躊躇ーーーーー決心がつかず、ぐずぐずすること。ためらうこと。
広辞苑より引用

ザザ~ン……
水波がゆらゆらと流れている。

「……」
港の波止場に腰を下ろし、それを静かに見つめるヒスイ。

(あの、ナギが……)
ヒスイの頭の中に渦巻くのは先ほど行った『真倉坂市工事現場』での戦闘……

「私は、この殺し合いが気に入らない!だから、モナと戦う!!ヒスイ!たとえ、幼馴染のお前相手でも私は戦う!!!」

幼馴染の一人であるナギのケツイ……

初柴ヒスイにとって三千院ナギは三千院家の遺産継承者争いのライバルの1人かつ幼馴染4人組の1人。

(マリアやクラウスと変わらない日々をただ流されて生きていると思っていた……)
性格は非常に我儘で気が強く、マンガ好きで引きこもり気質。
運動音痴で50m走を走っただけでへばってしまう……そんな幼馴染。

しかし、幼馴染4人組の中でもナギはヒスイにとって特別ーーーーー
(そう…ナギは伊澄や空前絶後のバカとは違う……)
↑《なんやてー!》
ヒスイの独白に幼馴染の1人、愛沢咲夜のツッコミが入る……というか入れるな。

(口では容赦しないと言ったが……)
幼馴染との決別をした……つもりなのだが、ヒスイの心中にはいまだ、躊躇がある。

《あら?私からのプレゼントをあげたのに……》
ヒスイの脳裏に響く声……

《さっそく腕を一本失うなんて……ガッカリだわ》
法仙夜空。
ヒスイに仕えたメイドーーーーー
今は、ヒスイを「王」とするため英霊化したーーーーー

「……夜空」
果たして目の前の夜空は英霊化した本人か、はたまたパレスの効果で現れた、認知の存在か定かではないが……

「私に説教するつもりか?」
《いいえ。ただ肩を落としているだけよ》
ふぅ…やれやれといった仕草を見せる夜空。

《私は、あなたを王とするために命を引き換えにその力を与えたのよ?》
《あなたのことだから、幼馴染が相手だったから無意識に手を抜いたんじゃないの?》
《そんな体たらくは見るにたえないわよ》
夜空なりの叱咤激励。

「黙れ。……わざわざ言いに出てこないで黙って見ていろ」
夜空の言葉にヒスイは思いだす。

「……くだらん。私が欲しいのは勝利の果てに掴む願いだ。頂上で胡座をかいていれば与えられるようなものでは無い。」
それは、殺し合いに参戦するために姫神に対して放った言葉。

改めて、【勝利の上で手に入れる世界】へのケツイを深める。

「私は、もう躊躇しない。ナギや伊澄……どんな相手でも殺す。そして私は「王」となる!」
夜空の言葉にヒスイは返答すると、ナギから渡された全快点滴パックを取り出す。

《……フ、それでこそあなたね。……負けは許さないわよ》
ヒスイの躊躇を捨てたケツイに夜空は姿を消す……

☆彡 ☆彡 ☆彡

全快点滴パック を一つ内服し終わると腰を上げる。

ダメージ並び疲労が全回復したのかヒスイの顔つきに笑みが浮かぶ……

「さぁ!勝者は私だ!!」

初柴ヒスイは闘いをやめない。王座を掴むまでーーーーー

【C-2/草原/一日目 黎明】

【初柴ヒスイ@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[装備]:サタンの宝剣@はたらく魔王さま!
[道具]:法仙夜空@ハヤテのごとく! 武見内科医院薬セット@ペルソナ5 基本支給品×2 不明支給品(0~2個)、烏間惟臣の不明支給品(0~3個)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝利する。
1.次の闘いへ向かう
2.王となるのは私だ。
3.本当に、願いで死者さえも甦らせることができるのなら―――
4.次に出会ったときナギと決着をつける…どちらかの死で。
5. 誰が相手でも躊躇しない
※ナギと次会ったときは決着をつけます。
※原作51巻、ハヤテから王玉を奪った後からの参戦です。

【支給品紹介】
【サタンの宝剣@はたらく魔王さま!】
エミリアが砕いたサタンの角からつくられた魔剣。真奥貞夫を魔王サタンの姿に戻すほどの魔力を宿しており、手にした者にその魔力を供給する。鞘に収まっている間は魔力の供給は起こらないが、常人には鞘から抜くことすらままならない。

【法仙夜空@ハヤテのごとく!】
ヒスイに力を授けるために英霊となった法仙夜空。すでにヒスイと融合しているが、天王州アテネと融合したキング・ミダスの英霊と同じように不可逆的な破壊が可能だと考えられるため、状態を整理しやすいように道具欄に記載してある。その形状は上段に人間のような二本の腕、下段に骸のような二本の腕であり、現在は下段の右腕が粉砕された。残りは3本

【武見内科医院薬セット@ペルソナ5】
武見妙が扱う医薬品。効果は確かに効く。
内訳 ナオール錠50mg×2 ダメージ・疲労を(低)回復させる
   ナオール錠100mg×2 ダメージ・疲労を(中)回復させる
   全快点滴パック×1 ダメージ・疲労を全回復させる※参加者との戦闘中は使用不可

☆彡 ☆彡 ☆彡

ヒスイが休憩をしていた同時刻。
別の波止場を歩く九郎。

「…いないか」
(岩永のことだから、もしかしたら……と思ったけど)

九郎は岩永琴子並びに弓原沙希と共通している『真倉坂市工事現場』へ向かっていたが、進行上の近くに『港』があるため、Cー1へ寄り道をしたのだ……

(港……紗季さんとは結びつかないけど、岩永とは縁があるからな……)
それは、とある港町での事件ーーーーー
人形が電撃を放ち魚を殺すというなんとも鋼人七瀬に劣らない内容の事件。
それは、人の願いが捻じられたために起きた悲しき事件ーーーーー
そして、その事件は岩永琴子が【可憐にして苛烈】が強く現れた事件でもある。

もちろん、地図上の港がその港町とは限らないわけだが、九郎はもしかしたらと思い、寄り道をしたのだがーーーーー
(結局、無駄足に終わったな……予定通り、工事現場へ向かうとするか)
港をぐるりと見渡すが、残念ながら九郎の探し人は見当たらず、水波がただ、静かに音を鳴らしている……

(それにしても……)
九郎は自分の両掌を眺める……

(公園で爆死した時……掴めなかった)
九郎は先ほどの負け犬公園で伊澄による【撃破滅却】で殺された時のことを想起する。

(再生する時、未来が一本しか視えなかった……)
桜川九郎は2つの妖怪の能力、人魚の【不老不死】と件(くだん)の【未来決定能力】を有する。

未来決定能力ーーーーー言葉通りならなんとも素敵な能力であると100人中100人が思うだろう。
しかし、その能力は【一度死ぬ】ことが前提とされる能力。
つまり、くだん(運命決定能力)のみでは、意味をなさない。
人魚の【不老不死】とセットで能力の価値を高める。

(未来はいつも未知で未定となっているはず…)
そう、未来は未知で未定なのだが、先ほどの死で見えた未来は【一本】しか視えなかったーーーーー【その場で蘇る】というただ一本のみ。

(視える未来が一本だけなら、くだんの能力はまるで意味をなさない)
本来、未来にある無限の分岐を一本にしてしまえるのが予言獣くだんの力。
だからこそ、桜川の当主はその能力を欲したのだ。
たとえ、自らの血を分けた縁の者の命を多く失うとしてもーーーーー

それが、到達点が一本しかないのなら、運命決定力はなんの意味もなさない。

(もしかして、くだんの能力が封じ込められているのか?それが六花さんが今回、企んでいることなのか……?)
九郎は波止場に腰を下ろしながら、思考するがーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

(ふぅ……やはり、まずは岩永との合流が先決だな)
改めて、岩永琴子の頭脳が必要だと感じた九郎。
ケツイを改めて深めると腰を上げ、歩きだす。

(はじめは、茶番だと思っていたがくだんの能力を封じているとなると、この不老不死も、もしかすると何かしらの制限をかけられているのかもしれない……だとすると安易に死ねないな……)

この殺し合いが茶番ではなくなったかも知れないーーーーー九郎の脳裏に一抹の不安が生まれた。

【C-1/港/一日目 黎明】

【桜川九郎@虚構推理】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 不明支給品(0~3)
[思考・状況]
基本行動方針:真倉坂市工事現場に向かう
1.桜川六花の企みを阻止する。
2.もしかして不老不死にも何か制限がかけられているのか?
※件の能力が封じ込められていることを自覚しました。
※不老不死にも何か制限がかけられているのではないかと考えています。

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036:Nocte of desperatio 時系列順 035:Get ready, dig your anger up!
投下順 038:0円スマイルの少女人形
026:理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい 初柴ヒスイ 045:人と妖怪の狭間を語ろう
005:異種間コミュニケーション(みんな人間ですけどね) 桜川九郎
最終更新:2024年07月22日 22:15