崩落の呼び声 ◆OmtW54r7Tc
放送を前にして、
モロトフことテッカマンランスは市街地へと舞い戻り、中学校へとやってきていた。
そして、参加者を倒すべく探索をしていたのだが…
「ち、誰もいないのか」
そう、参加者は一人もいなかった。
いくつかの部屋には道具類が散らばっていたり、荒れている部屋などもあったため、誰かがいた痕跡はあるのだが…
「すれ違ったか…運のいい奴らめ」
モロトフがそう考えたとおり、数十分前まではここに二人のプリキュアと一人の仮面ライダーが訪れていたのだが、彼らはみなすぐにこの場所を発っていたのだ。
むろん、当のモロトフはそんなことなど知る由も無い。
「もうすぐ放送か…」
時計を見て、つぶやく。
一通りの探索を終えたモロトフは、放送の時間まで待機することにした。
『それでは、今回の放送は終了です。……みなさん、ごきげんよう』
「…ふん」
放送を聞き終えたモロトフは、憮然とした表情だった。
そしてしばらくして、先ほどの放送を行った
ニードルのホログラフが現れた上空を眺める。
「我々の兵力は絶大?かなわない存在?ふざけたことを…この世にテッカマンより絶対的な力を持ったものなどいるものか!我々テッカマンこそが最強であり絶対なのだ!」
先ほどのニードルや、加頭、
サラマンダー男爵の不敵な表情を思い起こし、モロトフの中で彼らへの敵愾心が強まっていく。
彼らは、自分たちが抗う姿を、高みの見物とばかりに見下ろし、自分たちが上位であり、強者であると、勘違いをしているのだ。
真の強者が、誰であるかもわきまえず。
「最強は、真の強者は、我々テッカマンだ!加頭、サラマンダー、ニードル。貴様らの思い上がり、この私が、テッカマンランスが、叩き潰してくれる!」
主催者打倒の決意を改めて固めたモロトフは、改めて今後の身の振り方について考える。
まず先ほどの放送。
死亡者情報については、ブレードが無様にもまだ生きながらえているということ以外には関心ごとなど無い。
禁止エリアについても、近隣のエリアが指定こそされたが、特別問題は無い。
となると考えるべきは、先ほどのニードルが出したふざけたクイズだ。
といっても、答えはすでに出ている。
完璧たるテッカマンたる自分に、あんな子供だましのなぞなぞが解けぬはずも無い。
青+黄色→緑で「翠屋」、○+×は日本の地図記号で警察署を表しているのだろう。
テッカマンとなる前には、アルゴス号の乗組員として相羽孝三のもとについていたこともあり、日本の地図についての知識もあったのだ。
そして、参加者の名前の計算式…これは名前の中にある漢数字を計算して、「参加者を二人以上殺した参加者が使用できる……といったところだろう。
新たに提示されたボーナスについては…どうでもいい。
完璧たる存在であるテッカマンに新たな力など不要な存在。
というより、そのようなものに頼るなど、彼のプライドが許さなかった。
モロトフは、あくまでテッカマンの力で最強を示したかった。
「そう、証明して見せるのだ!今のままのテッカマンの力でも、ブラスター化した不完全なテッカマンなどに負けなどしないと!」
それに、ブラスター化の弊害を知った今、新たな力など手に入れてもろくなことにならないという考えもあった。
そういうわけで、モロトフは主催者から新たに提示されたボーナスの話を、頭の隅へと追いやった。
「さて、これからどうするか…」
放送について一通り考えをめぐらしたモロトフは、改めてこれからの行動について考える。
中学校には相変わらず人など来ない。
このまま待ち続けるというのも億通だし、行動として消極的だ。
それなら、以前図書館でそうしたように、この中学校を破壊した上で拡声器を使ってみるか?
あるいは、変身者を二人以上倒したという強者が近くにいるという警察署へ向かってみるのもいいかもしれない。
ちなみにモロトフは、マミやせつなの死を直接見たわけでもなく、またせつなの名を知らないために、自分がその「変身者を二人以上倒した参加者」であることに思い至っていなかった。
そんなこんなで色々と考えているモロトフの目に…ふと、一つの施設が目にとまった。
「あれは確か…風都タワーだったか」
風都タワー。
それは自分がこの地で初めてタカヤと遭遇した場所だ。
そして、あのオカマとブレードに苦渋を飲まされる羽目になった場所だ。
「ふん…無駄に高いだけの塔……そんなものを作りたがるとは、愚かな人間どもの好みそうなことだな」
少し離れたこの場所からでもはっきりと見える風都タワーを、鼻で笑う。
馬鹿は煙となんとやらというやつだ。
あんなものを作って、自分たち人間があの塔の高さのように偉大な存在であると示したつもりなのだろうか。
だとしたら、なんともお粗末な話だ。
あんなもの、ただ無駄に高いだけで何の役にも…
「……待てよ?」
そのとき、モロトフの中で一つの考えが浮かんだ。
そうだ。どうして気づかなかったのだ。
この方法なら、拡声器以上に自分の存在を周囲に知らせることができる…!
考えをまとめたモロトフは、南下した。
目指すは風都タワーだ。
ちなみに、同エリア内には翔太郎たち一行がいたのだが、幸か不幸か彼らはすれ違ってしまい、遭遇することは無かった。
もっとも彼らも、そう遠くないうちにモロトフの存在に気づくだろう。
何故なら、彼がしようとしていること、それは―――
「たどり着いたぞ…風都タワー」
そんなわけで、道中誰にも出会うことなく、モロトフは風都タワーへとやってきていた。
「ふん、この私の役に立てることを、光栄に思うがいい…」
「テックセッタアアアアアアアアアア!!」
テッククリスタルを掲げたモロトフは、テッカマンランスへと変身。
そして、間髪入れずに…
「ボルテッカアアアアアアアアアアア!!!」
風都タワーめがけて、ボルテッカを放ったのだ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ガラガラガッシャアアアアアアアアアアアアン!!!
そして、ランスのボルテッカを受けた風都タワーは音を立てて崩落した!
「これでいい…」
風都タワーが倒れたことに、テッカマンランスは満足する。
風都タワー…それはランスからしてみれば無駄に高いタワーに過ぎなかった。
しかし、だからこそ利用価値があった。
このタワーは、市街地内にいるものやその近辺にいる参加者なら誰もがその姿を目撃する。
それだけ目立ったタワーなのだ。
ゆえに…このように音を立てて崩れてしまえば、誰でもそこで何かがあったのだと気づく。
その範囲は、拡声器の比ではない。
拡声器の何倍もの範囲で、周囲に自分の存在を知らしめることができるのだ。
「さて、これで仕上げだ…」
風都タワーを破壊したランスは、デイバックから拡声器を取り出し、スイッチを入れる。
そして……叫んだ。
『愚かな蟻どもよ!この私の偉大なるショーを見てくれたかな?私の名はテッカマンランス!たった今この風都タワーを破壊してやった!』
『ふははは、驚いているか?これこそがテッカマンの力!テッカマンの前には、いかなる抵抗も反抗も無駄だと分かってくれただろう!』
『それでもなお、私に逆らおうというのなら…H-8、風都タワー跡へとやってくるがいい!』
【1日目/日中】
【H-8/風都タワー跡】
【モロトフ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、ランスに変身中
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、拡声器、ランダム支給品0~2個(確認済)
[思考]基本:参加者及び主催者全て倒す。
1:風都タワー跡にて参加者がやってくるのを待つ
2:いずれブラスター化したブレードを倒す。
3:プリキュアと魔法少女なる存在を皆殺しにする。
4:キュアピーチ(本名を知らない)と
佐倉杏子の生死に関してはどうでもいい。ただし、生きてまた現れるなら今度こそ排除する。
5:
ゴ・ガドル・バという小物もいずれ始末する。
[備考]
※参戦時期は死亡後(第39話)です。
※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。
※ボルテッカの威力が通常より低いと感じ、加頭が何かを施したと推測しています。
※ガドルの呼びかけを聞きましたが戦いの音に巻き込まれたので、全てを聞けたわけではありません。
※ボルテッカによる轟音が響き渡りました
※風都タワーが崩落しました
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最終更新:2013年05月17日 21:06