その4
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homuhomu_tabetai
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ボートで何日間漂流したのだろうか。私たちは漁船に発見された。そして病院に収容され、手当てを受けた。
警察官に身元を調べられた。
私は遭難のことは話したが、島のことは話をぼかした。研究所のことは一言も話さなかった。
まどかは乗客の一人で、遭難の際に記憶を失ったということにした。
やがて私たちは傷も癒え、病院から解放された。私たちはやっと人間社会に戻ることができた。
まどかはしばらくのあいだ、人が変わってしまったようだった。もとの明るさは影をひそめ、一日中押し黙っていた。
無理もない。鹿目博士の死後、ずっと親代わりだったマミ博士を失ったのだから。
私は懸命にまどかの世話をした。昔のような明るい笑顔を取り戻してほしかった。
まどかの前ではなるべくほむほむの話をしないようにした。ほむトピアのことは一刻も早く忘れてしまいたかった。
私たちは、かつて私が住んでいた小さな町で暮らし始めた。人付き合いもせずに、二人だけでひっそりと暮らした。
私はある工場で働きはじめた。まどかも近所のお店でパートで働いた。
その日暮らしの貧しい生活だった。しかし、まどかと二人なら私は幸せだった。
「ホムーーー !!!」「マドーーー !!!」
私はつぎつぎと襲いかかるほむほむたちを必死に振りはらおうとした。
しかしいくらもがいても、そいつらは私の手足にかじりついて離れようとしなかった。
「!!!」
私は汗びっしょりで目を覚ました。
また、ほむほむの夢だ……。私はよく凶暴化したほむほむに襲われる夢にうなされた。
あのほむほむたちは今頃どうしているのだろう。冬が来て全滅してしまったのだろうか。それとも、今でもあの島で生息しているのだろうか。
いつか、進化したほむほむが人類を襲う日が来るかもしれない。
そう考えると、あの島のことを秘密にしたのは大きな間違いだったのではないかという不安に襲われた。
しかし、いつまでたってもあの島のほむほむがニュースになることはなかった。
私はやがて平穏な生活に慣れていった。まどかも少しずつ明るさを取り戻した。
そんなある日、帰宅した私にまどかが話しかけた。
まどか「ほむらちゃん、私、ずいぶん心配をかけたね」
ほむら「そんなことないわ」
まどか「やっとわかったよ。これまでずっとほむらちゃんに守られてきたから、今の私があるんだよね」
まどかは私の手を取るとしっかりと握り締めた。
まどか「私、これまで過去にとらわれすぎていた。これからはほむらちゃんと一緒に、未来を見て暮らすよ」
ほむら「まどか……」
まどか「ほむらちゃん、あのね、私、赤ちゃんができたみたい」
私は愕然とした。まどかの子供?
まどか「私と、ほむらちゃんの子供だよ」
私は思わずまどかを抱きしめた。
ほむら「まどか!!!」
涙が止まらなかった。
もう何も怖くなかった。
もう過去のことは忘れて、これからは親子三人で暮らしていくのだ、そう思った。
ほむら「まどか、愛してる」
まどか「私もだよ、ほむらちゃん」
《エピローグ》
「ホムーーー !!!」「マドーーー !!!」
私は襲いかかるほむほむたちを必死で振りはらおうとした。しかしそいつらは私の手足にかじりついて決して離れようとしなかった。
「!!!」
私は汗びっしょりで目を覚ました。
また、ほむほむの夢だ……。ここしばらく見ていなかったのに、今夜は久しぶりにあの悪夢にうなされた……。
ふと気がつくと、隣にいるはずのまどかがいなかった。
ほむら「まどか?」
耳を澄ますと、向こうの方で何か物音がしている。
ほむら「まどか、どうしたの?」
まどかが台所から顔を出した。
まどか「ごめんね、起こしちゃった? でも、真夜中にお腹が減ったから、ちょっとつまみ食いしちゃった」
まどかが手に持っていたのは……ヒマワリの種だった。
まどか「最近よくこれが食べたくなって。とってもおいしいまど」
……まど?……
まどか「一度食べ始めると止まらないまど」
そのとき、私の頭の中をさまざまな記憶の断片が通り過ぎた。
「ほむ種は遺伝子的には人間にすごく近いの」
「鹿目博士はどんなほむ種でも自由自在に作ることができた」
「あの子は鹿目博士の忘れ形見なの」
「鹿目さんにはほむほむの気持ちがよくわかるの」
「もしものときにはあの子を守ってあげて」
「あなたたちがいるかぎり、ほむトピアは終わりはしない」
そう、そういうことだったのだ……。
まどか「ヒマワリおいしいまど。マドッ ! マドッ !」
ほむら「ねえ、どうしたの、まどか!」
まどか「…」
まどかは一心不乱に口をもぐもぐさせていた。
ほむら「まどか、何とか言って!」
まどか「マド ?」
まどかはうつろな目をして、私の声が聞こえないようだった。
私はすべてを理解した。
ほむトピアから逃れられたと思ったのは錯覚だった。
それは私の目の前にあったのだ。
私は決してほむトピアから逃れることはできないのだ。
私は絶望の波に呑み込まれて目の前が暗くなった……。
ほむら「……まどか……私が絶対に……」
まどか「…マドォ…」
ほむら「……あなたを……守ってみせる……」
まどか「…ホムラ…チャン…」
終