無題(英: untitled)は、題名(タイトル)が作者によって設定されていない作品に対し、作者もしくは第三者によって便宜的に呼称される時に用いられる名詞。もしくは、作者によって付けられた「題名の一種」。基本的には便宜上のものだが、無題を題名とする場合もある。現代アートなどの抽象的なテーマの作品につけられる例が一般的には多い。
現代4コマにおいては、主にTwitter上の現代4コマ投稿プラットフォーム「現代4コマ」アカウント(@gendai4koma)への投稿でみられる例が著名。
概要
作品として発表されるものにはその作品を言語上で発音するための「題名(タイトル)」があると基本的に便利であり、損がないので、多くの表現者は表現作品に対してこれを設定する。例えばこのサイトは「現代4コマwiki」であるとのタイトルが設定されており、外部でこのサイトを指し示す際にはこのタイトルを述べる。
タイトルがあると、その作品を区別できるのと、作者の「意図」を作品の外側で伝えるズルができて便利なのである。いわば、題名までが作品なのであり、作品における題名とは遠足における帰宅なのだ。従来の4コマ漫画でも最初・枠外には題名を付けるのが一般的であるし、現代4コマでも「何を表しているのか」「どのように受け取って欲しいのか」といった「問いかけ」が基本的な手法であるので、便宜的な題名をつけるのは、常識レベルの通例である。
しかし、それを「付けない」という選択肢を選ぶことも現実では可能である。付けられなかった作品は、作者名や日付などといった情報とともに、タイトルのない「無題」という便宜的な概念で呼称されるようになる。なお、無題であったとしても第三者によって何らかの「通称」が付いて、作者の意図されない「タイトル」が存在するような状況になることもなくはない。本当は無題という言葉すらもない方が良い、と思っている作者もいるだろう。
現代4コマには「コマの中に内容物がない」状態にコンテキストを付与して出すことにより問いかけをし、異なるイメージを想起させる作品がある。これは現代音楽でいうところの『4分33秒』のように、作品内に「描写されていない」空白での情報を鑑賞者に観察させるが、無題という形質はこれと同様、あえて「描写しない」ことによって鑑賞者に問いかけを行い、能動的な鑑賞体験を喚起させるという側面において、現代4コマの有する形質の一つに共通しており、相性がよいといえる。
作品がわかりやすかったりシンプルで、そもそもタイトルがなくてもストレートに伝わることからタイトルが無くとも問題がない、というミニマリズム的理由によって無題が選ばれる場合もある。
作品がわかりやすかったりシンプルで、そもそもタイトルがなくてもストレートに伝わることからタイトルが無くとも問題がない、というミニマリズム的理由によって無題が選ばれる場合もある。
無題というタイトルである場合もある。Twitter上の現代4コマ投稿プラットフォーム「現代4コマ」アカウント(@gendai4koma)では、投稿フォームに何も記入しない場合は「無題」、フォームに「無題」と記載した場合は「『無題』」と二重鉤括弧付きで投稿となっている。一般的な社会での用例では、「(無題)」というように丸括弧を付けて区別したりする例も多々見られる。
効果
イメージが固定化されない
Wikipedia日本語版での「無題」記事(2024年1月17日13:36JST版)に、2008年の初版編集者による次のような個人研究の記述がある。
タイトルをつけることで作品のイメージを固定化せずに、受け手側の想像力に委ねることを望む場合につけられることが多い
作品の存在自体が何か抽象的な感覚や観念を鑑賞者に与えるような作品の場合において、無題とすることによって鑑賞者に余計な先入観を与えずに体験させようと試みることが可能。
なんかかっこいい
有名な現代アート作家にも無題を好んで用いる作家は多い。気軽に気取ることができるので、ファッション目的で無題とするのも良いアイデアといえる。
考える面倒がない
どんなタイトルがこの作品には相応しいんだろう?どんなタイトルならバズれるんだろう?そんなふうに、タイトルを考える時間は非常に面倒なものである。悩んで送るのが渋られるくらいなら、いっそのこと思考するのを放棄して、とりあえず鑑賞者に向けて投げつけ、さっさとぶちまける。鉄は熱いうちに打てといい、作品の旬が過ぎるよりはずっと良いのである。
先述のWikipedia日本語版記事には各コンピュータソフトウェアでの「タイトルを未設定状態で保存した場合のファイル名」についても無題の一例であるとの紹介などがみられているが、とにかく何かを作ったその時点で、それにタイトルを付けずとも、実体を得た時点で一つの作品なのである。作者本人が構わない以上は、考える必要などは全くない。
主な作品・作家
無例