「シェリー、気分は大丈夫?」
「うん……」
僕の質問にシェリーは弱々しく頷く。
公園を出てすぐ、僕らは一台の車が入口に止めてあるのを見つけた。期待せずに中を覗いてみれば、僕の予想に反してキーは刺さったままだった。
ここから研究所に行くにはB-4、B-5、A-5とエリアを三つ跨がなければならない。子供のシェリーと運動不足の僕にとっては徒歩で行くには少し遠い距離だ。移動手段が手に入ったのは心強い。
「ありがとう、オタコン。窓を開けてくれたおかげで少し良くなったわ」
よかった、と短く返しながら僕は視線をフロントガラス越しの景色に移す。
シェリーには少し悪いけど、乗り物酔いは我慢して貰わなきゃいけない。放送が迫っている以上呑気に駐車している暇もないからだ。
車を走らせてから十分くらいは経っているけど、今のペースなら放送前には研究所に間に合うだろう。
「オタコン、車運転できるんだね。ちょっと意外」
「はは……僕、そんなに頼りなく見えるかな?」
「うん、かなり」
武器を持たない僕らにとって車というのは唯一の対抗策だ。
逃走手段にもなるし、なにより……いざという時には凶器にもなりうる。僕にその勇気があれば、の話だけど。
そこまで考えたところで僕の心を無力感が包み込んだ。僕らが今武器を持っていないのは自ら手放したからなのに。ほんの少しでも自分が不運だと思ってしまったことに嫌気が差した。
「ごめん」
え? というシェリーの顔は心底不思議そうだった。
当たり前だ。突然謝られても返答に困るだろう。それでも僕は自己満足の謝罪を続けた。
「ダイケンキや桐生のことだけじゃない。君が危ない目に遭っても動けなかった」
移動中、シェリーからラクーンシティの話を聞いた。彼女のことを命懸けで守り抜いたレオンとクレアのことも。
正直、ゲームやアニメの話みたいだと思った。ラクーンシティなんていう街の名前は知らないし、そんな大規模で奇妙な事件が起きていたのなら絶対に僕の耳にも入っているはずだから。
けれどそれを嘘だなんて思わない。そんな狭い視野を持っていたらこの殺し合いを生き残ることなんて出来ないだろうし、なによりもシェリーを信じたかった。
「僕はクレアやレオン、桐生たちみたいに勇敢じゃないから」
もしも僕がクレアたちと同じ立場だったら十中八九野垂れ死んでいただろう。もしかしたらどこかのトラックの荷台にでも閉じこもって外に出ようとしないかもしれない。
ハンドルを握る手に自然と力が篭もる。こんなに小さな子の前なのに、止まらない。本音の吐露が止まらない。
「だから、ごめん。君の同行者がこんなに頼りない大人で……本当にごめん」
──僕では到底真似出来ない。
クレアも、レオンも、桐生も。命を懸けて守るべき存在を守り抜いた。
僕だってそういったことを考えたことはある。映画やアニメを見ていてすぐに逃げない登場人物を見て、僕ならもっと上手く立ち回れるだろうなんて投影していたこともある。
けれど、いざという時にそれを実践できる人間なんてほんの僅かだ。そして僕はそんな〝僅か〟から外れた、大多数の人間なんだ。
もしシェリーと一緒に行動していたのが僕じゃなかったら。
もしクレア達のような勇敢な参加者たちと一緒だったら。
こんなに小さな子にここまで不安を抱えさせるようなことはなかったのに。
「…………」
シェリーは何も言わずに聞いてくれた。
許して欲しいなんて思ってない。僕はただ、話を聞いて欲しかったんだ。ここまで誰にも漏らせなかった弱音を、僕なんかでは抱えきれない責任感を。破裂寸前の風船から空気を抜くみたいに。
「だから、いざという時は僕を見捨てて──」
「やめてよ!」
助手席から響くシェリーの叫びが僕の声を掻き消す。
「生き残ることを諦めないって、さっきそう言ったでしょ!?」
そこまで言われて僕はハッとした。
僕は何を言おうとしていたんだろう。一刻も早く首輪を解析する為にも生き残らなきゃいけないのに。
弱音を吐いている場合じゃない。今はただ、研究所に向かわなきゃ。
「ごめん、シェリー。そうだった、僕は──」
「首輪を調べられるから生き残らなきゃ、って思ってるんでしょ?」
言葉を遮られるのはこれで二度目だ。
シェリーの顔はあまりにも必死で、心なしか涙ぐんでいるように見えた。
「ちがうよ……! 理由がなくちゃ生きちゃいけないの!?」
「……あ、…………」
言葉が出なかった。
僕は自然と自分が生き残ることに理由をつけていた。桐生が守ってくれたのも、シェリーが僕を見捨てなかったのも、僕が首輪を解析する希望だからだと思っていた。
けど、事実はもっと単純だったのかもしれない。そんな損得勘定に囚われていたのは、どうやら僕だけみたいだった。
シェリーが言っているのは綺麗事だ。
残酷だけれど、命には価値がある。実力も頭脳も持たない人間が生き残っていたところで意味がないなんて、そんなことはわかっている。
けど、それでも。
僕が今一番欲しかった言葉は、そんな〝綺麗事〟だった。
「……ありがとう、シェリー。もうこんなこと言わないよ」
「うん……約束ね。一緒に生き残ろう」
まるで憑き物が取れたみたいに心が軽くなるのを感じる。やっぱり、シェリーは僕なんかよりもよっぽど大人だ。
彼女は強い。ラクーンシティの一件で成長したのかもしれないけど、元々強い心を持っていたんだろう。僕も見習わなきゃいかないのかもしれないな。
そう決意を新たにした僕の目に、人影が飛び込んできた。
「……っ!!」
遠目に見てもそれが人間ではないことはわかった。
鳥のような頭を持ち、その両手は翼のように見える。けれど鳥類にしてはあまりにも人間に似たシルエットは奇妙な印象を与えた。
こちらを視認しているにも関わらず避けようとしない。まともな人間なら車を避けようとするはずだ。よほど自分の力に自信があるのか、それとも────
「オタコン!! 前!!」
シェリーも気付いたみたいだ。
けれど僕は素直にブレーキを踏めなかった。僕の中で究極の選択を迫られていたからだ。
もしもこの鳥が殺し合いに乗っていたら?
武器を持っていない僕らが逃げるのは難しい。
選択を誤ったらすなわち死が待っている。けれど僕が今ここでアクセルを踏み込めば、それだけでその危険性を潰せる。
もちろんシェリーはそれを許さないだろう。この鳥も僕らと同じく殺し合いに反対している参加者かもしれないからだ。
けど、万が一そうじゃなかったら。
僕だけじゃない。シェリーの命まで危険に晒すことになる。
可能性が高いとか低いとかじゃない。正解を選ばなきゃいけないわけでもない。絶対に間違えてはいけないんだ。
それなら、僕が今ここで手を汚さないと──!
──オタコンのためなら、誰が死んでもいいってことなんだよね。
ああ、やっぱり。
僕はどうしようもない臆病者だ。
僕は力一杯ブレーキを踏み締めてハンドルを右に切る。
慣性の法則に従って身体がドアに打ち付けられた。急激な減速と旋回のおかげでギリギリで鳥を避けられたようだ。
痛む身体を気にしていられない。ボウガンを構えながら近づいてくる鳥の鋭い瞳が僕の心臓を鷲掴んだ。
◾︎
「キミたちだけかい?」
「ああ、そっちも一人だけかな? それともどこかで待ち合わせしているとか──」
「おっと、余計な質問はしないでくれよ」
結果的に言えば、僕の判断は間違っていた。
ボウガンを突きつける鳥──リーバルというらしい──は真っ直ぐに僕に照準を定めながら値踏みするような視線を向けていた。
いきなり殺してくる輩じゃないだけまだマシか。とはいえ状況はかなり悪い。無駄のない構えから見てあいつが矢を外すことは期待できなさそうだ。
「お、オタコン……」
「……、……」
隣でシェリーが不安そうな声を上げる。
そうだ、この状況を打開できるのは僕しかいない。僕の一言一句にシェリーの命が懸かっている。
いきなり撃ってこない以上リーバルもなにか目的があるはずだ。それを導き出さなきゃいけない。
今度こそ間違えるなよ、ハル・エメリッヒ。
「僕らは武器を持っていない。既に身ぐるみを剥がされた後だからね」
「……それはご愁傷さま。その言葉をすんなり信じる奴ならそう言ったかもね」
やっぱり、リーバルは下手な人間より頭が回る。言葉でイニシアチブを握るのは容易じゃなさそうだ。
鳥頭なんていう言葉は辞書から消すべきなのかもしれない。僕は仕方なく背負っていたザックを彼の前に投げ捨てた。
「……、……なるほど、嘘じゃないみたいだね。そっちのお嬢ちゃんはどうかな?」
シェリーの肩が大きく跳ねる。
僕は危険性がないと判断したんだろう。ボウガンの矛先は小さな少女の額に向けられていた。
「シェリー」
「……うん」
僕はシェリーに支給品を捨てるように促す。
意図を汲み取ってくれた彼女は同じくリーバルの前へ投げ捨てる。リーバルはその中身を確認するために、ザックの中身を覗き込んだ。
その一瞬。
シェリーは傍の小石を拾い上げ、リーバルへと投げつけた。
「っ……!?」
驚愕したのはリーバルだけじゃない、僕もだ。
力のない少女のものとはいえそれを認識している以上気を取られるのは必然だ。リーバルは石を払い除けるように翼を広げる。
その隙にシェリーは小さな身体で走り出した。逃げるためじゃなく、立ち向かうために。
反撃されるなんて思わなかったんだろう。シェリーの体当たりをもろに受けたリーバルが少しだけよろけたのが見えた。
「──オタコン、逃げて!!」
僕は動けなかった。
恐怖じゃない。緊張でもない。
僕の体を縛る原因は、どうしようもない虚しさだった。
僕は、なにをしているんだ?
こんなに小さな子が命を懸けているのに、対して僕はなんだ?
素直に支給品を捨てて、慎重に言葉を選んで、主導権を握らせて──これじゃダイケンキの時となにも変わらないじゃないか。
何が正しいかとか、なにが間違いだとか、そんなもの誰が決めるんだ? 少なくともシェリーは自分がやっている行いが正しいと心から思っているはずだ。
理屈なんかじゃない。シェリーは今、心で僕を逃がそうとしている。
羨ましかった。
僕もあんな風に、責任感も重圧も投げ捨てて飛び込みたかった。
こんなに小さな身体なのに。シェリーの背中は桐生の時と同じ大きさに見えた。直視するには眩し過ぎて──僕は視線を俯かせた。
ハル・エメリッヒ。なぜ君には出来ないんだい?
この人よりも優れた頭が。
感情ではなく理性で動く手足が。
首輪を解析しなければという使命感が。
目の前の少女一人見殺しにするのであれば。
そんなもの────捨ててしまえ。
「ま、待ってくれ!!」
シェリーの拘束を振りほどき、後方へ飛び退くリーバルの前に駆け出す。シェリーと奴の間に挟まるように。
怖くて堪らなかった。リーバルはもうボウガンを構え直して、狙いは真っ直ぐに僕に向けられている。数秒後に僕は殺されるだろう。
後ろでシェリーが僕の名を呼ぶ。……シェリーだって僕と同じくらい、いやそれ以上に怖かったはずなのに。本当に、彼女の強さを思い知らされた。
「ぼ、ぼぼ、僕を殺せ!! その代わりにその子を見逃してくれ!! お願いだ!!」
格好がつかない震え声の懇願。
情けない。きっとこれが桐生やスネークならまるで違った台詞を吐いたはずだ。
けど、これでいい。これが僕の心から絞り出された本音なんだ。僕はもう、僕を恨まないで済む。
悔いがないといえば嘘になるけど。
シェリーを見捨てて生き延びたら、今度こそ僕は立ち直れないから。
僕の命一つで彼女を守る方が正しいと、僕はそう信じている。
◾︎
私は、オタコンを逃がさなきゃって思った。
だって私が生き残るよりも、みんなを助けられる可能性があるオタコンが生き残るべきだと思ったから。
生きることを諦めないって、そう言ったばかりなのに。
今考えてみれば、この時から私は矛盾してた。少し前に自分が言ったことが、頭から抜けていたんだ。
オタコンは逃げてくれると思ってた。
緑色の服の女の人の時だって、私よりも自分の命を優先してくれたから。オタコンは頭がいいから、自分が生き残らなきゃいけないってわかってる。
なのに、
「ぼ、ぼぼ、僕を殺せ!! その代わりにその子を見逃してくれ!! お願いだ!!」
オタコンは逃げなかった。
なんで。私なんかを助けて死んじゃったら意味ないじゃない。
首輪を外せるかもしれないオタコンが死んじゃったら、他のみんなも──クレアだって助からないかもしれないのに。
ちがう。
ラクーンシティで、クレアは私をそんな理由で助けたの?
私に人を助ける力があるからとか、役に立つからとか、そんな理由で守ってくれたの?
ちがう、ちがう、ちがう──!
ただ助けたいと思ったからだ! 人を助けるのに理由なんていらないんだ!
オタコンは、あの時のクレアやレオンと一緒なんだ!
「オタコン……!」
けど、それは私だっておなじだ。
オタコンを助けたい。首輪とかそういうのじゃなくて、オタコンを死なせたくないんだ。
だから動けなかった。逃げなきゃいけないのに、オタコンが身体を張ってくれたのに……無駄にしちゃった。
きっともう逃げても間に合わない。リーバルと目が合ってしまったから。
ごめんね、オタコン。
助けてくれてありがとう──嬉しかった。
「参ったね、降参だよ」
へっ? って、私もオタコンも間抜けな声を出した。
今から私たちを殺すはずのリーバルはボウガンを捨てて、呆れたみたいに首を振っていたから。
◾︎
「さて、到着だね」
放送直前、リーバルは研究所の入口に足をつけた。オタコンとシェリーも共に。
「案内ありがとう、助かったよ」
「お安い御用さ。試すような真似しちゃったからね、そのお詫びだよ」
「もう! 本当にびっくりしたんだからね」
あの一悶着からすぐ、リーバルはことの経緯を語った。そして最初から二人を撃つ気なんてなかったことも。
いや、正しくは違う。オタコンがシェリーを見捨てるような人間だったら撃っていた、と。冗談なのか本気なのか分からないリーバルの言葉にオタコンは肝を冷やした。
結果としてオタコンもシェリーも本気でお互いを助けようと行動していた。まさかこんな人間がいたなんてね──謝罪と共に添えられたその言葉にオタコンは照れ臭さと誇らしさに似た感情を覚えた。
(──あの乗り物で轢かれてやっても、それはそれでいいと思ってたんだけどね)
リーバルは生きるのを諦めていた。
クロノの元から去った後、死に場所を求めてふらふらと向かっていた先はオタコンたちと同じく研究所だった。
マールディアの死。
全ての歯車を狂わせる元となった場所。
なぜそこに向かっていたのかはリーバル自身にもわからない。ただ本能の赴くままに目指していたのがその方向だったというだけだ。
だからこそ、オタコンたちとの邂逅は必然と言える。
互いを生かそうとする二人の姿を見て、リーバルはもう死にたいなんて思わなかった。
(まったく、愚の骨頂だよね)
この英傑リーバルが〝諦める〟?
馬鹿馬鹿しい。ウルノーガたちの思い通りになんてなってたまるか。
一度死んだ身だからこそ思う。醜く足掻きながらも生きる姿の美しさを。生きられなかった人々がどんなに願っても届かないそれの眩さを。
みすみすそれを手放そうだなんて、どうかしていた。
「それにしても……リーバルの言った通りかなり損壊が激しいな。これじゃあ探索に手間取りそうだ」
それに、希望も見えてきた。
オタコンは首輪を解析できる可能性のある人物らしい。この忌々しいゲームに反逆できるのなら、喜んで手を貸そう。
「僕も回る余裕がなかったから詳しい構造まではわからない。放送まで時間もないんだし、適当な場所で待機した方がいいんじゃないかな?」
「そうだね、その方がいい」
G生物との戦いによって研究所の一部は見るも無惨なほどに倒壊していた。リーバルが最後に見た時よりもずっと建物の崩壊が激しいため、あれからどれほどの死闘が繰り広げられたのか想像に難くない。
「第一研究室、第四研究室はもう使えない。となると……」
オタコンが目星をつけたのは第二研究室だ。
第三研究室は入口が瓦礫で塞がっていて入れそうにない。が、戦闘の場から離れており比較的崩壊の少ない第二研究室はなんとか窓から入れそうだ。
ここまで崩壊していては正直無駄足かもしれない、が……共に脱出を志す仲間が出来ただけでも大きな収穫だ。
「よし、大丈夫だ」
まずリーバルが窓から中に入り、周囲を確認してから続けてシェリーがオタコンの手を借りて、最後にオタコン自身が第二研究室に足を踏み入れる。
倒壊による地響きのせいかライトや棚が倒れているものの、物色する価値はありそうだ。
幸いにも中は狭くない。それにどうやら地下に続く階段もあるようだ。パソコン機材の類が見当たらないことから恐らく地下に用意されているのだろう。そうでないと困る。
「シェリー、放送まであとどれくらい?」
「えっと……三分くらい」
リーバルが名簿を広げ、シェリーが地図を広げ、オタコンはいつでもメモを取れる体勢を取る。
放送はただ死者と禁止エリアを確認するためのものじゃない。運営の情報を掴める可能性がある貴重な時間だ。ゆえに一言も聞き逃す訳にはいかない。
それぞれがそれぞれの役割を持ち、全員が耳を澄ます。ノイズ混じりの男の声と共にいよいよその時が訪れた。
『みんなお疲れ、色々と頑張ってるみたいだねぇ。これより
第二回放送をはじめるよ』
◾︎
「シェリー、大丈夫かい?」
「うん、……平気」
放送を終えて直後、オタコンはシェリーへ声を掛ける。言うまでもなく名を呼ばれた父親のことだ。
唯一の肉親が名を呼ばれたことはいたたまれない。けれど当のシェリー本人は予想していたとばかりに頷いてみせた。彼女の境遇を知っている以上、オタコンは追求するような真似はしない。
「…………」
一方で、リーバルは今しがた死者に線を引き終えた名簿をじっと見つめていた。
ゼルダ。
ダルケル。
ベロニカ。
全員、死んでいるのはわかっていた。
ゼルダは自分が手に掛けた。何も驚くことはない。
なのに線を引く瞬間手が止まってしまったのは何故なのか。そんな悩みを霧散させるようにリーバルはオタコンへ声を掛ける。
「そっちはどうだい?」
「ああ、要所要所だけど……纏められたよ」
オタコンが見せつけるメモには夥しいまでの文字が詰められていた。
リーバルは感服と同時に少しオタコンという人物が怖くなる。有り体に言うと、少し引いた。
一通り目を通してみても放送内の言葉はほぼ全て書かれている。それどころか重要そうな単語には赤線が引かれているし、ところどころ注釈や考察も混じっている。
名簿に線を引く自分や禁止エリアにバツをつけるシェリーとは段違いの作業量だ。なるほどたしかに、彼ならば首輪を解析するというのも夢物語じゃないらしい。
「僕はこの研究室と地下を見て回るよ。リーバル、シェリーを頼んでもいいかな?」
「ああ、構わないよ」
ありがとう、と帰すオタコンはリーバルに背を向けて辺りの捜索に移る。
疲労が溜まっていたのか、椅子に座ったままうつらうつらと首を前に傾けるシェリーの姿を見ながらリーバルはぼんやりと物思いに耽る。
(マールの遺体は多分瓦礫の下か……それにしても、カミュ達はどこに行ったんだ? 死んではいないようだけど)
放送にはカミュやハンターの名前は挙げられなかった。彼らの戦力は脱出の上で欠かせないといってもいい。それにあの時別れたレッドの存在も気がかりだ。
あの怪物の名前はわからないが、彼らの名が放送で挙げられていないことから恐らく二人の手によって倒されたのだろう。
オタコンの探索が落ち着いたら探しに行ってもいいかもしれない。が、戦力的にも移動手段的にも自分が赴いた方がいいだろう。
(……ま、そう簡単じゃないけどね)
考えられるのは美術館の方角か?
とすると、どうやら見事にすれ違ってしまったらしい。その方角にはクロノがいる。もし再会した時は今度こそ戦いは避けられないだろう。
オタコンたちを研究所に残してカミュたちを探しに行くか、それともここに留まるべきか。
ベロニカやマールの時のような間違いはもう犯せない。プライドか、また別のものか。リーバルは慎重に思考を巡らせた。
【A-5/研究所 第二研究室/一日目 日中】
【ハル・エメリッヒ@METAL GEAR SOLID 2】
[状態]:疲労(中)
[装備]:忍びシリーズ一式@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
[道具]:基本支給品、765インカム@THE IDOLM@STER、第二回放送内容が書かれたメモ
[思考・状況]
基本行動方針:首輪を外すために行動する。
1.研究所内を調べる。
2.武器や戦える人材が欲しい。候補はスネークやクレア、カミュやハンター。
3.生きなくてはならない。
※本編終了後からの参戦です。
※シェリー、リーバルからおおまかな情報を得ました。
※カミュ、ハンター、レッドが信頼出来る人物だと認識しました。
※クロノを危険人物と認識しました。
【シェリー・バーキン@BIOHAZARD 2】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:生き残ることをあきらめない。
1.オタコンとリーバルについていく。
2.カズマ……レオン……。
3.クレアに会いたい。
※本編終了後からの参戦です
※オタコン、リーバルからおおまかな情報を得ました。
【リーバル@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】
[状態]:健康、様々な感情
[装備]:アイアンボウガン@クロノ・トリガー
[道具]:基本支給品、召喚マテリア・イフリート@FINAL FANTASY Ⅶ、木の矢×2、炎の矢×7@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
[思考・状況]
基本行動方針:運営の思い通りにならない。
1.オタコンが研究所を調べるのを待つ。
2.カミュ達はどうするか……。
3.クロノのことが気がかり。
※リンクが神獣ヴァ・メドーに挑む前の参戦です。
※オタコン、シェリーからおおまかな情報を得ました。
※トウヤ、A2、(名前は知らない)を危険人物と認識しました。
※A-5、研究所の入口に【ダブスタ6×6@Grand Theft Auto V】が乗り捨てられています。
【ダブスタ6×6@Grand Theft Auto V】
モデルは2014年にAMGから富裕層向けに限定販売された「メルセデス・ベンツ G63 AMG 6x6」。
車体が延長され6輪になり、リフトアップも施される等、徹底的にオフロード向けのカスタムが施されている。
更に荷台スペースが設けられ、乗車定員は2人増えて6人に増加。
車体が延長されたことで重量級の車体となっているが、エンジンパワーのおかげでベースとなったダブスタとあまり変わらない走行性能を誇る。
最終更新:2024年10月16日 23:02