正義の価値 ◆F3/75Tw8mw


(こんな事……絶対に駄目だ。
絶対に、止めなくちゃ……!!)


廃教会。
かつて紅の魔法少女―――佐倉杏子に己の信念を伝えたその場で、美樹さやかは再び強い決意を固めていた。
魔法少女として、正義の味方として。
この殺し合いを止める……止めなくてはならないと。
それは、この場に招かれた仮面ライダーやプリキュア、魔戒騎士といったヒーロー達も同じ思いだ。
彼等彼女等は、悪を憎む強い正義の心から、そう誓っている。

そしてその思い自体は、さやかも変わらない。





ただし、ただ一点……彼等が持たぬ「歪み」があることを除けば。





(そうだ……あたしは魔法少女なんだ。
あいつを倒さなきゃ……あたしが、倒さなきゃいけないんだ……!!)


さやかの心にあるもの。
それは悪を許さないという気持ち以上に……「自分は正義の味方でなくてはならない」という強迫観念だった。


(この魔法は、使い方次第で多くの人を幸せにできる……その為に使わなくちゃいけない力なんだ)


美樹さやかはかつて愛する幼馴染―――恭介の為に奇跡を願い、その代償として人在らざる者―――魔法少女へとなってしまった。
痛みも感じない、生ける屍同然の肉体。
そんな異形が、愛する者と一緒になれる筈がない……彼女は誰かの幸せを願ったが為に、自らの幸せを願えなくなってしまったのだ。


(間違っても……魔法は、こんな殺し合いの為にある力じゃない)


そして、そんな彼女に追い打ちをかけたのが、大切な友人―――魔法少女となった最初の戦いで救出した―――仁美から打ち明けられた事実。
「恭介に告白する」という、最悪の一言だった。
さやかはその言葉に、何も返せなかった。
異形に堕ちた人間に何が言えようかと……そう深く絶望し、「彼女を助けなければよかった」とさえも思ってしまったのだ。


(自分の為に……使っていい力じゃないんだ……)


そんな、思いつめた彼女に残された道……それは「正義の味方」であり続ける事。
人に呪いを振りまく魔女を、この手で刈り取る……修羅という名の正義しかなかった。
以来、彼女は自らの肉体が傷つく事を顧みず、周囲の言葉にも一切聞く耳ももたぬままに、無謀な闘いを続けてきた。
そうしなければ……自身は役立たずになってしまうから。
完全に用済みになってしまうからと、精神を摩耗し続けているのだ。


(あたしは、この殺し合いに参加させられた人達の為に戦わなくちゃならない。
 戦えなかったら、何の価値もない……石ころなんだから……)


もしも彼女が、佐倉杏子の様に『自分の為』に魔法を使える性格だったならば、ここまで追い込まれはしなかっただろう。
戦いに『見返り』を求められる人間だったなら、ここまで傷つく事は無かっただろう。
しかし、彼女にとって魔法とは、どう言われようとも「他者の幸せを願うもの」に他ならなかった。
それこそが信念であり、彼女が目指す正義でもあるが故に……彼女は、心を病んでしまったのだ。



(……行こう。
 兎に角、誰かを探そう)


そんな、呪いにも似た歪な正義の下、彼女は殺し合いを止めるべく動き出そうとする。



その、瞬間だった。



「ッ……!?」


突然、彼女の全身を凄まじい悪寒が駆け廻った。
例えるなら、背後から刃物を喉元に押し当てられているかのような感じと言えばいいだろうか。
いつの間にか、体も震えている……本能が、恐怖を感じているのだ。
こんな事……魔女との戦いでも、そうそうあるものじゃなかった。


(後ろに何か……とんでもなくヤバいのがいる……!?)


さやかは、己に向けられたソレ―――殺気を察知し、後ろに振り返る。
同時にソウルジェムを取り出し、すぐさま変身が可能な態勢をとった。
そして、そんな彼女の視界に飛び込んできたのは……一人の、男だった。


「…………」

(何……この人……?)


漆黒のコートを身に纏う、黒いリーゼントヘアの男。
その瞳はサングラスで隠されており、より全体の不気味さを際立たせている。
そして何より特徴的なのが、全身から放たれる強大な威圧感。
さやかは、その男―――三影英介を前にして、完全に身が竦んでいた。


「……ガキか……」


三影は咥えていたたばこを地面に吐き捨てると、静かにサングラスを外して胸元のポケットにしまった。
現れたのは、さやかが予想していた通りに冷たい光が宿った瞳……しかし、それは左目のみだった。
では右目は何かというと、そこにあったのはまた別の『光』。


「だが、ただのガキでもなさそうだな……ならば……」


さやかの額目掛けて放たれている、赤く細い照準―――レーザーサイトだった。


「消え失せな……!!」


次の瞬間。
骨が砕けたんじゃないかと思える程の音と共に、三影の右肩から何かが生えてきた。
それは彼の肉体の一部にして、獲物の命を無慈悲に奪う為の兵器。
轟音を轟かせ、砲弾を放つ大筒―――大砲だった。


「なっ……!?」


それを前にして、さやかは驚きを隠せなかった。
生身の人間がいきなり体から大砲を出現させ、しかも自分の命まで狙ってきたとあっては、当然の反応だろう。
しかし、驚き立ち尽くしたままではいけない。
動かなければ、殺されるのだから。


(……驚いてる場合じゃ、ない……!!)


すぐさまさやかは、ソウルジェムを使ってその身を戦う為の姿―――魔法少女へと変える。
それと同時に、強く地面を蹴って横へと跳躍。
間一髪、砲弾を回避し……直後。



――――――ドゴォンッ!!


今まで彼女が立っていた場所のすぐ後ろにあった壁が、音を立てて粉々に吹き飛んだ。
もしも回避が間に合わなかったなら……変身できず生身のままであったなら、良くて致命傷。
悪ければ即死級の破壊力だ。



「……ふん……やはりな」


三影は魔法少女となったさやかを見て、己の勘が正しかった事を確認する。
例え少女といえども、こんな殺し合いに参加させられている時点で、ただの一般人な訳がない。
どんな本性を秘めているか分かったもんじゃない……と。
それ故の発砲であり、そしてさやかは見事に回避してのけた。


(こいつ……一体何なの!?
 肩から、大砲を出すって……魔女でも使い魔でも……間違っても、魔法少女じゃ絶対にない筈なのに……!!)


三影の挙動は、さやかにこれ以上ない混乱を齎していた。
こんな攻撃を使える存在など、魔女か使い魔か……或いは、魔法少女以外には考えられない。
しかし、三影は明らかにその三つとは異なる。
未知の力を持つ、外敵……「化け物」と言うべきかだろう。
兎に角、分かっている事はただ一つ……明らかに危険な存在ということだ。


「おい、小娘……お前はこの殺し合いで、何をするつもりだ?」


一方、そんな彼女に興味を抱いたのだろうか。
三影は二射目に移行せず、静かに問いかけた。
この殺し合いで、どう動くつもりなのか……と。


「何って……そんなの、決まってるじゃない。
 あたしは、この殺し合いを止める……魔法少女として、正義の味方として皆を守ってみせる。
 こんなのは、絶対に間違ってる……!」


さやかは、魔法で右手にサーベルを出現させると共に答えた。
魔法少女の力で、殺し合いを止める。
誰かを守る為に戦ってみせると。


「……ケッ。
 貴様も、あの連中と同じ……夢想家気取りの偽善者か……!」


しかし……それは、三影が最も望んでいない答えだった。


「反吐が出る……!!」


その怒りの声と共に、三影の全身が光の粒子に包まれる。
さやかはそれを見た瞬間、すぐに飛び出した。
このままではまずいと……そんな嫌な予感がして、攻撃に移ったのだ。


「えぇぇいっ!!」


雄たけびと共に、三影の脳天めがけてサーベルが振り下ろされる……しかし。



「遅い……!!」


その刃は、十字に交差した八本の爪に防がれていた。
爪の先にあるのは、白い毛を靡かせた虎の手。


「白い……虎……!?」


この時、既に三影の全身を覆っていた光は消失していた。
そして彼自身の身は、人在らざる異形へと変化していた。
白い体毛をもつ、猛虎の改造人間―――タイガーロイドへと。


「オオオォォォォッ!!」


砲口と共に、タイガーロイドは受け止めていたサーベルを弾き上げる。
続けて胸元より、一本の砲身を出現させた。
この時さやかの胴体は、振り下ろした獲物を腕ごと頭上へと上げ直された事により、完全に無防備。
タイガーロイドの狙いはずばり、そこをぶち抜く事だった。



――――――バシュッ!!



「ぬっ!?」


しかし砲弾は直撃せず、さやかの左肩を僅かに抉るに留まった。
彼女とて魔法少女、戦闘能力でいえば並の人間よりかは高い部類に入る戦士だ。
三影が砲身を出した瞬間に身をかがめ、どうにか致命傷は避けたのである。


「……こんなの……どうってことない……!!」


そしてさやかは、すかさず反撃へと転じる。
立ち上がる勢いに乗せて、タイガーロイドへと逆袈裟に切り上げたのだ。

241 :正義の価値 ◆F3/75Tw8mw:2011/10/30(日) 01:40:33 ID:TanZm9nU0

「痩せ我慢……か。
 苛々して仕方がねぇ……!」


だが、その刃は紙一重でタイガーロイドを斬れなかった。
タイガーロイドもまたさやかの反撃を見切り、バックステップでギリギリの回避をしたのだ。
加えて、その両腕からは実に三本もの銃身がせり出している。


「真実を見ない理想主義者の、クソみたいな美学だな……!!」


さやかの身を蜂の巣とすべく為。
銃口が一斉に火を吹き、弾丸が打ち放たれた。


「当たってたまるもんか!」


彼女はこれを、最初の一撃同様に横への跳躍で回避。
しかし今度の攻撃は、大砲ではなく連射が利く銃弾だ。
よってタイガーロイドの攻撃は止まらず、続けて彼女を狙ってきている。


「だったら……!」


ならばと、さやかは足を止めることなく走る。
教会の壁目掛けて全力で疾走し、銃弾を避けていく。
そして壁へ行き当たると、今度はその壁に片足を乗せ……


「ハァァァッ!!!」


そのまま、スピードを落とす事無く壁面を疾走。
タイガーロイドに向かい、横から迫っていく。


「チィッ!!」


それを迎撃すべく、タイガーロイドは狙いを定めて発砲。
しかしさやかは、命中直前に再び跳躍して回避。
今度は天井へと逆さに立ち、更に反対側の壁へと飛び移る。
地面から壁へ、壁から天井へ、天井からまたも壁へ。
上下左右へのアクロバティックな動きでタイガーロイドを翻弄し、狙いをつけさせない様にしているのだ。


(よし……これならあいつも、あたしを上手く狙っては打てない。
 後はこのまま、上手く近寄って……!!)



しかし……タイガーロイドはこの幻惑戦法を、思いもよらぬ方法で打ち破る。



「くだらねぇ……何が正義の味方だ」


縦横無尽に動き回るさやかに対し。
タイガーロイドはその肩口から大砲をせり出し……その、直後。


「腐れ切ったこの世の中に、善も悪もあるものか!!」


怒りの声と共に、教会の天井が吹き飛ばされた。


「……しまった……!?」


相手がこの教会内を自在に飛び回るというなら、着地できる面をなくせばいいだけの事。
三影は天井を吹き飛ばす事により、さかやの上方向への回避を潰したのだ。
やむをえず、さやかは錯乱を止めて攻撃へと移行。
壁を強く蹴り、横合いからタイガーロイドへと斬りかかろうとするのだが……


「甘いッ!!」


相手の飛び交う方向さえ限定できれば、もはや攻撃を見切るのは容易。
タイガーロイドは向かってくるさやかへ向い左腕をあげ、正面から銃弾を打ち放ったのだ。


「ぐっ……!!」


サーベルを体の前で横向きに構え、盾代わりにする。
しかしそれで全ての攻撃を防ぐ事は当然不可能であり、結果、何発かの銃弾は彼女の手足と胴体を撃ち貫いてしまった。
全身を、焼ける様な痛みが駆け廻っていく。


「っ……アァァァァァァッ!!」

「何ッ!?」


だが、さやかは止まらない。
雄たけびを上げ、全力でタイガーロイドへと切りかかったのだ。
まさか攻撃を諸共せず突っ込んでくるとは思わなかったのだろうか、彼も今度ばかりは攻撃をもらってしまった。



「貴様……痛みを感じていないのか……!!」


真一文字の傷を胴体につけられ、タイガーロイドの表情が歪む。
同時に、彼は理解した。
先程はやせがまんと言ったが、そうじゃない……目の前の少女は、そもそも痛みを感じていないのだ。
何らかの方法で、感じる痛みを消し……こちらの攻撃に無理矢理耐えているのである。


「……ざけんじゃねぇ……そんな体になってまで、守る価値なんざこの世にあるかってんだ、アァッ!?」


そんな彼女の行動が、タイガーロイドには忌々しくて仕方がなかった。


「自分の身を犠牲にして、弱者と戦う?
 正義の味方として悪を倒す?
 そんな事になんの価値がある!!」

「……価値なら、ある。
 あたしが戦う事で、誰かの命が救えるんだから……!!」


タイガーロイドの言葉にやや険しい表情になりながらも、さやかは三影に斬りかかる。
自分は、魔女を倒す正義の味方なんだ。
それで誰かが守れるんだから、価値なんてそれでいい……見返りなんていらない。
見返りなんて、求めちゃいけない。


「ハッ……ならよ……」


そんな信念の込められた攻撃を、タイガーロイドは爪で受け流す。
そして、砲撃を放つべく再び距離をとり……直後。


「その命には……はたして、本当に守る価値があるのか?」



彼は、その口から……魔法少女として戦おうとするさやかの心を、根本から打ち砕く言葉を言い放った。



「……え……?」


タイガーロイドの思わぬ言葉に、さやかは思考を制止させた。
自分達が守ろうとする命に、果たしてそれに見合うだけの価値があるのか。
そんな事、考えたこともない……第一、考える意味がない。
危機に瀕している命があれば救おうとするのは、当然じゃないのか?


「そんなの……価値があるとかないとか、関係ないでしょ!
 目の前に困ってる人がいたら、助けるのが当然……」

「正義の味方だから……か?
 八ッ……呆れたものだな。
 そんなもの……偽善者どもが作り上げた、体の良い『生贄』だろうが」

だが、さやかの反論は三影に一蹴された。
正義の味方を唱える事は、愚か以外の何物でもない……と。


「……生贄……?」

「人間程腐った生き物はいねぇ。
 普段は正義だの平和だの唱えて聖人面しておきながら、その実、常に武装をして理解を超える存在には牙をむき侵略を繰り返す。
 そして統治がすめば、また正義の皮をかぶりやがる……」

「ねぇ……一体、何を言ってるの……?」


さやかは、三影の言葉に自分が徐々に圧されている事を感じていた。
今はきっと、こんな話などに聞く耳は持たず、問答無用に切りかかればいい話なのかもしれない。
しかし……何故か、それができないのだ。
三影の言葉に、何かを……重みの様なものを、感じてしまっているが為に。


「そんな連中が作り上げたものが、『正義の味方』なんていう馬鹿げた幻想だ。
 自分達の力じゃ決して勝てない存在が出てきた時に、そいつを『悪』に仕立て上げ……そして戦いを押し付ける。
 実に都合がいい、救世主様ってわけだ」

「ッ……!!
 違う、私達はそんなんじゃ……!!」

「違わねぇよ。
 貴様はただ、体の良い様に扱われてるだけだ。
 何の見返りもいらない、頼めば無償でやってくれる汚れ役……そんな存在としてな」

「……そんなこと……!!」


気がつけば、三影の言葉はさやかにとって苦痛以外の何物にもなっていなかった。
彼の言う事を、真っ向から否定できなくなり始めていたからだ。


「悪の根は人の根だ……俺からすれば、そんな偽善者の連中のほうがよっぽどの罪人だ」

「……やめて……」


誰かを助けることに、何の見返りも求めない。
それが正義の味方なんだと、さやかはずっとそう思っていた。
しかし……周囲からすればそれは、ただ都合が良いだけの存在なのではないだろうか。
進んで汚れ役を引き受けてくれ、見返りは何もいらないという。
困った事・危機があれば、勝手に戦ってくれる。


「だから俺は、そいつ等を粛清する為にこの力を手に入れた。
 この世を正す為にな……」

「……やめてって言ってるでしょ……!」


正義の味方という言葉は……そんな都合の良い生贄を美化する為の、幻想でしかないのだろうか。


「お前の守ろうとしている連中に……守る価値なんてねぇんだよ」

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」


耐え切れず、さやかは怒鳴り声を上げながら三影へと飛び出していった。
彼女にとっては、正義の魔法少女として戦う事だけが残された全てだった。
そして三影の言葉は、その意義を真っ向から否定してしまうもの……即ち。
さやかの存在意義そのものを、消してしまうものなのだ。
そんなもの、絶対に受け入れてはいけない。
受け入れたら……美樹さやかという存在は、何の価値も無くなってしまうのだから。


「……馬鹿め……」


ただ怒りに身を任せて飛び込んでくる相手など、もはや敵ではなかった。
タイガーロイドは、肩口より大砲を出現させ……そして。


轟音が、静寂の夜に響き渡った。





◇◆◇



「……覚えておきな、小娘。
この世は弱肉強食……そこに正義があるっていうなら、強い奴こそが正義だ。
勝ち残った奴が正義なんだよ」


さやかは砲撃の直撃を胸元にうけ、壁に埋もれたままピクリとも動かなくなっていた。
そして三影は変身をとき、彼女に対し、そう冷酷に言い放った。
偽善者が掲げる正義など虫酸が走る。
勝者こそが、力こそが正義なのだ。


(しかし……普段に比べて、体にかかる負担が大きいな。
この程度のガキに、ここまで消耗させられるとは……)


そしてさやかを嘲る一方、三影は自身の肉体にかかっている負荷の重さについて冷静に考えていた。
この一戦、変身中の体力の消耗が明らかに普段よりおかしかった。
銃撃一つ放つにしても、疲労が何故か貯まるのだ。
恐らくこれは、加頭の仕込みだろう。
殺し合いが一方的な虐殺にならぬよう、力を抑えられたに違いない。


(いや、消耗だけならまだいい。
 問題は……威力まで落ちてやがることだ)


しかしそれ以上に厄介なのは、威力が低下していることだ。
三影は元々最後の一撃で、さやかの胸元に風穴をぶち開けるつもりだった。
だが、結果は見てのとおり……彼女を倒せたとはいえ、期待通りのダメージは与えられていない。
肉塊にはならず、人型を保ったまま生きている。


(加頭……貴様が何を目論んでいるかは知らん。
 だが、俺の体を好き勝手に弄った礼はさせてもらうぞ……ここの連中を皆殺しにした、その後でな)


タイガーロイドの力は、己が理想を叶えるべく手に入れたモノだ。
それを弱体化させるなど、三影には当然許せる筈もない。
故に、彼は誓う。
全ての参加者を皆殺しにした後……加頭をも、この手で処断すると。


「じゃあな……あばよ」


さやかに背を向け、三影は外へと出る。
新たな獲物を……愚かなる偽善者を探し、殺すために。



正義だのというくだらない幻想を、破壊しつくす為に。



【一日目・未明 F-2/路地】
【三影英介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~3
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残り、加頭の命を断つ。
1:殺し合いを止めようなどと考える『偽善者』の抹殺
2:邪魔をする者には容赦しない
[備考]
 ※参戦時期は仮面ライダーSPIRITS第7巻、村雨との一騎打ちの直前からです
 ※まだ名簿を確認していません。
 ※タイガーロイド変身時は、全身から銃口・砲身を出現させて射撃を行うに当たり、体力を消耗するようになっています。
  疲労の度合いは、放つ射撃の威力・大きさに比例して大きくなります。
  また、破壊力に関しても通常時と比較してそれなりに落とされています。



◇◆◇



三影が去ってから、しばらくした後。
静寂が訪れていた廃教会に、ガラッという小さな物音が響き渡った。
その音の正体は、埋もれていたさやかの肉体が僅かながらに動いた事だった。



(……あたし……まだ、生きてるんだ……)


そう……三影は、死んだものと思っていたようだが。
さやかは、まだ生きていたのだ。


その原因は二つ。
一つは、さやか自身が『癒し』の力に特化した魔法少女である事。
傷を負おうとも、ある程度ならば自己で自然治癒させる事が可能なのだ。
その為、タイガーロイドから受けたダメージを多少とはいえ軽減出来ていた。

そして二つ目が……三影が彼女の正体を知らなかった事にある。


(そっか……あいつ、ソウルジェムを知らなかったんだ……)


魔法少女とは、強力な魔女と戦うべく肉体と魂とを分けられた戦士なのだ。
もしもそれを殺そうと思うなら、肉体を再生不可能なまでに粉砕するか。
或いは、魂が宿った宝石―――ソウルジェッムを砕くしか手はないのである。
とはいえ、彼女が生き残れた事はかなりギリギリの結果だった。
何せ、彼女のソウルジェムがあるのは臍。
三影の砲撃が、後少しばかり下を狙ったものだったなら……命はなかっただろう。


しかし……果たして生き残れた事は、彼女にとって本当に幸運だったのだろうか。



(……ねぇ……正義の味方って、何なの?)


三影の言葉は、正義の味方であろうとするさやかの心を、完膚なきまでに打ちのめしていた。
これまでずっと、彼女は他人の為を思い魔女と戦い続けてきた。
そうしなければ自分には生きる価値がないのだからと、己を追い込み続けていた。


(あたしは、ただの便利な……石ころなの……?
 感謝もされなくて、役に立たなければ捨てられて……)


だが、それは……周囲からすれば、単なる汚れ役に過ぎなかったのではないだろうか。
『自分達にはできないから』と、無理矢理に全てを押し付けられる。
出来なければ、用済みという……都合の良い救世主に仕立て上げられていただけではないのだろうか。



(この世界って……守る価値……あるの?)


そんな漆黒の思いを知ってか知らずか。
少し離れた位置に落ちている彼女のデイパックから、まるで意思が在るかのようにそれは転げ落ちた。
ソウルジェムに貯まった負の濁りを浄化できる、魔法少女にとっては生命線とも言える宝石―――グリーフシードが。
それを使えば、まだ彼女は戦えるだろう。

しかし……それを使うだけの価値が、ここには本当にあるのだろうか。



(教えてよ……誰か、今すぐ……でないと、私……)






ド ウ ニ カ、 ナ ッ チ ャ ウ ヨ ?







【一日目・未明 F-2/廃教会】
【美樹さやか@】
[状態]:魔法少女に変身中、ダメージ(大)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(大)
[装備]:サーベル、ソウルジェム
[道具]:支給品一式、グリーフシード1個、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:自分の存在意義が何なのかを教えてほしい
1:正義って……何なの?
2:この世界に、守る価値ってあるの?
[備考]
 ※参戦時期は8話、ホスト二人組の会話を聞く前です。
 ※『癒し』の魔法の効果で回復力が高まっており、ある程度ならば傷の自然回復が可能です。
 ※ソウルジェムが濁っていますが、この会場内で魔女化が出来るかどうかは不明です。
 ※正義の味方として戦う事が本当に正しいのかと、絶望を覚えています。
 ※まだ名簿は確認していません。
 ※タイガーロイドの砲撃により、廃教会の天井と一部の壁が吹き飛ばされました。
  近隣エリアに、その轟音が響いている可能性があります。



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美樹さやか Next:魔法、魔人、悪魔



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最終更新:2013年03月14日 22:12