抜け落ちるような残暑の空は未だ天高く、膨らんだ雲が足早に駆けていく。
水分を引き絞るような九月の陽光は過ぎていく夏を惜しむようで、この地上に形見を残さんと影を強く焼き付けんが如く降り注ぐ。
熱気の風。海の臭いを孕み、木の香りを貯え――グラウンドのフェンスネットを僅かに震えさせて散る。
そこにあっても揺るがぬ影。不気味な沈黙の漆黒。
黒い鳥。
すべてを焼き尽くさんとする悪夢か。はたまた空間に存在する空白的異物か。
嘴の先から尾の際まで余すところなく漆黒の鳥が、首を動かして不気味に眼下を眺め尽くす。
死か、生か。
破滅か、確立か。
冷たい眠りか、灼熱の生存証明か。
ただ、彼は見やる。彼は待ち望む。
翼を持たぬ憐れな人間たちを。地べたを這い回り、慟哭の叫びと哀惜の嘆きに塗れた人間たちを。
鳴き声、一つ。
死を告げる黒い鳥が、羽ばたいた。
膨らみ羽ばたいた影が、舗装路に黒を落とす。
その真下には懸命に声を上げる少女。対する屋内には冷たく小銃を構える少女。
鳴き声、一つ。
彼はただ、その時を待ち望む。
◇ ◆ ◇
裏道に入れば簡単に未舗装路に行き当たり、若干できた勾配はすぐ目の前の家の屋根上さえ覗ける。
ビニールハウスに砂土。
頼りない作りの家屋は道から離れ、辺りを膝丈ほどの草が覆う。
繁みの中に孤立する家は、どこか怪談や都市伝説めいて寂しげに立つ。住人がいないのだから、無理もないのか。
肌を擦る草葉が弾けた。次々に過ぎていく、小路を整える杭。古城めいて蔦を巻き付けたフェンス。
林道に横たわった小枝が砕ける。
一歩ごとに散る枯草。
横たわった倒木と木々の群れに視界を制限されながらも、呼吸音だけがやけに大きな感覚の中、ホシノは走る。
既に、大方声の位置は特定できた。
それを左手に周回している風になっていたが、確か入口はそちらだ――とあたりを付ける。
急げと太腿に呼びかけた。返答は熱。
着地の度に衝撃で震えるこの足は、自動車のそれほど頼りにならないとは理解している。
「はぁ……はぁ……」
林道を走ったその先にトンネル。
苔むしたそれはさながら古城の防壁だろうか、それとも塹壕か。
不気味に澱んだ空気と湿った草の気配。湿気が影となり冷気となり、内壁を塗り潰すような不気味。
ごうと、風が哭く。
ここは走って抜けられない。得てしてこういう場所では、人も車もスリップする。
呼吸を整えながら緩やかに歩を進める――……頭を上げた、そのときだった。
白光に眩む出口。後光を切り取ったその中にいる人影。
咄嗟に身構える。
右手に握ったケースを振りかざすか逡巡。
武器を取り出していなかった己の失着を悔いたそこで――――
「あんこうチームの……」
「あ。秋山優花里であります」
「……そうか」一拍の後に「なら、丁度よかったよ」
結局、走って上がった心拍数では焦りが加速するばかりで、ついぞ答えが出ることはなかった。
彼女は迷ったままで――だからこそ、まだ考える余地の少ない大洗女子の生徒に出会ったのは幸運だった。
幸運――……?
内心毒づく。
どこまで彼女自身、思考が黒炭の結晶が如く澱んでいくのかを自覚すると……余計に心が固まっていく気分になる。
「ホシノ殿も先程の放送に?」
「ああ……聞いてたよ」
「本当に、その通りですよね……戦車道は、人殺しの為じゃない。こんなことが許されちゃ駄目なんです」
しみじみと言う優花里の言葉に若干の悲しさが滲んでいるようで、ホシノは少し首を捻った。
何より自分自身に言い聞かせるような。そんな響きだった。
「何かあったのか?」
「あー……いえ……」
優花里が躊躇いがちに、というよりは未だ当惑を飲み込めてない様子で切り出した。
「その……
逸見エリカ殿って……判りますか?」
「いや……」僅かに視線を逸らしたが、ホシノに思い当たるふしはなかった。「それがどうかしたのか?」
「ああー……えーっと……」
「?」
「……何でもないです。忘れて下さい」
「そうか?」
大方の察しはついたが、ついうっかり漏らしてしまったという優花里の様子にホシノは小さく頷いて、それで止めた。
こんな場所だ。
――……こんな場所だ。
こんな場所に、なってしまったのだ。
ああ……とそれから思い出す。
そういえばあの大学選抜戦――プラウダの隊長の下、ホシノと協力して共に戦ったうちの一人がそんな名前だった筈だ。
黒森峰の、副隊長。
(……なにか、あったんだな)
優花里の顔色を見れば大方の察しがついてしまう。
あの、一時は共に戦った少女が――……。
鼻から深い溜め息が漏れる。
追求しようと口を開きかけて――――止まる。
代わりにホシノは静かに拳を握って、また前を向いた。
トンネルを抜けたはいいが、結局はそのトンネルに被さった斜面を登り進む。草を掻き分け、吐息と共に手を突いて上る。
優花里は身を縮め込めながら辺りを見回して、小走りでその後を追った。
それから二人の間に訪れたのは奇妙な沈黙だ。
ホシノの心は重いが、それとは関係なしにどんどんと音源が近づいてくる。
まだ生きているという安堵。同じだけ、己が定まり切らないという不安。
煮え切らない。
クラッチの繋ぎ方を間違えたマシンのように――前に進んでは不機嫌な唸りを上げ止まり、繋ぎ直してはまた止まる心境。
坂道にでも、いるようだ。
それでも車は動く。エンジンとシャフトが連結していなくても、否応なしに動く。
空転。不完全燃焼。ノッキング。破裂。燻り。排気。
だとしても――。
こうして感化された人間が集まる――それだけ彼女は、礒部典子の言葉は正しかったのだろう。
そう思った、矢先だった。
「……これって」
「爆発音……手榴弾でしょうか? あとは大口径のライフルとか……かなりの重武装ですね。これは気を付けないと……」
そう遠くない場所から聞こえてきた戦闘音。
冷や汗が頬を伝うホシノとは対照的にどこか冷静に告げる優花里。
舌打ちを漏らしそうになる。
案の定――……やはりという想いと、信じたくないという気持ち。不安。焦燥。そして苛立ち。
「ど、どうしたでありますか?」
「いや……」
思わず睨むような視線になってしまったことを、首を振って掻き消すホシノ。
優花里は、きょとんとしていた。
「急ごう」
「あ、でも……こうなったら慎重に辺りを索敵しながら進んだ方が懸命じゃないかと具申するであります」
「こうなったら――……こうなったら?」
「ホシノ殿?」
「こうなったから」努めて怒気を噛み締め殺しつつ、「こうなったから、急ぐんじゃないのか?」
「いえ……でも……待ち伏せされていたら、その……危険であります」
「待ち伏せ?」
理性としてはホシノとて、優花里の言わんとすることは理解できた。
むしろ理解できているからこそ、なおのことそれが琴線に触れるのだ。
迷っているホシノよりも、さっさと状況を把握している優花里の方が現実的で……きっとそれこそが自分や他人の命を救うものになる――――きっと正しい。
――――…………。
いや……違う。なにかが、違う。
「――一体、何を見てるんだ?」
「え?」
苦々しく漏らしたホシノの言葉に、優花里はただ困惑した瞳を向けるだけだった。
「あ、あの……ホシノ殿……?」
何か不興を買ってしまったかと当惑気味に窺う優花里。
吸って、吐き出す。
鼻孔を新鮮な酸素が満たす。肺が大きく膨らんで、緩やかに萎んでいく。
頭を振る。毛先を伝わる汗の滴がコンクリートに標を付ける。
今はその時間じゃない。そんな時間ではない。
「急ぐよ」
「え、あー……待って下さいよぉー!」
――見えてないのは、誰の方だ?
◇ ◆ ◇
連ねて並べて机に横たわり深く呼吸をすれば、木材の匂いが鼻腔に充満する。
彼女の視線の先には、十字のレティクルをつけられた小柄な少女。曲がりくねった道の頂上。学校の入口に立っている。
校舎の中にいる為視界は広いが、しかし周囲には林が多い。
学校への門までの道も歪んでいるため、簡単には見通せぬ厳しさである。
何とか入口のその近くの、大きな国道が辛うじて見えるかという程度。
一呼吸。
遠く見た遥かな先にきっと広がっているであろう落ち着いた青の海と、流れの早い白い雲。
天高くか――――爽やかな空と、少なくとも彼女の祖国で見るそれとは違う穏やかな海。
風に左右によろけるあの海鳥は、鳴いているのだろうか。
小さな山脈の如く連なる波が、うちへ内へと押し寄せる。
そんな光景を幻視する。
ロシアでは一般的に、海を見ない。
国土が広すぎて海に面した地域が少ないというのもある。
それに大抵海というものは荒くて――親しみ深い印象がない。冷たくて、暗くて、人が立ち入るべきでない異界だ。
あれは男たちの仕事場で、恵みを齎してくれる反面――――過酷というのも教えてくれる営みの場だ。
だから海水浴なんていうのはあまり一般的ではない。
多いのは、川だ。川に泳ぎに行くのはよくやった。
日本は、太平洋は穏やかだ。
きっと未来が違えば――――ここにいる全員で、海に遊びに行っていたのかもしれない。
クラーラは、家族で川に遊びに行ったことを思い出していた。
そして父を――――彼女の父を。彼女の父が、注いでくれた愛を。
思えば――彼女の父は、その仕事の多くを語りはしなかった。
家族にだって話せないことは多かった。良い父だからこそ、仕事と家庭に線を引いた。
そのことに不満はない。誇らしい父だと彼女は思ったし――今も思っている。
しかしクラーラが戦車道を始めると言ってからは、彼は話せる範囲でクラーラに様々なことを伝えようとした。
曰く、戦車乗りはいざというときの為に歩兵の事もできなければ――オーバーだと思った。
戦車道のそのまま、その後クラーラが軍に入るのだと思っていたのかもしれない。
自分の持っている知識を娘と共有できることを、父は喜んだのかもしれない。
それが、まさか活かされるとは。活かされる日が来るとは。
だからこそ――――だからこそクラーラには、彼女には躊躇いがなかった。
彼女がこれから行うことは他ならぬ父の愛から育てられた経験と蓄積であり、そのことに誇りを感じこそすれ厭うことはない。
父はクラーラを守ろうとした。
だからこそ、同じようにクラーラは
カチューシャを守ろうと思う。
この技術は、初めから人を守る為にある。
できる範囲で整えた校舎の中のトラップ。
襲撃経路を限定し、そして逃走時間を確保するための仕掛け。
余り大きな音を立てるわけにもいかず、
しかし目を離し続けることもできずに作ったトラップは鳴子や簡易な障害物程度であったが、それでもないよりはマシの備え。
この狙撃銃で室内戦闘を挑むことの無謀さは理解している。
かくなる上は敵の位置を知らしめて、そして銃が最強の優位性を持つ距離を阻害する事。
廊下は愚策。入口を片方に絞ったドアから室内へ招き入れ、結局はそこで殺すしかない。
リスクは高いが――近接戦闘の手ほどきも受けている。
狙いをつけるその瞬間こそ、もっとも無防備になる――――狩人と錯覚した獲物になる。
初手を崩せ。死の隙を作れ。出鼻を挫いて首を跳ねろ――――消火器、モップ、コードに机にエトセトラ。
上を取れ。死角を活かせ。距離を砕け。空間を割れ。優位を殺せ――――階段に備えた障害物。投げつける道具。机のバリケードにエトセトラ。
用意は整った。
あとは一つ――――気持ちではなく、身体を殺意の氷に変えるだけ。
「Откройте оба глаза.」
――――両目を開け/(アトクロイツィー・アバ・グラーザ)。
片目を閉じる事は緊張を生む。
目を開いたまま、右目を利き目に変えろ。己の視界を己で定義しろ。
開いた目の大きさを調整すれば、人間のそれは容易く切り替わる。
両目を明けたまま、片目の意識が肥大化する。
「Не полагайтесь вашу руку мышцы.」
――――筋肉に頼るな/(ニィ・パラガイツェツィー・ヴァシュ・ルク・ムシュツィ)。
筋肉に頼ろうとするから辛くて初弾を急かし、仕損じる。
腕から力を抜け。心から重荷を外せ。緊張は、まず腕から弛緩させろ。
骨だ。骨で支えろ。そうすれば力は必要ない。
その為には皮膚。皮膚が妨げになる。
弛んでしまう肘の皮を一方に引き付けろ。弛みがあれば撃発の刹那に銃口が泳ぐ。
肘を地面に刺し立てろ。地面と肘を一体と成せ。
「продолжить свое дыхание.」
――――呼吸を続けろ/(プラドージェィ・ツヴァイエ・デッハィニィエ)。
沈み込め。沈降しろ。没入せよ。浸れ。
沈み込み浮く視界と一体になれ。渦巻く風を飲み込め。己が腕を拡張せよ。
この世にはすべからく、己の手の内しか存在しない。
視点を定めろ。死点を定めろ。“死線(ゾーナ・ポラジーニィェ)”に叩き込め。
――――我が視線こそ即ち死線なり。
怪鳥(シィマルガル)の目で以って、永遠に冷めぬ寒気と霜の下に叩き込め。
「Не останавливайте свое дыхание.」
――――呼吸を止めるな/(ニィ・アスタナーヴィルィヴァイツェ・スヴァイエ・デッハィニィエ)。
引き金を引くな。引き金を落とせ。
夜露が滴る如く。月が満ち欠けする如く。その自然のまま死を齎せ。
霜(イニィ)だ――……霜(マロース)に――……深い霜(イズマレシ)が降りるように。露を集めて。露を絞って。
相手の身体を――――物言わぬ氷点下の世界に叩き込め。
「Прости. Я прошу прощения.」
すみません/(プラスチィ)――。
本当にごめんなさい(イァ・プラシュー・プラスィーニィア)――――。
謝罪の言葉と共に、海が凍る。
ここは大洗だ――――ここは大洗ではない。
空は爽やかに青い――――空は重く冷たい。
青く穏やかな海だ――――黒く厳かな海だ。
己の内から、冷気を放つ。自分という機構そのものが引き金と――世界の引き金と一体化していく錯覚。
“Ты, мороз мороз”/(チィ・マロース・マロース)――――“Mорозь меня”/(マロース・ミニャー)。
凍らせろと、内なる記憶に呼びかける――――もっと私を凍らせろ。
“Ой, мороз мороз”/(オーィ・マロース・マロース)――――“Не морозь меня”/(ニィ・マロース・ミニャー)。
凍らせるなと、内なるカチューシャが声を上げていた――黙殺する。ごめんなさいカチューシャ。
覚悟は定めているのだから。そうとも、己は一個の霜であり、己は一個の極寒だ。
「Я вернусь домой」
家に帰る/(イェ・ヴェルヌース・ダモーイ)――そうとも、家に帰るのだ。
皆で、家に、帰るのだ。
本当にクラーラが勇敢なら、この技術で以って皆と手を取ったであろう――――だが。
彼女は父のような軍人ではない。
彼女は仰ぎ見る隊長ではない。
願う事は――――己が取りこぼさぬと決めたものだけを守り抜くこと。
霜となれ。
地吹雪を覆う、霜となれ。
そして――――獲物が罠に差し掛かった。
◇ ◆ ◇
走り出してから暫く――二人は音源とよろしきその場所へと差し掛かった。
大通りから横の曲がり道に入ったその先。勾配の頂きに、自分達が廃校になってから間借りしていた校舎に。
少しすれば、サンダースが戦車を届けてくれたあの歩道橋に差し掛かるだろうか。
随分と遠くへ来てしまった。
銃声はその後聞こえてはこなかった。
逃げ切ったのか/犯人が潜んでしまったのか――――それとも。
しかし一先ずは間に合った。未だに拡声器から漏れる声を聞いていれば、彼女の無事は確認できる。
高まる鼓動と火照る身体。荒くなった息を、膝に手を当てて整える。
同じようにする優花里を尻目に眺めつつ、踏み出そうとしたときだった。
「待って下さい。せめて一度、辺りの確認をお願いしますぅ……」
「ああ、そうだった」
間に合ったことは確実だ。ならば石橋を叩いて固めるのも悪くはない。
双眼鏡を片手に周囲を見回す。
道路の先には誰もおらず、自分達の後を追うものも特には見られない。
右手の森に影はなく、いくら探しても風に蠢く葉以外は見付からない。
安堵と共に落ち着いていく心拍数と共に、違和感の正体に――ホシノはある程度至ろうとしていた。
どこかで覚えがあるものだ。自分自身経験として――……。
「この地形って、なんだか待ち伏せするのに向いている感じですね」
「……」
「え……?」
「どうした!?」
「今、あちらで何か――」
優花里に同じく双眼鏡を向けるホシノ。視線の向こうには、十字に輝く反射光。
暗くてその主は窺えないが、反射光の源が“何”に備わっているのかは理解できた。
心臓が凍る気分だった。
つまりは、初めから――――初めからだ。
「ホシノ殿、もう少しこちらに……」
茂みの影に引っ込む優花里に続く。
そこで、震える吐息を絞り出す。
周囲に運よく人がおらず生き長らえた訳でも、或いは典子の言葉に感化された人間が攻撃を仕掛けなかった訳でもない。
初めから、整えられていたのだ。
そんな筋書きだった。氷の蜘蛛の巣が如く――凍てつく罠が存在していた。
「このまま近づいたら、撃たれますね……これは」
「判ってるよ。……判ってる」
「できるとしたら、どちらか一人が後ろから回り込んで校舎にあがるとか……この地形だと前から行くのは……」
「判ってる!」
やや語気強く告げたホシノに、優花里は目を見開いていた。
拡声器の声も止まった。向こうにまで、声が届いてしまったのか。
「そ、その……ホシノ殿に何かしてしまったでありますか? 自分、何か間違ったことを……」
「いや、悪かった。……これは私の方の問題だよ。悪かった」
「そう、ですか……?」
そう、これに関してはホシノの方の問題だ。ことここに至って、未だに結論に達していない彼女の問題だ。
この中では必然的な最年長者――理性としても、理屈としても理解している。
ただ、それなのに繋がっていない彼女自身が悪い。
違和感は、それとは別のこと。
それを質すべきは今なのか――……、それともそこは今は考えるべきではないのか。
そう迷う、二人に拡声器からの声が届く。
『もしかして、私の話を聞いてくれたんですか!?』
イィィィィンと、拡声器が鳴る。
熱の籠った声には、幾度となく呼びかけ続けた為に掠れた声には、それでも隠し切れぬ喜びが浮かんでいた。
『ありがとうございます! 待ってて……信じてよかった!』
本当なら、その場に来た人間が賛同する人間とは限らないだろう。
当然ながら、先ほどの爆音の正体に気付かぬほど彼女は愚かではない。
それでも、人を信じることを選んだ。
選びたかっただけだろうが――――大切なのは、選ぶことだ。
『戦車道もバレーボールもチームワークです! 一緒にこの殲滅戦を打倒しましょう!』
そんな彼女の熱は、なるほど人々の中の灯となるだろう。
心に火をつけるだろう。
ああ、だから人と人は手を取って殺し合いを否定しなければならないと――――。
きっとこの場に招かれた誰もが、戦車道の理念に触れた誰もが、たとえどんな人間であっても心の琴線に感じ入る言葉だろう。
それは熱だ。
『一緒に、戦いましょ――――』
だが凍えろ――と。
発せられた銃声が、撃ち込まれた弾丸が、上がった悲鳴が二人の精神を殴り付けた。
砲声には慣れている。
振動にも慣れている。
衝撃にも慣れているが――――
『――――――――――――――――――――――』
人間が心の底から吐き出した悲鳴というものまでは、慣れては居ないだろうと。
頭を殴り付ける、氷塊の一撃だった。
長脛部を撃ち抜かれた典子が、崩れ落ちた。
アスファルトに転がり異音を漏らす拡声器。路上に染み込む血と肉と骨の破片。
烏が一羽、羽ばたいた。
◇ ◆ ◇
震える。
この殲滅戦の場においても適応できていなかったホシノは勿論のこと――――。
この殲滅戦の場において、ある程度の指針を定めていた優花里までもが震え上がった。
理想を叫ぶことは立派だ。
理念を語ることは素晴らしい。
理屈を並べることは冷静なのだろう。
だけどそこには――――。
彼女たちの人生には――――。
理不尽な暴力などは、血と悲鳴などは、極寒の殺意などは――――――介在してはいなかった。
「あ……あ……」
撃つことは覚悟できた。
撃たれることも想定できたかもしれない。
だが、撃たれて苦しむ他人を見守る用意は済んだか?
『わた、しは……っ……だい、じょうぶ……です』
まだ生きている。磯辺典子は、生きているのだ。
熱に魘されるような、襲いかかる寒気に熱を産み出そうとしているような、発作めいた小刻みな声が聞こえる。
苦悶。苦痛。苦渋――彼女は拡声器に声を乗せぬように、必死に歯を食い縛って耐えている。
銃声が、更に一つ。悲鳴が上がる。
今度は着弾したのかしていないのか、それは見えぬ。判らぬ。
だが明らかに――ホシノと優花里があちらに気付いたように、相手も彼女たちを察知している。だからこそ銃撃は行われる。
つまりは、活き餌だ。
隠れて出てこないなら、出てきたくしてやる――――そんな無言で凄惨なメッセージ。
歴戦の軍人でも数多の犠牲を禁じ得ない、友釣り。
他人と呼ぶには戦友であり、そして軍人と呼ぶには素人な彼女たちは――――無論のことながら、戦闘兵器でも戦車でもない。
何かを通したわけでもなく、目の前で一方的に行われる惨状というのは――――心の底まで凍りつかせるものだった。
「……っ、助けないと」
それでもホシノは腹を括った。
なんとしても、あの場から磯部を連れ出さなければならない。
それはこの場の年長者であり、仲間であるホシノの役目だった。
駆け出そうとした体がつん飲める。
秋山優花里が腰にしがみついていた。
「だ、駄目ですよ! 危険です! これは友釣りと言って――」
「――見捨てるのか!?」
「そ、そうではなくて……とにかく危険なんです……!」
しかし問答など許さぬと。
鋼鉄の爪音が、心を凍らせる冷たい擦過音が二人の側を駆け抜けコンクリートで跳ねる。
皮膚の真下を撫で付けるような恐ろしい音――銃声などよりよほど。
「こ、こちらに!」
一呼吸待たず。
なんとか優花里が引き寄せるのと、ホシノの立つ位置を弾丸が撃ち抜いたのは同時だった。
間一髪――。
しかし状況は、最悪だった。
「急いで走っていけば、中々当たらないんじゃないのか?」
「お、恐らくはセミオートライフルです……運良く当たらなくても助け起こすときには危険ですよぉ……」
「……その辺りのものを燃やして目くらましにするのは?」
「えっと……この距離だと煙幕を使っても……向こうまでは遠すぎて……」
優花里が言うことは正しいだろう。
しかし撃ち抜かれた人間を前に落ち着けるほど、人間は強くできてはいなかった。
確かにそれまでは、恐れていた。
だがことここに来て、イグニッションを済ませた車がおいそれと止まる理由なぞない。
「撃ち返して、その間に助けに行くのは?」
「じ、自分の銃ではこの距離はとても撃てません……テーザーガンでは」
「……私の拳銃なら」
「狙撃銃が相手では…………その……」
優花里が水を注す。
先程までの落ち着きは嘘のようで、逆にホシノの方が腹を括っているほど。
いや、知識が多いから……優花里の怯えも尤もなのか。ホシノに、彼女に、現実が理解できていないのか。
「本当に当たるのか? 相手も銃に慣れてないなら、走っていれば当たらないんじゃないか?」
「確かめてみますか?」
そして折って出した枝は撃ち抜かれて、衝撃にホシノの手から飛び出した。
じんとした痺れと共に、もたらされるのは焦燥だ。
すでに数度撃ち損ねている。
映画などでの伝説的なスナイパーの腕前である筈はないが――――しかしそうだとしても――……。
優花里が言うように、この傾斜を駆け上がり助け出し、そしてまた駆け降りるその時にはミイラ取りがミイラになる――。
そう思う程度には、危険が高すぎる。
「助けなきゃいけないのは本当です。でも、やっぱりこの状況は……」
途端に言葉が尻すぼみになった。
優花里の狼狽を見ていれば、ホシノは逆に落ち着く気持ちであった。
心が鉄めいて固まってくる。
そして思った。やはりだ。これには覚えがある。
自動車に触れる楽しみを見出だして、実際に触れることが楽しくて、自信を得て何でもできる気になって――きっと上手く回っているというアレだ。
そんなときが。
そんなときこそが一番危ない。
要するに浮かれて、緊張がないから上手くいって、それでいて自分のミスに気付かない――――。
そこでガツンと現実が冷や水をかけてくる。
ひょっとしたら、この場の優花里も。
本人は気付かずに、冷静と呼ぶには余りに細部が甘いことをやっていたかもしれない。
軍事という合理の知識と、経験や人格が乖離しているという不具合が起きていたのかもしれない。
なんと無くふとそう思った。
だからだろうか――――ホシノの頭は少し醒めた。
昔のミスを思い返して、ここといつもとが地続きに感じた。
そして改めて――――やはり怖いが、行くしかないとホシノは決める。
優花里に対し、どこか感じていた苛立ちがなくなった。
ホシノよりも冷静にものを考えていると――――だから感じた僅かな怯えと隔たりが消える。
つまりは、ホシノも優花里も、同じなのだ。
どちらも普通に生活があって、考えがあって、経験があって――――殲滅戦には縁がない少女なのだ。
「……はー」
ただ、人生経験は――慌てやスピード、パニックに対する経験はドライバーの分だけホシノが上。
それこそ初めてドリフトをかけようとしたときなんか冷や汗が出っぱなしであったし、
コーナリングを失敗して慌ててカウンターに叩き込んだときなんか生きた心地がしなかった。
ライン取りをミスしたこともあれば、路面のコンディションを見切れずにスリップしたこともある。
そうだ。
あれだって、失敗すれば死んでいる。
銃は初めてだが、よほど命の危険というのには直面している。
「考えても仕方ない……か」
瞳を閉じて、心の中でイグニッションキーを捻る。
コーナリングには自信がある。走るのは四輪ではなく二本足だが、この勾配ある曲がり坂を最速で駆け抜ければ死線を免れる。
あとは車ではなく身体で、それも走りながらの頭でそれができるかだが――――よほど車の方が早い。
煩くなる心臓の音を――トルクを感じて、ひりつく息を漏らして両手に膝。
往路で死神に捕まれない可能性。ピックアップで死神に捕まれない可能性。復路で死神に捕まれない可能性――――馬鹿馬鹿しいが。
「……ま、待ってください。せめて正面からではなくて……他に……」
「裏から行くのを、相手が許してくれると思うのか?」
「それは……そのう……」
優花里の定石は確かだし、彼女の頭の中には十分な知識がある。
現実にいくらか実行もしているだろうし、手慣れているところはあるだろう。
ただ――ホシノ自身が運動に近しいことをやっているからだろうか――やはり知識と経験は、別なのだ。
互いに耐性がないなら話は違う。
だが一方が――――それこそ無機質に失敗を刈り取るガードレールや路面なんか相手では、知識では“遅すぎる”。
楽しみも何もない、それこそ遊戯――高揚や陶酔――とは別の次元の――――ストレス下での思考と行動は、知識とは違う。
相応の、慣れ。
少なくともそこはまだ、ホシノに一日の長があった。
警告のように、更に銃声が鳴った。
いよいよ助け出すのが遅れれば命はないし、苦痛の時間は長引くばかりだ。
もっと正しい道筋があるのかもしれない。あったのかもしれない。
だが、ここで選べることはできなかった。
人生の積み重ねとはそんなもので、きっと意図せぬ災難というのはそんな形に訪れる。
いよいよもう、ケリをつけるしかない。車体は既にコーナーに差し掛かっている。
何度か手を握って閉じて――――優花里を見る。
聞きなれぬ苦痛の叫びに顔を青くしていた彼女は、
「あの!」
それでも意を決したように、瞳を閉じてから声を上げた。
「お願いがあります! これは私と、ホシノ殿にしかできないことなんです!」
◇ ◆ ◇
確かに秋山優花里は奇妙な興奮に包まれていた。
戦車に乗ったときのように――或いは危険を省みずに潜入を行ったように。
彼女は勇敢と言うよりも、高揚に身を包まれていただけだった。
勇敢さとは恐れを知らぬことではない。
畢竟、勇敢である人間には冷静さも付きまとう。冷静というには、秋山優花里は余りに迂闊過ぎる。
悪く言えば、想像力がない――。
逸見エリカに先んじられたのも、そこが理由だ。落ち着いて見えたのもそれが理由だ。
この場での生身の殺人という物事への想像力が十分でなかったからこそ――だからこそ落ち着いていたのだ。理想を叫べたのだ。
彼女はある意味一つ、ただ酔っていただけなのだ。
自分に向けられること、自分が向けること、自分に関わることへの理解が足りていない。
当事者意識が欠けていた。
自分が主体になると思っていないから、殺される恐怖よりもしたいことが勝った。
覚えたことをやる余地があった。思い出していられる余裕があった。
多分きっと、まだ自分が殺されるとは思ってはいなかった。
しかしそれは、自分以外の――――それも仲間を撃たれることで強制的に醒まされた。
そうだ。それが真実だ。
そんな高揚は、身を持たない“オタク(ナード)”の強がりなんて、大抵“物理(ジョック)”が殴り付けて黙らせられる。
そうだとも。
初めて目にした銃器による暴力は、それまで彼女が憧れていた武器や兵器の実在の重さは、いざ直面すれば容易く魅力などを破壊する代物だった。
ここに来て秋山優花里は、現実の重さを否応なく認識させられた。
だが――。
だがそれは確かに真実だ。彼女のそれは、鮮血を伴う暴力の前には瓦解する空論だ。
しかし――
「今です! お願いします!」
叫んだ理想は嘘じゃない。集めた知識は嘘じゃない。感じた魅力は決して嘘ではない!
そうとも。
不安がないはずがない。不安はあった。確かにあった。それでも――それだからこそ人を信じたかっただけだ。
嘘であって欲しいと願ったから、エリカにだってああ接したのだ。
嘘でない。嘘ではないのだ。この思いは決して嘘ではない。
駆ける――駆ける――駆ける!
砲弾よりも重く――――人の命を懸けて/賭けて――翔るそれが優花里の右手を離れる。
余りにも華奢で、頼りなく、飾り気なく素っ気ない模型飛行機めいたドローン――RQ11。
優花里の知識と、ホシノの卓越した整備技術が、悉くに分解されたドローンを組み立て上げた。
通称レイヴン――――白いカラスが、宙を舞った。
◇ ◆ ◇
「Чёрт!」
クソッタレ/(チョルト)――!
思わず口から零れだした口汚いののしり言葉と共に、クラーラは引き金を引いた。
当たらない。
ここまで自由に動く飛翔物体を狙った経験はない。
頼りない模型飛行機のような飛行物体が、彼女の覗き込むレティクルを何度も何度も横切り妨害する。
口から零れ出る悪態が止まらない。
時々に移るヴィジョンからは、走り出した少女がたった先ほど撃ち抜いた磯辺典子を抱え上げるところだった。
「Чёрт возьми!」
クソッタレ/(チョルト・ヴァジミー)――――。
既に大腿と肩を撃ち抜いた。
万が一助け出されたとしても重症。少なくとも戦力になりえないほどの打撃を与えた。
そうとも、戦果としては十分とも言える。
初めてにしては上出来だと――――思う一方の苛立ち/求めてるのは言い訳じゃない/確実なキルスコア。
覚悟を決めた――――ならば覚悟に見合う結果を用意しなければならない。
「Cука! Капуста!」
なんとか邪魔をするドローンを叩き落としたその時には、すっかりと対象は逃げ出してしまっていた。
ぽたぽたと零れ落ちる血痕がその痕を作るだろうが、しかし躍起になってはならない。
獲物を追うときは己が駆り立てられるときと同じだ。
自分なら、逆に罠に嵌めようとするだろう。或いは思いつかなくても、父ならそうする。相手がそうしないとも限らない。
深呼吸を一つ。
バラバラに失墜させたドローンと血だまり。残された支給品を眺め、深呼吸を一つ。
「Mороз……морозь меня」
“Ты, мороз мороз”/(チィ・マロース・マロース)――――“Mорозь меня”/(マロース・ミニャー)。
凍らせろと、内なる記憶に呼びかける――――もっと私を凍らせろ。
“Ой, мороз мороз”/(オーィ・マロース・マロース)――――“Не морозь меня”/(ニィ・マロース・ミニャー)。
狙撃銃の衝撃にかじかんだ指を二三度開く。
視線の向こうに遠ざかる負傷者を連れた三人組。仲間を庇い、その肩を担いだ三人組。
見下ろせば、絶対零度に視線が凍る。
“Ты, мороз мороз”/(チィ・マロース・マロース)――――“Mорозь меня”/(マロース・ミニャー)。
凍らせろと、内なる記憶に呼びかける――――もっと私を凍らせろ。
“Ой, мороз мороз”/(オーィ・マロース・マロース)――――“Не морозь меня”/(ニィ・マロース・ミニャー)。
痺れの残る指で、支給された刃物と武装を抜き出した。
父は、父のいた部隊は、これを刃物代わりに人を殺した。
どんな殺しかは知らない。やり方は知っている。知っているだけで殺しの経験はない。
“Ты, мороз мороз”/(チィ・マロース・マロース)――――“Mорозь меня”/(マロース・ミニャー)。
凍らせろと、内なる記憶に呼びかける――――もっと私を凍らせろ。
“Ты, мороз мороз”/(チィ・マロース・マロース)――――“Mорозь меня”/(マロース・ミニャー)。
束を握る指が冷えきっていく。
ただの霜になればいい。氷柱になればいい。
冷えきった鉄の刃を――雪と霜の大地に突き立てられていたであろうスコップを広げて、クラーラは歩き出した。
室内の静寂を吸って、黒い刃が殺意を広げる。
両手に握られた二本の刃物。
さながら、烏の翼の如く――。
彼は見た。
人の及ばぬ上空から、地上に息衝く彼女たちを見た。
磯辺典子を担いで、秋山優花里とホシノは逃げる。
刃物を両手に握ったクラーラは、冷酷な視線を地上に向ける。
烏が哭いた。
彼はただ、待ち望む。
彼はただ、待ち望む。
【C-3・高校・3階教室/一日目・午前】
【クラーラ@フリー】
[状態]健康
[装備]プラウダ高校の制服
[道具]基本支給品一式、ドラグノフ狙撃銃(4/10)、不明支給品(大型のナイフ)、折り畳みシャベル
[思考・状況]
基本行動方針:カチューシャを優勝させるために戦う
1:典子たちを追って排除するか……?
2:できればプラウダの仲間は守りたい。しかしもしもの場合には、カチューシャの命が最優先
[備考]
※磯辺典子が拡声器で発した言葉を聞きました
【C-3・高校前道路/一日目・午前】
【磯辺典子@フリー】
[状態]右脛部貫通銃創・同右長脛骨開放骨折。左肩部銃創及び骨折。出血。
[装備]血塗れの体操服
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを止める
1:逃げる……痛みは根性! でも痛い!
2:仲間を集めて役人と戦う。バレーボールと同じチームプレイ!
3:大洗の仲間や、万が一アヒルさんチームの後輩がいたら、合流したい
[備考]
※C-3高校の校門前にて、拡声器を使用しました。周辺に典子の声が響き渡ることになりました。
※基本支給品一式、拡声器、不明支給品(ナイフ、銃)はC-3高校の校門前に放置されています。
【秋山優花里@フリー】
[状態]健康、焦燥
[装備]軍服 迷彩服 TaserM-18銃(4/5回 予備電力無し)
[道具]基本支給品一式 迷彩服(穴が空いている) 不明支給品(ナイフ)
[思考・状況]
基本行動方針:誰も犠牲を出したくないです。でも、襲われたら戦うしかないですよね
1:とにかく、早く逃げるであります! こいつは危険です!
2:西住殿と会いたいのであります……
【ホシノ@フリー】
[状態]健康、心に大きな迷い、それ以上の焦燥
[装備]ツナギ姿
[道具]基本支給品一式、不明支給品(ナイフ、銃器)、RQ-11 レイヴン管制用ノートパソコン
[思考・状況]
基本行動方針:みんなで学園艦に帰りたい
1:アクセル全開で逃げないと……!
2:殺し合いには乗りたくない。けれど最悪の状況下で、命を奪わずにいられるだろうか?
3:レオポンさんチームの仲間にはいてほしくない。彼女らの存在を言い訳に、誰かを殺すことはしたくない
[備考]
※磯辺典子が拡声器で発した言葉を聞きました
※【RQ-11 レイヴン】はドラグノフ狙撃銃により四散して落下しました。
[武器解説]
翼幅1.0m、全長1.1m、重量1.9㎏、巡航速度45-97㎞/h、航続距離10㎞、飛行時間80分、上昇限界:対地高度1000ft(300m)の無人偵察固定翼機。
CCDビデオカメラと赤外線ナイトビジョンカメラを搭載した組み立て式の無人偵察機で、手投げによって発進。
以後は内臓の電動モーターによりプロペラを回し、推力を得る。
今回はGPSによる完全自立操縦方式が廃されている無線操縦式であり、付属のラップトップPCによってラジオコントロールする。
大きなラジコン飛行機のような外見であるが、大体そこそこの外車ぐらいの値段がする。
全長約72cm (展開時)。53cm (折り畳み時)。重量1kg強。刃幅約17.5cm。
ロシア空挺軍、特殊部隊スペツナズなどが使用する折り畳みシャベル。
土を掘る事はもちろん、良く研いだショベルは打撃・斬撃・刺突・投擲に使われる道具でこのサイズのショベルは手斧としての役目も果たす。
折りたためば鍬のようにもなる。
ロシアの軍隊格闘にはシャベル使用を前提としたものや、或いは格闘の中にシャベルを取り入れたものが多数存在する。
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最終更新:2017年05月07日 15:18