グレー【gray】
読み方:ぐれー
読み方:ぐれー
《「グレイ」とも》
1 灰色。ねずみ色。「—の背広」
2 白髪交じりの髪。グレーヘア。「ロマンス—」
3 どちらでもない中間的な状態や態度。「法律に触れるのかどうか、依然—だ」
──────辞典・百科事典の検索サービス - Weblio辞書より参照──────
本項では、3の意を用いるものとする。
◇◇◇◇◇◇◇
カリギュラ効果、という言葉がある。別名、カリギュラ現象とも呼ばれるそれは、一種の心理現象のことを指す。禁止された事柄に対して興味を示し、その禁忌を破ってしまいたくなる。といった心理の総称である。立ち入り禁止の立て札が建てられた廃墟の内部はどうなっているのか、仲の良い友人は普段日記に何を記しているのか、テレビのCMなどで見られる番組広告、所謂ネタバレを避けたモザイクの中身は何か。誰もが一度は覚えたことのある、好奇心が疼く感覚。悪いとわかっていても、自分の身に不利益が被るとしても、やってはいけないことを一度は破ってみたい、といった欲望を大なり小なり人々は抱えて生きている。しかし、大半の人間はこれを妄想するだけで、実際に行動として行う、といった愚は起こさない。理性、良心、モラル、といった様々な枷が、興味を滾らす本能を抑えつける。
ならば、それを実行してしまう人物は、どうか。窃盗、暴行、殺人───日夜報道されるそれらのニュースは、人の業の何たるかを訴えかけている。テレビに顔と名前を晒され、罰を背負い、犯罪者としてのレッテルを貼られて生きていく。好奇心、カリギュラ効果に身を任せた人間は、総じて裁きを受けるものだ。彼らの生きる人間社会が、重い、重い罰を与える。人間を裁けるのは、人間だけであるから。
だと、するならば。
『人ならざるもの』が、カリギュラ効果、好奇心を満たす為に犯した罪を、大罪を、果たして人間は裁けるのだろうか。或いは、許すしかないのだろうか。人間が罪を裁けるのは、人間だけであると、諦めるしかないのだろうか。
『人ならざるもの』が、カリギュラ効果、好奇心を満たす為に犯した罪を、大罪を、果たして人間は裁けるのだろうか。或いは、許すしかないのだろうか。人間が罪を裁けるのは、人間だけであると、諦めるしかないのだろうか。
それは、この物語が教えてくれるだろう。
◇◇◇◇◇◇◇
【接続開始──────────complete.】
【観測継続】
【並行世界へのアクセスを開始】
【……】
【カテドラル “ザ・ヒーロー” NEUTRAL 英雄──────】
【アクセスしますか?】
【……】
【認証しました】
【情報抽出を開始します】
【……】
◇◇◇◇◇◇◇
ぱちり、と目を開ける。瞬間、赤、青、黄、緑、桃、白と。ぎらついた、ネオンサインの輝きが少年の目を焼いた。まるで、朝起きたばかりのどこか酩酊した気分。ただ少し長居をするだけで目が悪くなってしまいそうな光の暴力に包まれる中で、少年が感じたのは不思議な感覚だった。
「……」
まるで、夢を見ているようだ。がやがやと、少年の周囲で聞こえる喧騒も、目の前の歓楽街、繫華街も、今自分がこの世界に存在している、という事実も、そのすべてが夢のようだった。
しかし、そんな気分も一瞬、いや、それにも満たない時間で何の感慨もなく転換する。状況の把握のために、辺り一帯を見渡す。空は、墨汁を塗りたくったように黒くて、暗い。深夜、それも、既に0時を回った頃だろうか。乱立したビルに、嘗ての横浜なんかで見れるものだろうか、中華風のレストランに……、といった具合だ。正しく少年が過ごしていた平和な世界そのもの。
「……違う、か」
ならば、今まで自身が辿って来たあの道のり。まさか、あちらが夢なのではないか。といった疑問は、早々に解決した。背に、手をやる。そこは、刀があった。鞘を掴めば、手のひらに吸い付くように、よくなじむ。間違いなく、自身が振るって来た、かの霊刀、『ヒノカグツチ』に相違ない。そして、腰。そちらには、銃が。名を、イングラムM10。マシンピストル、軽機関銃(サブマシンガン)に分類される銃だ。こちらも、少年が使っていたもので。
「ね、あの人凄いコスプレじゃない?いかにも力入れてるオタクっぽい」
「ちょっと、聞こえたらどうすんの、失礼でしょ」
「ちょっと、聞こえたらどうすんの、失礼でしょ」
何よりも、その格好だ。白色でタイトな、ボディースーツのような服の上には、これまた白色の、軽鎧。そして、少年の左腕には、手首をすっぽりと覆っているハンドベルトコンピューターが取り付けられている。周りにいる人々の服装と比べれば、目立つか。そう考えた少年は、どこか隠れる場所を探し始める、その直前。
『ようこそ、“観測都市”へ。並行世界より招かれた諸君。私の名は、ルイ・サイファー。とある手法を用いて、今君たちの脳内に語りかけている』
聞き覚えのある声だった。もう自分の名前すら思い出せない少年はただ、何を言うでもなく、ただ虚空を眺めていた。
◇◇◇◇◇◇◇
殺した。殺した。殺した。
最初は、力の無い、ただの少年だった。その歯車が狂ったのは、いつだったか。
母親が、まず死んだ。突如として現れた、悪魔に食い殺されていた。
いつも通りの、学校への外出時のやり取り。それが、最後の会話だった。
最初は、力の無い、ただの少年だった。その歯車が狂ったのは、いつだったか。
母親が、まず死んだ。突如として現れた、悪魔に食い殺されていた。
いつも通りの、学校への外出時のやり取り。それが、最後の会話だった。
そこからは、悪魔と戦う日々だった。
殺して、殺して、殺した。
きっと、その果てに人が幸せになれる未来がある。そう信じて、殺した。
殺して、殺して、殺した。
きっと、その果てに人が幸せになれる未来がある。そう信じて、殺した。
鬼神タケミナカタ──────殺した。
鬼女アルケニー──────殺した。
魔王ベリアル──────殺した。
堕天使ネビロス──────殺した。
天魔ヤマ──────殺した。
邪龍ラドン──────殺した。
邪神エキドナ──────殺した。
大天使ハニエル──────殺した。
■■■/ロウヒーロー/親友──────殺した。
■■■/カオスヒーロー/親友──────殺した。
鬼女アルケニー──────殺した。
魔王ベリアル──────殺した。
堕天使ネビロス──────殺した。
天魔ヤマ──────殺した。
邪龍ラドン──────殺した。
邪神エキドナ──────殺した。
大天使ハニエル──────殺した。
■■■/ロウヒーロー/親友──────殺した。
■■■/カオスヒーロー/親友──────殺した。
殺した。殺した。殺した。
それでも、変わらなかった。
いつしか、英雄と呼ばれた。それでも、何も変わらなかった。親友を手にかけたとき、何かが崩れる音が聞こえた気がした。けれど、何も感じない。
それでも、止まれはしない。数え切れない犠牲の果てが例え地獄であろうとも。
英雄譚は終わらない。その身を灰と灼き尽し、塵と微塵に砕くまで。
それでも、変わらなかった。
いつしか、英雄と呼ばれた。それでも、何も変わらなかった。親友を手にかけたとき、何かが崩れる音が聞こえた気がした。けれど、何も感じない。
それでも、止まれはしない。数え切れない犠牲の果てが例え地獄であろうとも。
英雄譚は終わらない。その身を灰と灼き尽し、塵と微塵に砕くまで。
【D-2/ザ・ヒーロー(真・女神転生)/一日目・午前0:00】
【???/ルイ・サイファー(真・女神転生)/一日目・午前0:00】
【???/ルイ・サイファー(真・女神転生)/一日目・午前0:00】
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