外道─ビースト─ ◆gry038wOvE


 姫矢准は前方の彼方に見える異形の怪物を見つめていた。
 血を被った悪魔のような恐ろしき形相は、加頭によって召喚されたあの場でも異彩を放っていたことだろう。
 "ドーパント"という怪物を見るより以前に、あの場には怪物がいた。ゆえに誰もがあの男に注意を払っていたのである。人の群れに逸れた怪物──
 それがあれだ。


(ビーストか……?)


 少なくとも自分が戦ってきた怪物「ビースト」とは違う。
 あの獣の形をした怪奇とは、また別の怪物であるような気がする。
 あれが妙に人型として完成しており、行動も妙に思考や感情に伴ったものであるように見えたからだ。
 言ってみれば、加頭が変身した「ドーパント」に近い。

 だが、こうして異形を前にするとつい「ビースト」という呼称が頭に浮かぶ。
 あれはビーストと呼んで差し支えないだろう。────まあ、言ってみれば姫矢にとって「ビースト」は異形の総称のようなものであり、あれに呼び方がない以上は「ビースト」と呼んだほうがわかりやすかったのだ。
 かつて西条凪が自分をビーストと同等に考えたのと同じである。


(やっぱりこの殺し合いは普通じゃない……)


 あのような怪物を拘束し、常軌を逸したウルトラマンの力さえ抑制するこの殺し合い。
 それは姫矢の常識など遥かに越えた異常な場である。
 先ほど、姫矢はストーンフリューゲルを呼んだが、それがやって来ることはなかった。つまり、デュナミストの能力もこの場ではどの程度使えるかわからないということだ。

 ただ、ウルトラマンとしての変身には支障がなかった。実験したところ、巨大な姿になることはなかったが、変身そのものには問題がない。
 ブラストショットも発射できたし、アンファンスからジュネッスへと形態を変えることもできた。
 メタフィールドの発生は実験すらしていないが、おそらく無理だ。これに関しては、ストーンフリューゲルが呼び出せなかったことから、他の参加者が影響できないものは制限されると考えられたから推測したのである。

 加頭もあの場で言っていたはずだ。

 ────時間操作の影響を受けずに作動するよう出来ていますから

 下手をすれば、空間さえ越えてメタフィールドが発動した瞬間に首輪が爆発する可能性だって否めない。
 時間を操作できるという言葉の意味はわからないが、少し強引に考えればメタフィールドのことを言っているとも考えられる。メタフィールドはそもそも現実とは全てが違うと言っていいからだ。無論、時間に関しても。

(まあいい……この場にはTLTの人間や孤門もいる。援護を手伝ってくれるかはわからないが、協力してくれれば心強いのは確かだ。……しかし、あいつから目を離すことはできないな)


 姫矢は尚、「ビースト」の様子を遠目で追い続ける。
 相手の強さがどの程度であるか、まだわからないが戦う覚悟ならばできている。
 こんな時、戦闘のプロであるあの集団がいれば心強いのだろう……と思いながらも、今は力に選ばれた自分の圧倒的な能力を信じ、「ビースト」の態度によっては戦うのみ。


 ──溝呂木眞也──


 そう、ヤツとも────


★ ★ ★ ★ ★


 虫がいることには気が付いている。
 ただ、相手にしていないだけだ。

 血祭ドウコクは、後方で自分の様子を覗き見る男の存在を察知していた。
 ドウコクの異形に驚くこともなく、ただ覗き見ているだけの男には少し違和感も感じた。
 まるで戦う覚悟があるかのようで、手を合わせればただの人間よりは楽しめそうな相手だとは思える。


 しかし、それでもやはり虫と同じだ。
 あれは所詮は人間。たとえシンケンジャーのように変身しようと、太夫のように外道に堕ちようと、ドウコクと人間の間には力の差というものがある。
 それこそ、ドウコクの前には人も虫と同じというほどに。


(あんまりうぜぇようなら殺すが、今は虫を追うのも面倒だ。シンケンジャー……奴らでもない限りは今殺す意味がねぇ)


 こんな何もない森の中であんな技量不明の男を殺しても満たされはしない。
 今、ドウコクが何より殺したくて仕方のない相手はシンケンジャーである。

 折角、水切れを起こさない体になったのだ。
 手合わせするならシンケンジャー一筋というもの。
 わざわざ男の前まで出向いて首を狩るのも面白味も意味もない話だ。
 今はあんな雑魚は無視してシンケンジャーを殺す。
 ただ、それだけだ。


 それと、標的というのならもう一人。
 こんな場所に連れて来て、ドウコクの刀を奪った加頭は忌むべき存在──加頭も同じくドウコクの苛立ちを買った。
 殺し合いというものはドウコクの気分を高揚させる言葉ではあるが、ドウコクのニ刀を奪い、こうして降竜蓋世刀を支給品にまぎれさせてくるとは──

 ドウコクの降竜蓋世刀が支給品の中に紛れていたことを考えると、昇竜抜山刀がどこかで誰かの手に渡っている可能性もある。その誰かというのが、あの刀も使いこなせぬような小虫だったというのなら、ドウコクの苛立ちも募るだろう。まあ、たとえ達人であろうともその苛立ちに代わりはないだろうが。
 威力としては昇竜抜山刀の方が強く、ニ刀が揃ってこそドウコクも落ち着くという理由もあり、持主が見つかれば殺したい。あれを他人の手に委ねた加頭に対しても同じだ。


 それに、おそらく没収されているのはドウコクの刀だけではないだろうと考えられる。
 やがて一つの刀の名が思い浮かぶ。


(死んだヤツが作った死んだヤツの刀……裏正、あれも誰かが持ってるのか?)


 裏正のことを思い出して初めて、広間に二人の死者の存在があったことに気が付いた。
 アクマロ、十臓。いずれもドウコクの時間軸ではシンケンジャーに倒されており、二人の姿がここにあるのは少し疑問でもあった。
 だが、面倒なことは考えずにアクマロや十臓も殺せばいい。
 気に入らない奴らだが、また死んでしまえば同じことだ。


 外道衆の御大将はひとつの愛刀を右手に歩く。
 歩き出したとき、虫が一匹、それに合わせるように動いたことに気づいた。
 いま、感じきれぬような苛立ちがドウコクの心に募る。



【1日目/未明 E-7 森】

【姫矢准@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:エボルトラスター@ウルトラマンネクサス、ブラストショット@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:ビースト(ドウコク)の様子を伺い、危険とみなせば倒す
2:孤門やTLTの者と合流する
3:溝呂木を倒す
[備考]
※参戦時期はダークメフィストとの最終決戦直前です。
※制限によりストーンフリューゲルの召喚、メタフィールドの発現は禁止されています。
※ドウコクを自分が戦ってきたビーストと同種とは考えていませんが、未知の生物の総称としてビーストと呼ぶことにしました。


【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:その時の気分で皆殺し
1:追ってくる男に少し苛立ち。殺すか…?
2:昇竜抜山刀を持ってるヤツを見つけ出し、殺して取り返す
3:シンケンジャーを殺す
4:加頭を殺す
5:アクマロ、十臓なども殺す
[備考]
※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。




時系列順で読む

投下順で読む




姫矢准 Next:彼等早朝迄─ロングナイト─
血祭ドウコク Next:彼等早朝迄─ロングナイト─



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月14日 22:20