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〇〇「本多くん、最近、風真くんとよく話してるね?」
本多「そそ!リョウくんちって、骨董品やアンティークを多く扱ってるでしょ?オレが知らない専門知識だったり、色んな技術や技法を知ってるんだ。」
本多「もっと訊きたいくらいなんだけど、ウンチクを披露するのが仕事じゃないって、あんまり話してくれないんだよね。」
〇〇「話すのが嫌いなのかな?」
本多「そうじゃないとは思うよ?聞けばちゃんと答えてくれるし、ヤな顔はしないんだ。ただ、一歩引いてるっていうのかな?
本多「そーいうトコ、オレと違うんだよね。オレだったら興味をもってくれる相手なら、積極的に話しちゃうなー。」
〇〇「ふふっ。」
本多「そそ。そうやって君が反応してくれると尚更ね!リョウくんのこと、少しは見習おうと思うんだけど、やっぱオレにはムリかなー?」
〇〇(本多くん、風真くんのこと慕ってるんだな……!)
○○「本多くん、最近、七ツ森くんとよく話してるね?」
本多「そだねー。話してるのはほとんどオレだけど。ミーくんってさ、たまに誰も知らないようなブランドのアイテム見つけてくるんだよね。」
本多「でね、そんなのどこで見つけてくるの?って尋ねるんだけどーーいつも渋い顔される。学校で話しかけた時なんかは、特に。」
○○「そうなんだ?」
本多「うん、でもね、面倒くさそうにしてたわりには最後までオレの話に付き合ってくれるんだ。」
本多「オレはどんなトコも含めて、ウマが合うと思ってるよ。」
○○(ふふ、いつか七ツ森くんにも訊いてみよう)
〇〇「最近、本多くんの周りすごくにぎやかだよね。」
本多「うんうん、確かにそうかも!オレ、中学生の頃は、ひとりで図書室にこもってたからさ。」
〇〇「そっか……」
本多「母さんからはよく、知識だけじゃなくて、もっと実体験を大事にしなさいって言われたよ。」
本多「そーいう意味でも、オレにとってリョウくんやミーくんと一緒にいることはすごく大事。当たり前のことだけど、同じものを見ても二人ともまったく違う見方をする。」
本多「その結果、自分が気づかなかったことを、二人の目を通して知ることができる――」
本多「それってすっごくワクワクしてこない?オレはする!」
〇〇(本多くん、楽しそう!ホントに充実してるんだな……)
〇〇「最近、風真くんと七ツ森くんとよく一緒にいるけど、どんな話してるの?」
本多「うーん、どんな話してたかな。一般的に、男友だちが集まると 好きな女の子のタイプとか服装とか、そーいう話をすることが多いのかな?もっとも、オレたちはそーいう話しないけど。」
〇〇「そうなんだ?ますます気になる……」
本多「話してるのはほとんどオレかな?リョウくんは時々ツッコんでくれるんだけど、ミーくんは興味なさそうにしてる。」
本多「でも、二人ともどんだけつまんなそうなカオしててもちゃんと返事はしてくれるんだよ。」
〇〇「ふふっ、思い浮かぶかも?」
本多「そそ!思い出した。三人とも、君のことはよく話すね。」
〇〇「えっ!」
本多「あー、そっか……だから、オレたちが集まっても好きなタイプについて話すことがないのか。」
〇〇(……んん?)
〇〇「最近、風真くん、七ツ森くんとわたしたち、4人でいることが増えたよね。」
本多「一緒にいると楽しいからね。」
〇〇「男子の中でわたしだけ……周りから見ると、やっぱりおかしいのかな?」
本多「急にどしたの?誰かがおかしいなんて言ったの?」
〇〇「あ、ううん。そういうわけじゃないんだけど……」
本多「うーん、そーだね。君はオレたちの中ではハブ的な存在なんだよ。ハブって言ってもヘビじゃなくて、ほら、ハブ空港とか言うでしょ?複数の拠点を結ぶ結節点としての役割。それがハブ。」
本多「リョウくんやミーくん、それにオレってさ、趣味や考え方も違って、普通だったらあまり接点がないんだ。なのに、君という存在が間にいることで、違和感なく一緒にいられる。」
本多「あくまでもオレの考えだから、二人に訊いたら、ぜんぜん違う!って言われるかもしれないけど。ただ、二人もオレと同じく、君を不可欠な存在だと思ってる。これは確実!」
本多「これで不安な気持ちは吹き飛んだ?」
〇〇(やさしいな……本多くん、ありがとう)
〇〇「最近、風真くん、七ツ森くんとわたしたち、4人でいるのが普通になってきたね。」
本多「言われてみれば!全然、意識してなかった。それくらい自然になったってことかな。」
〇〇「今みたいな関係って、卒業したらもう終わりなのかな?」
本多「リョウくんは骨董店を継ぐのかな……?ミーくんはどうだろう……?」
〇〇「本多くんは……?」
本多「うーん、正直まだわかんない。興味あることがありすぎて、1つに絞れないんだよ。」
〇〇「じゃ、やっぱり卒業したら……」
本多「そこまで心配することないと思うけどな。仮に物理的な距離が遠くなったとしても、肝心なのは、心や気持ちの距離じゃない?」
本多「だから、形が変わることはあってもオレたちの関係が終わることはないと思うよ。オレ、そーいうとこは楽観的なんだ。それとも……君は終わらせたいの?」
〇〇「まさか!」
本多「なら、仮定の話をするより今を充実させることの方が良くない?オレ、その方が絶対に楽しいと思う!」
〇〇(うん、本多くんの言う通りだよね!)
〇〇(あれ?どうしたんだろう、わたし。すごくドキドキして……)
本多「どしたの?」
〇〇「急にドキドキしてきて……」
本多「よく見たら顔も赤いし、もしかして体調悪い?」
〇〇「えっ。」
本多「大変だ!ますます顔が赤くなってる!熱あるんじゃない?」
〇〇「ま、待って!その……あんまり見ないで欲しいかも?」
本多「ええっ、オレのせい……?何かした?体調が悪そうだったから、様子見てただけなんだけど。」
〇〇「……たぶん、それかな。」
本多「どれ?」
〇〇「その……見つめ合っちゃうから……」
本多「なんだ、そゆこと?びっくりし――」
本多「……あれ?なんだろ?オレまでドキドキしてきちゃったよ。これ……待って、ちょっと深呼吸!」
〇〇(本多くんにドキドキがうつっちゃった……)
〇〇「…………」
本多「ん?オレの顔に何かついてる?」
〇〇「あっ、ごめん。ついじっと見ちゃった。」
本多「なんだ。そーいうことならいくらでもどうぞ?」
〇〇「ふふっ、うん。」
本多「まだ何かある?」
〇〇「本多くんの髪、サラサラしてきれいだなって。」
本多「そ?父さんの抜け毛対策のためにいろいろ調べて、実践してみたからね。髪にいいっていう豚毛のブラシに、シャンプーもいろんなブランドのを試したな。」
本多「そそ!髪を乾かす前に油を塗ると傷まないし、艶が出るって聞いて、椿油からオリーブ油まで塗ってみた!」
〇〇「へえ、すごい!」
本多「オレの髪、触ってみる?君なら特別にオッケー!」
〇〇(触ってみたいけど、いいのかな。なんかドキドキしてきた……)
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