曲紹介
無色透名祭応募楽曲です。
曲名:『日常』(にちじょう)
歌詞
曖昧な「日常」に溶け込んだ小さな違和感が、朝六時の私の心を包む。
異常なまで澄んだコーヒーを飲んで、何時までも続く毎日を繰り返す。
囂しいアラームの音が鳴り響く部屋で、今日も雨が流れる況を眺める。
記憶の片隅に残ったサイレンを消し去ろうと、シーツを何回も掛ける。
馬鹿馬鹿しい占いに振り回されて、コーヒーの味わいを濁してしまう。
理想の「日常」とは何だろうか。希望の果てにあるイデアだったのか。
ニヒリズムに徹した哲学者は言う。生きる意味を示す神は死んだ、と。
そして下らない概念に縋り、さらに堕落へと着き進んで仕舞った、と。
然し私はそうは思わないのだ。其れは、此の「日常」が繰り返されて、
神の事など考える暇もなく、ただ同じアートをなぞるだけなのだから。
嗚呼、何時まで同じ事を繰り返して、詰まらない「日常」を過ごすの?
周りは疑う事もせずただ淡々と、流れゆく日々を擦って暮らしている。
そう、其れがきっと正しい生き方。詰まらなくも、気忙しない生き方。
なのに、何故此の素晴らしい生き方を、拒み続けてしまうのだろうか。
烏滸がましい毎日の中で、唯一つ分かったことがあるとするのならば、
此の世界は箱庭の様に毎日を、ループしながら進んでいることだった。
炊いた味のしない白米を食べて、「いつも」通り、急いで準備をする。
モノトーンの自転車に乗って、何時もの歌を歌いながら道を走り出す。
電車の時刻ぴったりに駅に着く。空いた時間を埋められずに持て余す。
残した朝食に思いを馳せていると、到着のチャイムが、消魂しく鳴る。
こうなると分かっていた筈だったのに、予定調和に飲み込まれていく。
終わりの無いモンドに閉じ込められて、固定されたクオリアへと問う。
鳴呼、何時になったらニヒリズムから抜け出し、犠の命ではなくなる?
答のない問いを投げかけると、散々な意味もない思考の淵へ沈み込む。
抜け出す事も出来ず、ただ足掻いて、空を掠めながら、ただ足掻いて、
なのに、報われない私はきっと、「いつも」通りに縋っているからだ。
嗚呼、何時まで同じ事を繰り返して、詰まらない「日常」を過ごすの?
周りは疑う事もせずただ淡々と、流れゆく日々を擦って暮らしている。
そう、其れがきっと正しい死に方。詰まらなくも、気忙しない死に方。
なのに、何故此の素晴らしい死に方を、・・・・・・・・・・・・・・
拒み続けてしまうのだろうか。
曖昧な「日常」に溶け込んだ小さな違和感が、朝六時の私の心を包む。
異常なまで澄んだコーヒーを飲んで、何時までも続く毎日を繰り返す。
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最終更新:2023年12月13日 00:33