ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―

ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―

収録作品:天穂のサクナヒメ[NS/PS4/PC]
作曲者:大嶋啓之
唄:朝倉さや
詩:不明(こいち、大嶋啓之

概要


「百姓仕事とは喜びに辿り着くまでが、長く、険しい物。
話し込むとついつい不平を口にし、気が滅入ってしまう。

そこで先人達は唄う事にしたのですな」


本作のエンディング曲にしてメインテーマ。
作中ではオーケストラ版であるこの曲の他、アカペラ版の「ヤナト田植唄」と田楽版の「ヤナト田植唄・祭 ―まつり―」の合計三曲が存在する。
ローンチトレーラーにおいて曲の一部が初めて公開された。
古来より歌い継がれる民謡の趣を持った曲調と、朝倉氏の澄んだ力強い歌声が郷愁を感じさせる曲である。
朝倉氏の収録の際、大嶋氏は一瞬で耳を惹きつけられて鳥肌が立ち、なる氏とこいち氏も圧倒されてほとんど何も言えなかったと回想している。
スタッフロールやサントラでのクレジットにおいて、歌詞は「不明」となっているが、「天穂のサクナヒメ アートワークス」によると、作詞はこいち氏が手がけたということが語られている。
制作当時に風邪を引いていたこともあり、寝ても覚めても民謡のことが頭から離れなかったとか。
「不明」扱いとしているのは、民謡の歌詞集やYouTubeから選曲した200曲程の田植え歌から少しずつエッセンスを抽出し、ストーリーのテーマとすり合わせながら決めていったからだそうだ。
また、サントラのブックレットによると、作曲の大嶋氏も一部の言葉尻の修正を提案するような形で作詞にも関わっている。
歌詞のほうも農民の人生賛歌と神への奉納歌となっており、正しく稲作ゲームである本作と豊穣神である主人公サクナヒメのための曲であると言える。
またゲーム全体を通して多くの曲の中に、この曲の各旋律が織り込まれている。
なお田植え歌が一種類で共通していることについては、こいち氏によると戦国の世で争い合っても田植唄だけは共通だったりしたら大変エモいと考えたからだそうで、白川郷で聞いた田植唄が宮崎県でも歌われてるのを知ったのがきっかけだそうだ。

作曲者である大嶋氏のサイトにおいてこの曲の解説が行われたが、それによると発売の五年前に作曲を引き受けた段階で田植唄をメインテーマとすることが決まっており、この曲が一番最初に作った曲とのことである。
曲構成は七・七・七・五の定型詩の前半部分を第一主題(=農民の人生賛歌)、後半部分をサビにあたる第二主題(=神への奉納歌)としている。
なお田植唄に民謡の要素を加えることで、メロディが単調なものにならないようにしたそうだが、この時栃木県出身の大嶋氏が最初に思い浮かんだのが「日光和楽踊り」だそうで、出だしの3音が共通しているとのこと。
大嶋氏が以前「Ninja Action Team」にてBMS制作活動を展開していた際に発表した曲の一つである「Born」もまた「日光和楽踊り」をベースとしており、NAT時代の経験が少なからず影響を与えているものと思われる。

ゲーム序盤、峠の麓に開墾した田に全員一丸となって田植えを行う場面において歌われたのが「ヤナト田植唄」であるが、この時歌われるのは前半の第一主題(=農民の人生賛歌)のみであり、この時点では後半の第二主題を知ることができない。
ところが、他の曲には第一主題だけではなく第二主題も旋律として組み込まれている。第二主題のみで構成された「縁 ―えにし―」が特に分かりやすい。

ゲーム終盤、サクナが最終決戦の地に向かうにあたって、仲間全員がサクナを称え勇気付けるために披露するのが「ヤナト田植唄・祭 ―まつり―」である。
「田楽で使える楽器」で構成するよう要請があったとのことで、びんざさら・鳴子等の珍しい楽器も使用しているそうだ。
これらの楽器は打ち込みで作曲する上で音源がないため近い音色を探して代用したそうだが、その際旅行で立ち寄った浜松市楽器博物館の展示品と映像が大変参考になったことを明かしている。
ここで後半の第二主題(=神への奉納歌)も歌われて曲の全貌が明かされたとき労働歌から豊穣神を称える歌に変わり、そしてプレイヤーは「あのメロディも田植唄の一部だったんだ!」と気づくことになり、「生活のすべてが田植えに直結している」というこのゲームの本質を曲で感じることができるのである。

そしてエンディング曲である「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」の曲構成であるが、歌詞と共にストーリー仕立てとなっている。
前奏のストリングスの後、ギターと太鼓が加わり最初の第一主題に入るが、最初は希望が見えない中で苦労して田植えをするということからマイナーコードで描いている。
徐々に希望が見えてきたところでメジャーコードに移り、収穫を祝う祭りの太鼓と笛が鳴り響くところが間奏となる。
次は明るいリズムを引き継ぎ、身重の嫁(妊娠した妻)に圧倒されたり産まれたやや(子供)の可愛さにメロメロになりながら農作業に精を出す微笑ましい様子が描かれ、
最後の第二主題では死して天に昇った自分が子孫の繁栄や豊作を神様とともに見下ろすという、壮大な物語となっている。
なお二番の第一主題が省略されているが、エンディングの展開は曲にしっかり合わせており、省略したことによる第二主題の畳み掛けはより印象に残るものとなっている。

なおラストダンジョンの「樹 ―いつき―」とラストバトルの「龍 ―みずち―」の二曲は、田植唄のフレーズを特に前面に押し出したものとなっており、最終局面の展開を徹底的に盛り上げてくれる。
この怒涛の展開の末にラストバトルを制し、エンディングで「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」が流れるまでの一連の流れは、胸に込み上げて来るものがあるだろう。
ここまでの大和魂を揺さぶるほどの作品と曲が、インディーゲームとして世に出た事実は、快挙と言う他ない。




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歌詞

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植えよ根付けよ

根付きの悪さぁヨー (ホイホイ)
心根弱さヨー (ホイセ)
泥に足沈め (ホイホイ)
腰を折る (ヨッホイセー)

苗の細さぁヨー (ホイホイ)
吾が身細さぁヨー (ホイセ)
空き腹で願う (ホイホイ)
黄金原 (ヨッホイセー)


(田楽版のみ)
おいでなされ田の神さんよ
蛙も唄い呼ぶ
稔りゃたんとお返し申す
まばゆい米と酒



植えよ根付けよ

茎の伸びるはぁヨー (ホイホイ)
侘びし意気地だぁヨー (ホイセ)
畔にはもたれず (ホイホイ)
日を受ける (ヨッホイセー)

稲葉青さぁヨー (ホイホイ)
水の青さぁヨー (ホイセ)
流れ者の田にも (ホイホイ)
花は咲く (ヨッホイセー)


(田楽版のみ)
ありがとう田の神さんよ
今年は万作じゃ
明年もそのまた明年も
宝の米よ成れ



植えよ根付けよ

照る日の強さぁヨー (ホイホイ)
嫁ゴの強さぁヨー (ホイセ)
身重ながらに (ホイホイ)
昼間持ち (ヨッホイセー)

芽のいとしさぁヨー (ホイホイ)
ややのいとしさぁヨー (ホイセ)
おこした土には (ホイホイ)
霊宿る (ヨッホイセー)


(田楽版のみ)
おいでなされ田の神さんよ
共に見降ろしとくれ
四方に広がる金色を
これぞ吾らが誉

ありがとう田の神さんよ
この歌と舞奉る
たゆたえどいつか根を下ろし
神も人も栄えよ
永久に

サウンドトラック

ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―(天穂のサクナヒメ主題歌)


天穂のサクナヒメ オリジナルサウンドトラック(2LP)


天穂のサクナヒメ オリジナルサウンドトラック


天穂のサクナヒメ デジタルサウンドトラック

Life Song


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最終更新:2025年04月26日 10:15