り乱すこともなく
ぽつぽつと自分の知りあいや今までの経緯について語りだした。
普通の高校生であったこと。妹のこと。友達のこと。気がついたら殺し合いに参加させられていたこと。
怪しい外国人から逃げ出したこと。銃声や奇声におびえていたこと。
そして、恐怖に駆られ知り合いを撃ってしまったこと。
ぽつぽつと自分の知りあいや今までの経緯について語りだした。
普通の高校生であったこと。妹のこと。友達のこと。気がついたら殺し合いに参加させられていたこと。
怪しい外国人から逃げ出したこと。銃声や奇声におびえていたこと。
そして、恐怖に駆られ知り合いを撃ってしまったこと。
ブラックロッジと覇道財閥の二大有名組織を知らないと聞いた時は思わず声を上げたウェストだが、
ここが異世界であるという自論を思い出し、
参加者すらいくつかの別世界から連れてきたのではないかと考察を広げる。
その上で考えるのはウェストを襲い、杏が撃ってしまった青年――岡崎朋也のことである。
話を聞くに元は悪い人間ではないようだが、自分を不意打ちしようとしたことや、
一発目を外した後も撃ってきたことからして、少なくとも自分の意志で人を殺す事を許容しているようだ。
住んでた世界の違いから私怨という線もない。
杏はそのことに驚いていたが、悪党という立場で様々な人間を見てきたウェストからすれば、
別段不思議なことではなかった。
ここが異世界であるという自論を思い出し、
参加者すらいくつかの別世界から連れてきたのではないかと考察を広げる。
その上で考えるのはウェストを襲い、杏が撃ってしまった青年――岡崎朋也のことである。
話を聞くに元は悪い人間ではないようだが、自分を不意打ちしようとしたことや、
一発目を外した後も撃ってきたことからして、少なくとも自分の意志で人を殺す事を許容しているようだ。
住んでた世界の違いから私怨という線もない。
杏はそのことに驚いていたが、悪党という立場で様々な人間を見てきたウェストからすれば、
別段不思議なことではなかった。
誰も彼もがウェストの知り合いのように非日常な日常を送ってきたわけではない。
殺し合いという非日常において、日常の自分を失わないだけの強さを持ってはいなかった。
岡崎朋也も、そして藤林杏も、ただ、それだけのことなのだ。
殺し合いという非日常において、日常の自分を失わないだけの強さを持ってはいなかった。
岡崎朋也も、そして藤林杏も、ただ、それだけのことなのだ。
そこまでわかっていながらも、ウェストは強く思う。
(つまらないのである!!)
張り合いが無さすぎるのだ。
大十字九郎、アル・アジフ、覇道瑠璃にメイドに執事にメタトロン。
――デモンべインを駆りいつもいつも邪魔ばかりしてくる不堯不屈の魔を立つ剣。
マスターテリオン、アンチクロス、サンダルフォン。
――魔道に生き、美学的にも相容れることのないが、強大な力を誇る狂える魔人達。
よく見る警官二人や教会のガキ共を始めとしたアーカムシティの住人。
――大黄金時代にして大暗黒時代たる街に生きるが故に強かで活気のある名も知らぬ人々。
大十字九郎、アル・アジフ、覇道瑠璃にメイドに執事にメタトロン。
――デモンべインを駆りいつもいつも邪魔ばかりしてくる不堯不屈の魔を立つ剣。
マスターテリオン、アンチクロス、サンダルフォン。
――魔道に生き、美学的にも相容れることのないが、強大な力を誇る狂える魔人達。
よく見る警官二人や教会のガキ共を始めとしたアーカムシティの住人。
――大黄金時代にして大暗黒時代たる街に生きるが故に強かで活気のある名も知らぬ人々。
どいつもこいつも気に食わないが、認めてやっても良いところが確かに一つはあったのだ。
故にこそ彼らはウェストの宿敵にも、超えるべき壁にも、利用対象にも、観客にも成り得たのである。
つまるところ、ウェストはどこか期待しているのだ。
この泣きじゃくる少女もまた、現実を受け止めその上で立ち上がってくれると。
彼の科学の力を思い知らせるに値する人間であってくれると。
だから、腹が立った。少女の諦めの言葉になんだかとってもカチンと来た。
(決して慰めようとか思ったわけじゃないのであるぞ!!)
故にこそ彼らはウェストの宿敵にも、超えるべき壁にも、利用対象にも、観客にも成り得たのである。
つまるところ、ウェストはどこか期待しているのだ。
この泣きじゃくる少女もまた、現実を受け止めその上で立ち上がってくれると。
彼の科学の力を思い知らせるに値する人間であってくれると。
だから、腹が立った。少女の諦めの言葉になんだかとってもカチンと来た。
(決して慰めようとか思ったわけじゃないのであるぞ!!)
「諦める必要があるのであるか」
* * *
「藤林杏で良かったであるか?情報交換の続きを始めたいのであるが」
正直どうでもよかった。このまま泣き続けていたかった。
捻挫を治療してくれたのは嬉しかったけど、あの緑の瞳の外人のことがあったから、
ウェストのことも素直に信用しきることはできなかった。
でも、あたしの弱さがもう逃げることを許してくれない。
現実を直視しなかったら、また大切なものを失くしてしまうんじゃないかって。
嫌だった。怖かった。これ以上は失くしたくなかった。だから、頷いたのだ。
捻挫を治療してくれたのは嬉しかったけど、あの緑の瞳の外人のことがあったから、
ウェストのことも素直に信用しきることはできなかった。
でも、あたしの弱さがもう逃げることを許してくれない。
現実を直視しなかったら、また大切なものを失くしてしまうんじゃないかって。
嫌だった。怖かった。これ以上は失くしたくなかった。だから、頷いたのだ。
それからあたしは聞かれるままに色々話した。
ウェストはウェストで聞いてもないのにぺらぺらと彼自身のことを話してくれた。
アーカムシティとか、ブラックロッジとか、覇道財閥とか、
知らない言葉も一杯出てきたけど、気にかけるだけの気力がなかった。
ウェストの方も無知なり悲劇なり一通り叫んだ後、
なんかいきなり一人で勝手に納得する始末だ。
ウェストはウェストで聞いてもないのにぺらぺらと彼自身のことを話してくれた。
アーカムシティとか、ブラックロッジとか、覇道財閥とか、
知らない言葉も一杯出てきたけど、気にかけるだけの気力がなかった。
ウェストの方も無知なり悲劇なり一通り叫んだ後、
なんかいきなり一人で勝手に納得する始末だ。
あんたバカでしょ?なんとなくそんな言葉と共に、陽平の顔が浮かんだ。
そういえばウェストの無駄に高いテンションは、どこかあいつに似ているかもしれない。
まあさすがの陽平も、ウェスト程ははっちゃけていなかったけど。
そういえばウェストの無駄に高いテンションは、どこかあいつに似ているかもしれない。
まあさすがの陽平も、ウェスト程ははっちゃけていなかったけど。
あのバカのことを思い出したら、ほんの少しだけ元気が出た気がして、
でもそんな取り留めのない考えも、すぐに霧消することとなった。
でもそんな取り留めのない考えも、すぐに霧消することとなった。
「あんた、何言ってんのよ。朋也に限って殺し合いに乗ることなんてあるわけないじゃない!」
話が参加者内の互いの知り合いのことに及んだ時、あたしは思わず食ってかかっていた。
信じられるわけがなかった、朋也が自らの意志で人を殺そうとしただなんて。
でも、ウェストの話はあたしが聞いた銃声や叫び声と照らし合わせても穴がなくて、
そしたら今度は陽平とは別の顔が浮かんできたのだ。あの子、古河渚の顔が。
信じられるわけがなかった、朋也が自らの意志で人を殺そうとしただなんて。
でも、ウェストの話はあたしが聞いた銃声や叫び声と照らし合わせても穴がなくて、
そしたら今度は陽平とは別の顔が浮かんできたのだ。あの子、古河渚の顔が。
「そうだよね。あんたはあの子を選んだんだもんね」
渚を、恋人を優勝させるためなら、朋也がゲームに乗ってもおかしくないかもしれない。
優しくて不器用な奴だから、そんな方法しか選べなかったのかもしれない。
だったら、良かったではないか。もしかしたら、
油断させてあたしを殺そうとしていたかもしれないんだから。
優しくて不器用な奴だから、そんな方法しか選べなかったのかもしれない。
だったら、良かったではないか。もしかしたら、
油断させてあたしを殺そうとしていたかもしれないんだから。
――本当に?
そうよ、そうに、決まってる。だって、そう考えないと、あたしは!
――そんな人間が、失望や侮蔑の瞳を向けてくると思っているの?
っつ。そ、それは……。
――気付いてるんでしょ、朋也は撃たれるまでは、少なくとも藤林杏を信じていたって。
無我夢中だったからぼんやりとしか覚えていないけど、
あたしを見つけた瞬間の朋也の顔はとても嬉そうなものだった。
なのに、あたしは、その信頼を裏切った。
あまつさえ、夢への最後の希望を奪ってしまった。
そうよ、そうに、決まってる。だって、そう考えないと、あたしは!
――そんな人間が、失望や侮蔑の瞳を向けてくると思っているの?
っつ。そ、それは……。
――気付いてるんでしょ、朋也は撃たれるまでは、少なくとも藤林杏を信じていたって。
無我夢中だったからぼんやりとしか覚えていないけど、
あたしを見つけた瞬間の朋也の顔はとても嬉そうなものだった。
なのに、あたしは、その信頼を裏切った。
あまつさえ、夢への最後の希望を奪ってしまった。
もう、終わりだ。朋也はあたしを、許してくれはしない。
あたしは、身勝手だ。
朋也のことが、本当に好きだった。
でも告白してフラれたら、もう友達としても話ができないんじゃないかって、
あいつの側にいられなくなることが怖くて、それならこのまま友達でいようって、
その方が傷つかずに済むと思い込んで、ずっと自分の気持ちを押し込めてきた。
でも、痛かった。朋也が渚と付き合いだして、
あたしは渚のことも嫌いじゃないのに、それなのに、見ていて辛かった。
朋也が、あたしの好きな朋也のままで、変わらずあたしにも接してくれているのが、耐えられなくて。
だから、いっそ疎遠になってしまえばって、そう思っていたのに!
朋也のことが、本当に好きだった。
でも告白してフラれたら、もう友達としても話ができないんじゃないかって、
あいつの側にいられなくなることが怖くて、それならこのまま友達でいようって、
その方が傷つかずに済むと思い込んで、ずっと自分の気持ちを押し込めてきた。
でも、痛かった。朋也が渚と付き合いだして、
あたしは渚のことも嫌いじゃないのに、それなのに、見ていて辛かった。
朋也が、あたしの好きな朋也のままで、変わらずあたしにも接してくれているのが、耐えられなくて。
だから、いっそ疎遠になってしまえばって、そう思っていたのに!
もう、朋也が優しい眼を向けてくれることはない。
もう、朋也の温かさを感じれることはない。
もう、朋也が、朋也が、隣で笑ってくれることは、ない。
もう、朋也の温かさを感じれることはない。
もう、朋也が、朋也が、隣で笑ってくれることは、ない。
ちっとも、嬉しくなんかない。
最悪な形とはいえ、願いは叶ったはずなのに。
朋也に嫌われちゃったから、彼のことを諦めらめ切れる筈なのに。
なのに、なのに、ちっとも、この想いを、捨てられないじゃない。
最悪な形とはいえ、願いは叶ったはずなのに。
朋也に嫌われちゃったから、彼のことを諦めらめ切れる筈なのに。
なのに、なのに、ちっとも、この想いを、捨てられないじゃない。
「どうして、どうして諦めきれないのよ!」
何処までも、何処までも自己嫌悪という名の泥沼に沈んでいく。
朋也のことばかりが浮かんできて、次に考えるのはどうすれば許してくれるのかということ。
あれだけのことをしでかしておいて、きっとまだ傍らに居させてほしいと願ってるのだ。
朋也のことばかりが浮かんできて、次に考えるのはどうすれば許してくれるのかということ。
あれだけのことをしでかしておいて、きっとまだ傍らに居させてほしいと願ってるのだ。
あたしは、自分が嫌いっ。人を傷つけたのに、自分の傷を癒すことしか考えない。
そんな自分が大きら「諦める必要があるのであるか」
ウェストがさっきまでの騒々しさとは打って変わって再度静かに告げる。
そんな自分が大きら「諦める必要があるのであるか」
ウェストがさっきまでの騒々しさとは打って変わって再度静かに告げる。
「貴様は、諦める必要があるのかと聞いているのである」
「……え?」
「……え?」
何を言われたのかすぐには理解できなくて、
できたらできたで怒りしか湧いてこなかった。
できたらできたで怒りしか湧いてこなかった。
「諦めるって、それ以外何ができるっていうの!?
あたし、朋也にひどいことしたのよ。肩の後遺症だって、ひどくした!」
「治せないとは限らないのである」
「無理よ、不可能よ!」
あたし、朋也にひどいことしたのよ。肩の後遺症だって、ひどくした!」
「治せないとは限らないのである」
「無理よ、不可能よ!」
もともとの傷ですら後遺症が残るほどのものだったのだ。
加えて自分の撃った銃弾で、どう考えても直せる見込みは零だろう。
なのにこの自称天才は根拠もなくいとも容易いことだと言ってのけるのだ。
加えて自分の撃った銃弾で、どう考えても直せる見込みは零だろう。
なのにこの自称天才は根拠もなくいとも容易いことだと言ってのけるのだ。
「我輩を誰だと思っているのであるか?このドクタァァァァァ・ウェェェェストッッッ!の手に掛かれば、
小僧の一人や二人の腕や肩を治す機械を作ってみせることなど朝飯前を通り越して夜食前に可能なのである!
ぬ?なんとおおーー、あまりにも速すぎて前日に戻ってしまったのである!
我輩一体何時の間にタイムマシーンを完成させたのであるかあ!?
嗚呼、恐ろしい、我ながらなんて恐ろしい才能であるかあああ!
ぬあんとお、タイムパラドックスが発生して世界が我輩を消そうとしているのである。
まずいのである、もう少し難易度をあげなければああ!ところで凡骨リボン、
ロケットパンチやドリルって夢があると思わないであるか?
え、思わないって?正直に言うのであるよ、凡骨リボン。
とはいえよく考えてみればこっちの方が難易度下がってる?
なんとお、遂に我輩は24時間前に戻ってしまったのであるかあ!
この理論を応用すればゲームからの脱出など朝飯前って、またもやタイムスリップを!
かくして我輩は無限ループの末に、いつしか考えることをやめるのであった。
ウェストの科学な大冒険 第二部完」
小僧の一人や二人の腕や肩を治す機械を作ってみせることなど朝飯前を通り越して夜食前に可能なのである!
ぬ?なんとおおーー、あまりにも速すぎて前日に戻ってしまったのである!
我輩一体何時の間にタイムマシーンを完成させたのであるかあ!?
嗚呼、恐ろしい、我ながらなんて恐ろしい才能であるかあああ!
ぬあんとお、タイムパラドックスが発生して世界が我輩を消そうとしているのである。
まずいのである、もう少し難易度をあげなければああ!ところで凡骨リボン、
ロケットパンチやドリルって夢があると思わないであるか?
え、思わないって?正直に言うのであるよ、凡骨リボン。
とはいえよく考えてみればこっちの方が難易度下がってる?
なんとお、遂に我輩は24時間前に戻ってしまったのであるかあ!
この理論を応用すればゲームからの脱出など朝飯前って、またもやタイムスリップを!
かくして我輩は無限ループの末に、いつしか考えることをやめるのであった。
ウェストの科学な大冒険 第二部完」
出鱈目だ、キ●ガイだ。あまりにも無茶苦茶すぎて、怒りやら悲しみやらを通り越して呆れが来た。
前言撤回。ちっとも静かなんかじゃなかった。何より、
前言撤回。ちっとも静かなんかじゃなかった。何より、
「凡骨リボンって何よ?」
「ふん、本来なら凡人リボンと言いたかったのであるが、どうも貴様は我輩の知る凡人以下のようであるからな」
「そんなこと、聞いてんじゃないわよ!」
「ふん、本来なら凡人リボンと言いたかったのであるが、どうも貴様は我輩の知る凡人以下のようであるからな」
「そんなこと、聞いてんじゃないわよ!」
確かにあたしは髪に白いリボンを着けてるけど、あんたあたしの名前知ってるでしょうが!
「ふん……まあ、そう憤るな、凡骨リボン。天才とは1%の才能に99%のどおりょおく。
つまりは才能が無い奴はどう頑張っても天才には追いつけないということである、
あっかんべろべろばあ~。 所詮、単なる凡骨に過ぎないリボンの貴様が、
この世紀の天才たる我輩のようにうまくいかないのはよぅぅく解るが、
だからと言って、この才能の差は、貴様がどのような努力を重ねようとも如何とも埋め難いのである。
それは仕方ない事であるよ。 なになに、落ち込むなである、凡骨リボン。
貴様が悪い訳では無いのである、凡骨リボン。貴様が己の才能の限界に悲嘆しなければならんのも、
氏日く燃えがる嫉妬の炎を抑えきれないのも全て! 全ては我輩が天才過ぎるからなのである!
我輩が神の愛を独り占めにしてしまったから故に凡骨リボンは苦しむのであって、
我輩さえ居なければ凡骨リボンも苦しむ事は無かったからにして嗚呼!
我輩は何と罪作りな大天才なのであろうかっ!天才過ぎるが故に罪を犯す頭脳を我輩は憎むっ!
嗚呼!嗚呼!赦しておくれ!凡骨リボン―――――ッ!」
つまりは才能が無い奴はどう頑張っても天才には追いつけないということである、
あっかんべろべろばあ~。 所詮、単なる凡骨に過ぎないリボンの貴様が、
この世紀の天才たる我輩のようにうまくいかないのはよぅぅく解るが、
だからと言って、この才能の差は、貴様がどのような努力を重ねようとも如何とも埋め難いのである。
それは仕方ない事であるよ。 なになに、落ち込むなである、凡骨リボン。
貴様が悪い訳では無いのである、凡骨リボン。貴様が己の才能の限界に悲嘆しなければならんのも、
氏日く燃えがる嫉妬の炎を抑えきれないのも全て! 全ては我輩が天才過ぎるからなのである!
我輩が神の愛を独り占めにしてしまったから故に凡骨リボンは苦しむのであって、
我輩さえ居なければ凡骨リボンも苦しむ事は無かったからにして嗚呼!
我輩は何と罪作りな大天才なのであろうかっ!天才過ぎるが故に罪を犯す頭脳を我輩は憎むっ!
嗚呼!嗚呼!赦しておくれ!凡骨リボン―――――ッ!」
あたしの眼に映るのは、人を心底馬鹿にした笑みを浮かべ、
鼻水と涙を垂れ流し、くねくね体を動かす白衣を着た何か。
天を仰いだり、頭を抱えたり、人を指さしたりと鬱陶しいことこの上ない。
先程まであたしの心ん中を渦巻いていたドロドロしたものは健在だけど、
それ以上に一つの感情が大きくなっていく。
鼻水と涙を垂れ流し、くねくね体を動かす白衣を着た何か。
天を仰いだり、頭を抱えたり、人を指さしたりと鬱陶しいことこの上ない。
先程まであたしの心ん中を渦巻いていたドロドロしたものは健在だけど、
それ以上に一つの感情が大きくなっていく。
「だがな、凡骨リボン。果たして貴様自身は努力をし尽くしたであるか?
パーフェクトとまではいかなくても、99点の解答くらいなら取れるのではないか?
腕は治せなくても、仲は直せるのではないか?そもそも貴様は謝ってすらいないではないか。
許してくれるはずがない?やってみなければわからないのは科学も人間関係も同じである!
汝の欲するところを行え、である凡骨リボン。ってNOー!
我輩としたことが安易に魔術師の言葉を流用してしまったのである!
ぎいやああ、著作権侵害で借金で電気止められるのだけは勘弁を~」
パーフェクトとまではいかなくても、99点の解答くらいなら取れるのではないか?
腕は治せなくても、仲は直せるのではないか?そもそも貴様は謝ってすらいないではないか。
許してくれるはずがない?やってみなければわからないのは科学も人間関係も同じである!
汝の欲するところを行え、である凡骨リボン。ってNOー!
我輩としたことが安易に魔術師の言葉を流用してしまったのである!
ぎいやああ、著作権侵害で借金で電気止められるのだけは勘弁を~」
うん、なんかこいつ、すんげえむかつく。
「あーんーたーね~っ……!」
とりあえず手元にあったデイパックをウェストの顔面に投げつける。
左腕での投擲だったので命中するか心配だったが、どうやら杞憂だったみたいだ。
デイパックに見事顔面を強打され、大地に沈むドクターウェスト。
左腕での投擲だったので命中するか心配だったが、どうやら杞憂だったみたいだ。
デイパックに見事顔面を強打され、大地に沈むドクターウェスト。
「何好き放題言ってくれてんのよ、このエキサイティングバカ!
あんたみたいな変態になんて言われるまでもないわ。
見てなさい、朋也、天動驚地なあたしの謝りっぷりを!
うふふふふ、絶対根負けさせてやるわ」
あんたみたいな変態になんて言われるまでもないわ。
見てなさい、朋也、天動驚地なあたしの謝りっぷりを!
うふふふふ、絶対根負けさせてやるわ」
自分でもまだ無理しているのはわかってるけど、無理やりいつものように笑ってみせる。
悔しいがウェストの言う通りだ。朋也が許してくれるくれない以前に、
あたしはあいつに謝らなければならない。ううん、謝りたいのだ。
これもまた、逃げかもしれない。謝ったていう事実で、自分が楽になりたいだけなのかもしれない。
でも、今のあたしが確かにやりたいことだから。
悔しいがウェストの言う通りだ。朋也が許してくれるくれない以前に、
あたしはあいつに謝らなければならない。ううん、謝りたいのだ。
これもまた、逃げかもしれない。謝ったていう事実で、自分が楽になりたいだけなのかもしれない。
でも、今のあたしが確かにやりたいことだから。
「ヘンタイ……この我輩を変態呼ばわりだと!?
貴様!人類が生み出した脅威の頭脳に対する畏敬の念というものを持ち合わせては……」
「はあ、あんた、マッハ変態でしょ?」
「またしても畳み掛けるが如くに変態の二連撃!?
うを"を"を"を"を"……、ぼ、凡骨リボンがが乱心したぁぁぁぁ――っ!」
貴様!人類が生み出した脅威の頭脳に対する畏敬の念というものを持ち合わせては……」
「はあ、あんた、マッハ変態でしょ?」
「またしても畳み掛けるが如くに変態の二連撃!?
うを"を"を"を"を"……、ぼ、凡骨リボンがが乱心したぁぁぁぁ――っ!」
世話焼きなフリする自分が嫌いなら、いっそ外装を取っ払って自分勝手に進んでみよう。
まずはその第一歩。嫌がられるとは思うけど、朋也に撃ったことを謝りに行こう。
まずはその第一歩。嫌がられるとは思うけど、朋也に撃ったことを謝りに行こう。
「うっさいつってんでしょ、置いてくわよ、ウェスト!」
「ぬあんっとお!待つのである凡骨リボン、いつから我輩は貴様の仲間になったであるか?
っは、まさかこれは遠まわしな愛の告白!つまりは先程までの暴力もラブ!?
サディスティック・デザイアであるかあ!?いかん、いかんのである!
失恋の悲しみなど野良犬の群れにgあぎゃ、ふぎゃお、あべし!」
「ぬあんっとお!待つのである凡骨リボン、いつから我輩は貴様の仲間になったであるか?
っは、まさかこれは遠まわしな愛の告白!つまりは先程までの暴力もラブ!?
サディスティック・デザイアであるかあ!?いかん、いかんのである!
失恋の悲しみなど野良犬の群れにgあぎゃ、ふぎゃお、あべし!」
女性に言うべきでは言葉を発しかけたウェストをとりあえず蹴っ飛ばしぼこる。
こんな奴でも近くにいたら少しは気が楽にはなるし。それに。
こんな奴でも近くにいたら少しは気が楽にはなるし。それに。
「あれだけ大口叩いたんだから、責任くらい持ちなさいつってんのよ。
あ~れ~、それとも自称大天才様は女の子一人守れないってわけ?
治療できるってのも嘘だったんだあ~。
まあ仕方ないわよねえ、あんたやられ役っぽいしい」
「見くびるなである!このドクターウェストの科学力に不可能は無いのである!!」
「はいはい、あんたのことは存分に頼らせてもらうわ」
あ~れ~、それとも自称大天才様は女の子一人守れないってわけ?
治療できるってのも嘘だったんだあ~。
まあ仕方ないわよねえ、あんたやられ役っぽいしい」
「見くびるなである!このドクターウェストの科学力に不可能は無いのである!!」
「はいはい、あんたのことは存分に頼らせてもらうわ」
それに一応は感謝しているのだ。
こいつがあんまりにも堂々とマイペースでバカをやってくれたおかげで、
あたしも少しは自分のペースを取り戻すことができたのだから。
ウェストは自称天才なのだから、首輪を外してくれるのではないかと期待しているのも否定はしないけど。
不安が無いわけではない。
むしろ不安だらけでどうにかなりそうなくらいだ。
朋也が走って行った方向は、あたしが来た方向だから、
下手したらクリスと名乗ったあの外人に出会ってしまったかもしれない。
その朋也を追いかけるあたし達はあたし達で危険も多い。
朋也やクリスに襲われる可能性は元より、他の好戦的な参加者にも遭遇しうる。
そもそも朋也に追いつけるとも限らないし、途中で方向転換していたらお手上げだ。
でも、それでも、あたしは、朋也と会って、話がしたい。
逃げて失ったのだから、立ち向かえば何かを得られると考えてしまうのは、楽観的すぎるだろうか?
こいつがあんまりにも堂々とマイペースでバカをやってくれたおかげで、
あたしも少しは自分のペースを取り戻すことができたのだから。
ウェストは自称天才なのだから、首輪を外してくれるのではないかと期待しているのも否定はしないけど。
不安が無いわけではない。
むしろ不安だらけでどうにかなりそうなくらいだ。
朋也が走って行った方向は、あたしが来た方向だから、
下手したらクリスと名乗ったあの外人に出会ってしまったかもしれない。
その朋也を追いかけるあたし達はあたし達で危険も多い。
朋也やクリスに襲われる可能性は元より、他の好戦的な参加者にも遭遇しうる。
そもそも朋也に追いつけるとも限らないし、途中で方向転換していたらお手上げだ。
でも、それでも、あたしは、朋也と会って、話がしたい。
逃げて失ったのだから、立ち向かえば何かを得られると考えてしまうのは、楽観的すぎるだろうか?
何時の間にか、地に沈んでいたはずのウェストがあたしの隣に並んでいた。
「ふん、少しはましな顔になったではないか、藤林杏」
「ま、おかげさまでね」
「ま、おかげさまでね」
にやりと笑うウェストにあたしも笑顔で答えれただろうか?
ああ、そうだ。あたしが許されないにしても、朋也にはウェストを襲ったことを謝罪させないと。
ああ、そうだ。あたしが許されないにしても、朋也にはウェストを襲ったことを謝罪させないと。
科学者と少女は行く、暗い暗い森の出口を目指して。
尚、情報を曖昧にしか聞いていなかったことを思い出した杏が、
うっかりウェストの口を開かせてしまった結果、
互いに肉体的・精神的に疲労するはめになったのは、実に些細なことである。
尚、情報を曖昧にしか聞いていなかったことを思い出した杏が、
うっかりウェストの口を開かせてしまった結果、
互いに肉体的・精神的に疲労するはめになったのは、実に些細なことである。
【D-4 深い森 黎明】
【藤林杏@CLANNAD】
【装備】:コルト M1917(5/6)
【所持品】:支給品一式、予備弾30、ランダム支給品0~2(確認済み)
【状態】:右手首に重度の捻挫(ある程度治療済み)掌と膝にひどい擦過傷(応急処置済み)
【思考・行動】
基本:朋也に謝る、ウェストに謝罪させる
1:朋也を探す(多分自分が来た方向=西?)
2:可能ならウェストの手助けをする。
【装備】:コルト M1917(5/6)
【所持品】:支給品一式、予備弾30、ランダム支給品0~2(確認済み)
【状態】:右手首に重度の捻挫(ある程度治療済み)掌と膝にひどい擦過傷(応急処置済み)
【思考・行動】
基本:朋也に謝る、ウェストに謝罪させる
1:朋也を探す(多分自分が来た方向=西?)
2:可能ならウェストの手助けをする。
【備考】
※捻挫はウラジミールのTシャツ@あやかしびと -幻妖異聞録-によりある程度的確に処置されています。
ただ三角巾のような形で固定されているので、右腕はそのままでは使えません。
※空元気交じりですが、冷静さを取り戻しました。
※クリス・ティトゥスを警戒。朋也については複雑な心境
※ウェストとお互いの世界や知り合いについて情報交換しました。
突っ込み連打の甲斐もあり、魔術やロボについても一応納得しました。
※捻挫はウラジミールのTシャツ@あやかしびと -幻妖異聞録-によりある程度的確に処置されています。
ただ三角巾のような形で固定されているので、右腕はそのままでは使えません。
※空元気交じりですが、冷静さを取り戻しました。
※クリス・ティトゥスを警戒。朋也については複雑な心境
※ウェストとお互いの世界や知り合いについて情報交換しました。
突っ込み連打の甲斐もあり、魔術やロボについても一応納得しました。
【ドクター・ウェスト@機神咆哮デモンベイン】
【装備】:秋夫のバット@CLANNAD、フォルテール(リセ)
【所持品】支給品一式 、フカヒレのギター(破損)@つよきす -Mighty Heart-
【思考・行動】
基本方針:我輩の科学力は次元一ィィィィーーーーッ!!!!
1:設備・器具の入手
2:首輪のサンプルが欲しい
3:首輪の解除
4:フォルテールをあらゆる手を使って弾いてみせる
5:とりあえずは杏についていく
【装備】:秋夫のバット@CLANNAD、フォルテール(リセ)
【所持品】支給品一式 、フカヒレのギター(破損)@つよきす -Mighty Heart-
【思考・行動】
基本方針:我輩の科学力は次元一ィィィィーーーーッ!!!!
1:設備・器具の入手
2:首輪のサンプルが欲しい
3:首輪の解除
4:フォルテールをあらゆる手を使って弾いてみせる
5:とりあえずは杏についていく
【備考】
※マスター・テリオンと主催者になんらかの関係があるのではないかと思っています。
※ティトゥス、岡崎朋也、クリスを警戒しています。
※フォルテールをある程度の魔力持ちか魔術師にしか弾けない楽器だと推測しました。
※杏と情報交換しました。参加者は異なる世界から連れてこられたと思い込んでいます。
※マスター・テリオンと主催者になんらかの関係があるのではないかと思っています。
※ティトゥス、岡崎朋也、クリスを警戒しています。
※フォルテールをある程度の魔力持ちか魔術師にしか弾けない楽器だと推測しました。
※杏と情報交換しました。参加者は異なる世界から連れてこられたと思い込んでいます。
040:蒼い鳥に誘われて | 投下順 | 042:World Busters! |
時系列順 | ||
033:Fearing heart | ドクターウェスト | 063:破天荒筋肉!(前編) |
藤林杏 |