大雨
8時頃起床。寝ながら聞こえていたが、車外からは激しい雨の音がする。3人はまだ寝ている。僕は日記の続きを書いて過ごした。10:00、列車は1時間遅れてフエに到着した。3人はフエで何泊かするらしい。別れを言って、列車はまた動き出す。さっきまでの賑やかさから一転、急な静けさに変わり、すっかりセンチメンタルな気持ちになってしまった。天気も益々下り坂だ。
水没した田
景色は一面の田んぼだが、大雨のせいか、大部分が水没している。そこに、アヒルの大群が、まるで米粒のように集まっていたり、牛が嬉しそうに草を食べている。特に、子牛がジャボジャボと嬉しそうに跳ね回りながら、親牛の周りをぐるりと周る様子は、平和そのものだった。広大な田を抜けると、列車は湾の南側を進む。この辺から天気は回復に向かい、透明な川に飛び込んで遊ぶ子供たちが見えたりした。列車の中は冷房が効いていて涼しいが、それでもあのように川で泳いだら、どれほど気持ちいいだろうと思った。湾を抜けると、列車は山を一つ越える。山道に入った途端に、天気はまた下り坂だ。果たして、ハイバン峠で晴れるだろうか?山の天気は本当に変わりやすく、サイコロを振っている気持ちだ。
ハイバン峠
列車は湖畔を進む。湖からは無数の柱が突き出ていて、その上に家が建てられている。湖上で生活しているようだ。それから、南シナ海を左手に、崖を登っていく。この辺の海は、一部青いところもあるが、泥で黄色く濁っている。大シケだ。ところが、いよいよハイバン峠にさしかかると、不思議に雲が去り、陽が差してきた!そのおかげで、断崖を右へ左へうねりながら進む列車と、崖下に臨む濃緑、海の明黄、空の軽青を楽しんだ。遠くにはダナンのビル群が見える。峠を越えてしまうと下りは早いもので、20分ほどでダナンへ到着した。時刻13時頃。
ダナン
ダナンは快晴。なので、太陽の位置を参考に方角を知る。Hai phong通りを東に進み、Tran Phu通りで南下した。まず気づくのが、生活水準の高さだ。店は路端でやっているのは皆無で、きちんとした看板がある。道で物売りをしている人や、ザルを運んでいる人など見かけない。そして何より、(交通量の絶対量も少ないのかもしれないが)渋滞が無く、クラクションも全くうるさくない。歩道は広く歩きやすい。むしろ、歩道がきちんとあることが衝撃的だった。それから、信号等の交通ルールもしっかりしていて、大変道を横断しやすい。建物も、高めのビルや、変わったデザインの橋や、音楽ホール等があり、ハノイと比べて大分近代的に感じた。一方で、ハノイのクラクション地獄に慣れてしまった僕には、秩序が物足りなく感じるのだった。
場所が違えば食べ物も違う
適当に通りの店に入る。この辺では、フォーはメニューにない。あったとしても、「ハノイのフォー」と書かれている。注文した料理名は忘れてしまったが、汁の少ない麺に、ナッツやら海老やら乗っているのを食べた。
Han市場
一階は日用品、食料品コーナーとなっている。野菜、果実、ハーブ、香辛料、肉、干物、魚介・・等が所狭しと並んでいて、歩いているだけで楽しい。面白いのは、生きているカニが売られていたこと。縄で縛られて、ハサミも動けないようにしてゴロゴロと転がしてある。僕はバナナが食べたかったが、売っているのは実が何十とついている一房単位だ。そこで、「一個だけ欲しい」と伝えると、商品にはならなかったため切り取っただろうバナナ屑をくれて、シッシッとやられた。少し黒い部分はあったがとても美味しかった。日本で普段目にするもの(フィリピン産?)よりも、黄色くて短い気がする。ダナン教会の前で頬張りながら、ホイアン行きのバスを待った。バスは一時間に一本だが、幸運にも直ぐに来た。ホイアンへは一時間ほどで着いた。
宿探し
市街地まで歩いていくが、バイタクが乗せてやるよとうるさい。まあ歩けば着くだろうと思って、バイタクに乗っていった外人の後をつけて行ったのだけれど、途中で見失ってしまった。仕方なくバス停まで戻って地図を見たのだけれど、バイタクが走っていった方向はなんと市街地とは間逆の方向だった!ぐるぐる遠回りしながら運ばれるのだろうか?
このバイタクたちは本当にしつこい。たった1kmほどの距離なのに、5USDもふっかけてくる。こちらが低い値を言っても馬耳東風で、「市街地は5km離れていて遠い」とか、「皆乗っている」とか、ひたすら繰り返している。「どこへ行きたい?」「何を望んでいる?」って言うから、「こっちは何も望んでねーよ。何かを望んでいるのはそっちだろ」と言い返した。相当イライラしていた。
宿はいくつか見てすぐに決まった。4階の部屋で、窓は無いけれど清潔で、小さなテーブルまでついている。これで10USDなので大満足だ。シャワーを浴びて汗を流す。
予期せずミーソン遺跡ツアー
昨日今日は満月であり、ホイアンではランタン祭が開かれるらしい。シャワーを浴びながらも、外から賑やかな太鼓が聞こえてくる。急いで着替えて部屋を出る。地図を貰うためにフロントに寄るが、中国人のおばさん一行が、ミーソン遺跡のツアーを値切ろうとして盛り上がっている。このおばちゃん達がなかなか面白い人で、僕はミーソンに行く予定ではなかったにもかかわらず、いつの間にか負けてもらうための工作に加わっていた。そのおかげで、1USDも安く参加することができた。
ランタン祭
そしてランタン祭り。ホイアン旧市街に、色とりどりのランタン(というより提灯だが)が幻想的に光っている。小雨がさらにしっとりとした雰囲気にしていて、格別だ。いくつかの通りでは太鼓が聞こえていて、人々が集まって何かを見ている。それは獅子舞だった。子供二人が前足・後足となり、踊る。日本と異なるのは、獅子舞は子供の頭を噛むのではなく、「お金を噛む」こと。次次にお店をまわり、店の中で踊る。そして、店主は稼ぎの一部を持ってきて、獅子舞の口に入れる。それでも獅子舞は、「足りねぇぜ」って感じで店に居座って、手を舐めたり毛繕いを始める…その動きがコミカルで大爆笑であった。それから、灯篭流しもした。紙製の器の中にロウソクが輝いていて、それをThu Bon川へ流す。このとき、川縁まで来てみて、洪水があったことをようやく知った。水位はまだまだ高く、波止場は浸水していた。橋の欄干は流されていて、通行禁止になっていた。水位が高くなった橋には、流れてきた草が大量に引っかかっている。クレーンがそれをひっきりなしに掴んでは下流に流す。灯篭のいくつかは、草に絡まり、行き場を失っていた。まるで、託した望みもそこで止まってしまったかのように思われた。
久しぶりのお米
それから夕飯だ。ホイアンは観光の町。洒落た土産屋やレストラン、カフェが立ち並び、観光客で繁盛している。しかし、そんな店には興味が無いし、第一高すぎて予算が足りない。そこで中心街から少し離れたところにある市場で食べた。こちらは薄暗くて少し汚いが、住民が利用する場所という感じでとても気に入ってしまった。そこでDIA LONというのを食べた。ご飯の上に色々な種類のお肉が乗っていて、肉汁の染みたご飯がとても美味しい。これがたった20.000VDなのだから、とてもレストランで食べる気が起きない。あまりに美味しかったので、おばちゃんに「明日もまた来るよ~」と言って席を立った。おばちゃんは握手をして、「待ってるからね」と言ってくれた。
商人の町
それからBIERE LARUEを買った。お店のおばちゃんがまた面白い。何とか負けさせたくて、「ビールと水を買うから、5.000VD負けて!」というと、「ハァ?何言ってんの笑」と言われるが、それが茶目っ気に溢れていて楽しい。商売を楽しんでいるのだなぁというのが心底伝わってくる喋りだった。バイタクのように「押し売り」ではなく、潔い。買わないなら、それでよい、という感じ。それでお互い条件を出して楽しむのだ。港町ホイアンは流通がよく、昔から商売で栄えてきた場所だというが、まさにそれを味わった。
ベトナムのビール
BIERE LARUE は15.000VD、333ビールは20.000VD、TIGERビールは25.000VDとあった。しかしBIERE LARUEでも十二分に美味しい。
最終更新:2014年03月25日 00:00