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彼に言わせれば、人類の進歩などはたいしたものではなかった
文明の増大は愚かさの増大にすぎず、やがて反動的に人類を破滅させるだろうと彼は言うのだ
そうだとすれば、私たちはそうでないふりをして生きて行くしかない
だが私にとって未来はあいかわらず暗黒であり空白である――つまり彼の話の記憶によって、断片的に照らしだされているだけの、広大無辺の道の世界である
しかし、二つの奇妙な花が私を慰めてくれる
この花は今は萎びて茶色に変色し、形もくずれてしまったが、それでも、人間から知性と力強さが退化してしまった未来世界においてさえ、
感謝とこまやかななさけが、人の心の中に生き続けている証拠だからである
――H・G・ウェルズ、タイムマシン
1:
死から目覚めて。たったの一言で今の気持ちを言ってしまえば。
ふざけるんじゃあないぞッ、と思わず悪態をついてしまうほどには、怒っている。
今すぐにでも奴をぶん殴ってやりたいほどに、怒っている。
そうだ、そうなのだ。あたしは今、どうしようもなく怒っている。
誰に、と聞かれれば、こんなクソったれたことをしでかした野郎に。姿も見せずに、ただ一方的に観察対処として楽しませろ、と宣ったルイ・サイファーとやらに、怒っている。
これが、今のあたしだ。そう、これがあたし───『フー・ファイターズ』、或いは『F.F.』。
ふざけるんじゃあないぞッ、と思わず悪態をついてしまうほどには、怒っている。
今すぐにでも奴をぶん殴ってやりたいほどに、怒っている。
そうだ、そうなのだ。あたしは今、どうしようもなく怒っている。
誰に、と聞かれれば、こんなクソったれたことをしでかした野郎に。姿も見せずに、ただ一方的に観察対処として楽しませろ、と宣ったルイ・サイファーとやらに、怒っている。
これが、今のあたしだ。そう、これがあたし───『フー・ファイターズ』、或いは『F.F.』。
「徐倫じゃあないけれど……はぁ。やれやれだわ」
身体を焼き焦がすような衝動を与えるこの煮えたぎる感情はそのままに、しかし努めて冷静に自分を取り繕って辺りを見渡す。
残念なことに、目が覚めてから直ぐにルイ・サイファーの啖呵を聞いてしまったから、奴が何処にいるかだって掴めてはいない。
見知らぬ場所ですべき行動は第一に状況把握だとあたしは思う。地形にしろ、場所にしろ、場合によっては水分の補給だってできないかもしれないのだから。
残念なことに、目が覚めてから直ぐにルイ・サイファーの啖呵を聞いてしまったから、奴が何処にいるかだって掴めてはいない。
見知らぬ場所ですべき行動は第一に状況把握だとあたしは思う。地形にしろ、場所にしろ、場合によっては水分の補給だってできないかもしれないのだから。
「だからといってこんな場所じゃあね……」
結果から言えば。水分補給の可不可については問題はなかった。ざああ、という波の音と目の前に広がる無窮の大海がありったけの水分の存在を主張している。それよりも、問題があると言えば。
ここが、海という牢獄に囲まれた、絶海の孤島である、というところだろうか。これでは、あのルイ・サイファーとやらをブチのめすどころか、一生ここから出られないだろう。
泳げばいい、というのはあくまで人間の発想。
今でこそ女囚・エートロの肉体に入れてはいるものの、いざ海に入ったら魚やらに食べられてしまうだろう。ここにきて、自身の本体であるプランクトンの肉体が憎らしく感じた。
此処は、都市ではなかったのか、といった嘆息を思わず零してしまう。奴が言うには、"観測都市"だったか。こんな草木が生い茂った文明の"ブ"の字もないここにそんな大層な名前をつけるんじゃあない。また、奴をブチのめす理由が一つ増えてしまった。
ここが、海という牢獄に囲まれた、絶海の孤島である、というところだろうか。これでは、あのルイ・サイファーとやらをブチのめすどころか、一生ここから出られないだろう。
泳げばいい、というのはあくまで人間の発想。
今でこそ女囚・エートロの肉体に入れてはいるものの、いざ海に入ったら魚やらに食べられてしまうだろう。ここにきて、自身の本体であるプランクトンの肉体が憎らしく感じた。
此処は、都市ではなかったのか、といった嘆息を思わず零してしまう。奴が言うには、"観測都市"だったか。こんな草木が生い茂った文明の"ブ"の字もないここにそんな大層な名前をつけるんじゃあない。また、奴をブチのめす理由が一つ増えてしまった。
「……こんなトコでも星はキレイだな」
ふと、夜空を見上げる。こんな時でも思い出すのは、仲間たちの顔。
ウェザー、アナスイ、エルメェス、エンポリオ…………そして、徐倫。
ウェザー、アナスイ、エルメェス、エンポリオ…………そして、徐倫。
───ねえ、徐倫。
───どこかで今も戦っているあなた。 星の輝きのように眩いあなた。糸のように繊細で、それでも誰より力強かった……あたしの、親友。
───あたしはまた、あなたにもう一度会いたいよ。
───また一緒にエルメェスとキャッチボールをしてみたい。
───泣き、笑い、楽しみながら。あなたと共に生きていく未来が。
───きっと、あたしは欲しかった。
───あたしはまた、あなたにもう一度会いたいよ。
───また一緒にエルメェスとキャッチボールをしてみたい。
───泣き、笑い、楽しみながら。あなたと共に生きていく未来が。
───きっと、あたしは欲しかった。
───あたしは今、ここにいるよ。 まあ、何の因果か、今やあたしは見せ物らしいけどね。
───もう、あなたには会えないし、会うつもりもない。あなたにはもう、「さよなら」を言ったから。
───もう、あなたには会えないし、会うつもりもない。あなたにはもう、「さよなら」を言ったから。
───だからまあ。死んだはずのあたしにできることはきっと、あんたの友達であるこの「知性」を、「魂」を、誰にも笑わせないってことだけなんだろうな。
「……らしくないな」
そう思いながらも、あたしは星を見続ける。なんとかして島から出て、あの声の主をぶん殴るのはまだ先になりそうだから。
せめて今だけでも、ほんのちっぽけな感傷に、浸っていたかったのだ。
せめて今だけでも、ほんのちっぽけな感傷に、浸っていたかったのだ。
【H-4/フー・ファイターズ(ジョジョの奇妙な冒険)/0:00】
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