(殺し合い……!?どうして………?)

私は辺りを見渡した。
それがすぐに知らない森であることが分かる。


ガルディア城の周りにある森ではない。全く見たことのない世界だ。


(まだ私が冒険したことがない世界があるなんてね……。)
城を脱出し、ペンダントの力で中世に飛ばされてから、未知の体験ばかりだ。
今更こんなことが起こったくらいで驚いたりはしない、と言いたいが、やはり未知の世界への不安は募る。

そして、恐怖を覚えたのは、自分をこの世界に呼んだ、あの二人。

ウルノーガという怪物からは言わずもがな。
マナという少女からも、ラヴォスの力の虜になったジール女王のような禍々しさを感じた。

そして、それ以上に私が気がかりになったことは、もう一つあった。
会場で後姿を見た、燃えるような赤色のくせっ毛の青年。

共に冒険をし、やがて恋心を抱き始めたクロノ。
自分が時間の改編で消えてしまった時のように、また彼が救い出してくれるだろう。

問題は、彼が今どこにいるか分からないこと。
自分も伊達に敵と戦ってきたわけではない。
敵はクロノが倒してくれるにしろ、それまで自分の身は守らないといけない。

海底神殿の最深部で経験した時のような、圧倒的な力を前にして何も出来ないままクロノを失うのは嫌だ。


まずはこの森を脱出した方がいいだろう。
見通しの悪い森の中じゃ、いつだれが襲ってくるか分からない。

クロノを、そして安全な場所を探しに。


「おやおやお嬢さん。そんなに急いでどこへ行くんだい?」

ふと背の高い木の上から声が聞こえてきた。

上を向くとそこから、人間とは大きくかけ離れた姿の男が、螺旋を描いて私の所へ降りてきた。

「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。」
私は何も言葉にしていないが、表情は隠せなかったようだ。

「そ、そりゃー上から知らない人がびゅーんって降りてきたらびっくりするわよ!!」

よく見ると男は両手が翼のようになっており、口はまんま嘴だ。
恐竜人、というのは見たことがあるが、「鳥人」というものなのだろうか。

「そりゃあ失礼した。まあ人間には出来ない動きだからね。」

鳥人は『失礼した』とは言っているが、明らかに失礼だとは思っていないだろう。


「……で、さっきから色々言ってるけど、アンタはこの戦いに乗るつもり?」
「『戦いに乗るつもりか?』だって?これは笑い種だ!」

私が核心を突いた質問をするや否や、突然鳥人は笑い始めた。

「ハッハッハ、笑わせるなあ!!こんな茶番に乗るかって!?何かのジョーダンだろ!?笑っちゃうね!!
僕としてはあんな小物の命令に従うなんて、論外もいい所なんだよ!!」

とりあえず鳥人がゲームに乗っていないことは分かったが、それ以上に驚いたことがある。
私達に恐怖を植え付けてきたあの二体の怪物を、いとも簡単に「小物」と言ってのけるとは。

「どうして……あの怪物をそう簡単に小物呼ばわりできるの?」
「お嬢ちゃん。ちょっとはアタマを使って考えてみなよ。こんな悪趣味な催し、考えるだけで最早小物以外の何者でもないさ。
それに、自分の力を見せるために参加者を殺すってのも頭が足りない証拠だね。
一人死んだら、単純に一人分殺人が起こる可能性が下がるじゃないか。」

ほっとすると、大げさな振る舞いでまくしたてる鳥人の態度に少し苛立った。

「でも、私たちはあいつに手も足も出なかったのよ!!」

相手が小物でも、私たちはこうして囚われの首輪を着けられている。

たが、鳥人はヤレヤレといった表情で、ザックから私が見たこともある弓矢を取り出した。
鳥人は弓使いなのだろうか。
私も剣や銃より、弓矢の方が得意ではあるが、たぶん譲ってくれないだろう。

「え!?」

鳥人は矢を弓にとりつけ、目にも止まらず速さで私にめがけて三発打った。

「!!」
撃たれた……と思う。
しかし私は、傷一つ付いていなかった。


「おいおい、お嬢ちゃんに狙ったと思っているのかい?さっきの話聞いていた?後ろを見てみなよ。」

よく見ると、私から離れた位置に、弓矢が刺さったリンゴが3つ転がっていた。

大方近くに生えている樹から落ちたものだろう。

「これが僕の実力さ。姫様を守るリト族の英傑、リーバルの実力にかかれば、あんな奴等、簡単に打ち抜くことが出来るんだよ。
不覚を取ったのは、最初弓矢がなかったからさ。」


「すごいわね……。」
自分も弓矢に心得があるとは思っていたが、どうみてもこの鳥人、リーバルの方が上だ。

「でも、それまでにやらなきゃいけないことがある。」
「この首輪のこと……とか?」

いくらリーバルが弓使いだと言えども、弓を弾く前に首輪を爆破されればおしまいだろう。

「それもあるけどね。まずは僕のお気に入りの弓を探す。それが重要さ。
こんなポンコツじゃない。一度に3発打つことが出来る、凄いヤツさ。
協力してくれるよね?」

リーバルはただのビッグマウスではないことは分かった。恐らくその弓矢も、ヴィーナスやワルキューレばりの力を発揮してくれるのだろう。

「分かったわ。私も、回復と氷の呪文には自信があるの。」


弓矢ではかなわないが、一応自分の強みはアピールしておく。
「へえ……回復の魔法ってミファーみたいな術だな。まあ足手纏いになれば置いていくつもりだったから、何か出来るようで一安心だよ。」

自分は仮にも未来を救った人間なのに、足手纏いと見られていたのはなんとも癪な話だ。それはそうとして、私が話を聞く側ってのはどうなのだろうか。

前の冒険では、クロノをはじめ男性陣が無口な人が多かったし、ここまでお喋りな男性もあまり見なかったかも。

そう思っていた瞬間、またリーバルが声をかけてきた。

「ところでお嬢ちゃん、何を支給されてたの?
僕はこの弓矢に、マテリア……とかいう訳の分からない宝玉だったんだ。」

「あっ、忘れていたわ。でも私はお嬢ちゃんじゃなくて、マールディアよ!!」
「へえ、覚えにくい名前だね……。まあ敵がやってこないうちに、確認しときなよ。」

私は言われるがまま、ザックをひっくり返す。

中身を見た。
空気が凍る。
天空を厚い雲が覆っていた古代の地表よりも冷たく。
支給品に対し、ツッコミたくなる。
いや、これはツッコミを入れる支給品なのだが。

ザックからは、大きなハリセンが一つ出てきた。

【A-6/女神の城北の森 /一日目 深夜】
【リーバル@ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】
[状態]:健康
[装備]:アイアンボウガン@クロノトリガー
[道具]:基本支給品 召喚マテリア・イフリート@FF7 木の矢×10 炎の矢×10@ブレスオブザワイルド
[思考・状況]
基本行動方針:オオワシの弓@ブレスオブザワイルドを探す。
1.マールと共に、弓の持ち主を探す
2.首輪を外せる者を探す。
3.ゼルダやリンク、他の英傑も参加しているかどうか知りたい。

※神獣ヴァ・メドーに挑む前の参戦です。

【マールディア@クロノトリガー】
[状態]:健康 困惑
[装備]:ハリセン @現実  リンゴ×3@ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いの破壊。
1.リーバルと共に行動する。
2.クロノを探す
3.何で私の支給品がハリセンなのよ!!


※ED No.01 "時の向こうへ"後からの参戦です。



【アイアンボウガン@クロノトリガー】
リーバルに支給された弓。原作ではマールの2番目の武器。あまり強くはない。


【召喚マテリア イフリート(マテリアレベル1)@FF7】
リーバルに支給されたマテリア
魔力をこれに注ぐと、炎の魔人イフリートが召喚できる。
昆作品では一度使うと、次使うまで一定時間の制限がかかる。


【炎の矢@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
リーバルに支給された矢。木の矢とセット。炎の力を込めた矢で、燭台や焚火に火をつけることも可能である。また、氷属性の魔物に絶大な威力を持つ。

【オオワシの弓@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
英傑リーバルが原作で愛用していた弓。一本の矢で3発一度に打つことが出来るというスグレモノ。(リーバルだけ英傑武器が優遇されてるとか言っちゃいけない。)
この戦いで誰に支給されているか、どこにあるかは不明。

【リンゴ@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
リーバルが弓矢で撃ち落したこの世界の木に生えていたリンゴ。
読者諸兄も知っているであろう、赤くて丸くて甘酸っぱい果物。そのまま食べても申し訳程度に体力が回復するが、料理すると回復力が上がる。

【ハリセン@現実】
マールに支給された、大きなハリセン。他のパロロワシリーズでも見られる、典型的なハズレ支給品。
殺傷力は皆無だが、良い音が鳴る。

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最終更新:2019年08月04日 16:57