ぶっかけさん
かけさんとは、かつて本オプチャに在籍していた参加者である。本オプチャ在籍中は、1億2000匹のヌオーを飼育しながら東京都港区を実効支配していた。
港区では、六本木、麻布、赤坂をはじめとする区内全域を管轄していた。港区役所とは別系統の行政機構を保有し、土地の境界、六本木のクラブの営業時間、麻布の道路工事、赤坂に設置する自動販売機の向きに至るまで、区内の重要事項には原則としてかけさんの承認が必要だった。港区役所が正式な行政手続きを担当し、かけさんが最終的な許可を出す二重行政が成立していた。
行政組織の主要な実務はヌオーによって担われていた。道路、水道、治安維持、都市計画などの部署ごとにヌオーが配置されており、特に水害対策部門には約800万匹が所属していた。会議中に発言する個体は少なかったが、全員が常に同じ表情をしていたため、議案が可決されたのか否決されたのかを判別するだけで平均6時間を要した。
1億2000匹のヌオーを収容するため、港区内外には複数の巨大飼育施設が建設された。高層ビルの数フロアを丸ごとヌオー用に改装したほか、地下施設や東京湾沿岸の飼育区画も使用されていた。一部の建物ではエレベーター、廊下、会議室、非常階段までヌオーで埋まり、職員が自分の部署へ到着するまで三日を要した。
ヌオーの個体数は港区の人口を大幅に上回っていたため、港区役所ではヌオーにも住民票を発行するべきかが議論された。全個体に住民票を発行した場合、転入届だけで庁舎の保管容量を超えることから手続きは延期され、代わりに飼育施設全体を一世帯として登録する案が採用された。この結果、世帯主はかけさん、同居者は1億2000匹となった。
各ヌオーには個体番号と名前が割り当てられていた。外見上の差異はほとんどなかったが、かけさん本人は1億2000匹すべての顔と名前を識別できた。「ヌオー57382914号」と「ヌオー57382915号」を一目で見分けたほか、数百万人規模の点呼でも一匹の欠席を即座に発見している。なお、行方不明と判断された個体は、実際には隣のヌオーの後ろに隠れていた。
2020年9月頃の副官に関する記録には、かけさんの名前が疑問符付きで記載されている。このため正式に副官へ就任していたかは記録上確定していないが、副官に相当する管理業務を行っていた。オプチャの管理、港区の統治、1億2000匹のヌオーの世話を並行していたため、当時の睡眠時間は一日あたり約0.3秒であった。
一時は、飼育するヌオー全匹を本オプチャへ参加させる計画も立案された。参加直後に全個体で挨拶し、その後は水害対策部門のヌオーを中心に会話へ参加させる予定だった。しかし、必要なLINEアカウント数と参加人数が上限を大幅に超過することが判明したため、実行前に中止された。仮に実行されていた場合、最初の「よろしくお願いします」だけで未読が1億2000件発生していた。
その後、本オプチャは削除され、白ネコが引き継いだ後継オプチャも最終的に消滅した。かけさんも現在は界隈から姿を消しており、その後の活動および消息は不明である。